2015年08月07日

「英国一家、日本を食べる」15話「KAISEKI」(8月6日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「英国一家、日本を食べる」15話「KAISEKI」(8月6日放送)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<15話あらすじ>

京都の紅葉を楽しもうと、とある場所へやってきたマイケルたち。しかし時期が早すぎて、木々は部分的に色づき始めたばかり。がっかりするマイケルたちをよそに、エミルが無邪気に木をひっぱり悪ふざけを始めてしまう。すかさず弟を優しく諭すアスガーに感心したマイケルは、二人だけで懐石料理を食べに行こうと息子を誘う。父と二人の食事に期待を膨らませるアスガーだったが…。
(公式HPより)


では、続きから……(一部、重複あり)

14話から古都・京都に滞在中のマイケル、リスン、アスガー、エミル。
今日も京都の街を散策中である。

鄙びた土地を歩くマイケルは京都の景観について触れる。
京都では景観維持のために建物の高さやデザインにも制限があるのだ。

ふと、紅葉を目にしたマイケルは「もののあはれ」について語り出した。
その心は「自然と接し美しさと共に儚さを感じ取ること」にこそあるのだ。

と、そんなマイケルの説明もそこそこに、エミルが紅葉の木を揺らし始めた。
散って行く紅葉に、マイケルたちは気が気でない。
なんとか、エミルを木から下ろすことに成功するのだが……。
その一方で、リスンが飛び付かれた蛙に悲鳴を上げることに。

リスンを宥めていたマイケル、その傍らでは兄としてアスガーがエミルの悪戯を窘めていた。
これを見たマイケルはアスガーを認め、ご褒美に「懐石料理」に誘う。
もちろん、エミルはお留守番、リスンもそのお目付け役として残された。

夜の京都を歩く父と子。
幻想的な雰囲気にアスガーは興奮気味だ。

目的の「懐石料理」とは茶席で振る舞った料理のことで「茶懐石」とも言う。
一見さんお断りの店も多いが、マイケルたちが向かったのは新規客も大丈夫な店だ。

カウンターに座ったマイケルたちの目の前で懐石料理がスタートする。
まずは「先付」、「懐石料理」をコースに喩えれば最初の料理のことである。

口にして「随分、控えめな味」と評するマイケル。
だが、噛み締める内に素材を活かした調理法を採用していると気付く。
とはいえ、アスガーには些か早かったようで顰め面だ。

次は「八寸」、「季節の料理を数品乗せた物」でコースで喩えれば「前菜の盛り合わせ」に当たる。
今回の「八寸」は板前によれば「秋の蛙」というタイトルらしい。

「か、かえるぅぅぅぅぅ〜〜〜」
蛙と聞いたアスガーは拒否反応を示す。
もちろん、マイケルも同様だ。

そんな2人に板前は「味わうのは蛙の心です」と告げる。
どうやら、実際には蛙を調理したものではないらしい。
「秋の蛙」は一皿に寄せたテーマのことだそうだ。

器を覗き込めば、並ぶのは「きす、しめじ、銀杏」などの数々。
板前は「食材に味を付けることではなく、食材そのものを味わう」とマイケルに説明。
このスタンスに、マイケルは鬼塚の顔を思い出す。

さらに「日本料理は引き算の料理」と教えられたマイケルは「単なるコース料理では無い」と感じ取る。

加えて、板前によれば「懐石料理」とは「流れ行く季節をしっかり捉えること。季節の食材を用い、季節を表現する料理」らしい。
この「秋の蛙」は「秋に一匹だけ残った孤独な蛙をイメージ」した料理だったのだ。

