ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
信濃路の湖に沈められた謎の木箱を追う田代の周囲で起る連続殺人! ふとしたことから悽惨な事件に巻き込まれた市民の恐怖を描く。
飛行機の中から富士山を写したばかりに、思いもかけぬ事件に巻込まれたカメラマンの田代は、撮影旅行先の木崎湖や青木湖で不気味な水音を聞き、不審な波紋を目撃する。行く先々に現れる小太りの男と謎の木箱を追う田代の周辺で、次々に起る殺人事件は、保守党の有力幹部失踪事件と関連を持ち始め、偶然と必然の織りなす経過のうちに、醜悪で巨大なその全貌を現わし始める……。
(新潮社公式HPより)
<感想>
世の中に渦巻く大きな陰謀に巻き込まれたフリーのカメラマン・田代の去就を描いた作品。
とはいえ、展開自体よりも本作のポイントは「死体の隠蔽方法がサプライズとなっている」こと。
あの方法が明かされた時はかなり驚いた。
ちなみにネタバレあらすじはかなり改変しています。
興味のある方は本作それ自体を読むべし。
<ネタバレあらすじ>
登場人物一覧:
田代:フリーのカメラマン。
久野:田代の友人。
川島英子:バー「エルム」のマダム。
山川亮平:保守党の有力幹部。
木南:田代の知人で記者。
礼子:霧の女。
フリーのカメラマン・田代はバー「エルム」のマダムである川島英子を見かける。
英子は何やら動揺している様子で、直後に姿を消してしまう。
さらに、その後に他殺死体で発見されることに。
一方、これと前後して政界の実力者として知られる山川亮平が突然姿を消していた。
そして、この行方を追っていた木南までもが姿を消してしまったのだ。
連続する消失事件に田代は友人である久野が止めるのも聞かず調べ始めることに。
すると、田代自身が何者かに狙われ始めた。
なんとか謎の女性に救われた田代は彼女を「霧の女」と名付ける。
退くに退けなくなった田代は自身の身を守る為にも真相解明に乗り出した。
そして遂に山川や木南が既に殺害されていることを突き止めた。
しかも、この殺害に大きな組織が関わっていることも知ることに。
組織は山川の敵対勢力から依頼を受け彼を殺害したのだ。
これを木南が突き止めた為に彼も殺害されたのであった。
どうやら英子は山川の死に利用された挙句、殺害されてしまったようである。
では、当の山川たちの遺体が発見されないのは何故か?
その秘密は組織が所有する石鹸工場にあった。
いや、正確には石鹸工場に偽装した死体処理場だ。
組織の人々は山川たちを殺害した後に遺体の血抜きを行いパラフィン漬けにした。
その後、これを鉋にかけ削ったものを分散して捨てることで完全犯罪を行っていたのだ。
此の時点で、田代は深入りし過ぎていた。
田代もまた組織に捕まってしまう。
そんな田代の前に現れたのは久野である。
彼もまた組織のメンバーだったのだ。
殺害されようとする田代。
しかし、間一髪で警察が突入し事無きを得た。
実は久野が田代を手にかけることを避ける為に通報していたのだ。
久野の友情に感謝する田代。
また「霧の女」との再会も果たす。
彼女の名は礼子、その兄が組織のメンバーであった。
だが、礼子自身が組織の方針に反対し田代を助けたようだ。
田代は礼子に礼を述べ、彼女に交際を申し込む。
これに礼子も応じ、2人は交際を始めることに―――エンド。
・こちらは本作のドラマ版です。
「月曜ゴールデン特別企画 松本清張サスペンス 影の地帯 大学教授失踪!?森に消える白い家・幻の黒髪の美女は敵か味方か…湖に捨てられた木箱の謎?蛍の里山に渦巻く悲しき欲と業」(7月6日放送)ネタバレ批評(レビュー)
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