2015年09月25日

「英国一家、日本を食べる」19話「発酵マニアがつくるミソ」(9月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「英国一家、日本を食べる」19話「発酵マニアがつくるミソ」(9月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<19話あらすじ>

マイケルは、トシに頼んでアポをとってもらったみそ蔵を一家で訪ねる。出迎えてくれたのは、はっぴ姿のイギリス人・ジョニー。マイケルは、ジョニーは自分たちを接遇するための係だとばかり思い込んでいたが、実はみそ蔵の8代目社長と知ってびっくり!マイケルは日本伝統のみそづくりに奮闘する同胞とすっかり意気投合する。
(公式HPより)


では、続きから……(一部、重複あり)

ハロルド・マギー博士はこう言った。
「味噌汁は美味しいだけではなく美しい」と。
なんでも、対流の様子は入道雲のプロセスと同じなのだそうだ。

その日、マイケルは手料理をリスン、アスガー、エミルに振る舞っていた。
メニューはパスタとサラダだ。
リスンは一口するや「サラダのドレッシング」を褒め称える。

美味しさの秘密は味噌であった。
味噌とは大豆を主原料に麹などを入れて作られる調味料。
中でも味噌を入れた味噌汁が有名である。
とはいえ、いきなり味噌汁では癖が強いのでパスタとドレッシングに隠し味として用いてみたらしい。

その工夫を嬉々として口にするマイケル。
だが、アスガーは味噌と聞いて拒否反応を示す。

其処にトシからの電話が。
トシはその場に居ないにも関わらずマイケルの行動を全て言い当てて見せた。

「前々から思っていたんだけど、君、見てるよね……」
ジト目ながらに呟くマイケル。

「そんなことより、どうだマイケル。本物の味噌汁を味あわせてやるよ」
マイケルに味噌蔵の取材のアポが取れたことを伝えるトシ。
トシによれば相手はかなりの変わり種だそうだが……。

こうして味噌蔵へ向かったマイケル一家。

「味噌蔵って可愛い動物居る?」
「麹箘くらいかなぁ……」

そのような遣り取りを経て目的地へ。

ところが、目的地付近にて法被を着た外国人と出会う。
相手はマイケルを見つけるや気さくに声をかけて来た。
見覚えの無い相手から声をかけられたマイケルは狼狽える。

もしや、著作のファンなのか?
いやいやいや、もしも違っていたら大ダメージだ。
そう言えば、トシは変わり種と言っていなかったか?
なるほど、外国人を従業員としている味噌蔵なのだろう……。

何やら納得したマイケルは味噌蔵の従業員と考えて応対することに。
すると、相手はジョニー・ダニエルズと名乗った。
どうやら、味噌蔵からマイケルを迎えに来たらしい。

なんだファンじゃないのか……とはいえ、危ないところだった!!
気を取り直したマイケルはジョニーに案内されつつ味噌蔵へ。

其処は風格を兼ね備えた味噌蔵であった。
どうやら、取材先は老舗らしい。
興味を持ったマイケルは社長に会いたいとジョニーに申し出る。

「社長さんは?」
「僕で八代目です」
「いやいや、私が知りたいのは社長さんのことでして」
「だから、僕が社長です」

「……は?」
絶句するマイケルの前で従業員がジョニーを「社長」と呼ぶではないか!!
ジョニーは本当に社長だったのである。
トシが変わり種と評した本当の理由は「社長が英国人」だったからなのだ。

呆然とするマイケルの携帯が鳴る。
相手はトシだ。

「マイケル、人は見かけで判断しちゃいけないぜ……」
トシの声がマイケルの耳に木霊する……。

さてさて、再び気を取り直したマイケル。
早速、取材を始めることに。

ジョニーによれば味噌には複数の種類があるらしい。
それは素材の組み合わせにあり、主に次のようになる。

「大豆、米、塩」の組み合わせならば「白味噌」。
「大豆、麦、塩」の組み合わせならば「赤味噌」。
「大豆、塩」の組み合わせならば「豆味噌」となるのだ。

続いて製法について語り出すジョニー。
まず、大豆を三時間かけて煮て米麹を加える。
その後、白味噌ならば1ヶ月、赤味噌ならば2年間寝かせることになるのだ。

ちなみに麹とは米や麦に麹箘を発酵させたもの。
その生育は温度と湿度を管理できる麹風呂でのみ可能である。
白味噌独特の甘みには米麹が大きく貢献しているのだそうだ。

「発酵」と耳にしたアスガーは強い抵抗を示す。
これに「ワインやチーズだって発酵食品なんだよ」と諭すマイケル。
実はマイケル、真面目なジョニーの様子に好感を抱いていた。

