2015年07月09日

水曜ミステリー9「森村誠一サスペンス 刑事の証明9 疑惑の四重奏 目撃者500人演奏中の完全犯罪!!幻の曲に暗号が?謎の音符シ♯に秘めた愛」(7月8日放送)ネタバレ批評(レビュー)

水曜ミステリー9「森村誠一サスペンス 刑事の証明9 疑惑の四重奏 目撃者500人演奏中の完全犯罪!!幻の曲に暗号が?謎の音符シ♯に秘めた愛」(7月8日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<あらすじ>

警視庁捜査一課の三係班長・広瀬和宏(村上弘明)は、ある日の休日、管理官の那須恵一(加藤剛)の誘いでクラシックコンサートへ。愛妻家で情熱家のオーボエ奏者・森島只仁(佐戸井けん太)と、私生活がベールに包まれた神秘的なピアニスト・高林久恵(とよた真帆)の、待望の初共演だ。しかし2曲目の冒頭で突然、森島が苦しみ出す。広瀬らがステージに駆け寄るが、森島はそのまま絶命。オーボエのリード(吹き口)から即効性のある毒物が検出され、殺しと断定される。毒は直接リードにではなく、リードを湿らせるための“水入れ”に仕込まれたとして、広瀬たちは共演者らへ公演日の行動について聞き込みを行う。

捜査を進めると“水入れ”に毒が仕込まれたのはリハーサル終了から本番の間ということが判明。公演のサポートメンバーで、森島の事務所の後輩でもあるフルート奏者・三浦由妃(池田早紀)のアリバイが曖昧なことから、藤浪修(松澤一之)ら刑事は疑いの目を向ける。しかし広瀬が気になっていたのは久恵だった。森島が倒れた時に久恵が発した「心臓発作かもしれない」という言葉、事件直後に広瀬らが目撃したコンサートの再演を望む久恵と、拒否する音楽プロデューサー・杉崎哲(大浦龍宇一)との口論、長らく森島との共演を断っていたことが気に掛かっていたのだ。同じ頃、広瀬の部下は、久恵のマネジャー・麻生菜々美(川村ゆきえ)から、由妃が久恵のお気に入りであることを聞くが、程なくして久恵と由妃には、ある深い繋がりがあることがわかり…!

隠していたその事実に加え、久恵はまだ何かを隠していると直感する広瀬。事件の背景には複雑な人間関係があると睨んでいた。ところが、さらに調べを進めようとした矢先、新たな殺人事件が発生。杉崎が撲殺体となって発見されたのだ。第一発見者は、未払いだったギャラの請求に訪れたクラリネット奏者の後藤英治(駒木根隆介)だが、どこか様子がおかしい。そんな中、杉崎の遺留品から手帳を手に取った広瀬は、前日の欄に、森島の妻で女優の緋野まどか(田中美奈子)と会う約束が書き込まれているのを見つける。
(公式HPより)


では、続きから(一部、重複アリ)……。

広瀬和宏は警視庁捜査一課三係の班長である。
ある日、広瀬は管理官の那須恵一に誘われクラシックコンサートへ赴いていた。

コンサートの主役は2人。
女優である妻・緋野まどかとのおしどり夫婦で知られるオーボエ奏者・森島只仁。
私生活がベールに覆われたピアニスト・高林久恵。
森島と久恵はこれが初の共演であった。

クラシックファンにとってはまさに夢の共演とあって、周囲の聴衆たちも期待に胸を高鳴らせていた。
ところが、2曲目が始まった途端に森島がもがき苦しみ絶命してしまう。

この事件の捜査に広瀬が乗り出した。

オーボエのリード(吹き口)から即効性の毒物が検出されたことで他殺と判断された。
どうやら、森島が愛用していた瓶状の水入れに毒が仕込まれていたようである。
これでリードを湿らせて使用した為に毒殺されることとなったのだ。

リハーサルの際には特に問題が無かったとのことで、リハーサル後から本番までの間に毒が仕込まれたと考えた広瀬たち。
当然、その場にいた人間の犯行となるのだが……。

森島にもっとも近い筈のまどかは遠方でアリバイあり。
犯行が可能なのは、久恵や森島から可愛がられていた事務所の後輩でフルート奏者の三浦由妃など一部の人間に限られていた。
此処で容疑は由妃へと集中する。

