2015年07月10日

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第31話「謎の桃園2」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第31話「謎の桃園2」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

第31話登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪。幽霊となって戻って来た。

緑川楓:蛍のクラスメート。実は少女探偵であった。

桃園霧子:「聖マルス学園」2年生とされる謎の令嬢。「謎の桃園」より登場。
死神:黒い影の男の正体。「桐島静香の秘密」「謎の桃園」に登場。

これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。

<ネタバレあらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

高校生になった赤木蛍は行方不明となっていた兄・圭一と思わぬ形で再会を果たすことに。
なんと、圭一が幽霊として蛍のもとに戻って来たのだ。
しかも、圭一は悪意が関わる事件を察知し悪意を消滅させる能力を手に入れていた。
だが、圭一は現世に介入することが出来ない。
これでは折角の力も無意味である。
其処で圭一から協力を求められた蛍は、兄妹で力を合わせ1人でも多くの人を助けるべく動き出すことに。

・前回までのあらすじはこちら。
「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第30話「謎の桃園」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

村での出来事を乗り越え、学園に戻った蛍を次なる試練が襲う。
なんと、学園の生徒たちから男女問わず熱烈なラブコールを受けることになったのだ。
最初は戸惑っていた蛍であったが、それは僅かな間に加熱。
蛍を取り合う者たちは掴み合いの喧嘩を始め、蛍自身もいつしか命の危険すら感じるように。

その頃、蛍を守ると決めた圭一は謎の少女・桃園霧子に接触するも身体を吹き飛ばされ消滅の危機に瀕していた。
このようなことが出来るのは神かそれと同位の者以外にありえないらしいが……。

逃げ惑う蛍は体育用具室へ逃げ込む。
其処に現れた楓は普段と変わらず蛍と接していたのだが……暫くすると他の生徒同様に蛍に襲い掛かって来た!!
楓ですら異常を来たしたところを見ると、どうやら学園生徒に異能の力が働いているようだ。
だが、蛍が見る限り学園生徒が何かに操られている様子はない。

謎めく状況に混乱する蛍。
その前に現れたのは、18話で蛍に上手く躱された死神であった(彼について詳しくは16話から18話「桐島静香の秘密」を参照のこと)。

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第18話「桐島静香の秘密3」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

解約され使えなくなってしまったスマホを手に高らかに笑う死神、今回の騒動は彼の仕業であった。
彼が使用したのは天界に伝わる「クピドの矢」。
俗に言うキューピッドの矢のことで、これに射られた者は対象を問わず周囲を無造作に惹き付けてしまうらしい。
それは時と共に加熱し、最終的には射られた者は取り合われるうちに引き裂かれてしまうらしい。

蛍は知らず、これに射られていたのだ。
つまり、蛍に命の危機が迫っているのである。

復讐を疑う蛍に、あくまでゲームだと嘯く死神。
生き残る為には「クピドの矢」を抜くしかない。
だが、この矢を抜くことが出来るのは神かそれと同位の者のみ。
すなわち、蛍でも圭一でも不可能である。

この間に体育用具室に押し寄せる学園生徒たち。
逃げ惑う蛍を眺めて溜飲を下げる死神。
混沌が究極に達し破壊が訪れようとしたそのとき、その場に桃園が現れた。

桃園を目にするや死神が言葉を失う。
同時に桃園の背後から巨大な神が現れた。

「私の居る学園内で騒動を起こすなんて許しませんよ」
桃園が呟くや、彼女の神が雄叫びを上げた。

次の瞬間、その場には蛍と死神の2人だけが残されていた。
蛍を引き裂こうとしていた生徒たちは綺麗さっぱり消えて居た。
もちろん、蛍に刺さっていたクピドの矢も抜かれている。

「まさか、現実改変を行うとはね……あんなのが居るんじゃ、どうしようもない」
溜息を吐く死神、桃園の神は世界のバランスを支えるほどの神だそうで彼でも対抗出来ないほどだそうだ。

諦めたような表情を浮かべた死神は背中を向ける。
そんな彼に同情した蛍はスマホの使い方を教えるのであった。
これに上機嫌で学園を去る死神であった。

次に目を覚ました蛍は教室に居た。
「あれ……!?」
それはいつもの風景、隣には圭一も立っている。
さっきまで何かあったような……違和感を覚える蛍だが、それを説明する術は無い。
そう、蛍自身でさえも桃園により改変されていたのであった―――次話に続く。

圭一の謎は深まるばかり。
ちなみに、ネタバレあらすじはまとめ易いように展開などをかなり改変してます。
気になる詳細は「週刊少年チャンピオン」本誌で確認せよ!!

