2015年08月12日

『アルゴリズム・キル』3話(結城充考著、光文社刊『小説宝石 2015年8月号』掲載)

『アルゴリズム・キル』3話(結城充考著、光文社刊『小説宝石 2015年8月号』掲載)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

私は今、県警本部の捜査に必要とされていない――大人気警察小説シリーズ、再始動!
(光文社公式HPより)


<感想>

遂にクロハシリーズ最新作が『小説宝石 2015年6月号』より連載開始されました。
そのタイトルは『アルゴリズム・キル』。
『プラ・バロック』『エコイック・メモリ』に続く長編です。

『アルゴリズム・キル』、直訳すると「殺しの手法(解法)」か。
なかなかに意味深長。

そして、『プラ・バロック』では姉と、『エコイック・メモリ』では姉の忘れ形見・アイと、それぞれ形は違えど大切な存在と離れることとなったクロハ。
そんな彼女はそのショックの後遺症から所轄署の警務係に異動。
此の状態で埋もれることも考えていたクロハ。
だが、周囲はともかく事件が彼女を捨て置かなかった。
またも、事件と関わることに。

今回はそんな『アルゴリズム・キル』の第3話。

シイナとカガが登場、さらにレゴの名前も上がることに。
シリーズ既読者には嬉しい展開となっています。

さらに「Ingress」を思わせるバーチャル陣取りゲームが作中に登場。
その名も「侵×抗(しんこう)」。

そう言えばこれまでにも「MMORPG」などを模したプログラムが作中に登場していましたが、今後もネットワークを熱狂させるような実在するシステムあるいはプログラムを模した物が劇中でも登場するのかもしれませんね。

一方、物語は大きく2つの軸で進行中。

1.イマイが探している「戸籍の無い少年」。
2.クロハが遭遇したイベント会場での女性殺害事件。

少なくとも2については「Kiru」を名乗る人物が関与しているようですが、彼の興味が「事件に未成年者が関与しているものに限られる」らしいので1にも関わって来そうな予感。
そもそも「Kiru」が興味を持つ対象がソレに限られているとすれば、2の事件にも未成年者が関与していることは想像に難くないでしょう。

「Kiru」自身が未成年者で犯人なのか、あるいはあくまで傍観者に過ぎないのか?
それとも『プラ・バロック』での「鼓動」のように黒幕となっているのか?
いろいろ気になる状況です。

何より「Kiru」の正体は何者なのか?
現在のところ、登場済みの人物ではイマイが怪しくはあるが……果たして。
さらに「Kiru」を罠にかけようとするシイナの身の安全も危ぶまれますが……これまた果たして。

そして、クロハが思い起こすのはアイのこと。
アイは実父のもとですくすくと育っているようです。
これも本編の関わって来るのか?
だとすれば、クロハとアイが再び共に生活する日もやって来るのか?
次話も注目です!!

ちなみに、ネタバレあらすじはかなり改変を加えているので注意!!
あらすじを読んで興味を持たれたら本作にチャレンジすべし!!

<ネタバレあらすじ>

◆前回までのあらすじ

『プラ・バロック』『エコイック・メモリ』と2つの事件により所轄署の警務課へ異動となったクロハ。
続けて大切な者を失ったことで半ば自暴自棄の状態であった。

矢先、イベントの警護に駆り出されたクロハは女性の遺体を発見する。
その遺体は激しい暴行を加えられ、全ての歯を折られた無惨なものであった。
とはいえ、クロハが捜査に携わることは無い―――少なくとも此の時点ではその筈であった。

そんなある日、警務課に出動要請がもたらされた。
児童相談所から児童虐待の現場に同行する人手を出すように依頼されたのだ。
これに応じたクロハは区役所職員のイマイと出会う。

保護対象は「戸籍上存在が確認されていながらも実社会で存在が確認出来ない児童」であった。
イマイと連携し無事に虐待児童と見られる少年を保護したクロハ。

その数日後、イマイから今度は「戸籍上存在が確認出来ないが実社会で存在が確認出来ている児童」の保護を求められる。
クロハは微力ながら児童の保護を約束することに。

・前回はこちら。
『アルゴリズム・キル』2話(結城充考著、光文社刊『小説宝石 2015年7月号』掲載)ネタバレ書評(レビュー)

◆3話あらすじ

区役所職員であるイマイから「戸籍上存在が確認出来ないが実社会で存在が確認出来ている児童」の保護について協力を求められ、これを約束したクロハ。
個人的に対象児童の捜査を開始するのだが……。

矢先、サイバー犯罪対策課に所属するシイナに呼び出される。
シイナはクロハに「バーチャル陣取りゲーム」こと「侵×抗」について語る。

「侵×抗」はリアル世界にてプレイヤーが柱を登録し、その柱を各陣営に所属するプレイヤー同士が奪い合うことでバーチャルの領土拡大を目指すゲームである。

シイナはこのゲームのプレイヤーの1人に注目していた。
その名は「Kiru」、彼は「過去に殺人事件が発生した現場」かつ「未成年者が加害者あるいは被害者となっているもの」に限り、その場所を柱として登録しているそうだ。
しかも、先頃発生したイベントでの女性殺害事件の現場をも柱に申請していたらしい。

特に問題なのはその時間である。
事件発生から数十分程度のもので事件が発覚する前に申請されていたのだ。
すなわち、「Kiru」には事件の関係者である疑いがかけられていた。

とはいえ、シイナの立場では未だ明確に動くことは出来ない。
其処で知り合いにこの情報を教え、それとなく気に留めて貰っているのだそうだ。

これを聞いたクロハは運営に働きかけて「Kiru」が既に登録済みとした柱を一旦削除し「Kiru」が再び柱として申請するよう狙ってはどうかと提案する。
「侵×抗」では柱の登録は現地に赴く必要がある、上手くいけば待ち伏せも可能なのだ。
シイナはクロハの助言に試してみると感謝するのであった。

一方、クロハの心にあるのはイマイから頼まれた例の児童のことだ。
調べていたところ、イマイから聞いた特徴と合致する少年が交通事故死していたことが明らかになる。
まさか、それこそ対象の児童なのか?

助けたいと思っていただけに不安に駆られたクロハは少年の生存を信じて、似顔絵を作成し捜査を継続することに―――4話に続く。

◆関連過去記事
『アルゴリズム・キル』1話(結城充考著、光文社刊『小説宝石 2015年6月号』掲載)ネタバレ書評(レビュー)

『アルゴリズム・キル』2話(結城充考著、光文社刊『小説宝石 2015年7月号』掲載)ネタバレ書評(レビュー)

『プラ・バロック』(結城充考著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『エコイック・メモリ』(結城充考著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

ドラマスペシャル「クロハ 機捜の女性捜査官 連続殺人と集団自殺…2つの捜査本部8日間の激闘!!悪意に立ち向かう家族の絆!!真相にたどり着いた女刑事が交わす涙の約束とは!?冒頭20分…この中に犯人がいる」(2月22日放送)ネタバレ批評(レビュー)

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