2015年08月09日

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第35話「崖の下の呪い家3」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第35話「崖の下の呪い家3」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

第35話登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪。幽霊となって戻って来た。

緑川楓:蛍のクラスメート。実は少女探偵であった。
桃園霧子:「聖マルス学園」2年生とされる謎の令嬢。「謎の桃園」「崖の下の呪い家」に登場。
十二人委員会:警察内部に存在する犯罪者を私的制裁する組織、メンバーは12人居るらしい。

和也:蛍の弟。
鏡二郎:呪いの家の過去の所有者。

これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。

<ネタバレあらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

高校生になった赤木蛍は行方不明となっていた兄・圭一と思わぬ形で再会を果たすことに。
なんと、圭一が幽霊として蛍のもとに戻って来たのだ。
しかも、圭一は悪意が関わる事件を察知し悪意を消滅させる能力を手に入れていた。
だが、圭一は現世に介入することが出来ない。
これでは折角の力も無意味である。
其処で圭一から協力を求められた蛍は、兄妹で力を合わせ1人でも多くの人を助けるべく動き出すことに。

・前回までのあらすじはこちら。
「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第34話「崖の下の呪い家2」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

圭一の死の謎を突き止めるべく、彼が調べていた展望台(19話「消える人々」参照)を訪れた蛍たち。
圭一は展望台から消える人々について調べていたのだが、蛍は彼らが展望台から突き落とされたと推理し展望台下の廃屋に目を付けた。
早速、廃屋へ向かった圭一だが、廃屋それ自体に捕まってしまうことに。
此の廃屋は突き落とされた被害者たちを吸収し意志を持って霊を取り込むようになっていたのだ。
しかも、生者に対しても例外は無く殺害してまで吸収していたのである。
迂闊に近づけない蛍だが圭一を救うべく、ある人物に注目した―――そう、世界改変すら可能な力を持った桃園霧子である。
桃園の協力を得ようと足掻く蛍だが……。

当の桃園の反応はかなり鈍いものであった。
廃屋の場所まで聞き出しておきながら動くつもりは無いようだ。
しかも、驚くべきことに彼女は自身の絶大なる力に気付いてさえいないようである。
どうやら、桃園は無意識のうちに他者に影響を与え自身に跪かせて居たようだ。

これでは到底、桃園の協力は望めない。
困り果てた蛍は桃園自身の意志はともかく廃屋へ連れて行く方法を模索することに。

その頃、捕らえられた圭一は廃屋と同化しつつあった。
それにより廃屋の記憶を垣間見る圭一。
数人の男たちが見える、どうやら廃屋を訪れた「十二人委員会」のメンバーらしい。
だが、その顔は窺えない。
彼らは犯罪者を展望台から突き落とすことで制裁に代えると語っていた。
やはり、圭一の推理は正しかったのだ。
と、メンバーの1人が唐突に「赤木圭一」と口にした。
驚く圭一だが、その意図は分からない……。

一方、蛍は必死に桃園誘導作戦を実行に移していた。
まずは、挑発作戦。
これは蛍が桃園のプライドを傷付けることで、蛍から目が離せないように仕向け廃屋へ誘き出す作戦だ。
ところが、これはあっさり看破されてしまう。

それどころかさらに事情を問い詰められることに。
「事情によっては力になるから」と歩み寄りを見せる桃園に、蛍は「信じて貰えないだろうが……」と勇気を振り絞って全てを明かした。

圭一が行方不明になったこと。
その圭一が幽霊となって戻って来たこと。
見場の事件、鐘楼の事件などなど。

蛍は心のうちを偽ることなく打ち明けた。ところが……。

「あら?あなたって不思議ちゃんだったのね」
これを聞くや桃園が冷笑を浮かべた。
その手には何処に隠していたのかボイスレコーダーが握られている。

蛍は気付いた……桃園に嵌められたのだ!!
蛍の告白が録音されたソレをプラプラと鼻先で振り回す桃園、弱味を握ったと大喜びである。

それは普段の冷静な桃園とは思えぬほどの燥ぎようであった。
反面、蛍の表情が冷めて行く。
蛍は最後の手段を取ることを決意したのだ。

放課後、自席に戻った桃園はお気に入りのアクセサリーが無くなっていることに気付いた。
まさか―――慌てて蛍の教室を訪れた桃園は彼女の机の中を覗き込む。すると……。

「返して欲しければ廃屋まで来るように」とのメッセージカードが残されていた!!
逆上した桃園は廃屋へと駆け出す。

一方、桃園を呼び出した蛍は廃屋前で彼女の到着を待ち構えていた。
ところが、現れたのは廃屋の解体業者であった。
前々から解体話が出ていたようだが、蛍と楓たちが動いたことで実際に決定したようである。
しかし、これでは圭一が救い出せなくなってしまう。

焦る蛍の目に遠くから怒りの形相で駆け寄って来る桃園の姿が!!
その勢いは凄まじく、直ぐにでも到着しそうだ。

これを見ていた蛍はイチかバチかの大勝負に出る。
詰め寄って来た桃園をギリギリで躱して、廃屋へと押し出したのだ。
バランスを崩した桃園はよろめきながら玄関に触れた。
途端、あっと言う間に廃屋が崩れ落ちた。

桃園VS廃屋は桃園の圧勝であった。
敷地内にすら足を踏み入れていない。

絶句する蛍と解体業者をよそに、桃園は異変を気に留めるでもなくアクセサリーの返却を迫る。
呆然としつつアクセサリーを返却する蛍。

同時に瓦礫の中から圭一が現れた。
どうやら無事だったようだ。
ほっと胸を撫で下ろす蛍の前で、桃園は怒りも露に背中を向けて去って行く。
それを恐る恐る見送る蛍。
もはや、桃園は蛍の顔すら見ようともしなかった。

なんとか、圭一を助け出すことが出来たが今回の代償はあまりにも大きかった。
桃園を敵に回してしまったことに、明日以降の学園生活を思い浮かべ戦々恐々とする蛍であった―――次話に続く。

ネタバレあらすじはまとめ易いように展開などをかなり改変してます。
気になる詳細は「週刊少年チャンピオン」本誌で確認せよ!!