「懐石料理」とは「季節」を味わうものと学んだマイケルは「なるほど」と頷く。

その帰路、貴重な体験をしたと振り返るマイケルだが隣のアスガーの顔色は冴えない。
どうやら、アスガーには早過ぎたようだと嘆息することに。

マイケルたちが宿に戻った。
出迎えたリスンはこれ以上ないほどゲッソリしている。
なんでも、置いて行かれたエミルが不貞腐れているらしい。

拗ねてしまったエミルにそっと近付くアスガー。
その耳元で「秋の蛙を食べたんだ」と教える。
「秋の蛙を食べた」と聞かされたエミル、飛び起きるなり「それなら許す」と呟くのであった。
さしものエミルも「秋の蛙」には降参だったのだ。

元気になったエミルを見て一息吐くリスン。
そんなリスンにアスガーが近付く、その手は不必要なほど固く握り締められていた。
何やらニヤつくアスガーが「はい、お土産」と手を開いた。
すると……。

「ゲェコォ!!」
鳴き声を上げるなり、リスンに飛びつく緑色の物体―――蛙である。
アスガーは「お土産」と称して道端で捕まえた蛙を持ち込んでいたのだ。

「き、きぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
上がったのはリスンの悲鳴。

「ははははははははははは」
その様子を見て笑い続けるアスガー、そんな2人を我関せずと眺めるエミル。

マイケル一家に「もののあはれ」は似合わないようである―――エンド。

ちなみに、次回は2015年8月27日(木)放送予定とのこと。注意されたし!!

<感想>

原作はマイケル・ブース著『英国一家、日本を食べる』と『英国一家、ますます日本を食べる』(共に亜紀書房刊)。
NHKさんにて毎週木曜日0時40分から1時まで放送中、全24話予定。

前半はマイケル一家を中心としたカートゥーンパート、後半はトシ視点のドキュメンタリーパートからなる。

この15話のテーマは「懐石料理」について。
その魅力について様々に語られました。
それにしても、これまでのエミルを見る限り「秋の蛙を食べた」と聞かされたら余計に興味を持つかと思ったのですが此の点が意外でしたね。

おっと、本題に戻って。
具体的には、カートゥーンパートでは「懐石料理」を中心に、実写パートでは「茶事」が取り上げられました。
特に実写パートでは「茶懐石」の流れが紹介されることに。

まずは「掛け軸(今回は柿が描かれていた)」を目で楽しむことから始まり「ご飯と味噌汁(赤味噌と白味噌)」を舌で味わうことに続きます。
このご飯は「濃茶を楽しむ為に腹を満たす為」の物で、味噌汁は「夏は赤味噌、冬は白味噌と決まっており、春と秋は合わせ味噌」なのだそう。

続いて「酒」と共に「向付」が振る舞われます。
この「向付」は「椀物の向こうにあるから向付」なのだとか。

もちろん、客をもてなすのは料理だけではなく器も大切。
九谷焼などが紹介され、器の絵が料理を食べ終わった後に客を楽しませることも語られました。

そして「煮物椀」、これが茶懐石で一番大切なのだそうです。
他に「アマダイの若狭焼」が並び「一汁三菜の語源も茶懐石にある」ことも紹介されていました。

これらを楽しんだ上で、最期に濃茶を口にする。
料理を目で味わい、匂いを味わい、舌で味わい、掛け軸や皿の絵などで雰囲気を味わうと言ったところでしょうか。

「懐石料理」は「季節を味わう」と作中で説明されていました。
「季節」とは「肌で感じる」すなわち「五感で体験するもの」。
言わば「懐石料理」は「五感を用いて味わう料理」なのでしょう。
だからこそ「もののあはれ」に繋がり「直接的に感性を揺さぶられる」のです。

ちなみに本作「英国一家、日本を食べる」の旨味も此の点にあるような気がします。
映像を目で楽しみ、音声を耳で楽しみ、内容に心を動かされる。
その場に無い筈の嗅覚すら、実写パートから漂う香りを夢想することで補えるでしょう。
まさに五感を用いて味わうアニメなのかもしれません……面白いワケです。
次回も楽しみな作品です。

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