ネタバレあります、注意!!
<3話あらすじ>
美術館で警備員の仕事を始めた厄介(岡田将生)。彼が警備をする美術館に、今日子(新垣結衣)が何度も訪れる。今日子は、美術館に来るたびに『母』というタイトルの絵を熱心に見ていた。厄介は、その絵を見ている今日子に声をかけた。厄介が、なぜいつもこの絵の前で立ち止まるのかと聞くと、今日子は「この絵には2億円ほどの価値がある」と言う。
翌日、仕事が休みだった厄介は、客として美術館へ。彼は、美術館に来るはずの今日子に声をかけて、彼女と距離を縮めようと考えていた。厄介が待っていると、今日子が現れる。しかし、今日子は、いつもじっくり見る絵の前をすぐに立ち去ろうとする。厄介が声をかけると今日子は「この絵の価値は200万円程度」と、前日とまったく違うことを口にする。
数日後、美術館で『母』の絵が傷つけられるという事件が発生。事件は、厄介の警備中に起こった。絵を見た老人が、なぜか激怒して暴れ始め、厄介が取り押さえようとして揉み合ううちに、老人の持っていた杖が突き刺さり、絵に穴が開いてしまったのだ。
厄介は美術館館長の敷原に責任を押し付けられ、仕事をクビに。さらに敷原は、警備会社との契約を解除すると言い出す。厄介は、自分が世話になった警備会社の主任警備員・櫛部にまで迷惑がかかるのは申し訳ないと思い、櫛部を救うために真相を明らかにしようと決意。厄介は、今日子に真相究明を依頼する。
老人は、なぜ絵を見て激怒したのか? 今日子と厄介は、今日子が同じ絵を見て、たった1日で2億円と200万円というまったく違う評価をしたことを手がかりに推理を始める。しかし、1日で記憶がリセットする今日子は、自分がそんな評価をした理由を覚えていなかった。
今日子は、美術館職員に変装して内部調査を開始。同じ絵なのに、1日で何が変わってしまったのか? 今日子は、その絵に秘められた謎を解明する!
(公式HPより)
登場人物一覧:
掟上今日子:「最速探偵」にして「忘却探偵」の名を冠する少女。
隠館厄介:あらゆる事件に巻き込まれる男。
絆井法郎:今日子が所属する探偵斡旋所の所長。
水本:画家、『母』の作者。
色原:美術館館長。
謎の老人:絵を破壊した人物。
陸:絵の上手い少年。
<あらすじ>
あらゆる事件に巻き込まれる男・隠館厄介は掟上今日子に恋をした。
掟上今日子はどんな事件でも1日で解決する「最速探偵」にして、完璧な守秘義務を誇る「忘却探偵」。
それもその筈、今日子は一度寝てしまうと記憶がリセットされてしまうのだ。
果たして、この恋は報われるのか!?
そんな隠館は東洋美術館の警備員になっていた。
彼は水本画伯作『母』なる絵を警備することに。
其処へ連日、今日子が通って来た。
どうやら『母』は今日子のお気に召したらしく2億円の価値とまで評する。
さて、此処で隠館は一計を案じることに。
今日子は1度寝てしまえば記憶を失う。
リセットされた今日子の前で何も知らない素振りで『母』を評価すれば、きっと興味を持たれるに違いない!!
今日子が『母』を高く評価していることを知っている隠館はそれを利用して今日子の気を惹こうと考えたのだ。
その翌日のこと、話題の新作が展示され大勢の来館者が訪れる中、早速計画を実行に移した隠館。
ところが、今日子は『母』を見ても特に興味を示さない。
それどころか「200万円ぐらいですかね……」と冷淡に評する。
まるで別人のようだ。
あまりのことに肩を落とす隠館だが、彼への受難は続く。
その数日後、杖を手にした老人が『母』を目にするや激怒し暴れ始めたのだ。
隠館がこれを取り押さえようとしたところ、老人が誤って『母』を傷付けてしまったのだ。
老人は逃げるようにその場を去り、残された隠館に対し色原館長はクビを宣告する。
それどころか隠館を雇い入れた警備会社の責任を追及するとまで騒ぎ出した。
隠館は悲劇が起こる直前に老人が館長から「先生」と呼ばれていたことを思い出した。
もしかすると、この騒動には裏があるのではないか……そう考えた隠館は様々な可能性を考慮する。
例えば、老人こそが水本画伯その人ではないか?
