<あらすじ>
紅蓮次郎(船越英一郎)は、神奈川県美津原市消防署の火災調査官。妻を火災で失った悲しい過去を持っており、ミュージシャンを目指すひとり息子・俊介(遠藤雄弥)と暮らしている。
ある夜、紅の知人・久慈大助(新井康弘)が営む弁当店から出火したという知らせが入る。悲しいことに、久慈のほか、消火活動に当たった消防隊員・山中良和(石川雅宗)が命を落とした。捜査の結果、久慈の死因は鈍器で後頭部を殴られたことによる脳挫傷とわかり、灰田修警部(マギー)は火災の第一発見者でもある久慈の後妻・楓(若村麻由美)を疑う。実は、灰田は15年前、楓の前夫が焼死した事件を担当。当時、証拠不十分で立証できなかったものの、楓の犯行を疑い続けていたのだ。楓には、久慈と前妻の間に生まれた高校生の娘・深雪(松浦雅)との不仲も噂されていた…。
翌朝、火災現場の調査をはじめた紅たち。すると、ガスレンジが弱火のまま開栓してあることが判明。また、排水溝の近くで“黄(おう)リン”という化学物質の破片を発見する。黄リンは、空気に触れると数分で自然発火する危険物だった。報告を聞いた灰田は、楓が夫を殴殺した後、黄リンを店に投げ込んで放火したと考える。だが、苦心の末に発火トリックを暴いた紅は、犯人が楓とは言い切れないことを証明。灰田はやむなく楓の釈放を決める。
ところがその直後、楓が紅のもとを訪ねてきた。楓は犯人に心当たりがあると言い、警察や火災調査官の手を借りず、夫の仇を討つと告げる。楓の勝気な宣言の真意はいったい何なのか、紅は困惑する。
その頃、美津原市の放火Gメン・原田千秋(白石美帆)は、久慈の高校時代の友人で化学工場の経営者である村山昇(布施博)のもとを訪れていた。火災の夜、山中からのデートの誘いに応じなかったことで、彼の死に責任を感じていた千秋は、黄リンを扱う付近の化学工場などを調べていたのだ。だが、村山の工場では、黄リンの紛失はないとわかる。
一方、黒崎一刑事(平泉成)は遺体のポケットに入っていた、1枚の捜索願いポスターが気にかかっていた。1年前、深雪の友人でもある女子高生が行方不明になったときに作成されたものだったが、その裏には死の直前、久慈が書いたであろう謎のメモが残されていた。“天”と“ソ”という文字だけが読み取れたが、この2つの字はいったい何を意味しているのか…!?
その矢先、付近のマンションでボヤ騒ぎが起き、なんと現場から黄リンが見つかる。マンションには深雪の担任である高校教師・菅井光彦(原田龍二)が住んでいたが…!?
(あらすじ・写真共に公式HPより)
では、続きから……(あらすじと重複あり)
紅蓮次郎は神奈川県美津原市消防署の火災調査官である。
過去に妻を火災で失って以来、火災を防ぐべく日夜奮闘していた。
ちなみに、同居していた姪・キャロライン泉は前作にて帰国。
今は戻って来た1人息子でミュージシャン志望の俊介と暮らしている。
また、紅ラブな鴇田早苗との関係は相変わらずで寂しさを感じる余裕は無いようだ。
そんなある夜、紅とも顔見知りの久慈大助が営む弁当店から出火。
これにより、店内に居た久慈と消火活動に携わった山中良和が絶命してしまった。
紅は2人を死に追いやった原因を突き止めようと動き出した。
ところが捜査の結果、久慈が出火前の時点で何者かに殺害されていたことが判明。
どうやら犯人は久慈を殺害した後に放火したようである。
こうして容疑は久慈の後妻・楓へ向かう。
実は楓は前夫の死にも関与していた疑いがあったからである。
さらに、久慈の連れ子・深雪との不仲も顕著であった。
これに対し、紅は久慈殺害現場から「黄リン」を発見。
犯人がこれを用いて仕掛けを施したことを突き止めた。
そんな中、楓が犯人に心当たりがあると吹聴し始めた。
犯人に狙われかねない危険な行為に紅は戸惑いを感じる。
同じ頃、美津原市の放火Gメンである原田千秋もまた久慈殺害事件を追っていた。
実は千秋は山中と面識があり、彼の死を悼んでいたのだ。
千秋は黄リンを手掛かりに、久慈の高校時代の友人でラグビー部OB会でも席を同じくしていた村山昇に注目する。
村山は化学工場の経営者であり、黄リンを入手できる立場にあったからである。
だが、村山の工場から黄リンが紛失したといった事実は存在しなかった。
その頃、紅と固い信頼関係で結ばれた黒崎一刑事は久慈の遺体が所持していた1枚の捜索願いポスターを気にかけていた。