<感想>

「名探偵マーニー」から3ヶ月……我らが木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」に還って来た!!
というワケで、その新作「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」です。
1巻、2巻に続き、早くも3巻が発売予定!!

さて、その31話。
サブタイは「謎の桃園2」。

今回は主人公・蛍が巻き込まれこそしたものの解決に寄与しなかった点で珍しいストーリーテリングてなっていました。
それにしても、自身が知らぬ間に自身も含めて上位の存在によって行動や決意を書き変えられているのかもしれない……こう考えるとアイデンティティーの危機とも言えてちょっとしたホラーテイストでもありました。

そして桃園霧子、恐るべし。
彼女が居る限り「聖マルス学園」は安泰と言えるでしょう。
ただ、あまりに大きな力過ぎて蛍の味方とは言えなさそうです。

そう言えば、霧子の介入基準が気になるなぁ……。
「塔を上る男」も学園を騒がしたし悪意が関与していたのだが、あれは規模が小さかった為に基準を満たしていなかったとなるのだろうか。

そして去って行った死神ですがスマホを契約するのでしょうか。
かなりスマホをお気に召しているようなので、三度の登場時にはスマホを器用に使いこなしているのかも。
いや、使い方を尋ねに蛍のもとを訪れる可能性もありそうだ。

次回にも注目です!!

木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。

木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!

さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。

「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。

衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。

既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。

◆「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」関連過去記事
「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)第1話から第30話までネタバレ批評(レビュー)まとめ

◆関連過去記事
「名探偵マーニー」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)まとめ

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これまでの登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪。幽霊となって戻って来た。

獣を連れた男(10人と1匹の獣):圭一の死に関わる人物。獣は殺意のことらしい。
PND(疑われざる者):静香によれば圭一が追っていた謎の人物らしい。獣を連れた男と同一人物なのか?

死神:黒い影の男の正体。「桐島静香の秘密」「謎の桃園」に登場。

【赤木家とその周辺】
蛍の父:赤木興業の社長。
赤木真知恵:蛍の母。バーのような店を経営している様子。
節:蛍の妹。
和也:蛍の弟。

謎の少年:蛍の初恋相手らしい。11話に登場。
真島慎一:蛍の幼馴染。彼女に恋心を抱いている。9話から登場。

【聖マルス学園関係者】
志田りか:聖マルス学園の生徒。2話から登場。
塞田康平:蛍のクラスの担任教師。割とミーハーらしい。
見場創太:3話ラストに登場した怪しい男。学園の生徒であった。
緑川楓:蛍のクラスメート。実は少女探偵であった。
校長:聖マルス学園の校長。
教頭:聖マルス学園の教頭。
千葉:鐘楼登頂に挑み謎の転落死を遂げた男子学生。
沼代:22話ラストで鐘楼登頂に挑んでいた男子学生。
5人の成功者:過去に鐘楼に登頂することに成功した面々。
五島:5人の成功者の1人だが……。
桃園霧子:「聖マルス学園」2年生とされる謎の令嬢。「謎の桃園」より登場。

【警察関係者】
緑川宗達:楓の祖父。推理能力に長けた名刑事として有名らしい。
逸見:楓の知人の刑事。
桐島静香:圭一の同期であるキャリア。現在は警察署長に。
大島:南具署の刑事。
光芝:圭一と静香の同期。
久毛山:圭一と静香の同期。
紅梅:圭一と静香の同期。
二階堂:警部。白い服の男。静香に想いを寄せていたらしい。
山本巡査長:在りし日の圭一の上司。今は田舎の派出所に勤務している。
蓮宮:県警の担当者。

【その他】
志田高志:りかの兄。りかにストーカーしているとのことだが……。
実山:赤木興業を担当している会計士。
貝塚俊雄:実山会計士事務所の職員。比較的若手。
役丸みつえ:実山会計士事務所の職員。紅一点。
三島:実山会計士事務所の職員。太目。
丸木田:実山会計士事務所の職員。ダンディ。
麻依:貝塚の元婚約者。
緑川宗達:楓の祖父。推理能力に長けた名刑事として有名らしい。
末為良則:12話で遺体で発見される。場津間高校の教師であった。
逸見:楓の知人の刑事。
葉森了:場津間高校の学生。末為の教え子。
葉森美和:蛍が廃病院で出会った女性。了の母で入院していた毛羽病院で落命していた。
間岩:米城警察病院の看護師。
怪物:人中に居ようとも誰も興味を向けない怪物。
大人しい人間:怪物に付き添う不可思議な人影。
栗山将秋:怪物たちが暮らしている部屋の契約者。
三ツ矢:誘拐事件の被害者とされる子供の母親。

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