だが、広瀬は久恵を気にかけていた。

矢先、久恵と由妃が親子であることが判明。
容疑は由妃だけではなく、久恵にも向かうことに。
しかも、久恵には三浦和也という元夫が居たが謎の離婚を遂げていた。

そんな中、森島や由妃を盛り立てていた音楽プロデューサーの杉崎哲が何者かに撲殺されてしまう。
これは連続殺人なのか!?

久恵を調べ続ける広瀬は「白い朝」という曲に注目。
それは森島による作曲とされた作品であった。
だが、森島は何故かこの曲をアルバムに収録することを拒否していたらしい。
どうやら、かなり思い入れがあったようだ。

この「白い朝」を調べていた広瀬は曲中の「ドラミ」が「ド」が「HIS」、「ラ」が「A」、「ミ」が「E」を示すものと気付く。
つまり、「HISAE」こと「久恵」だ。
「白い朝」の曲中に「久恵」という名が隠されていたことで、広瀬は「白い朝」が森島ではなく久恵の作曲なのではないかと疑いを抱く。

これを久恵に詰め寄ったところ、久恵は森島と杉崎殺害を自供し始めた。

だが、時に大胆だが、時に石橋を叩いて渡る慎重な性格の広瀬はトントン拍子に事が進み過ぎることに不安を抱いた。
やがて、広瀬はそもそも「あの場に居た人間しか森島を殺せなかったのかどうか」に疑惑を抱くように。
一晩考えたところ、そう言えば「水入れの蓋の裏に毒を仕込めば、その場に居なくても出来たんじゃね?」と気付く。

犯人は森島の水入れをポケットに忍ばせる癖を知っており、事前に水入れの蓋の裏にオブラートで覆った毒薬を張り付けておいた。
これを知らない森島はリハーサル時に水入れに水を注ぎ、リードを湿らせた。
だが、此の時点では蓋の裏の毒物は効果を発揮しないので問題はない。
ところが、リハーサルを終え水入れの蓋を締めポケットに入れると、中の水が蓋に貼ったオブラートごと毒薬を溶かし出した。
そして本番を迎えた森島が水入れの水を用いたことで服毒死したのである。

さらに、広瀬は「白い朝」の曲中にもう1つの符牒が隠されていることに気付いた。
繰り返される「シドラレ」は「ロハイニ」に置き換えられる。
これを並べると「只仁」となるのだ。
すなわち、森島の名前も其処に隠されているのである。

久恵と森島の名が隠されたソレ。
しかも、「白い朝」はオーボエとピアノで演奏される曲である。
つまり、森島と久恵の為の曲だったのだ。

これに広瀬は森島と久恵が男女の仲であり、由妃が森島の娘であると看破した。
だからこそ、久恵の元夫・三浦和也は彼女のもとを去ったのだ。

こうして特に現場にいる必要はなく、森島が不倫していたことで新たな容疑者が浮上した。
そう、まどかだ。
この犯行方法と動機を指摘されたまどかは罪を認めることに。
裏切った森島が許せなかったのだそうだ。

森島殺害については解決した。
残るは杉崎殺害である。

これについて広瀬は久恵が庇わなければならない人物に注目。
其処から由妃が犯人であると突き止めた。

由妃は杉崎から捨てられた為に逆上し殺害してしまったと罪を認めた。

2件の殺人事件は共に解決した。

では、久恵が由妃はともかくまどかを庇った理由は何だったのか? 
それは愛妻家として知られる森島のイメージを守ろうとしたのだ。
森島の不倫が明らかになることで彼が2度殺されることを阻止したかったのであった。

久恵は引退することとなった。
「白い朝」が収録された森島最期のアルバムは大ヒットとなっているそうである―――エンド。

<感想>

「刑事の証明」シリーズ第9弾。
ドラマ原作は森村誠一先生『捜査線上のアリア』(集英社、角川書店、徳間書店、講談社刊)。

<あらすじ>

新人作家・津村は、ある殺人の疑惑を受けたことがきっかけで、一躍売れっ子になる。真犯人は人気作家のM!? だが…。幾重にも張りめぐらされた作者の罠に酔う、本格推理の名作。(解説・下里正樹)
(集英社公式HPより)