1年前、深雪と同じ高校で彼女とも親しかった新倉亜美が行方不明になっており、これを捜索する為に作成されたポスターであった。
また、久慈も亜美の行方不明を気にしていたようである。
そして何より、久慈が所持していたポスターの裏には「天」と「ソ」と何やらメモらしき文字列が並んでいたのである。
これに何か意味があるのだろうか……。
矢先、マンションでボヤ騒ぎが発生。
しかも、この現場から黄リンが発見された。
この現場となったマンションには深雪の担任で化学教師の菅井光彦が住んでいた。
菅井ならば黄リンを入手可能である。
また、実際に調べたところ菅井が管理していた筈の黄リンが持ち出されていたことが判明。
こうして、今度は菅井に容疑が向かうことに。
しかし、紅がマンションぼや騒ぎの犯人を突き止めた。
それは深雪との交際を菅井に止められていた村山の息子・アキラの犯行であった。
どうやら、菅井の管理する黄リンを持ち出しボヤ騒ぎを起こすことで彼に復讐しようとしていたようだ。
とはいえ、未だ久慈殺害犯人を突き止められない。
矢先、楓が何者かに襲われた。
どうやら、この襲撃犯こそが久慈殺害犯のようだ。
楓は犯人を知っていると嘘を吐くことで誘き出そうとしていたのである。
楓は久慈の仇を討とうと狙っていたのだ。
前夫の死であらぬ疑いをかけられた楓、そんな楓を支え助けたのが久慈だったのである。
確かに深雪との仲は複雑だが、それでも楓は久慈と深雪を愛しているのだ。
これを聞いた紅は真犯人を捕まえると決意。
其処に黒崎が例のポスターのメモについて文字列を解明したとの情報を持って来る。
その文字列は「天丼にソース」だったそうだ。
まるで、何かの注文のようだが……。
直後、久慈の友人であった池田が焼殺された。
現場からは池田と共に楓も発見。
こちらは重傷ながらも一命を取り留め入院することとなった。
楓によれば池田に呼び出されたところ、何者かに襲撃され意識を失ったそうだ。
次に気付いたところ、辺りは真っ暗。
光を求めて傍にあったクリスマスツリーの電源を押したところ出火したらしい。
池田殺害の現場を調べた紅はクジラ型の焼き付きを発見する。
その頃、村山がOB会の会費を横領していたことが判明。
なんと、その額1億であった。
これが久慈殺害の動機ではないかとの疑惑も浮上するが。
自宅に戻った紅は俊介たちが「ホチキス」について話していることを聞き、真相に辿り着く。
こうして関係者が呼び集められた。
紅は池田殺害時の仕掛けを解明。
クリスマスツリーの電飾の電源コードにホチキスの針を打ち込み、その上から助燃剤として灯油を撒くことで通電した途端に発火するように仕掛けられていたのだ。
これは楓を気絶させた真犯人による犯行だろう。
さらにクジラ型の焼き付きから「クジラ型ホチキス」が用いられたとの結論を導き出す。
それを所持していたのは……菅井であった。
此処で和歌山県で若い女性の白骨死体が発見されていたことが明かされた。
どうやら、行方不明の新倉亜美らしい。
亜美は既に殺害されていたのだ。
そして、菅井は亜美と交際していたのである。
そう、菅井が亜美を殺害したのであった。
ヒントは「天丼にソース」にあった。
久慈はこれを客から注文されメモしていた。
かなり珍しい注文方法であるが、和歌山では割とある注文らしい。
また、菅井も和歌山出身であった。
「天丼にソース」は菅井の注文を示していたのである。
菅井と交際していた亜美は彼の為に「天丼にソース」の注文を久慈によくしていた。
これを覚えていた久慈が菅井から直接注文を受けた際に2人の関係に気付いた。
ところが、此の時点で菅井は別れ話のもつれから亜美を殺害しており、真相を知られる前に久慈の口を封じたのであった。
その後、池田がこの事実を突き止め「給料半額を毎月払うように」脅迫して来た。
其処で、楓と共に池田抹殺を図ったのだ。
「菅井光彦ぉ、火元はお前だぁ!!」
紅の指摘により、菅井は逮捕された。
村山はと言えば横領が露見し、これまた逮捕されることに。
今回の事件を通じて深雪は楓を認め、親子として生きて行くことに―――エンド。
<感想>
火災調査官・紅蓮次郎シリーズ15作目。
シリーズ前作はネタバレ批評(レビュー)ありますね。
興味のある方は過去記事リンクをどうぞ!!
