2015年07月31日

「英国一家、日本を食べる」14話「京の魔法・豆腐」(7月30日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「英国一家、日本を食べる」14話「京の魔法・豆腐」(7月30日放送)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<14話あらすじ>

“古都”に期待を膨らませてやってきたマイケルたちだったが、降り立った京都の駅の近代的な様子を見て驚くことに。そして、171段もある駅ビルの大階段を見つけ、目を輝かせたアスガーは一人上まで駆けあがるが、家族を見失い急に不安にかられ泣き面になる。そこへ現れたのは優しいほほえみを浮かべた美しい日本女性だった。
(公式HPより)


では、続きから……(一部、重複あり)

古都・京都へとやって来たマイケル、リスン、アスガー、エミル。
鄙びた場所を想像していた彼らであったが、予想に反し京都は都会であった。

戸惑うマイケルに対し、はしゃぐアスガーは京都駅の大階段に大喜び。
勢いに釣られて171段駆け上がりに挑戦してしまう。

1段、1段をしゃかりきに上るアスガー。
遂に上り切った〜〜〜と達成感に包まれながら振り返ってみると……家族が消えて居た。

右を見ても、左を見ても、家族の姿は無い。
そして、周囲は行きかう人々。
そう、アスガーは異郷で迷子になってしまったのだ。

こうして、不安に駆られたアスガーは大パニックに。
眩暈と共に泣き出しそうになってしまう。

と、涙を目に浮かべたアスガーに声をかける人物が。
それは何処か落ち着かせてくれそうな優しい微笑みを浮かべた日本人の美女であった。
アスガーは彼女に一目で恋してしまう。

一方、消えたアスガーを探していたマイケルたちがようやく合流。
女性は安心するとその場を去った。
アスガーは相手の名前を聞くことも出来ず別れることに。

駅を出たマイケルたちは観光名所を巡る。
其処は彼らが古都に抱いたイメージ通りの場所であった。

「ああ、憧れのお姉さん……」
この間、アスガーは熱に浮かされたように夢現である。

伏見稲荷神社に足を運んだマイケルたちは「重軽石」に目を留める。
マイケルは「重軽石に挑戦し、軽く石が持ち上がれば願いが叶うらしい」と謂れを語る。
これをアスガーが聞き止めた。

アスガーは「あの人に逢いたい」とばかりに重軽石に挑戦。
彼の手には負いかねるソレを恋心からか必死に持ち上げることに成功する。
顔を真っ赤にさせつつ「軽い、軽い」と叫ぶアスガー。

その夜、豆腐料理店を訪れたマイケルたち。
豆腐は「大豆を加工した食品」で低カロリーで高タンパクな為、健康食品として親しまれている。

とはいえ、今のアスガーはソレを求めていない。
「ピザが食べた〜〜〜い」と駄々をこね続けるのだが……仲居が登場するなり一変する。
なんと、豆腐店の仲居は先程の美女だったのだ。
現金にも「豆腐最高!!」と歓喜の声を上げるアスガー。

一方、家族も運ばれた豆腐料理に舌鼓を打つ。
リスンは「クリームキャラメルみたい」と評する。
マイケルは豆腐の田楽を口にしつつ、味を噛み締めている。
豆腐の田楽はエミルも大満足だ。

「ネギや鰹節をかけただけでこんなに味が変わるなんて」と驚くマイケルは美味しい豆腐の秘訣を問う。
これに仲居は「美味しい豆腐の秘訣は新鮮であること」と応じた。
それが風味を損ねないからだそうだ。

