<ネタバレあらすじ>
此処は11階層にある作戦会議室―――其処に複数のチハヤ(千流)の姿があった。
司令官服を着込んだチハヤは周囲のチハヤに「オウカ捕獲作戦」について説明を始める。
司令官チハヤによれば13階層の孤島に既に仲間が待機しており、11階層側とでオウカを挟み撃ちにしようと目論んでいるらしい。
複数のチハヤたちが協力することでオウカ捕獲まで実現直前かと思われたが……。
ふと、1人のチハヤが「殺人鬼」について口にする。
その「殺人鬼」は無差別にチハヤを狩っているらしい。
これ以上の被害を怖れたチハヤが対処を求めた。
軽く頷いた司令官チハヤは「対策について検討しよう」と口にするが。
直後、作戦会議室内の明かりが消えた。
それは一瞬の出来事であった。
だが、同時に致命的なことだったのだ。
次に明かりが戻ったそのとき、室内には生きた者は1人しか居なかった。
刀を手にした隻眼覆面の人物である。そして、その刀は血に濡れていた。
あろうことか、あの刹那で司令官チハヤたちは悉く首を断たれていたのである。
隻眼覆面―――いや「殺人鬼」は多数のチハヤの遺体を振り返ることもなく退室した。
同じ頃、これまでの主人公であるチハヤは牢に繋がれていた。
隣では枯葉がやる気の無さそうに歌を歌っている。
どういう経緯で牢に入ったのかは定かではない。
だが、チハヤの目的はただ1つ―――オウカを捕まえること。
此処でこうしているワケにはいかない、チハヤは牢を抜け出すべく壁に穴を掘り始めた。
しかし、これが一向に進まない。
矢先、当のオウカがチハヤを訪ねて来た。
窓越しに対峙する2人、身を乗り出すチハヤだが窓が壁となって2人を隔てていた。
オウカはチハヤに「友達とゆっくり過ごすように」言い置くと去ってしまった。
焦るチハヤは牢の壁に昼夜を問わず挑む。
だが、やはり進まない。
そんな中、隣の房から声が聞こえて来た。
姿は見えないが、声の主はチハヤにポスターの裏を掘るように奨める。
それは隣の房へと続くらしい。
最初は疑っていたチハヤだが、声の主に興味を持って穴を掘ってみた。
すると……声の主の言葉の通り、それは隣の房に続いていた。
そして其処には足を失い動けなくなったチハヤが横たわっていたのである。
彼女によれば「殺人鬼」にやられたらしい。
もはや、身動きとれぬ自身に代わってオウカを捕まえて欲しいと訴える彼女は自身の「猫柳」を託す。
また、身動き出来ないチハヤに拘束は必要ないと判断されたらしくこちらの牢の鍵は開いていた。
こうして、他のチハヤの想いも背負ったチハヤはオウカを追うべく牢を出た。
残された枯葉が何度となくチハヤを呼ぶが、チハヤは振り返らない。
一方、チハヤの肩に座るメリックは夜空に浮かぶ大きな弾丸を目撃していた。
それは少しずつ大きくなりつつある―――第7話へと続く。
<感想>
『メフィスト』の新連載第7回。
5話、6話に続き、7話でも新たな情報が!!
どうやら、オウカの精神世界を駆け巡る壮大な追いかけっこは悲喜交々の状況を生んでいる様子。
多数のチハヤが生じると共に、同じチハヤ同士でも利害が一致しない状況が生じているようです。
結果として、チハヤ同士でも対立することに。
6話でも「強硬派チハヤ」や「隻眼覆面」が登場しましたが、7話では「チハヤ連合」が登場。
とはいえ「隻眼覆面」こと「殺人鬼」により打撃を受けることに。
この「殺人鬼」ですが「猫柳」を手にしていることから、これもまたチハヤでしょう。
すなわち、チハヤの中にもオウカを手助けする存在が居ることに。
まさにチハヤ同士でも戦うことになりそうです。
そして、敢えてチハヤを牢に捕え枯葉と共に置こうとしたオウカの意図も気になります。
オカマと共に枯葉には何かがありそう。
もしかして「枯葉=オウカ」なのでしょうか?
