ネタバレあります、注意!!
<1話あらすじ>
ノーベル賞間近と言われる近森博の赤ちゃん・ノゾミが城南大学病院から誘拐された。ノゾミは産まれて一週間の新生児。妊娠8か月の捜査一課刑事・速水悠里(黒木メイサ)は、日村(神保悟志)に呼び出され、ノゾミの母・優子(安達祐実)の監視役を命ぜられる。年下の相棒・土橋福助(渡辺大知)と夫婦を装いながら産科病棟に潜入、関係者のアリバイを探り始める。そして速水は須佐見医師(渡部篤郎)に疑いの目を向ける。
(公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)。
<ネタバレあらすじ>
その日、城南大学病院産婦人科では近森優子が担当医の崎山典彦と共に取材に応じていた。
優子が子供を出産したことがニュースとなっていたのだ。
優子は元アスリート、夫は天才物理工学博士として名高い近森博である。
2人の間には長男・新がおり、生まれた女児は2人目の子供であった。
また、崎山は生殖医療の権威で優子が不妊治療の末の出産だったことも話題性を呼んだのだ。
同じ頃、病院の裏口では産婦人科教授・須佐見誠二郎が1人の女性と揉めていた。
女性の正体は岸田トモ、彼女は不本意ながらも妊娠した子供を流産により失っていた。
須佐見にその責任を追及していたのだ。
須佐見はそんなトモに何やら説明を重ねているが、トモの激情は静まらない。
怒りに任せたトモはその場を後にする。
それから数十分後、取材を終え自室へ戻った優子は顔色を変えた。
其処に居た筈の娘が消えたのだ。
こうして誘拐事件が発生。
警視庁捜査一課特殊班捜査係の係長・日村健吾らが捜査に乗り出した。
だが、産婦人科という「特別な場所」だけに捜査は難航する。
特に、事情聴取の段階で優子と看護師の間で供述が異なってしまった。
看護師は「優子の部屋に居た赤ん坊が誘拐された」と主張。
当の優子は「育児室に居た赤ん坊が誘拐された」と主張したのだ。
そもそもの犯行現場が異なってしまっては捜査自体も混乱してしまう。
其処で日村は信頼するエースを招聘した。
その名は、速水悠里。
特殊班捜査係のメンバーであるが、妊娠8ヶ月となり産休を一週間後に控え庶務課へ異動している人物である。
渋々、命令に従った悠里は捜査に参加するや見事な手腕で優子の嘘を認めさせることに成功する。
優子は誘拐の責任を感じ、少しでも罪の意識から逃れようと犯行現場を偽っていたのだ。
こうして犯行現場が特定され、犯行時間も絞り込むことが出来た。
これによりアリバイの無い関係者が生じることに。
誰あろう須佐見である。
その時間帯、須佐見はトモと別れた直後で休憩していたところであった。
トモについて語ることを避けた須佐見は日村から疑いの目を向けられる。
一方、悠里はこの見解に否定的であった。
営利目的ではなく、赤ん坊を欲しがった者の犯行ではないかと考えていたのだ。
これを受けた日村は城南大学病院にて流産死産した患者のリストに目を付ける。
この動きを察した須佐見は「まさか……」と思い至る。
そう、トモの犯行を疑ったのだ。
早速、須佐見は岸田家に連絡を入れた。
すると、夫である岸田裕也の背後に赤ん坊の声が聞こえるではないか。
岸田によれば、帰宅したところトモが見知らぬ赤ん坊を連れていたらしい。
誘拐犯は岸田トモだったのだ。
須佐見の動きを密かに監視していた日村も岸田トモの存在を確認、捜査員を岸田宅へ走らせるが既にもぬけの空であった。
トモは須佐見によれば不妊治療を担当したが流産した患者だそうだが……。
事態を受けて近森一家が城南大学病院は集まった。
取り乱す近森の姿を目にした優子は倒れてしまう。
倒れた優子を介抱する悠里。
優子によれば赤ん坊の名は「望」を予定していたらしい。
また、「望」は体外受精で授かった子供なのだそうだ。
心痛を抱える優子の姿に同じく心を痛める悠里。
ふと思い至った悠里は夫である下地浩介へと連絡を入れた。
実は浩介は再婚、先妻との間に悠介なる14歳の息子が居る。
ちなみに、悠里と悠介の仲はお世辞にも上手く行っているとは言えない状態であった。
一言、二言、言葉を交わし通話を終えた悠里の目の前を救急患者が通り過ぎて行く。
「流産しないんですよね」
タンカで運ばれて行く妻、それに付き添い必死に叫ぶ夫。
「遺伝子操作でもしたかな」
そんな夫婦を横目に医療関係者らしき女性が呟く。
「あるいは、遺伝子の選別、着床前診断か……いや、デザイナーベイビーだって作れるのではないか?」
何やら続ける女性、その正体は胚培養室に勤務する山原あけみであった。
その姿に何かを感じる悠里。
一夜明けたが岸田の行方は杳として知れなかった。
日村が次に採用した方法は「須佐見を監視し岸田からの接触があれば岸田を説得すること」であった。