過去には土曜ワイド劇場「終着駅シリーズ」や金曜プレステージでもドラマ化されている本作。
金曜プレステージ版はネタバレ批評(レビュー)ありますね。

金曜プレステージ「二週連続特別企画 森村誠一 女のサスペンス『捜査線上のアリア』麗しきアリアと共に蘇る名作ミステリー!美しき青年死体。疑われた女流作家は文豪のアリバイを崩せるか」(6月22日放送)ネタバレ批評(レビュー)

興味のある方は本記事下部のアマゾンさんのリンクよりどうぞ!!

では、ドラマ版の感想を!!

久恵と森島の愛の結末は苦い物に終わりましたね。
久恵が由妃に音楽業界に関わるように強要していたのは実父が其処に居たからだったのでしょうか。

それにしても、久恵は「森島のイメージを守る為」とはいえ「殺人者の娘」の烙印を由妃に背負わせるつもりだったのかなぁ……。
まぁ、当の由妃が杉崎については実際に手を下しちゃってたワケだけど。
なんだか視た感じだと由妃を庇う為というよりは森島との愛の結晶に傷を付けない為のように見えた。
うむむ……どうなんだろうなぁ。

ただ、久恵と森島の愛の囁きは「白い朝」の中で永遠に続くのでしょう。
此の点、「古畑任三郎」での「のり子・ケンドール」の回(23話「ニューヨークでの出来事」)を思い出しました。

そうそう、『小説野性時代 第135号(2015年2月号)』(角川書店刊)では、森村誠一先生の50周年記念として特集も行われました。
興味のある方は過去記事をチェック!!

『小説野性時代 第135号(2015年2月号)』(角川書店刊)にて森村誠一先生特集とのこと!!

<キャスト>

広瀬和宏:村上弘明
那須恵一:加藤剛
高林久恵:とよた真帆
森島只仁:佐戸井けん太
緋野まどか:田中美奈子
河本美奈代:筒井真理子
藤浪修:松澤一之
杉崎 哲:大浦龍宇一
三浦和也:戸田昌宏
麻生菜々美:川村ゆきえ
後藤英治:駒木根隆介
今井直紀:河内 浩
佐野雄二:加藤 頼
門倉涼子:安藤聡海
磯部正昭:蔵本康文
三浦由妃:池田早紀 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより転載)


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【その他】
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(「森村誠一 謎の奥の細道をたどる」についての過去記事です)

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この記事へのコメント
いつも、楽しく読ませてもらっています。

森村誠一先生原作の2時間ドラマは好きで、よく見ています。もちろん原作の小説も、読みます。

「捜査線上のアリア」も感想にあったように、金曜プレステージ(若村さん主演で作家が女性になっていましたね)でも、ずっと前の大杉蓮さん主演の2時間ドラマでも観たので、作家の書けない悩みや売れっ子作家への嫉妬などが主題になっている話と思っていました。

今回の音楽家の話もとても面白かったですし、楽譜に隠された暗号も面白かったのですけど、
原作が「捜査線上のアリア」というのは、間違いではないのでしょうか?

それとも、原作を大きく改変したということかな?

このシリーズ、加藤剛さんの那須警部が、ずっと変わらないのがいいですね。
Posted by あおによし at 2015年07月31日 16:44
Re:あおによしさん

こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!

管理人も「金曜プレステージ」版のイメージが念頭にあったのでかなり戸惑ったのですが、公式HP上では『捜査線上のアリア』が原作になっていますね。
ですので、アレンジが加えられていたと考えて良いのではないでしょうか。
このアレンジ、個人的にはアリかなと思います。

それと、このシリーズだと広瀬役の村上さんはもちろん、那須役もやっぱり加藤剛さんのイメージが強いので、今後も続けて欲しいですね!!
Posted by 俺 at 2015年08月04日 22:51
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