ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
『このミステリーがすごい!』大賞受賞作家による書き下ろしミステリーブック!中山七里が描く、シリーズ累計83万部突破の大人気・音楽シリーズ最新話「どこかでベートーヴェン」第6話、鍼灸師資格を持つ乾緑郎が描く「鷹野鍼灸院の事件簿」最新話「師、去りし後」、シリーズ累計41万部突破の「妖狐オサキ」シリーズ最新話、シリーズ累計22万部突破「行動心理捜査官・楯岡絵麻」シリーズ最新話、10万部突破「スープ屋しずくの謎解き朝ごはん」シリーズ最新話など、豪華作家競演の一冊です。
(宝島社公式HPより)
<感想>
中山七里先生「岬洋介シリーズ」の最新作『どこかでベートーヴェン』の第6話が発表されました。
長編第3作である『いつまでもショパン』と同様に『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK』に掲載されています。
これにより、何時か来るシリーズ第4作『どこかでベートーヴェン』の発売が明らかに。
そんな「岬洋介シリーズ」は「難聴を抱える天才ピアニスト岬洋介が関わった事件を描く」シリーズ作品。
あくまで関わった事件なので、中心視点人物は各作品ごとに別の人物となっており、岬は事態解決やアドバイスなどを行う探偵役の立場となっています。
いつか岬自身が視点人物となる日がやって来るのでしょうか。
なお、今回の『どこかでベートーヴェン』は『いつまでもショパン』の後から始まる物語。
ただし、ある事柄(『いつまでもショパン』での出来事)により一躍有名になった岬を見かけた高校時代の同級生が当時(高校時代)に起こった事件について振り返るとの内容になっています。
そんな6話ですが、やはり前回(5話)の推理通りか。
犯人は春菜で良さそう。
この6話の描写にて春菜の父である町長と「イワクラ建設」が不正を働いていたことが判明。
これにより動機も見えて来たか。
おそらく、岩倉は不正を盾に春菜を脅迫していた可能性があるなぁ……。
其処で春菜が岩倉を殺害したものか。
アリバイについては前回でも語っているが、殺害現場あるいは殺害時刻を誤認させるものか。
例えば、途中で下校したと思われていた岩倉が学校内に潜んでおり春菜とトラブルになり殺害された。
あるいは、下校したとされる時間の時点で既に春菜の手で殺害されていればアリバイは成立しません。
いずれにしても死体運搬がネックになって来ますが、それこそ学校前が急な坂であり、当時の状況を考えれば
遺体を放流することも可能な感じだし。
そもそも春菜がジャージを着用していたのも、制服が雨か返り血で濡れていたからだろうし。
春菜のアリバイ自体も岩倉の姿が見えなくなった時間から成立しているものですし割と容易に崩せます。
さらに本作はタイトルが『どこかでベートーヴェン』とされている通り、岬の難聴も大きく絡んで来るのかもしれません。
ちなみに、「岬洋介シリーズ」には長編が『さよならドビュッシー』、『おやすみラフマニノフ』、『いつまでもショパン』の3作(刊行順、作中時系列順)と短編が短編集『さよならドビュッシー前奏曲(文庫化に際し『要介護探偵の事件簿』を改題)』(『さよならドビュッシー』の前日譚を描いたスピンオフ)、『間奏曲(インテルメッツォ)』(『いつまでもショパン』と同時期に起こっていた事件を描くスピンオフ)の2作が存在しています。
記念すべきシリーズ第1作『さよならドビュッシー』は映画化もされています。
書籍版については、すべてネタバレ書評(レビュー)していますね。
興味のある方はネタバレあらすじ後の関連過去記事へどうぞ!!
ちなみに、ネタバレあらすじについては管理人によりかなり改変されています。
本作を楽しんで頂くには直接お読み頂くことをオススメします!!
