ネタバレあります!!注意!!
<あらすじ>
「百舌シリーズ」新連載!巨悪を追う、迫真のサスペンス。
(集英社公式HPより)
<感想>
「百舌シリーズ」2015年時点での最新作が『小説すばる』にて連載開始されました。
「百舌シリーズ」は次の6作が既刊。
『裏切りの日々』、『百舌が叫ぶ夜』、『幻の翼』、『砕かれた鍵』、『よみがえる百舌』、『鵟の巣』。
そして、これに新たに加わるのが意外な導入から始まった2015年時点でのシリーズ最新作『墓標なき街』。
今回はその最終話(第12話)ネタバレ批評(レビュー)です。
物語はまさか、まさかの結末を迎えました。
闇は未だ色濃く残されているようです。
単行本版が2015年11月5日に発売予定だそうですが、これは単行本化に際して書下ろし追加があるのではないでしょうか。
あるいは、シリーズ続編に続くか。
まずは「黒頭巾の正体」が判明。
まさか「紋屋の○○○」だとは……。
また、新百舌の正体も遂に確定。
その正体はやはり女性でした、しかも洲走かりほの妹・まほろです!!
ただし、これまで作中でまほろとされた人物は三重島の隠し子・弓削ひかるであり別人。
本物のまほろは三重島の愛人であり、使用人だったようです。
だとすると、タミこそまほろかと思われるのですが……これが判然としない。
作中の描写によれば、どうもこれまで登場していなかった使用人のようにも受け取れますが……。
とはいえ、ラストの描写から大杉や美希を監視し続けて居るのは間違いない様子。
どうやら、あの時点では「○○屋の店員」に扮しているようです。
そんな新百舌の動機は姉・かりほの復讐。
だからこそ、最初に美希を狙ったのか。
その後、三重島の命に従い田丸と為永を殺害した。
とはいえ、まほろは三重島やひかるへも殺意を抱いている模様。
これはかなり危険な人物なのでは……。
この戦いはシリーズ次作に持ち越されるのか?
あるいは、書下ろしで決着となるのか?
単行本版も見逃せそうにありません!!
さて、『墓標なき街』最終話までのまとめ。
物語の発端は三重島と茂田井との抗争にあり。
これに、石島による武器輸出事件の告発が絡む。
まず、姉・かりほの復讐に燃える新百舌が美希を襲撃するも大杉により未遂に終わる。
一方、茂田井派であった田丸は三重島派を攻撃するべく過去の百舌について記事にしようとしていた。
其処で、先手を打って三重島派に属する新百舌が田丸を殺害した。
実は武器輸出は三重島派の仕業であった。
石島から武器輸出事件について情報を貰っていた為永も新百舌により殺害。
稲垣は紋屋のミイラを用いて黒頭巾を仕立て、これをすべての黒幕に偽装しようとした。
この黒頭巾を操っていたのも新百舌。
ところが、大角がその正体に気付き新百舌に殺害される。
御室もまた正体に気付いていた為に、どさくさに紛れ新百舌に口封じされた。
でもって、新百舌は逃走。
こういった物語だったようです。
此処までで気になるのは、為永が殺害されながら肝心の石島や残間が狙われていないこと。
これには理由があるのでしょうか?
気になるところ!!
さて、ネタバレあらすじはまとめ易いように改変しています。
興味をお持ちの方は是非本作それ自体を確認するべし!!
