2015年07月25日

『墓標なき街』第10話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)

『墓標なき街』第10話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)です!!

ネタバレあります!!注意!!

<あらすじ>

「百舌シリーズ」新連載!巨悪を追う、迫真のサスペンス。
(集英社公式HPより)


<感想>

「百舌シリーズ」2015年時点での最新作が『小説すばる』にて連載開始されました。

「百舌シリーズ」は次の6作が既刊。
『裏切りの日々』、『百舌が叫ぶ夜』、『幻の翼』、『砕かれた鍵』、『よみがえる百舌』、『鵟の巣』。
そして、これに新たに加わるのが意外な導入から始まった2015年時点でのシリーズ最新作『墓標なき街』。

今回はその第10話ネタバレ批評(レビュー)です。

物語は怒涛の展開を迎えています。
為永殺害に続き、まさか大角までもが殺害されるとは……。
共にうなじを一撃なので、新たなる百舌の犯行でしょう。

それにしても、熟練の大角があまりの出来事に驚き無防備に殺害される相手とは一体!?
おそらく、黒頭巾の正体を見て呆然、其処を背後から別の何者かに殺害されたのだと思われますが。
だとすると、新百舌候補になりそうなのは「その場に居たまほろ」か。
これは以前に感想で述べた「女性による百舌」の可能性も高まったのかも。

そして、黒頭巾は紋屋ではありませんね。
こちらは「その場に居なかったタミ」が怪しいか。
まほろとタミが2人1役で黒頭巾を演じていると考えて良いのかなぁ……。
いや、待てよ……そもそも人間ではない可能性もあるか。
黒頭巾の声は機械音声らしいので人形にスピーカーを付けただけで遠隔操作しているのかもしれない。
歩いていたのは、その時だけ誰かが演じていたのかも。
いずれにしてもタミがキーマンになりそう。

さらに、御室三四郎の暗躍も気になるところ。
意図的に上司である大角を煽り黒頭巾に興味を誘導し排除させたように見えますが……あるいは、黒頭巾についても調べているのか?
なかなかの曲者の様子。

さて、10話までのまとめ。

物語の発端は三重島と茂田井との抗争にあるようです。
これに、石島による武器輸出事件の告発が絡む。

まず、茂田井派であった田丸は三重島派を攻撃するべく百舌について記事にしようとしていた。
其処で、先手を打って三重島派が田丸を殺害した。
だとすれば、新たなる百舌は三重島派に属する人物となる。

でもって、石島から武器輸出事件について情報を貰っていた為永が殺害された。
これも犯行手口から新百舌と思われる。
つまり、三重島派に属する新百舌が手を下したことから武器輸出事件も三重島派によるものとなる。

さらに、黒頭巾の正体を知った大角がこれも新百舌と思われる手口で殺害された。
つまり、新百舌は「屋敷内に居る誰か」となる。

そして、黒頭巾、まほろ、タミは「三重島派の人間」であり「屋敷内に居た」。
同じ条件ならば御室や伊沢も居るが、彼らは三重島派に雇われていはいるが第三者の立場のようだ。
すなわち「黒頭巾、まほろ、タミの誰かが新百舌」と考えて問題はないだろう。
だとすれば、先述の推理と重ねても「まほろが新たなる百舌であること」に差し支えは無さそうか。
あるいは黒頭巾同様に新百舌も「まほろとタミによる2人1役の可能性」もあり得る……のか!?

ただ気になるのは、為永が殺害されながら肝心の石島が狙われていないこと。
これには理由があるのか?
また、為永が殺害されたことで同じように石島から情報を提供されていた残間も危ないかも……。

いよいよ物語が盛り上がって来ました。
どんどん加速するストーリー、次回が早く読みたいぞ!!
これは『小説すばる』掲載の第10話をチェックすべし。

<ネタバレあらすじ>

【前回までのあらすじ】

初代・百舌との戦いから長い月日が過ぎ、大杉は警察を退職し探偵業を営んでいた。
娘・めぐみは警察官になり、倉木を失った美希とは大人の男女として関係を続けている。

そんな大杉のもとに旧知の残間から田丸が「百舌について」記事にしようとしていることを聞かされる。
今更のことに、意外に思う大杉。
また一方で、不正な「武器輸出」が行われているとの情報を入手する。
その告発者は三京鋼材の石島であった。

さらに、千枚通しを用いる殺し屋が新たに登場し美希が狙われてしまう。
これは大杉により事無きを得たのだが……。

その翌日、石島を監視していた大杉と村瀬であったが、めぐみとその同僚・車田聖士郎に見咎められてしまう。
大杉たちは何とかめぐみたちの裏をかき、石島が接触していた雑誌記者・為永に辿り着く。

矢先、田丸が何者かに殺害されてしまう。
これにより、大杉たちは「新たなる百舌の登場」と「三重島と茂田井の暗闘」に気付くことに。

一方、大角は部下の御室三四郎と共に謎の人物・黒頭巾の警護をしていた。
黒頭巾は田丸殺害に興味があるようだが……。

矢先、御室の口から紋屋の名前が飛び出す。

・前回はこちら。
『墓標なき街』第9話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)

【今回のあらすじ】

「武器輸出」について告発しようとしている三京鋼材の石島を監視する大杉と村瀬。
一方、車田とめぐみもこれに張り付いていた。

そんな中、石島に動きが。
大杉たちとめぐみたち、それぞれがこれを尾行する。

石島は為永と密会していた。
大杉たちは為永を、めぐみたちは石島を追う。

ところが、意外なことにめぐみが為永を追って現れた。
事態の急変に戸惑う大杉の前で、為永がうなじを一撃され殺害されてしまう。
新たなる百舌の犯行であった。

逃走するコレと対峙しためぐみだが、捕まえることが出来ず負傷。
大杉に救われる。

結局、新たなる百舌は逃亡に成功してしまった。
残された大杉たちとめぐみたちは此処に合流を果たす。

その一方で、大角は黒頭巾の正体について興味を惹かれていた。
さらに、御室三四郎に煽られ黒頭巾の正体を確認しようと決意する。

そっと黒頭巾に接近する大角。
だが、その背後に何時の間にかまほろが立っていた。

ぎょっとしつつ「黒頭巾が紋屋ではないか」との疑問をぶつける大角。
そんな大角に黒頭巾は「命の保証はしないが確かめてみるがいい」と促す。
逡巡する大角だが好奇心に勝てず、これを覗いてしまう。
黒頭巾の正体に呆然とした大角、そのうなじに一撃を喰らいこれまた絶命してしまうのであった。

数時間後、大角が死亡したことで部長候補になった御室に呼び出された伊沢。
御室に命じられ大角の遺体を処分することに―――11話に続く。

◆関連過去記事
『墓標なき街』第1話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)

『墓標なき街』第2話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)

『墓標なき街』第3話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)

『墓標なき街』第4話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)

『墓標なき街』第5話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)

『墓標なき街』第6話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)

『墓標なき街』第7話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)

『墓標なき街』第8話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)

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『百舌シリーズ(百舌の叫ぶ夜、幻の翼)』(逢坂剛著、集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)

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