<ネタバレあらすじ>
登場人物一覧:
岬洋介:シリーズ主人公、今回は高校時代が描かれる。
鷹村亮:『どこかでベートーヴェン』の視点人物。音楽科の学生。
岩倉:音楽科の学生の1人。イワクラ建設の息子。
板台:音楽科の学生の1人、バンドを組んでいる。
春菜:鷹村が憧れる同級生。町長の娘。
美加:音楽科の学生の1人。
棚橋:音楽教師。
佐久間:数学教師。
横屋:教師。
・5話はこちら。
『どこかでベートーヴェン 第五話』(中山七里著、宝島社刊『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK vol.10』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
嵐による土砂崩れに見舞われた岬たち音楽科の面々。
岬が孤立したクラスメートを救うべく1人で街へ助けを呼びに行き、彼らは救助された。
ところが、嵐の後には同じく音楽科の1人・岩倉の遺体が倒れていたのである。
こうしてアリバイの無い岬に容疑が向かうこととなった。
岬は無実を証明するべく鷹村と共に真犯人探しに乗り出す。
まずは、当日になって欠席していた担任の棚橋だ。
棚橋宅を訪れた岬たちに、棚橋は二日酔いで寝ていたと主張。
しかし、棚橋宅に濡れた役場の傘が置かれていたことから岬はこれを嘘と見抜く。
棚橋は役場に出向いていたのだが、それを隠しているのだ。
役場へ確認に赴いた岬たちは棚橋が学校の建設について調べていたことを突き止める。
施工を請け負ったのは岩倉の実家である「イワクラ建設」。
発注者は春菜の父である町長だ。
なんでも町長と「イワクラ建設」の贈収賄の噂があったらしい。
岬は岩倉と春菜に思わぬ繋がりがあったことに気付く。
続いて、岬は自分以外に犯行が不可能だったのかどうかを検討し始めた。
学校付近を訪れた岬は土砂が流されて以降は周囲から孤立していたことを確かめた。
さらに、当時の状況を鷹村からも確認する。
此処で岬は何かに想いを巡らせ始めた。
岬は「動かぬ物証と共に犯人の自白が必要だ」と鷹村に語る―――『どこかでベートーヴェン』7話(あるいは本編)に続く。
◆「中山七里先生」関連過去記事
【岬洋介シリーズ】
・『さよならドビュッシー』(中山七里著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『おやすみラフマニノフ』(中山七里著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『いつまでもショパン』(中山七里著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『いつまでもショパン』第1回(中山七里著、宝島社刊『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK』連載)ネタバレ書評(レビュー)
・『どこかでベートーヴェン 第一話』(中山七里著、宝島社刊『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK vol.6』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『どこかでベートーヴェン 第二話』(中山七里著、宝島社刊『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK vol.7』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『どこかでベートーヴェン 第三話』(中山七里著、宝島社刊『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK vol.8』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『どこかでベートーヴェン 第四話』(中山七里著、宝島社刊『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK vol.9』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『どこかでベートーヴェン 第五話』(中山七里著、宝島社刊『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK vol.10』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『間奏曲(インテルメッツォ)』(中山七里著、宝島社刊『このミステリーがすごい!2013年版』収録)ネタバレ書評(レビュー)
・『要介護探偵の事件簿』(中山七里著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)
【刑事犬養隼人シリーズ】
・『切り裂きジャックの告白 刑事犬養隼人』(中山七里著、角川書店刊)ネタバレ書評(レビュー)
【その他】
・『連続殺人鬼カエル男』(中山七里著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『静おばあちゃんにおまかせ』(中山七里著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『残されたセンリツ』(中山七里著、宝島社刊『このミステリーがすごい! 四つの謎』収録)ネタバレ書評(レビュー)
・『ポセイドンの罰』(中山七里著、宝島社刊『このミステリーがすごい! 三つの迷宮』収録)ネタバレ書評(レビュー)
【ドラマ版】
・土曜ワイド劇場「切り裂きジャックの告白 〜刑事 犬養隼人〜 嘘を見抜く刑事VS甦る連続殺人鬼!?テレビ局を巻き込む劇場型犯罪!どんでん返しの帝王が挑む衝撃のラストとは!?」(4月18日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「このミステリーがすごい!〜ベストセラー作家からの挑戦状〜 天才小説家×一流映画監督がコラボした、一夜限りの豪華オムニバスドラマ!味わいの異なる4つの謎=各25分の濃密ミステリー!又吉×希林の他では見られないコントも!」(12月29日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「このミステリーがすごい!2015〜大賞受賞豪華作家陣そろい踏み 新作小説を一挙映像化」(11月30日放送)ネタバレ批評(レビュー)
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さよならドビュッシー 前奏曲(プレリュード)~要介護探偵の事件簿 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
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【関連する記事】
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