2015年10月22日

「英国一家、日本を食べる」22話「長寿のヒケツ」(10月22日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「英国一家、日本を食べる」22話「長寿のヒケツ」(10月22日放送)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<22話あらすじ>

鼻毛に白いものが混じっているのを見つけたマイケルは、忍び寄る老いが急に恐ろしくなってしまう。長生きをして世界中のおいしいものを食べつくしたいと切に願うマイケルは、家族を連れて沖縄へ飛ぶ。伝統的な沖縄料理が長寿にいいらしいという話を聞き、自らの舌でその真偽を確かめるためだった。マイケルが見た長寿のヒケツとは!?
(公式HPより)


では、続きから……(一部、重複あり)

人は誰しも年を重ねて行く。
もちろん、マイケルとて例外ではない。

ある朝、マイケルは鼻毛に白いものを見つけてしまった。
老いにより美食を楽しめなくなることを怖れたマイケルは急に焦燥感を募らせる。

今こうしている間も老いは迫って来ているに違いない。
だとすれば、少しでも早く食べなければ……。

マイケルは逸る気持ちに突き動かされ無茶食いしてしまう。
いつものことながらマイケルの行動に呆気にとられるリスンたち。

だが、マイケルの行動はまだ続いていた。
あることに気付いたマイケルは沖縄へ。

独特な文化を誇る沖縄に驚くリスン、アスガー、エミルたち。
其処は「琉球王国」として独自の発展を遂げた地域でもあった。
そして、何より沖縄は長寿県として有名なのだ。

「沖縄で長寿を手に入れる」と宣言するマイケル。
少しでも早く多く食べることが無理ならば、そもそも長生きを目指せば良いのだ。

とはいえ、今では沖縄も長寿県とは呼べないらしい、何でも食の欧米化が進んだことが理由だそうだ。
だが、沖縄には「医食同源」に基づく料理が多数存在している。
それこそが沖縄を長寿県に押し上げたに違いない。
そう考えたマイケルは沖縄の郷土料理に触れようと目論む。

早速、店舗に駆け込んだマイケル。
テーブルの上に並ぶのは「ゴーヤチャンプルー」、「イラブー汁(ウミヘビのスープ)」など沖縄の有名料理だ。

「ゴーヤチャンプルー」を口にしては「来た〜〜〜」と絶叫するマイケル。
「イラブー汁」を口にしては「来た〜〜〜」と絶叫するマイケル。
だが、直後に食べ過ぎで苦しむことに。

「ちょっと、何でそんなに食べちゃうのよ」
「こうしている間にも老いは迫っているんだ。何しろ、こうしている間も膝が痛くて立つのが怖いぐらい」
「痩せたら?」
膝痛の理由が太り過ぎにあると看破した見事なリスンのツッコミが炸裂し、マイケルは言葉を失う。

とはいえ、此処で引き下がるマイケルではない。
だが、どうしても決め手に欠けることに気付いたマイケルは悩む。
長寿を達成する決定的な何かがある筈なのだ。
そんなマイケルの声を聞いたアスガーは「実際に長生きしている人に聞いてみたら?」と提案する。

アスガーの提案を認めたマイケル。
周囲を見渡したところ、80歳は超えているおばあちゃんを発見する。
だが、意外なことに彼女が口にしているのはハンバーガーとポテトだ。

疑問符を頭に浮かべつつ、マイケルはジャーナリストとして突撃取材を敢行する。
彼女の名はサトさん、年齢は98歳。
食べていた物は「トリプルチーズ&エッグバーガー」だそう。
また、初恋は13歳、今も想いを寄せる人がいるらしい。

短時間にプライベートまで聞き出した父の取材能力に感動するアスガー。
この間も元気に屈伸運動を続けるサトを見て「胃腸も足腰も丈夫そうね……」と驚嘆するリスン。

マイケルはサトが「長寿を可能にする秘密を隠している」として密着することに。
サトが運転する車に同乗したマイケル一家は彼女の住む村へ。
その村は80歳はまだ子供、100歳を超える老人も多いらしい。

「ねぇ、おばあちゃん。どうしたらおばあちゃんみたいに長生きできるの?」
不思議に思ったアスガーが意を決して尋ねる。

「なんくるないさー」
だが、サトからは謎の言葉が返って来た。

それは呪文なのだろうか……真剣に悩むマイケルとアスガー。

と、走行中の車からタイヤが外れた。
タイヤはおむすび宜しくコロコロと転がって行く。
それをゆったりと拾いに行くサト。
タイヤを抱えて戻って来ると、車に嵌め直し運転を再開。
其処で再び「なんくるないさー」と口にする。