<ネタバレあらすじ>
【前回までのあらすじ】
初代・百舌との戦いから長い月日が過ぎ、大杉は警察を退職し探偵業を営んでいた。
娘・めぐみは警察官になり、倉木を失った美希とは大人の男女として関係を続けている。
そんな大杉のもとに旧知の残間から田丸が「百舌について」記事にしようとしていることを聞かされる。
今更のことに、意外に思う大杉。
また一方で、不正な「武器輸出」が行われているとの情報を入手する。
その告発者は三京鋼材の石島であった。
さらに、千枚通しを用いる殺し屋が新たに登場し美希が狙われてしまう。
これは大杉により事無きを得たのだが……。
その翌日、石島を監視していた大杉と村瀬であったが、めぐみとその同僚・車田聖士郎に見咎められてしまう。
大杉たちは何とかめぐみたちの裏をかき、石島が接触していた雑誌記者・為永に辿り着く。
矢先、中丸が何者かに殺害されてしまう。
これにより、大杉たちは「新たなる百舌の登場」と「三重島と茂田井の暗闘」に気付くことに。
一方、大角は部下の御室三四郎と共に謎の人物・黒頭巾の警護をしていた。
黒頭巾は中丸殺害に興味があるようだが……。
この際、大角は御室の口から紋屋の名前を聞くことに。
そんな中、為永までもが新百舌に殺害。
さらに、大角もまた黒頭巾の正体を知ったが為に殺害されてしまう。
事態解決を目指す大杉と美希はある方法を用いることに。
・前回はこちら。
『墓標なき街』第11話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)
【今回のあらすじ】
その日、三重島の別邸を美希と車田聖士郎たちが強襲した。
表向きは「大角殺害に関する捜査」であるが実態は「内部に潜む新百舌の正体を暴き捕縛すること」が目的である。
逃げる余地を与えず一気呵成に邸内へと歩を進める美希たち、並行して大杉も邸内へ潜入し探りを仕掛ける。
事態を知り稲垣が駆け付けるが、既に遅い。
邸内に潜む黒頭巾の存在に行き当たった大杉は車田と共に迫る。
だが、これに気付いた御室が応戦することに。
御室の奮戦に車田が負傷するのだが、突如現れた何者かにより御室が殺害されてしまう。
新百舌の仕業だ!!
結局、新百舌は正体も判然としない内に逃亡してしまう。
後日、事の顛末を知るべく美希を中心に大杉や残間、車田らが焼肉屋に集まっていた。
美希によると黒頭巾は紋屋のミイラだったのだそうだ。
どうも稲垣が用意したものらしい。
このミイラにはマイクやカラクリが仕掛けられており、遠隔操作が出来るようになっていた。
おそらく新百舌が操っていたものだろう。
しかし、当の新百舌には逃げられてしまい行方は杳として知れないのだそうだ。
結局、詳細が判然とせず肩を落とす大杉たち。
とはいえ、これで終わりではない。
気を取り直すと店員に肉の追加を注文する。
さて、そんな美希たちの話に聞き耳を立てている存在が居た。
他でもない「新百舌」こと「かりほの妹・まほろ」である。
とはいえ、三重島の屋敷に居たまほろとは別人であった。
何故なら、あのまほろは三重島の隠し子・弓削ひかるだったからだ。
三重島は愛人であるまほろの名を隠し子に名乗らせたのだ。
本物のまほろは使用人として潜んでいたのである。
そのうちにまほろはひかると関係を結んだ。
これは三重島も知らない事実である。
こうしてまほろが邸内の実権を握り操っていたのだ。
その目的は姉・かりほの復讐だ。
直接的な仇である美希や大杉たちはもちろん、かりほを見捨てた三重島らも例外ではない。
さらには、まほろの正体を知る者も抹殺対象である。
だから、知り過ぎた大角や御室が殺害されたのだ。
ひかるもいずれ口封じする必要があるだろう。
とはいえ、今のまほろにはやらねばならないことがあった。
注文に応えて追加の肉を美希たちのテーブルに届けねばならないのだ―――エンド。
◆関連過去記事
・『墓標なき街』第1話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)
・『墓標なき街』第2話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)
・『墓標なき街』第3話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)
・『墓標なき街』第4話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)
・『墓標なき街』第5話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)
・『墓標なき街』第6話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)
・『墓標なき街』第7話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)
・『墓標なき街』第8話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)
・『墓標なき街』第9話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)
・『墓標なき街』第10話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)
・『墓標なき街』第11話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)
・『百舌シリーズ(百舌の叫ぶ夜、幻の翼)』(逢坂剛著、集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)
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