ネタバレあります、注意!!
登場人物一覧:
掟上今日子:「最速探偵」にして「忘却探偵」の名を冠する少女。
鯨井:事件の容疑者。
宇奈木:事件の被害者。
肘折:事件を捜査する警部。
<あらすじ>
掟上今日子は一度寝てしまうと記憶がリセットされてしまう名探偵。
だからこそ、どんな事件でも1日で解決する「最速探偵」にして、完璧な守秘義務を誇る「忘却探偵」を名乗っている。
そんな今日子にある事件を捜査する肘折警部から容疑者のアリバイ証言を求められた。
だが、数日前の出来事ならば当然の如く今日子に記憶はない。
また、過去に今日子と仕事をしたと語る肘折警部だが、これも今日子の記憶にはない。
困った肘折警部は改めて今日子に事件解決を依頼する。
これに今日子は報酬を請求、その金額に戸惑う肘折に「消費税分はおまけしますよ」と天使の微笑みを浮かべる。
早速、事件解決に乗り出す今日子。
今回の事件はスイマーの宇奈木の死亡事件。
宇奈木は自宅の浴槽でドライヤーにより感電死していた。
この第一発見者が宇奈木のライバルであった鯨井だったのだ。
肘折警部は状況から他殺と判断し鯨井を容疑者とした。
ところが、鯨井はアリバイを主張したのだ。
そのアリバイこそが掟上今日子と会食していたとのものだったのである。
とはいえ当然のこと、今日子にその記憶はない。
結局、アリバイは確認出来ない。
今日子は様々な可能性を検討して行く。
まず、宇奈木の死亡状況から事故はあり得ないと断定。
その上で鯨井が宇奈木宅を訪問しドライヤーのショートにより停電していた浴室を確認したことを疑問視する。
浴室の明かりが消えて居る以上、其処に宇奈木が居るとは考えない。
にも関わらず、鯨井は第一発見者となった。
それは浴室で宇奈木が死亡していることを知らなければ不可能だ。
次いで、鯨井のアリバイ証言に工作の余地があるかどうかの検討を開始する。
此処で疲れた今日子はリフレッシュの為に一旦睡眠を取ることに。
もちろん、事件についてはメモに残している。
リフレッシュを終えた今日子。
その甲斐あって「何らかの時限式トリック」でならば宇奈木殺害が可能と断定する。
これを鯨井にぶつけるのだが、鯨井は静かに笑うばかり。
結局、「何らか」とは説明がつかないものなのだ。
もっとも、今日子もこれは本気では無かった。
実は今日子は既に真相を看破していた。
事故でもなく、他殺でもない。
だとすれば、残るは自殺だ。
宇奈木は自殺したのだ。
そして、事前に容疑がかからないようにと鯨井にこれを予告した。
だから、鯨井は予告された時刻に今日子とアリバイを作った。
そして、宇奈木を気に掛け明かりの消えた浴室へ足を踏み入れた。
もっとも、アリバイは相手が今日子だった為に意味が無くなってしまったが。
宇奈木は誰にも弱味を見せたがらなかった。
唯一、ライバルである鯨井にだけ弱味を見せたのだそうだ。
鯨井もこれを汲んで真相を隠そうとしたのだ。
こうして真相が明らかになった。
報酬を現金で持参した肘折警部、封筒の中を覗き見た今日子は首を振る。
「金額が足りない」と。
そう、今日子は一度寝てしまったことで記憶がリセットされてしまった。
結果、消費税分のおまけも忘れてしまったのだ―――エンド。
<感想>
西尾維新先生原作『掟上今日子の備忘録』が浅見よう先生によりコミカライズされました。
連載が開始されたのは「月刊少年マガジン 2015年9月号」から。
その3話です。
今日子さんの「忘却探偵」との特性を活かした回でしたね。
鯨井のアリバイしかり、肘折の支払額へのおまけもしかり。
そして折角の鯨井のアリバイがあっさりと水泡に帰し、折角の鯨井の配慮もあっさりと無に帰した。
それもこれも相手が今日子さんだった為。
まさにこれこそが「探偵」か。
そして、クローズアップされる今日子の過去。
此の点も気になります。
そう言えば、今日子は眠りにつくことで基本情報に立ち戻ると言った形のようです。
それ以外のことは身体に記したメモにより情報を得ている様子。
つまりはメモを偽装することさえ出来れば今日子の行動を操ることも出来そうですが……。
なかなか興味深い設定ですね、次回にも期待!!
また『掟上今日子の備忘録』は日本テレビ系にて実写ドラマ化も決定。
こちらも期待!!
ちなみに、あらすじでは良さを伝え切れてません。
本作自体を読むべし!!
◆関連過去記事
・「掟上今日子の備忘録」第1話(西尾維新原作、浅見よう画、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年9月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「掟上今日子の備忘録」第2話「隠館厄介A」(西尾維新原作、浅見よう画、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年10月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・西尾維新先生「傷物語」がアニメ映画化決定!!
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