では、ドラマの感想を。
前回から千秋がレギュラーになりました。
なかなか良かったですね。
でもって、着ぐるみがたびたび登場した今回。
楓襲撃犯がオオカミの着ぐるみ。
中盤で俊介が犬の着ぐるみ。
ラストで俊介が犬、早苗が兎の着ぐるみ。
なかなかにファンタジックでした。
そう言えば、メモの内容が「天丼にソース」でしたが「天井にソース」が本来の意味で「天井にソースのボトルを仕掛け、其処から灯油がじわじわと滴る細工を施し殺害」とか犯行方法を示しているのかと思いましたが全然違いました。
さらに、「天丼にソース派」と「天丼に醤油派」による派閥抗争の末の殺害が動機だったらどうしよう……とあらぬ妄想をしたのは秘密です。
確かにロジック的にはかなり飛躍した点もありましたが、全体的な雰囲気も良くて楽しめました。
シリーズ次作にも十分期待です。
◆関連過去記事
・土曜ワイド劇場「火災調査官・紅蓮次郎 元消防官が謎の焼死炎に包まれたバルーンがあばく、家族を引き裂いた火事の真相!!デパート火災で生還した2人の美女の秘密!!」(1月25日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「火災調査官・紅蓮次郎 炎の動きが読める!?放火魔からの挑戦状! “たこ焼き”が解き明かす遺産3億円をめぐる連続放火事件!」(1月14日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「火災調査官・紅蓮次郎 二度焼かれた死体と燃えないガソリンの謎消防vs鑑識が全面対決プロフェッショナルな真犯人か!?」(11月20日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「火災調査官・紅蓮次郎スペシャル 乳母車が突然炎上!キャベツと黒焦げの中の白い足跡秘密の関係…真犯人と超科学トリック対決」(2月13日放送)ネタバレ批評(レビュー)
<キャスト>
紅 蓮次郎:船越英一郎
原田千秋:白石美帆
白井勇一:河相我聞
鴇田早苗:山下容莉枝
灰田 修:マギー
黒崎 一:平泉 成
久慈 楓:若村麻由美
菅井光彦:原田龍二
村山 昇:布施 博
池田 隆:梶原 善
久慈大助:新井康弘 ほか
(敬称略、順不同)
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作品を観てみると、いろいろと変化が生じています。
灰田警部ですが、彼は蓮次郎たちを良く思っていない様子を見せるところは変わりませんが、「灰かき屋」という表現を使わなくなりました。
「火災調査班」、「火災調査官」という風に呼ぶようになっています。
蓮次郎ですが、前回も今回も、鉄拳制裁を加えようとしながらも、ギリギリのところで踏みとどまりました。
これは、蓮次郎自身の心情の変化と同時に、犯人の人物像も関係していると思えます。
前回の佐伯親子(特に父親の副市長)は、「父として息子を守りたかった」という思いが根底にあったからであり、同じように息子を持つ蓮次郎としては、理解できる部分があったからなのかもしれません。
今回の犯人・菅井は、蓮次郎に「火元はお前だ!」と指摘された後、一切の悪あがきや反論をしませんでした。
これは、特に12、13作の犯人のように犯行を暴かれた後に悪あがきをしたり、蓮次郎に襲い掛かろうとした犯人とは決定的に違う点です。特に12作の犯人は自ら手を下した被害者たちを「どいつもこいつも馬鹿ばかりだ!」と口汚く罵るなど、同情できる部分がひとかけらもなかったわけですし…。
楓と深雪はこの事件をきっかけにして親子の絆を深め、もう一度くじら家族亭を再開させるために努力します。
ここの展開は13作目のラストと少し似ています。事件解決をきっかけにして、絆が深まるという展開がよく似ているのです。
ただ、欲を言えば、楓は深雪のことを「深雪ちゃん」から「深雪」と呼ぶという展開になってほしかったです。13作目では、事実そうなりましたから…。
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
やはり、シリーズものには歴史がありますね。
キャラクターの成長はもちろんのこと、キャラクター同士の関係なども変わって行きます。こういった変遷を楽しめるのもシリーズものの醍醐味なのでしょうね。
また、ストーリーを比較できるのもシリーズだからこそ。
ご指摘頂き気付きましたが、確かに紅蓮次郎が犯人に手を挙げていません。かなり新鮮な印象です。
楓と深雪の呼び方についてですが、敢えて13作目と異なるようにしたのかもしれませんね。