2015年06月12日

「英国一家、日本を食べる」9話「道具の楽園かっぱ橋」(6月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「英国一家、日本を食べる」9話「道具の楽園かっぱ橋」(6月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<9話あらすじ>

本物のわさびに感激したマイケルは、わさび専用のさめ皮のおろし器を手に入れようと家族を連れてかっぱ橋道具街に向かう。リスンから余計な買い物をしないよう釘を刺されたが、めずらしい道具が街じゅうにあふれている様子にマイケルの興奮は上がる一方。しかし、肝心のさめ皮のおろし器がなかなかみつからず…
(公式HPより)


では、続きから……(一部、重複あり)

8話にて本わさびに感動し、その虜となったマイケルは何時でも本わさびを味わえるようにと「さめ皮のおろし器」の購入を決めた。
だが、そんなマイケルの前に立ちはだかる壁が。

そう、無駄遣いを嫌う妻のリスンである。

何とか説得しようと試みるマイケルだが、アスガーさえも過去の事例を引き合いに出し責め立てる。
マイケルは過去にも「林檎の芯取り器」こと「ケルベロス」を高額で購入したにも関わらず1回使っただけで飾りとなってしまっていたのだ。

かなり分が悪い勝負となったマイケルだが「どうしても必要。さめ皮のおろし器以外は買わない」とリスンと約束し何とか許可を貰うことに成功する。

さて、こうして一家で向かった先は「かっぱ橋道具街」だ。
マイケルたちは頭上にそびえる「ジャンボコック像」に見守られながら通りへと突入する。

この「かっぱ橋道具街」はその名の通り、調理用具が取り揃えられた街。
1軒ずつ専門が異なっており、その分だけより豊富により深く専門的な道具を揃えることが出来るのだ。

早速、1軒目に飛び込んだマイケルたち。
店内には大小さまざまな型抜きで溢れかえっていた。
アスガーとエミルも「恐竜」や「ドクロ」の型抜きを発見し大喜びだ。

と、此処でアスガーがマイケルの手許に目を留めた。
何時の間にやら、マイケルは買い物籠を抱え型抜きをその中に放り込んでいたのである。

「ああ〜〜〜っ、いけないんだ!!」
アスガーはリスンにご注進に及び、マイケルは先程の約束を早くも後悔することに。
どうやら、この買い物はマイケルにとって難易度の高いものとなりそうである。

型抜き専門店を出たマイケル一家は通り沿いの店舗を楽しむことに。
業務用炊飯器専門店、店舗用看板専門店、店先提灯専門店、メニューホルダー専門店などバラエティに富んだ店が立ち並ぶ。

さて、これだけ店があると何処に目的の「さめ皮のおろし器」を把握するだけでも一苦労だ。
マイケルは専門性に長けた「かっぱ橋」ならばおろし器も専門店になっているのではないかと考えるが……。

一方、待ちくたびれたエミルの前に人影が。
それは、あのジャンボコックそっくりな男性であった。
ジャンボコックはエミルの前を横切って行く……。

エミルに続き、アスガーも待ちくたびれ始めた。
此処でマイケルが秘策を実行に移す。

観光客受けの良い「食品サンプル専門店」へと家族を連れて来たのだ。
リスン、アスガー、エミルの関心をサンプルへと逸らしつつ、その間にマイケルが目的の品を探す寸法だ。

「もう見飽きちゃったよ!!」
当初は反発するアスガー。
だが、ピザの食品サンプルの完成度に感涙し動かない。

こうなればしめたもの。
アスガーに「ご褒美にピザを買ってやろう」と約束するやマイケルは「さめ皮のおろし器」捜索へ。

その頃、エミルは寿司の食品サンプルに興味を示していた。
と、またもエミルの視界にジャンボコックが。
これを目にし笑いながら追いかけるエミル。
交差点で不意に立ち止まったジャンボコックはある方向を指差す。

