2015年06月19日

『月は囁く』第14話「月と哀しいカナリア」(宮崎克原作、青木朋画、小学館刊『ビッグコミックオリジナル7月増刊号』掲載)ネタバレ批評(レビュー)

『月は囁く』第14話「月と哀しいカナリア」(宮崎克原作、青木朋画、小学館刊『ビッグコミックオリジナル7月増刊号』掲載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
藤村月:陽一の父が再婚したことで、陽一の義妹となった。犯罪心理学と観相学を駆使する天才少女。
藤村陽一:警視庁捜査一課勤務、35歳。
陽一の父:犯罪心理学者。多くの事件解決に寄与した。

大門夏夫:資産家の男性、謎の死を遂げる。
大門五月:大門の長女。
大門弥生:大門の次女。
田中かんな:大門を担当する介護ヘルパー。


階段からの転落事故により寝たきり生活を続けていた資産家の大門夏夫が自室で急死した。
不思議な事に、大門が室内で飼っていたカナリアもまるで主人に連れ添うように死亡していた。
しかも、部屋に置いていた携帯用酸素スプレーが無くなっていたのである。

この検死に立ち会ったのが陽一。
検死の結果、大門の死因は心臓麻痺とされたが……。
陽一は念の為、大門の娘たちに事情を尋ねる。

大門には2人の娘が居た。
長女・五月と次女・弥生だ。

五月たちによれば、大門はもともと心臓に持病を抱えていたらしい。
それが死の原因に繋がったのか。

しかも、大門は疑心暗鬼気味だったようで最近では被害妄想に囚われるまでになっていたと言う。
階段から転落した事故も何者かに突き落とされた事件だと常々主張していたようだ。
その用心からカナリアと携帯用酸素スプレーを自室に置くようになっていたのだ。

用心の為にカナリアってどういうこと?
疑問を抱く陽一だが、どうやら大門は毒ガスでの攻撃を怖れていたようだ。
そう、大門は「炭鉱ではカナリアを連れることでガスを察知する」との逸話を信じていたのだ。
携帯用酸素スプレーもいざという時の為だったらしい。

大門とカナリアが同時に死亡したことは不可思議だが、それだけで他殺とは言い切れない。
自然死で落着しかけたのだが……。

其処に大門のヘルパーをしていた田中かんなが現れた。
かんなは自然死説を否定し、大門は殺されたと主張する。
しかも、彼女は「自分が大門を殺した」と告白したのである。

こうして一転し、大門の死は他殺となった。
かんなは身柄を拘束され取調を受けることに。
だが、具体的な犯行手段を明かそうとしない。

違和感を覚えた陽一は月に助力を仰ぐ。
かんなの顔を一目見た月は彼女が嘘を吐いていると看破する。
つまり、かんなは大門を殺害していないのだ。

此処でカナリアの死因が判明。
それはヒ素中毒であった。
しかし、大門自身は心臓麻痺と判明している。
何とも不思議なこととなったが……。

月は陽一からこれまでの経緯を聞くや、かんなの心情を推測する。

まず、月はかんなの名前に注目。
かんなはすなわち神無月をもとにした命名。
さらに大門の娘も五月と弥生であり、神無月同様に旧暦の月の名だ。
ここから、月はかんなもまた大門の娘であると見抜いた。
かんなは大門が愛人との間に作った隠し子だったのだ。
大門は介護ヘルパーとしてかんなを手許に置いていたのである。
そして、謎の急死と遂げた。
大門の娘であるかんなは父の死に疑問を抱き、捜査されるように嘘の犯行を自白していたのである。

さらに月は陽一に真相を伝える。

翌日、陽一は月を伴い大門家を訪問。
弥生に大門家の敷地内を捜索させて貰うと予告する。

その夜、大門家の裏庭に人の気配があった。
人影は地面を掘り返しているようだが……。

と、其処に突然、陽一と月が現れた。
人影は彼らが罠を仕掛けたことにようやく気付いた。

諦めたように膝を着く人影、その正体は五月であった。
そう、五月こそ大門を殺害した犯人だったのだ。
そして、その犯行方法を証明する証拠こそ、五月が掘り返した物にあった。
その証拠とは霧吹き、中にはヒ素が収められているのである。

五月は大門がカナリアを信用していることを利用した。
まず、夜中に大門の自室に忍び込んだ。
大門が寝ていることを確認するとカナリアに霧吹きでヒ素を浴びせかけて殺害した。
その上で酸素スプレーを盗み出した。

朝、目を覚ました大門はカナリアが死んでいることに気付き愕然とした。
さらに、酸素スプレーも消えて居る。
そこに外から何やらガスを注ぎ込まれる音が……。

これこそ、五月が扉の外から鍵穴に向けて盗んだ酸素スプレーを吹き込んだ音であった。
この音を聞き続けた大門は毒ガス攻撃を信じ込み、迫る死の重圧に押し潰され心臓麻痺を起こしたのだ。

大門自身が事件だと主張していた階段からの転落事故も五月の犯行だったらしい。

五月はかんなが大門の娘だと知っていた。
しかも、大門はかんなに遺産の半分を残そうとしていたのだ。
これを知り、どうしても許せなくなったのだそうである―――15話に続く。

<感想>

「幇間探偵しゃろく」でお馴染みの青木朋先生が宮崎克先生とタッグを組み、新たなミステリコミックの連載を「ビッグコミックオリジナル 増刊号」で開始されました。
タイトルは「月は囁く」。
捜査官・藤村陽一と、顔相学を修めたその義妹・藤村月が犯罪事件を解決する物語。

まさに陽一(太陽)と月(月)の物語です。

では、14話を読んだ感想を。

心理の陥穽を突いたトリックでしたね。
大門が身を守る為に用意した物が犯人により見事に逆手に取られ、彼自身を追い詰めて行くことになろうとは……。
しかも、大門がソレに絶大の信頼を置いていればいるほど効果も増す。
かなり、皮肉に満ちた殺害方法です。

其処には大門への五月の深い恨みが見て取れます。
恐ろしい話です。

親しい仲であるからこそ、相克は深くなるのかもしれませんね。

そして、陽一と月が順調に距離を縮めていますね。
どうも、それは兄妹よりも異性のソレのようです。
これは……もしかして、もしかするのか。

ちなみに、ルナは父親に対しトラウマがある様子。
その天才的な力により、父に虐待されていたのかな。
結局、父と母はこれが原因で離婚。
そして、母が陽一の父と再婚といった流れか。

ルナとしては離婚の原因が自身にあると考えて、以来、人と距離を置くようになったか。
ところが、無邪気な陽一に癒されていく展開か。
イイですね。
最終的にはルナがトラウマとなった父と和解する(乗り越える)展開もありそうかな。

興味を抱かれた方は是非、『ビッグコミックオリジナル 増刊号』にて本作を確認されたし。

◆関連過去記事
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