ネタバレあります、注意!!
<10話あらすじ>
食事のとき、なかなか箸を使おうとしないアスガー。その様子を見たマイケルは、家族で日本の食事マナーを習うことにする。厳しい講師の教えのもと、初っ端の箸の持ち方から悪戦苦闘するマイケルたち。特訓の末、箸の持ち方をマスターした一家だったが、箸の使い方にはさらに細かい決まりごとがあって戸惑う。
(公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)
回転寿司に出掛けたマイケル一家。
マイケルは「経済的にも負担が少なく、待ち時間もない」とご満悦である。
ところが、その目の前では惨状が……。
アスガーはナイフとフォークで寿司を頬張り、エミルは箸をバチ代わりにリズムを刻んでいたのだ。
これが意外と上手い。
とはいえ、当然周囲から顰蹙を買ってしまう。
リスンは平謝りである。
これにマイケルは奮起した。
「我が家に食事マナーを導入するっ!!」というワケで一般家庭で行われるマナー教室に参加することに。
途中、電車の中でエミルはCMに夢中であった。
其処では柔道着の男性が箸を用いてハエを次々と捕まえていた。
どうやら、殺虫剤のCMのようだが……。
マナー教室に到着したマイケル一家。
担当講師は篠田と名乗る着物の女性である。
こうして、篠田により正座から箸の持ち方まで教えを受けることとなったのだ。
そう言えば、そもそも箸とは何か?
篠田によれば「二本一対の棒を用いることで物を摘まむ道具」のこと。
マイケル一家はそれぞれ箸を持つことに。
すると……。
マイケルは「平行箸」。
リスンは鉛筆と同じ持ち方で「天箸」。
エミルは綺麗に持ってるから合格。
アスガーは「交差箸」から発展して何が何やら分からない持ち方になっていた。
篠田は箸の理想的な持ち方を指導。
さらに、具体的な箸使いを実践する。
篠田の箸捌きに感嘆する一同だが、エミルだけはこれと対等にやり合う。
残されたマイケルたち、特にアスガーにとって修業はつらく長かった。
それでもなんとか箸使いを極めたかに思われたが……。
篠田から「まだ、ほんの入り口」と一蹴されてしまう。
こうして次なる段階「箸の伝統的な使い方」に挑むことに。
まずは「いただきます」の挨拶から始まり、割り箸を横にして割ることを教わる。
さらに、何を食べるか迷う「迷い箸」、箸で小鉢を寄せる「寄せ箸」、箸を味わう「ねぶり箸」、ご飯に立ててしまう「立て箸」などの指導を受ける一家。
しかし、此処でもエミルは悠々とクリアする。
そんな中、マイケルとアスガーは箸同士で食べ物の受渡しをしてしまい篠田の逆鱗に触れた。
最たる禁忌「渡し箸」だったのである。
こうして、篠田からお小言を頂き、その洪水に溺れてしまうアスガー。
長い時が過ぎた。
機嫌の直った篠田は「これらを嫌い箸と総称すること」を教え「大切なのは思いやりの心だ」とまとめる。
マナー教室を退出したマイケル一家。
アスガーは指を捻挫したようだとぼやく、それほど大変だったのだろう。
その夕方、マイケルはカウンターの寿司屋へ。
其処に居たのは7話「魚屋の魚屋」でお世話になった寿司屋のアキラだ。
こうして、夕食はアキラの握った寿司となった。
寿司の作法に疎い一家は戸惑いながらアキラの指導を受けようとするが……。
アキラは「そんな時は、おまかせにしてください」と「おまかせ」を奨める。
アキラのオススメは「マグロ」から始まるコースであった。
特にアキラは「握り方」に自信があるのだそうだ。
早速、箸使いを試されることとなったアスガー。
緊張に包まれつつ、マグロの握りを持ち上げ口に運ぶ。
すると……上手い、コレは上手い!!
味に大喜びするアスガーと、彼の箸使いを褒め称えるリスン。
マイケルは「うちの子はどうだい!?」とばかりに「箸あっての和食ですから」とまで断言する。
そんな一家の様子を眺めつつ、何やら言い淀むアキラ。
その視線に従い周囲を見渡すと……。
ウニなどネタこそ違えど、皆が皆、手掴みで食べているではないか!?
そう、寿司は手で掴んでも良いのだ。
これを知り、真っ白になってしまうアスガー。
ショックを受けてしまったアスガーにアキラは「マナーとは他のお客さんが嫌な気持ちにならないこと」と告げる。
結局、篠田が言っていたように「思いやり」なのである。
これを聞いたマイケルは「なるほど!!」と膝を打つ。
その帰路の電車である。
アスガーが「もっと箸を使えるようになる!!」と宣言する一方、エミルはと言えばCMの真似をしつつ、遂に飛んでいたハエを箸で掴むことに成功していた―――エンド。
<感想>
原作はマイケル・ブース著『英国一家、日本を食べる』と『英国一家、ますます日本を食べる』(共に亜紀書房刊)。
NHKさんにて毎週木曜日0時40分から1時まで放送中、全24話予定。
前半はマイケル一家を中心としたカートゥーンパート、後半はトシ視点のドキュメンタリーパートからなる。
この10話のテーマは「箸」について。
同時に「箸に纏わるマナー」が取り上げられました。
そして、その心は「同席者を不快にさせない思いやり」にある。
具体的には、カートゥーンパートでは「マナーの数々」を中心に、実写パートでは「箸は工芸品でもある」ことが取り上げられ「若狭塗の箸、お坊さんのお箸、金の蒔絵箸、七角形の箸」などが紹介されました。
さらに今回は「エミル、おそろしい子っ……!!」な回でもあります。
ちらっと見ただけで箸の持ち方と扱い方をほぼマスターしたエミル、器用です。
しかも、いろいろと目聡く利発な子で9話のように感受性も高い。
前回に引き続き、エミルに癒された。
ちなみに本作「英国一家、日本を食べる」の旨味も此の点にあるような気がします。
「マナー」とは「思いやりの心」、すなわち「相手(視聴者)のニーズを察する心」でもあります。
「専門性」や「テーマ性」が作品に問われ「ギャップ」や「メリハリ」が作品に彩りを添える。
さらに「視聴者の欲する情報やシチュエーション」が盛り込まれれば……面白いワケです。
次回も楽しみな作品です。
◆関連過去記事
・「英国一家、日本を食べる」1話「新宿・思い出横丁」(4月16日)ネタバレ批評(レビュー)
・「英国一家、日本を食べる」2話「最高の天ぷら」(4月23日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「英国一家、日本を食べる」3話「日本料理の神髄」(4月30日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「英国一家、日本を食べる」4話「力士サイズになる料理」(5月7日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「英国一家、日本を食べる」5話「第五の味覚」(5月14日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「英国一家、日本を食べる」6話「世界一硬い魚」(5月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「英国一家、日本を食べる」7話「魚屋の魚屋」(5月28日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「英国一家、日本を食べる」8話「本物のワサビ」(6月4日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「英国一家、日本を食べる」9話「道具の楽園かっぱ橋」(6月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)
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