その頃、マイケルは未だにおろし器探しに苦戦していた。
あまりに細分化され過ぎていて逆に探すのに手間がかかっているのだ。

ある一軒の店に飛び込んだマイケルは店主相手に「さめ皮のおろし器が欲しい」と告げるが理解されずに苦しむことに。
業を煮やしたマイケルはジョーズのテーマまで持ち出し「さめ皮」であることを伝える。

これに驚いたように首を横に振る店主。
此処でマイケルは気付いた。この店が包丁の専門店であることに。

「しまった、此処は……」
マイケルにとって包丁は何よりの宝物。
その宝庫に迷い込んだのだから、好物を与えられたに等しい。
結局、気付けばマイケルは包丁を購入してしまった。

確かな満足感を抱きつつ、後悔の念に苛まれるマイケル。
其処にリスンらが合流する。

取り繕おうとするマイケルだが、リスンらは既に「さめ皮のおろし器」を購入したと言う。
何でもエミルが取扱店舗を発見したのだそうだ。

エミルの大手柄だとはしゃぐアスガー。
リスンも「どうして分かったのかしら?」と不思議そうだ。

当のエミルはと言えば、特に表情も変えていない。
しかし、ジャンボコックを仰ぎ見ると彼に感謝の言葉を伝えるのであった。

こうして、帰路に就いたマイケルたち。
其処にトシから電話が入る。

「かっぱ橋で良い買い物をした」とうきうき気分で語るマイケルであったが、トシの次の言葉に冷水を浴びせられる。

「おいおい、まさかさめ皮のおろし器なんて買っていないだろうな」
まさにピンポイントで指摘するトシ。

おそるおそる「何故、駄目なのか」を尋ねるマイケルにトシは笑って答える。
「そりゃ、道具だけあっても意味が無いからだよ」と。

そう、「さめ皮のおろし器」があっても肝心の本わさびが無ければ意味が無い。
そして、マイケルはいずれは帰国する。
もちろん帰国後は本わさびは入手が困難なのだ。
すなわち、使う機会が無いのである。

言葉を失ったマイケル、今後使う予定がないことを今更ながら気付くのであった―――エンド。

<感想>

原作はマイケル・ブース著『英国一家、日本を食べる』と『英国一家、ますます日本を食べる』(共に亜紀書房刊)。
NHKさんにて毎週木曜日0時40分から1時まで放送中、全24話予定。

前半はマイケル一家を中心としたカートゥーンパート、後半はトシ視点のドキュメンタリーパートからなる。

この9話のテーマは「かっぱ橋道具街」について。同時に「専門性について」も描かれました。
具体的には、カートゥーンパートでは「道具街の品揃え」を中心に、実写パートでは「日本の包丁は海外でも人気、和包丁の名で親しまれている」ことが取り上げられ「レンコンや大根のかつら剥き」などが紹介されました。

また、今回はエミルが「かっぱ橋の妖精」と出会うなど「ファンタジックな展開」でありながら「実用性の有無」など「無慈悲なリアルを突き付けるラスト」が秀逸。
このギャップが良かったね。

ちなみに、エミルが幻視した「ジャンボコック」とは「かっぱ橋」のシンボルマークである「ニイミ」の「ジャンボコック」がモデルのようです。

どちらかと言えば2話「最高の天ぷら」の雰囲気に似ていたかな。
メリハリも効いていて個人的にはかなり好印象な回でした。

本作「英国一家、日本を食べる」の旨味も此の点にあるような気がします。
「専門性」や「テーマ性」が作品に問われ「ギャップ」や「メリハリ」が作品に彩りを添える。
次回も楽しみな作品です。

◆関連過去記事
「英国一家、日本を食べる」1話「新宿・思い出横丁」(4月16日)ネタバレ批評(レビュー)

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「英国一家、日本を食べる」8話「本物のワサビ」(6月4日放送)ネタバレ批評(レビュー)

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