2015年05月30日

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第25話「鬼のいる村」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第25話「鬼のいる村」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

第25話登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪。幽霊となって戻って来た。

桐島静香:圭一の同期であるキャリア。現在は警察署長に。
山本巡査長:在りし日の圭一の上司。今は田舎の派出所に勤務している。

これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。

<ネタバレあらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

高校生になった赤木蛍は行方不明となっていた兄・圭一と思わぬ形で再会を果たすことに。
なんと、圭一が幽霊として蛍のもとに戻って来たのだ。
しかも、圭一は悪意が関わる事件を察知し悪意を消滅させる能力を手に入れていた。
だが、圭一は現世に介入することが出来ない。
これでは折角の力も無意味である。
其処で圭一から協力を求められた蛍は、兄妹で力を合わせ1人でも多くの人を助けるべく動き出すことに。

・前回までのあらすじはこちら。
「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第24話「塔を上る男3」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

静香のお見舞いに訪れた蛍と圭一。
静香は蛍の機転により一命を取り留めた(16話から18話「桐島静香の秘密」参照)ものの、日頃の疲れが祟ってか入院を余儀なくされていたのだ。

蛍に礼を述べつつ、圭一の調査から手を引くよう伝える静香。
その挙動に静香が圭一関連で何か目星を掴んでいると考えた蛍は隙を突いて、静香のメモ帳を盗み見る。

すると、其処には山木巡査長の名と赴任先が。
さらに、どうも山木との連絡が取れていないようなことが記されていた。

圭一によれば、山木巡査長は派出所時代の彼の上司らしい。
清廉な人柄で、仕事の傍ら病床にあった母の介護に明け暮れていたと言う。

その山本が何かを握っているのか?
蛍は直接山本の赴任先を訪れる。

其処は山深き中にある小さな集落であった。
まさに鄙びた村と呼ぶに相応しい。

早速、派出所に山木を訪ねる蛍だが彼は生憎留守の様子。
代わりに応対した住人によれば、子供の誘拐事件が発生しており対応にかかり切りなのだそうだ。

山木に恩を売れば情報を引き出し易くなると考えた蛍は圭一と共に調査に乗り出す。
すると、草むらの中から奇妙な手が。

見てみれば、山奥の何処かから伸びている手のようだ。
すなわち、この手もまた幽霊なのだ。

そんな手に導かれるように山へ分け入って行く蛍と圭一。
すると、何か墓のような場所へ辿り着く。
子供が埋められているのでは……と考えを巡らす蛍だが、圭一も地下に潜れない以上は確認が取れない。

取り敢えず情報の1つとして片隅に留めつつ、山木を訪ねることに。
ところが、折角面会した山木は蛍を無視しようとする。
蛍が圭一の妹だと知っても態度は同様であった。
これに焦った蛍はつい山奥の墓について情報を洩らしてしまう。

途端、山木を含めた村人たちの態度が豹変。
山木は蛍が犯人しか知り得ない情報を知っていたことを根拠に身柄を拘束。
一方で、村人たちは蛍が語った場所へ捜索に。

すると、その地面から子供と思しき遺体が発見される。
しかも、その場所は村に伝わる生贄を捧げる場であった。

山木はこの情報を聞くや蛍の弁明を聞かずに逮捕してしまう。
そんな山木の態度を訝しむ圭一が、ふと蛍の顔を見ると血に塗れていた。
それは圭一だけが知る死のビジョンであった―――次話に続く。

よもやの蛍ピンチ!?
ちなみに、ネタバレあらすじはまとめ易いように展開などをかなり改変してます。
気になる詳細は「週刊少年チャンピオン」本誌で確認せよ!!

<感想>

「名探偵マーニー」から3ヶ月……我らが木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」に還って来た!!
というワケで、その新作「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」です。
2015年4月8日に1巻され、更に早くも2巻が発売予定!!

これを記念して木々津克久先生のサイン会が書泉グランデ2Fコミックフロアにて開催されるとのこと。
2015年6月14日14時からだそうで、ファンは要チェックすべし!!