では、新鮮な豆腐は何処から届いているのか?
マイケルの取材魂に火が点いた。
早速、突撃取材を敢行するや、新鮮さの理由に納得する。

それもその筈、店の奥に豆腐の製造工場があったのだ。
言わば産地直送である。
しかも、其処にはイケメンの職人が働いていた。

マイケルたちは仲居から絹ごし豆腐の製法を教えて貰う。

まずは豆乳を漉して、絞ったものをおからと呼ぶ。
そして、豆乳を型入れに流し込み固めた物が豆腐なのだそうだ。

さらに、職人によれば豆腐作りのポイントは「水」らしい。
しかも、大豆は無農薬、にがりも天然ものに厳選しているのだそうだ。

一方、説明を聞く内にアスガーは気付いてしまった。
仲居の視線が常にイケメン職人に注がれていることに。
アスガーは大きなショックを受けてしまう。

店を出たマイケルたちお土産の豆腐饅頭を頬張る。
豆腐饅頭は餡の代わりにおからを入れており、それに醤油や砂糖で味付けしたものを指す。
食物繊維やカルシウムをたっぷり含んでいるのでヘルシーなのだそうだ。
熱く語るマイケルだが、その傍らでアスガーはすっかり意気消沈していた。

「重軽石ね、本当は重かったんだ……」
ポツリと洩らすアスガーは豆腐饅頭を食べる気力もない。

そんなアスガーにエミルは豆腐饅頭をそっと差し出す。
最初は断るアスガーだが、じっと見つめるエミルの眼差しにソレを受け取ることに。

これにニコリと微笑んだエミル、さらに面白い顔をしてアスガーを励ました。

「どうやったら、そんなに面白い顔が出来るんだよ!!」
エミルの顔を見るや、アスガーは大爆笑。
ほろ苦い感情の中にも少しの元気を取り戻した。

2人の遣り取りを見ていたマイケルたちも微笑むのであった―――エンド。

<感想>

原作はマイケル・ブース著『英国一家、日本を食べる』と『英国一家、ますます日本を食べる』(共に亜紀書房刊)。
NHKさんにて毎週木曜日0時40分から1時まで放送中、全24話予定。

前半はマイケル一家を中心としたカートゥーンパート、後半はトシ視点のドキュメンタリーパートからなる。

この14話のテーマは「豆腐」について。
その魅力について様々に語られました。
同時に「アスガーのほろ苦い恋」についても描かれました。
アスガーよ挫けるなかれ、そしてエミルは良い子だねぇ。

おっと、本題に戻って。
具体的には、カートゥーンパートでは「京都の豆腐」を中心に、実写パートでは「下町の豆腐」が取り上げられました。
言わば「料亭で供される嗜好品としての高級な豆腐」と「食卓に上る庶民派の豆腐」とが語られたワケです。

実写パートでは「下町の豆腐屋さんヤマちゃん」が登場。
なんでも「朝は店舗販売、午後は移動販売」を行っており「毎日15キロの道のりを重いカートを引いて歩く」のだそうです。
しかも「1日40軒を巡る」らしい。
大変です。
でも、その手間暇を惜しまないから美味しい豆腐が人の口に届く。

そして、具体的な調理例としてお客さん宅で食卓に上った「揚げ出し豆腐」と「白和え」が紹介。
揚げ出し豆腐は片栗粉をまぶし焼くなど、豆腐はひと手間加えることで美味しくなることが描写されました。
これまた、手間暇を惜しまないから家族の笑顔に繋がる。

このようにカートゥーンパートで「料亭で供される嗜好品としての高級な豆腐」、実写パートで「食卓に上る庶民派の豆腐」が描かれたワケですが、その神髄は共に同じ。
いずれも「素材を追及し手間暇を惜しまないことにこそ美味しい豆腐の秘訣があること」が示されていました。
素材がダイレクトに活きる豆腐だからこそ、注がれた手間が反映されるのでしょう。

ちなみに本作「英国一家、日本を食べる」の旨味も此の点にあるような気がします。
素材を厳選し手間暇を惜しまないことで物語に面白さと深さが出る。
今回の場合は「アスガーという素材」を活かし「彼の恋」との調理を施すことで「かくもほんわかしつつほろ苦い物語」が生まれました……面白いワケです。
次回も楽しみな作品です。

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