ジョニーから彼の妻・早苗を紹介されたマイケル。
早苗によればジョニーは「発酵マニア」なのだそうだ。
ジンジャービア、ヨーグルト、ワイン、パン作りなど一通りの発酵食品に触れ、味噌へと辿り着いたらしい。
これに味噌ばかりはマニュアルが無いので苦労したと述べるジョニー。
そんなジョニーを早苗が支えたのだそうである。
「ジョニーが大豆、早苗が麹と言ったところですかな?」
マイケルの軽口も飛び出し、すっかり意気投合したマイケルとジョニーであったが……。

「味噌の消費量は日本国内では減少傾向にある。海外でこそむしろ伸びているのだ!!」
「汎用の味噌スプレッドって売れるよね!?」

その夜の事、居酒屋で飲み明かすマイケルとジョニーの姿があった。
彼らは「全世界味噌化計画」について語り合うのだが。

翌朝、強かに酔ったマイケルは二日酔いに悩まされていた。
其処へ見計らったようなトシの電話が入る。

「よぉ、マイケル!!昨夜は相当呑んだようだなぁ」

陽気なトシのテンションに頭を抱えるマイケル。
そんなマイケルに、トシは「お前と波長の合いそうな社長を選んだ甲斐があった」と笑う。
どうやら、ジョニーを紹介したことにはトシなりの狙いがあったようだ。
トシはマイケルに味噌汁を作る様に促す。

操られるように味噌汁を作ったマイケル、続いて促されながら味噌汁を口にする。
数瞬あって……。

「あれ……!?」

マイケルは自身に起きた出来事に驚いていた。
あれほど重かった頭が今はスッキリしているのだ。
味噌汁には二日酔いを覚ます効果もあったのだ。

「言っただろ、本物の味噌汁を味あわせてやるってさ」
トシがニヒルに微笑む―――エンド。

<感想>

原作はマイケル・ブース著『英国一家、日本を食べる』と『英国一家、ますます日本を食べる』(共に亜紀書房刊)。
NHKさんにて毎週木曜日0時40分から1時まで放送中、全24話予定。

前半はマイケル一家を中心としたカートゥーンパート、後半はトシ視点のドキュメンタリーパートからなる。

この19話のテーマは「味噌」について。
そんな今回ですが、具体的にはカートゥーンパートでは「味噌そのもの」を中心に、実写パートでは「名古屋の味噌事情」が取り上げられました。

ちなみにカートゥーンパートのハロルド・マギー博士と言えば『キッチンサイエンス』で有名な方だそうです。
本記事下部にアマゾンさんのリンクを用意したので興味のある方はどうぞ!!

とはいえ、今回は全体的にトシの強調回でしたね。

まずはカートゥーンパート。
ラストでのトシの台詞はなかなかでした、味噌汁の真価を味あわせる為にマイケルを二日酔いにするとは……。
この「料理の真価を味あわせる為に相手を一定環境下に置くという点」が面白かった。
言わば「最高の調味料」の味を知る為に運動をするようなもの。

そして実写パート。
味噌と言えば愛知県名古屋というワケで「名古屋の味噌料理」。
ちなみに、トシも愛知出身なのだそうだ。
また、愛知県は豆味噌の全国消費量7割らしい。

具体例として挙げられたのは「味噌煮込みうどん」。
旨味成分が多いのだそうだ。
また「味噌カツ」も挙げられました。

さらに、トシとの知人らしい岩田のおばちゃんが「やっとかめ(久しぶり)」との挨拶も勇ましく登場。
岩田のおばちゃんからはお手製の「味噌パスタ(パスタに味噌だれをかけたもの)」や「味噌プリン(プリンにもカラメルの代わりに味噌だれを用いたもの)」が紹介。
とはいえ、このプリンについては人を選ぶのだそう。

ちなみに本作「英国一家、日本を食べる」の旨味も此の点にあるような気がします。
様々な食材に組み合わせることが出来る味噌、これと同様に「日本と言う素材」をもとに、アニメと実写との2つの表現方法と言う「味噌」を用いることでより深い味わいの作品が出来上がる。
この「素材を活かした組み合わせ」が視聴者の心を動かすのでしょう……面白いワケです。
次回も楽しみな作品です。

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