岸田は流産の件で須佐見を恨んでいる、必ず接触すると考えたのだ。
こうして、悠里が須佐見と共に待機することとなった。
この狙いは図に当たる。
岸田は抱えた不満をぶつけるように須佐見に連絡を入れて来た。
「あんた、あのとき言っただろ?ミスは無かったってな」
叫ぶ岸田に言葉を失う須佐見、彼に代わって悠里が優子を演じつつ交渉に乗り出す。
しかし、岸田は優子(実は悠里)へも不満をぶつける。
「2度も流産してやっと授かった子だったんだぞ!!絶対にあり得なかったんだ!!」
またも耳にした「絶対にあり得なかった」との言葉に疑問を抱く悠里。
「体外受精で生んだ子なんです!!」
だが、悠里は優子から聞いた情報を用いて岸田との会話を繋ぐ。
「今日の昼12時、新宿東口地下街だ」
結果、遂に岸田は具体的な金額を提示し須佐見に身代金を運ぶように命令する。
こうして、岸田との接点が生じた。
一方で、悠里は岸田家の死産に謎があるのではと考え始める。
その頃、岸田たちの潜伏先を監視する謎の男の姿が。
男は城南大学病院の院長秘書・有吉久美から誘拐について情報を手にしているようだが。
同じ頃、優子は残された長男・新に語りかける。
「望はあなたの為に作った子供なの」と―――2話へ続く。
<感想>
ドラマ原作は岡井崇先生による同名作品。
過去にネタバレ書評(レビュー)していますね。
・『デザイナーベイビー』(岡井崇著、早川書房刊)ネタバレ書評(レビュー)
タイトルにもなっている「デザイナーベイビー」の意味は「生まれて来る前に遺伝子に調整を施し両親が望む子供を手に入れる方法」のこと。
此処での調整は「健康」であったり「身体能力の向上」であったりします。
この方法ならば両親が望む子供が得られることに。
この手法は既にSF世界やアニメなどでは一般的となっており、例えば森岡浩之先生「星界シリーズ」(早川書房刊)に登場するアーヴや「機動戦士ガンダムSEED」のコーディネーターなどが挙げられます。
・「機動戦士ガンダムSEED」(2002年、日本)
・ディスティニープラン発動!!
ちなみに出産を取り扱ったサスペンス系ドラマでは同じNHK系火曜22時枠にて海堂尊先生原作ドラマ「マドンナ・ヴェルデ」も放送されています。
・『マドンナ・ヴェルデ』(海堂尊著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・NHKドラマ10「マドンナ・ヴェルデ」第1話(第1回)「希望の卵」(4月19日放送)ネタバレ批評(レビュー)
では、ドラマ版の感想を。
ドラマ1話や公式HPを視た限りではかなりアレンジが加わっている様子。
いや、むしろ原作よりは原案に近いかもしれない。
それほど異なっています。
例えば、悠里を取り巻く環境自体が別物だし。
近森夫妻の設定も異なるし、そもそも望関連もかなり違う。
望が誘拐された点こそ同じであるものの、むしろ共通する点を探す方が難しいくらいか。
つまり、原作既読者であっても新鮮な気持ちで楽しめるドラマと言えそうです。
そんな視点から本ドラマ版を視聴したところ、次のような点がポイントとなりそうです。
まず、優子が新に述べた「望が新の為の存在」であると言うこと。
これは「新」が何か病気を患っており「望」がその臓器のドナーとして生まれた存在であることを指すのではないでしょうか。
ただ、それだとタイトル「デザイナーベイビー」の意味が弱くなるので他にも何かありそうか?
岸田夫妻たちが口にする「絶対にあり得なかった」は「それこそ遺伝子調整を施された子供だった為に流産はあり得なかった」との意味でしょうか?
でもって、誘拐事件は岸田から謎の男に引き継がれそうな感じですね。
ちなみに「謎の男」の正体ですが、公式HP上から該当しそうなキャラは病院長の息子・峠則孝かなぁ……。
さらに、悠里と夫の連れ子・悠介の関係。
望誘拐事件を通じ、生さぬ仲から悠里のお腹の子供も含めて家族を構築する様子を描くのではないかと思われる以上、此処もポイントでしょう。
それにしても、どうして名前に同じ「悠」が入っているのでしょうか……これも意味があるのか。
2話にも注目ですね!!
◆関連過去記事
・『デザイナーベイビー』(岡井崇著、早川書房刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『マドンナ・ヴェルデ』(海堂尊著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・NHKドラマ10「マドンナ・ヴェルデ」第1話(第1回)「希望の卵」(4月19日放送)ネタバレ批評(レビュー)
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