ネタバレあります、注意!!
<8話あらすじ>
うっかり大量のわさびを口にして、すっかりわさびに参ってしまったアスガーとエミル。辟易(へきへき)している二人をよそにマイケルは本物のわさびを求めて、一大産地である静岡県伊豆半島の天城山のふもとへと行き先も告げず家族を連れてきてしまう。事態を知ったアスガーとエミルは絶叫する!
(公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)
富士がある静岡へ向かうべく東京にやって来たマイケル一家は駅で「ちらし寿司」を食べることに。
寿司と言えば付き物のわさびを楽しむマイケル。
ところが……アスガーとエミルは一口するやその辛さにのたうちまわってしまう。
こうして、アスガーとエミルはすっかりわさびがトラウマになってしまった。
そんなこんなで静岡へ。
ところが、やって来た傍からアスガーとエミルは長時間の移動に疲れ果てやさぐれモード。
リスンはアイスクリームを約束して何とかご機嫌を繋ぐことに。
さらにそんなこんなで天城山麓を進む一行、ようやく辿り着いた目的地は天城わさび販売所であった。
此処、天城のわさびは日本の生産量の実に30パーセントを占めているらしい。
まさに、日本のわさびどころなのだ。
とはいえ、つい先ほどわさびに対するトラウマを植え付けられたアスガーたちが喜ぶはずもない。
ブーイングの嵐となってしまった。
これには歓迎の為に現れたわさびのマスコットも戸惑い気味だ。
ブーイングはやがて「アイス、アイス」との連呼に変貌。
マスコットは「アイスクリームなら……」とわさびアイスを勧めるが、アスガーたちはなおさら反発してしまう。
数分後、マスコットの中身であるわさび農家の塚田さんに事情を説明したマイケル。
「そもそも辛さがわさびの良さなのにねぇ……」と口にした途端、塚田の態度が豹変する。
何やら考え込んでいる様子の塚田に連れられわさび田へ。
其処はそよそよと風注ぐ、豊かな田園風景が広がる土地であった。
塚田によればわさびは希少品、本来ならば生産量が少なく高価らしい。
さらに塚田は「マイケルさんたちが口にしたものは本わさびではないのです」と指摘し、その場で取れたわさびの薄切りを勧める。
抵抗の無いマイケル、リスンはともかく、不安な様子のアスガーとエミル。
ところが、口にしてもまったく辛くない。
その後、塚田に勧められた旅館へ向かったマイケルたち、現れた女将もまた本わさびについて語り出した。
その手には本わさびと共に「鮫皮のおろし金」が、これこそが本わさびに抜群らしい。
これでわさびを下ろすと細胞が潰れて初めて辛味が生じる。
その辛味も揮発性の物で鼻で感じる類なのだそうだ。
何もかも初めて聞くことに驚くマイケル。
さらに女将によればマイケルたちが東京駅で食べたのは加工わさびとのこと。
本わさびと加工わさびはまったくの別物。
加工わさびは手軽に食べられるよう大量生産に適した西洋わさびが用いられているのだそうだ。
女将が擦った本わさびをあわびに乗せて味わうマイケル。
すると「何よりも香りが違う!!」と叫び出してしまう。
これを見ていたアスガーたちもおそるおそる挑戦、これには納得のうまさであった。
しかも、わさびを食べるとお酒に悪酔いしない、お腹の症状やアレルギーにも効果があるとされているらしい。
この驚きの情報にマイケルたちは大喜び、アスガーたちもわさびアイスを食べて大満足である。
こうして、本わさびについて知ったマイケル。
マイケルは本わさびの良さを広めようと心に決めるのであった―――エンド。
<感想>
原作はマイケル・ブース著『英国一家、日本を食べる』と『英国一家、ますます日本を食べる』(共に亜紀書房刊)。
NHKさんにて毎週木曜日0時40分から1時まで放送中、全24話予定。
前半はマイケル一家を中心としたカートゥーンパート、後半はトシ視点のドキュメンタリーパートからなる。
この8話のテーマは「わさび」について。同時に「わさび」を通じて「本物」も描かれました。
具体的には、カートゥーンパートでは「天城のわさび」を中心に、実写パートでは「東京都奥多摩のわさび田」にて「わさびの天ぷら」や「刻んだわさびに酒粕を用いたわさび漬け」が紹介されました。
天城の女将によれば「良し悪しではない」とされていた「本わさびと西洋わさび」。
それぞれに特徴があり、それを活かすようにすべきとの主張でした。
また「全体(本物)を知らずに誤解することの危険性」も描かれていたように思います。
実際、本わさびを口にしたことが無い人にとっては「わさび=西洋わさび」との認識が定着してしまいかねません。
どちらが優れているではなく、あくまで「わさび」には「本わさび」と「西洋わさび」があるんだと知っておくことが重要。
「西洋わさび」のみを以て「わさび全体」を語るなかれと言ったところ。
これは「ジャンルの一部しか知らずにジャンル全体を語る危険性にも通じる」と言えるでしょう。
そして、本作「英国一家、日本を食べる」の旨味も此の点にあるような気がします。
作品にもさまざまな作品があり、それぞれが意図するところも異なっている。
それこそ本わさびと西洋わさびのように。
そして、その調理法によって味わいも大きく変わる。
すなわち、まずは素材、そして素材の活かし方で面白さも変わる。
また、一部ではなく全体を以て初めて語ることも出来る。
本作は原作によって着地点が存在しています。
だからこそ、より明確にテーマを主張出来る。
すなわち、素材の活かし方も明確である。
まとめれば「素材を知り、素材の活かし方を知り、的確に素材を調理できる作品」なのです。
これを満たしているからこそ本作は「本物」を名乗れる作品なのだと思います。
ちなみに、原作者であるマイケル・ブースさんが2015年6月に緊急来日。
同年6月8日(月)19時から「ル・コルドン・ブルー東京校」にてトークショーを開催されるそうです。
定員は25人で、申込方法は代官山蔦屋書店さんで整理券付『英国一家、フランスを食べる』を購入する事。
但し、定員の関係上、事前確認要なので注意!!
◆関連過去記事
・「英国一家、日本を食べる」1話「新宿・思い出横丁」(4月16日)ネタバレ批評(レビュー)
・「英国一家、日本を食べる」2話「最高の天ぷら」(4月23日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「英国一家、日本を食べる」3話「日本料理の神髄」(4月30日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「英国一家、日本を食べる」4話「力士サイズになる料理」(5月7日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「英国一家、日本を食べる」5話「第五の味覚」(5月14日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「英国一家、日本を食べる」6話「世界一硬い魚」(5月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「英国一家、日本を食べる」7話「魚屋の魚屋」(5月28日放送)ネタバレ批評(レビュー)
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