やはり呪文なのだろうか……考え込んだマイケルはある結論に至る。
そうだ、「ナンクルナイザー」なる装置があるのではないか?
きっと、それが長寿を実現してくれるに違いない。
こうしてマイケルは「ナンクルナイザー」が長寿を実現する装置だと思い込んでしまった。

其処に何やら賑やかな集団が通りがかる。
彼らは風車を手にしていた。
これを指して「カジマヤー」と告げるサト。

「カジマヤー」とは沖縄で風車を意味する言葉、翻って長寿を祝う行事のことだ。
沖縄では97歳で子供に返ると思われており、老人たちが風車を手に行進し祝うのだ。

だが、マイケルは暴走しカジマヤーも何かの装置だと妄想する。
「若返りのイニシエーション、カジマヤーからの〜〜〜ナンクルナイザー!!」
叫ぶと車を降りて走り出した。

カジマヤーの一行を追ったマイケルはやがて美しい浜辺に辿り着く。
優しい陽光が降り注ぎ、波音が心地よい音色のように耳を労わる。
其処こそサトの村であった。

この光景を目にしたマイケルは目の前の世界に息を飲む。
そして、先程までの自分が急に虚しくなった。
この世界のなんと美しく大きなことか!!

自分を取り戻したマイケルはサトたちと合流し取材を続けることとなった。
サトはいろいろなことをマイケルに教えてくれた。
それこそ生活、家族、戦争のこと。
そして何より「なんくるないさー」が「正しい行いをしていれば自然と何とかなる」との意味であることも―――エンド。

<感想>

原作はマイケル・ブース著『英国一家、日本を食べる』と『英国一家、ますます日本を食べる』(共に亜紀書房刊)。
NHKさんにて毎週木曜日0時40分から1時まで放送中、全24話予定。

前半はマイケル一家を中心としたカートゥーンパート、後半はトシ視点のドキュメンタリーパートからなる。
ちなみに本作のDVD化が決定とのこと、興味のある方は本記事下部のアマゾンさんリンクをチェックすべし!!

この22話のテーマは「沖縄と琉球料理」について。
そんな今回ですが、具体的にはカートゥーンパートでは「サトさん」を中心に、実写パートでは「宮城美佐子さん」が取り上げられました。

ちなみに、2015年10月22日に22話の放送になってたりします。

まずはカートゥーンパート。

沖縄の長寿の理由は「食事」だけではなく、その穏やかでゆったりとした生活にこそあったのでしょう。
だが、本土の生活が流入し画一化されたことでその差異が失われた。
其処で長寿も失われてしまったのかも。
ゆったりとした生活=ゆったりとした心持こそが長寿の秘訣なのかもしれません。
とはいえ、これを実践するのが如何に困難かはご承知の通り。

何しろマイケルは「老い」に焦りを募らせ、これを忘れていました。
とはいえ、「ゆったりとした生活」が「悠々自適に生きる」ことだと解釈するとマイケルは割とこれを達成してたりする。

また、サトさんは「自然に生きる、自然と共に生きる」も実践していたように思います。
マイケルがあれほどプライベートについて詳しく聞けたのもサトが自然体だったからか。
「ゆったりとしつつ、自然に生きる」これこそがポイントか。

何より、マイケルの「ナンクルナイザー!!」がツボった。
もっと連呼して欲しかったなぁ……。

そして実写パート。
沖縄に住む宮城美佐子さんの生活が取材されていました。

宮城さんの朝食は午前7時30分。
メニューは「ハンダマと呼ばれる野草を加えた味噌汁」、「沖縄の塩で味付けした卵焼き」、「ゴーヤチャンプルーに鶏肉」。

午前8時30分、友人宅を訪問。
コーヒー片手に世間話で盛り上がる。
そのメンバーには数えで100歳のおばあちゃんも。
彼女の長寿の秘訣はシークヮーサーだそう。

宮崎さんの昼は菓子パン。
午後1時から昼寝。
午後3時から畑仕事、食べる野菜は自給自足。
午後6時から夕食。この日はへちまなどを食べる。
午後7時、海辺へ散歩。

ちなみに、宮崎さんによれば長寿の秘訣は「1日3食」と「好きな時間に食事する」とのこと。
すなわち、これまた「自然に生きる」ことに他ならないか。

ちなみに本作「英国一家、日本を食べる」の旨味も此の点にあるような気がします。
「カートゥーンパート」と「実写パート」との「本作らしい自然体ぶり」が肝要なのです。
これにより深い味わいの作品が出来上がる。
この「素材を活かすこと」が視聴者の心を動かすのでしょう……面白いワケです。
次回も楽しみな作品です。

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