さて、その25話。
サブタイは「鬼のいる村」。

これ、山本は蛍を助けようとしているんだろうなぁ。
この村自体が生贄信仰のある危険な土地柄で其処から余所者である蛍を早く脱出させようとして身柄を確保したように見える。
圭一の目にしたビジョンも蛍に迫る危機を示したものでしょう。

おそらく、村では恒常的に子供を生贄に差し出していた。
山木はこれを阻止しようと奔走。
今回も消えた子供が生贄に捧げられることを防ごうと探している。
其処に蛍がやって来た。
山木は蛍を村から帰る様に仕向けた。
ところが、此処で蛍は村の秘密に関わる内容を喋ってしまった。
今度は蛍の命が危ない。
其処で犯人として拘束し身柄を守ろうとしているのではないでしょうか。

ただ、圭一の件について山木は何かを隠しているようだ。
おそらく圭一消息不明がPNDの犯行と知りつつ、病床にあった母の為に取引に応じ隠蔽したのだろう。

気になるのはこの取引の内容。
当時、病床の母が居たにも関わらず現在の山木は田舎の村に赴任している。
これが何を示すのか!?

山木の母は全快したのか、それとも故人となったのか。
此処に山木が行った取引が隠されているように思えます。

次回にも注目です!!

木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。

木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!

さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。

「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。

衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。

既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。

◆「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」関連過去記事
「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)第1話から第20話までネタバレ批評(レビュー)まとめ

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第21話「怪物のセオリー2」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

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「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第24話「塔を上る男3」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

◆関連過去記事
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これまでの登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪。幽霊となって戻って来た。

獣を連れた男(10人と1匹の獣):圭一の死に関わる人物。獣は殺意のことらしい。
PND(疑われざる者):静香によれば圭一が追っていた謎の人物らしい。獣を連れた男と同一人物なのか?

死神:黒い影の男の正体。

【赤木家とその周辺】
蛍の父:赤木興業の社長。
赤木真知恵:蛍の母。バーのような店を経営している様子。
節:蛍の妹。
和也:蛍の弟。

謎の少年:蛍の初恋相手らしい。11話に登場。
真島慎一:蛍の幼馴染。彼女に恋心を抱いている。9話から登場。

【聖マルス学園関係者】
志田りか:聖マルス学園の生徒。2話から登場。
塞田康平:蛍のクラスの担任教師。割とミーハーらしい。
見場創太:3話ラストに登場した怪しい男。学園の生徒であった。
緑川楓:蛍のクラスメート。実は少女探偵であった。
校長:聖マルス学園の校長。
教頭:聖マルス学園の教頭。
千葉:鐘楼登頂に挑み謎の転落死を遂げた男子学生。
沼代:22話ラストで鐘楼登頂に挑んでいた男子学生。
5人の成功者:過去に鐘楼に登頂することに成功した面々。
五島:5人の成功者の1人だが……。

【警察関係者】
緑川宗達:楓の祖父。推理能力に長けた名刑事として有名らしい。
逸見:楓の知人の刑事。
桐島静香:圭一の同期であるキャリア。現在は警察署長に。
大島:南具署の刑事。
光芝:圭一と静香の同期。
久毛山:圭一と静香の同期。
紅梅:圭一と静香の同期。
二階堂:警部。白い服の男。静香に想いを寄せていたらしい。
山本巡査長:在りし日の圭一の上司。今は田舎の派出所に勤務している。

【その他】
志田高志:りかの兄。りかにストーカーしているとのことだが……。
実山:赤木興業を担当している会計士。
貝塚俊雄:実山会計士事務所の職員。比較的若手。
役丸みつえ:実山会計士事務所の職員。紅一点。
三島:実山会計士事務所の職員。太目。
丸木田:実山会計士事務所の職員。ダンディ。
麻依:貝塚の元婚約者。
緑川宗達:楓の祖父。推理能力に長けた名刑事として有名らしい。
末為良則:12話で遺体で発見される。場津間高校の教師であった。
逸見:楓の知人の刑事。
葉森了:場津間高校の学生。末為の教え子。
葉森美和:蛍が廃病院で出会った女性。了の母で入院していた毛羽病院で落命していた。
間岩:米城警察病院の看護師。
怪物:人中に居ようとも誰も興味を向けない怪物。
大人しい人間:怪物に付き添う不可思議な人影。
栗山将秋:怪物たちが暮らしている部屋の契約者。

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