ネタバレあります、注意!!
第32話登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪。幽霊となって戻って来た。
蛍の父:赤木興業の社長。
節:蛍の妹。
和也:蛍の弟。
満島:節の担任教師。
これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。
<ネタバレあらすじ>
〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
高校生になった赤木蛍は行方不明となっていた兄・圭一と思わぬ形で再会を果たすことに。
なんと、圭一が幽霊として蛍のもとに戻って来たのだ。
しかも、圭一は悪意が関わる事件を察知し悪意を消滅させる能力を手に入れていた。
だが、圭一は現世に介入することが出来ない。
これでは折角の力も無意味である。
其処で圭一から協力を求められた蛍は、兄妹で力を合わせ1人でも多くの人を助けるべく動き出すことに。
・前回までのあらすじはこちら。
「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第31話「謎の桃園2」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
赤木節は蛍の可愛い妹である。
素直な性格で姉の手伝いもこなすことから蛍の信頼も厚い。
「わはははは!!」
そんな節と、彼女の父親である赤木が居間でテレビを眺めて寛いでいた。
テレビに映るのは人気のお笑い番組だ。
赤木は節を膝に抱えつつ事あるごとに笑っている。
そして節もまた父親と共に笑顔を浮かべていた。
ほのぼのとした日常―――傍から眺める蛍としても和む時間である。
一方、そんな2人を見ていた圭一は自身も家族団欒の輪に入ろうと横からテレビを覗いてみた。
ところが、一向に笑えない。
どこがツボか分からなかったのだ。
こんなことも出来なくなってしまったのか……圭一は肩を落とすことに。
意気消沈する圭一を励ますのは蛍の仕事である。
蛍は溜息を吐きつつ、圭一を元気づけるのであった。
これもまた蛍にとって日常であった。
何時までも変わらない日々……の筈だったのだが、翌晩から異変に見舞われることに。
なんと、節が周囲に反抗し始めたのだ。
率先していた蛍の手伝いを拒否し、父との団欒からも理由をつけては逃げ出し始めた。
蛍が苦言を呈しても反発するのみである。
あんなに素直だった子が……母親のように愕然とする蛍。
もしかすると誰かから良からぬ影響を受けているのではないかと心配した蛍は圭一に節の見張りを依頼する。
その日、登校から下校まで全てを見守っていた圭一。
だが、特に奇妙な点は見受けられなかった。
あるとすれば、担任の満島による節へのスキンシップが些か親密過ぎたことだろうか。
この報告を受けた蛍は仰天した。
圭一が強いて挙げたそれこそがまさに問題点だと重視したのだ。
蛍はソレをストレスに感じ、人知れず助けを求めているに違いない。
翌日、蛍は満島を「とっちめてやる」とばかりに監視を開始した。
ところが……。
満島は善良な教師であった。
良からぬことを考えているのではないかと邪推した蛍であったが、満島の背後には同じく教師であった彼の亡き母が見守っており到底悪意の存在は感じられなかったのである。
むしろ、理想的とさえ言えたのである。
では、節が豹変してしまった理由とは何なのだろうか?
蛍が悩む中、節は次々と問題行動を引き起こした。
工場のおやつを食べるは掃除をさぼるなど日頃の彼女からは考えられないことである。
思い詰めた蛍は遂に節に詰め寄ることに。
蛍の態度に節も遂に事情を打ち明けた。
それは驚愕の理由であった!!
なんと、赤木が視聴しているお笑い番組が面白くなくて苦痛だと言うのだ。
とはいえ、それを本人にも言えない。
仕方なく愛想笑いを続けていたのだが、遂に耐えられなくなり逃げる為に問題行動を続けていたのであった。
そう、「笑いのツボが分からない」とした圭一の感覚は正しかったのだ。
これを聞いた蛍は姉として捨て置けず一肌脱ぐことに。
その夜、またも節を呼んで例の番組を視聴しようとしていた赤木。
その背中に蛍が「その番組を視てるとクラスで苛められるって評判だよ。しかも、いろいろ良くない噂を聞いてさぁ」と語りかける。
以来、赤木はこの番組の視聴を止めたのであった―――次話に続く。
ネタバレあらすじはまとめ易いように展開などをかなり改変してます。
気になる詳細は「週刊少年チャンピオン」本誌で確認せよ!!
<感想>
「名探偵マーニー」から3ヶ月……我らが木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」に還って来た!!
というワケで、その新作「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」です。
1巻、2巻に続き、早くも3巻が発売予定!!
さて、その32話。
サブタイは「節の反抗期」。
今回は赤木家の内幕が覗ける回でしたね。
てっきり反抗期かと思われた節、ところがその態度には意外な理由が。
むしろ、反抗期では無かったからこそ起こった事件でした。
物語的には「幽霊である圭一の感覚こそが生者と異なっている」と思わせておいて「実は生者である赤木の感覚こそが家族と異なっていた」点が面白かった。
さらに、この過程で「節の行動が何らかのストレスから生じたもの」と蛍が看破しておきながら、あまりに身近に原因があった為に気付かない点も面白かったですね。
同時に「ストレスそのものによる無軌道な反抗」ではなく「ある目的を果たす為の反抗」であった点も理性的な蛍の妹らしい。
ちなみに、節のクラスメートはこの番組を喜んでいたようなので節自身はかなり大人びているのかもしれないなぁ。きっと、蛍の薫陶を受けて育っているから精神的に蛍寄りなのでしょう。
次回にも注目です!!
木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。
・木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!
さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。
「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。
衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。
既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。
◆「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」関連過去記事
・「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)第1話から第30話までネタバレ批評(レビュー)まとめ
・「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第31話「謎の桃園2」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
◆関連過去記事
・「名探偵マーニー」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)まとめ
・「フランケン・ふらん 最終話(最終回) Dream」ネタバレ批評(レビュー)
・「フランケン・ふらん 59話 BestFriend」ネタバレ批評(レビュー)
・「Phase20」(木々津克久作、「チャンピオンRED 2012年1月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)
・「鋏女(チャンピオンRED 5月号掲載)」ネタバレ批評(レビュー)
・「ヴァンパイア・アナライズ (チャンピオンRED 7月号掲載)」(木々津克久著、秋田書店刊)ネタバレ批評(レビュー)
これまでの登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪。幽霊となって戻って来た。
獣を連れた男(10人と1匹の獣):圭一の死に関わる人物。獣は殺意のことらしい。
PND(疑われざる者):静香によれば圭一が追っていた謎の人物らしい。獣を連れた男と同一人物なのか?
死神:黒い影の男の正体。「桐島静香の秘密」「謎の桃園」に登場。
【赤木家とその周辺】
蛍の父:赤木興業の社長。
赤木真知恵:蛍の母。バーのような店を経営している様子。
節:蛍の妹。
和也:蛍の弟。
謎の少年:蛍の初恋相手らしい。11話に登場。
真島慎一:蛍の幼馴染。彼女に恋心を抱いている。9話から登場。
【聖マルス学園関係者】
志田りか:聖マルス学園の生徒。2話から登場。
塞田康平:蛍のクラスの担任教師。割とミーハーらしい。
見場創太:3話ラストに登場した怪しい男。学園の生徒であった。
緑川楓:蛍のクラスメート。実は少女探偵であった。
校長:聖マルス学園の校長。
教頭:聖マルス学園の教頭。
千葉:鐘楼登頂に挑み謎の転落死を遂げた男子学生。
沼代:22話ラストで鐘楼登頂に挑んでいた男子学生。
5人の成功者:過去に鐘楼に登頂することに成功した面々。
五島:5人の成功者の1人だが……。
桃園霧子:「聖マルス学園」2年生とされる謎の令嬢。「謎の桃園」より登場。
【警察関係者】
緑川宗達:楓の祖父。推理能力に長けた名刑事として有名らしい。
逸見:楓の知人の刑事。
桐島静香:圭一の同期であるキャリア。現在は警察署長に。
大島:南具署の刑事。
光芝:圭一と静香の同期。
久毛山:圭一と静香の同期。
紅梅:圭一と静香の同期。
二階堂:警部。白い服の男。静香に想いを寄せていたらしい。
山本巡査長:在りし日の圭一の上司。今は田舎の派出所に勤務している。
蓮宮:県警の担当者。
【その他】
志田高志:りかの兄。りかにストーカーしているとのことだが……。
実山:赤木興業を担当している会計士。
貝塚俊雄:実山会計士事務所の職員。比較的若手。
役丸みつえ:実山会計士事務所の職員。紅一点。
三島:実山会計士事務所の職員。太目。
丸木田:実山会計士事務所の職員。ダンディ。
麻依:貝塚の元婚約者。
緑川宗達:楓の祖父。推理能力に長けた名刑事として有名らしい。
末為良則:12話で遺体で発見される。場津間高校の教師であった。
逸見:楓の知人の刑事。
葉森了:場津間高校の学生。末為の教え子。
葉森美和:蛍が廃病院で出会った女性。了の母で入院していた毛羽病院で落命していた。
間岩:米城警察病院の看護師。
怪物:人中に居ようとも誰も興味を向けない怪物。
大人しい人間:怪物に付き添う不可思議な人影。
栗山将秋:怪物たちが暮らしている部屋の契約者。
三ツ矢:誘拐事件の被害者とされる子供の母親。
満島:節の担任教師。
【関連する記事】
- 『スーサイド・パラベラム』第9話(道満晴明作、講談社刊『メフィスト 2016vo..
- 「実は私は」第1話から第160話まで(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオ..
- 「ダジャレ禁止令」(志水アキ画、講談社刊「週刊少年マガジン」掲載)ネタバレ批評(..
- 「実は私は」第160話「藍澤渚と藍澤渚E」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャ..
- 「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」最終話(第35話)「事件の先に」..
- 「実は私は」第159話「藍澤渚と藍澤渚D」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャ..
- 「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第107話「いつかの文学全集」(加藤元浩作..
- 「黒霊ホテル殺人事件」(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連..
- 「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チ..
- 「実は私は」第158話「藍澤渚と藍澤渚C」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャ..
- 「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第34話「真犯人」(作画・星野泰..
- 「実は私は」第157話「藍澤渚と藍澤渚B」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャ..
- 「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第106話「動く岩」(加藤元浩作、講談社刊..
- 「実は私は」第156話「藍澤渚と藍澤渚A」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャ..
- 「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第33話「真相」(作画・星野泰視..
- 「実は私は」第155話「藍澤渚と藍澤渚@」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャ..
- 「実は私は」第154話「勘違いしよう!!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャ..
- 【エピソード最終話】「黒霊ホテル殺人事件」最終話、第6話(「金田一少年の事件簿R..
- 「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第32話「二重人格」(作画・星野..
- 「ビーストコンプレックス」最終話(第4話)「カンガルーとクロヒョウ」(板垣巴留作..