探さずとも実は身近に居た的な展開も思い浮かびますが……。
さらにメリックが目にした「空に浮かぶ弾丸」。
それは少しずつ迫っているようです。
チハヤが存在する世界はオウカの脳内世界。
オウカは「魔銃パラベラム」の弾を頭部に撃ち込み、世界を構築しました。
それが大きく見える(近付く)と言うことは……もしかするとタイムリミットが存在しており迫りつつあるのか!?
弾が到達したときこそが、オウカの死になるのかもしれません。
だとすれば、チハヤは素早い対処を求められることとなりそうですが……いずれにしろ「殺人鬼」との対決は避けられないでしょう。
謎が謎を呼ぶ展開です、次回も見逃すなかれ!!
では、此処からは7話までのまとめ。
状況を簡単にまとめるとこんな感じかな。
まず、オウカが死ねないことを知りつつパラベラムを用いて自殺未遂、昏睡状態に。
これを救うべくチハヤがオウカの深層心理世界に飛び込む。
その目の前で深層心理世界のオウカが自殺。
これにより、チハヤがオウカに内包される。
内包された状態のチハヤが深層心理世界のオウカを救うべくさらにダイブ。
これを繰り返すことで、マトリョーシカ状態のオウカとその中で複数のチハヤが存在しているものか。
どうやら、オウカの身体の中が既にパラレルワールドとなっているようだ。
そして、オウカ自身の自殺未遂も何らかの目的があってのことか。
考え得るのは幾重にも続く運命の螺旋にチハヤを取り込むことかなぁ。
それにより、永遠にチハヤと共に居ることが可能になるとか。
そんな中、迫り来る弾丸の描写が。
あれはタイムリミットを示唆したものか!?
ちなみに「スーサイド」が「自殺」や「破滅」を意味する英語、「パラベラム」が「戦いに備える」とのラテン語だそう。
本作タイトルを仮に和訳すれば「破滅(自殺)への戦いに備える」と言った意味合いか。
あるいは意訳すれば「(次なる)戦いに備えた破滅(自殺)」とも解釈出来そう。
そして4話に登場した「サムサラ・エクスプレス」。
「サムサラ」は「輪廻転生」を表す言葉。
つまり「サムサラ・エクスプレス」は「輪廻転生列車」。
だからこそ環状線になっており、今生の終着駅は次の人生の始発駅となるのだろう。
オウカが4話で語った夢のうち、列車旅は4話、アイドルは3話、ギャングのボスは1話で達成済み。
オウカはその度に、次のステージへと移動して行く。
これをチハヤが追い続ける。
この流れも「輪廻転生」と言えそうだ。
これらからは「輪廻転生」と同じく「終末へ向けてのリセット(またはその繰り返し)」と言った意味が引き出せる。
全体的に抒情的な世界で繰り広げられるチハヤとオウカの追いかけっこ。
次なる舞台は何処になるのか?
次回も楽しみです!!
ちなみに『メフィスト』が遂に電子書籍化されています。
詳しくは下記記事をどうぞ!!
・講談社刊『メフィスト』も遂に電子書籍に参入とのこと!!
◆関連過去記事
・『スーサイド・パラベラム』第1話(道満晴明作、講談社刊『メフィスト』連載)ネタバレ批評(レビュー)
・『スーサイド・パラベラム』第2話(道満晴明作、講談社刊『メフィスト』連載)ネタバレ批評(レビュー)
・『スーサイド・パラベラム』第3話(道満晴明作、講談社刊『メフィスト』連載)ネタバレ批評(レビュー)
・『スーサイド・パラベラム』第4話(道満晴明作、講談社刊『メフィスト』連載)ネタバレ批評(レビュー)
・『スーサイド・パラベラム』第5話(道満晴明作、講談社刊『メフィスト』連載)ネタバレ批評(レビュー)
・『スーサイド・パラベラム』第6話(道満晴明作、講談社刊『メフィスト 2015vol1』連載)ネタバレ批評(レビュー)
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