<感想>

「名探偵マーニー」から3ヶ月……我らが木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」に還って来た!!
というワケで、その新作「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」です。
1巻、2巻に続き、早くも3巻が発売予定!!

さて、その35話。
サブタイは「崖の下の呪い家3」。

やはり、桃園を廃屋に連れ出すことが争点となりました。
そして、桃園VS廃屋は桃園の圧勝に。
圭一も無事に助け出されました。

とはいえ、桃園が自身の力を認識していなかったとは想定外でした。
だとすると、桃園の周囲では以前から超常現象が起こっている筈なのですが、彼女は全くソレを意識していなかったことに。
今回も廃屋が瓦解しているにも関わらず、気にも留めていません。
これが桃園の日常なのでしょう。

つまり、桃園自身が任意に力を奮っているワケではない。
となると、その発動には何らかのルールが存在している、あるいは桃園が認識した周囲にのみ無作為に発生するのか。
おそらく後者だと思われます。
だからこそ、「聖マルス学園」内にも関わらず、桃園が関知しなかった見場事件や鐘楼事件が放置されていたんですね。

それにしても、これは恐ろしい。
本人の任意でない以上、場合によっては悪意を持つ者に利用される可能性がありそう。
桃園自身の性格上、かなり困難を伴うとはいえ結果として起こり得るのは奇しくも蛍で実証済み。
こうなると、次回以降は蛍と桃園との関係回復が主眼となりそうか。

そして、やはり「十二人委員会」の仕業でしたね。
メンバーの口から圭一の名前が出て来ていましたが、これはおそらく「十二人委員会」と敵対しており監視されていたからでしょう。

次回にも注目です!!

木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。

木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!

さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。

「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。

衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。

既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。

◆「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」関連過去記事
「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)第1話から第30話までネタバレ批評(レビュー)まとめ

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第31話「謎の桃園2」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第32話「節の反抗期」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第33話「崖の下の呪い家」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第34話「崖の下の呪い家2」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

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「名探偵マーニー」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)まとめ

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これまでの登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪。幽霊となって戻って来た。

獣を連れた男(10人と1匹の獣):圭一の死に関わる人物。獣は殺意のことらしい。
PND(疑われざる者):静香によれば圭一が追っていた謎の人物らしい。獣を連れた男と同一人物なのか?
十二人委員会:警察内部に存在する犯罪者を私的制裁する組織、メンバーは12人居るらしい。

死神:黒い影の男の正体。「桐島静香の秘密」「謎の桃園」に登場。

【赤木家とその周辺】
蛍の父:赤木興業の社長。
赤木真知恵:蛍の母。バーのような店を経営している様子。
節:蛍の妹。
和也:蛍の弟。

謎の少年:蛍の初恋相手らしい。11話に登場。
真島慎一:蛍の幼馴染。彼女に恋心を抱いている。9話から登場。

【聖マルス学園関係者】
志田りか:聖マルス学園の生徒。2話から登場。
塞田康平:蛍のクラスの担任教師。割とミーハーらしい。
見場創太:3話ラストに登場した怪しい男。学園の生徒であった。
緑川楓:蛍のクラスメート。実は少女探偵であった。
校長:聖マルス学園の校長。
教頭:聖マルス学園の教頭。
千葉:鐘楼登頂に挑み謎の転落死を遂げた男子学生。
沼代:22話ラストで鐘楼登頂に挑んでいた男子学生。
5人の成功者:過去に鐘楼に登頂することに成功した面々。
五島:5人の成功者の1人だが……。
桃園霧子:「聖マルス学園」2年生とされる謎の令嬢。「謎の桃園」「崖の下の呪い家」に登場。

【警察関係者】
緑川宗達:楓の祖父。推理能力に長けた名刑事として有名らしい。
逸見:楓の知人の刑事。
桐島静香:圭一の同期であるキャリア。現在は警察署長に。
大島:南具署の刑事。
光芝:圭一と静香の同期。
久毛山:圭一と静香の同期。
紅梅:圭一と静香の同期。
二階堂:警部。白い服の男。静香に想いを寄せていたらしい。
山本巡査長:在りし日の圭一の上司。今は田舎の派出所に勤務している。
蓮宮:県警の担当者。

【その他】
志田高志:りかの兄。りかにストーカーしているとのことだが……。
実山:赤木興業を担当している会計士。
貝塚俊雄:実山会計士事務所の職員。比較的若手。
役丸みつえ:実山会計士事務所の職員。紅一点。
三島:実山会計士事務所の職員。太目。
丸木田:実山会計士事務所の職員。ダンディ。
麻依:貝塚の元婚約者。
緑川宗達:楓の祖父。推理能力に長けた名刑事として有名らしい。
末為良則:12話で遺体で発見される。場津間高校の教師であった。
逸見:楓の知人の刑事。
葉森了:場津間高校の学生。末為の教え子。
葉森美和:蛍が廃病院で出会った女性。了の母で入院していた毛羽病院で落命していた。
間岩:米城警察病院の看護師。
怪物:人中に居ようとも誰も興味を向けない怪物。
大人しい人間:怪物に付き添う不可思議な人影。
栗山将秋:怪物たちが暮らしている部屋の契約者。
三ツ矢:誘拐事件の被害者とされる子供の母親。
満島:節の担任教師。
鏡二郎:呪いの家の過去の所有者。

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