だが、水本画伯と老人は別人であった。
結局、隠館には真相が分からない。
其処で隠館は今日子に助けを求める。
こうして今日子が調査に出馬することに。
今日子は自身が2億と評した絵を200万円と評価したことを聞かされ、其処に意味があると考える。
これに隠館は絵が損壊する前日の出来事を思い出す。
その日、隠館の前で少年が『母』を模写していた。
少年の模写は再現度が高く隠館は舌を巻く。
そんな隠館に少年はタイトル『母』の意味が「母なる地球」であることを語って聞かせる。
さらに「この美術館は絵に敬意が足りない」とまで述べていたが……それが今日子の評価額が変動した理由と繋がるのか?
今日子は東洋美術館に潜入することに。
其処で色原館長が全部偽物の「贋作展」を行ったことを突き止めた。
どうやら、コスト削減を狙ったらしい。
他にも色原館長は自身が役員を務める民間のカフェを誘致するなどして私腹を肥やしているらしい。
館長にとって芸術は二の次、かなりダーティーな人物のようだ。
当然、スタッフからの評判も悪く、キュレーターなど退職するスタッフも多いらしい。
これを聞いた今日子は「大切なのはコストバランス」と口にする。
隠館は色原館長が『母』を贋作と摩り替えたと推理。
あの老人が贋作家であり、本物として飾られていた為に激怒したと仮説を立てる。
ところが、絵の作者である水本画伯に確認したところ壊された絵は間違いなく本物だったそうだ。
さらに水本画伯から『母』がP120号と聞くや「やはり」と頷くことに。
一方、当の水本画伯は老人が絵を壊したと聞かされるや「先生が絵を壊すなんて……」と押し黙ってしまう。
水本までもが老人を「先生」と呼んだことに疑問を抱く隠館。
水本の経歴を調べたところ、過去に彼が「アトリエ荘」で修行していたことを知る。
今日子と隠館は「アトリエ荘」に。
ところが、彼らのイメージと異なり「アトリエ荘」は最新のハイテクマンションであった。
「最初の思い込みが印象を左右するんですよね」
今日子は何やら意味ありげに語る。
「アトリエ荘」内に入ろうとする今日子だがオートロックの為に上手く行かない。
試みに部屋のインターホンを押してもそもそも反応がない。
特に困るでもなく「どうしましょう?」と呟く今日子。
其処に絵が地球であることを教えてくれた少年がやって来た。
彼は自身を「陸」と名乗る。
今日子は陸に老人が絵を壊したことを明かす。
「やっちゃったか、先生短気だからなぁ」
「では、取り換えられているんですね」
何やら、これまた意味深長な会話を交わす2人。
どうやら、今日子は既に真相に辿り着いているようだ。
今日子は陸へ老人に対して「館長が全ての責任を警備会社に押し付けようとしている、それでいいんですか?」と言伝を頼む。
改めて東洋美術館を訪れた今日子たち。
此処で今日子は自身の服を示し「色は同じだが、すべて異なる柄に着替えていた」ことを明かす。
だが、隠館はこれに気付けなかった。
「人は注意深くなければ気付けないことも多い」とまとめる今日子。
其処へ色原館長がやって来た。
「キュレーターやスタッフが退職してしまったからこそ起こったミスなんですよね」
館長に語りかける今日子。
続いて例の杖の老人が現れる。
彼こそは額縁匠の和久井であった。
額縁匠とは額縁職人のことだ。
此処に『母』の評価額の急変があった。
2億のときは和久井作の特注の額縁。
200万円のときは全く別の額縁だったのだ。
額縁も含めての絵画、今日子はトータルバランスを考慮して評価を付けていたのである。
では何故、額縁が変わったのか?
色原館長は話題の新作用に額縁を発注していた。
だが、サイズを間違えてしまった為にP120号サイズではなくF120号で発注してしまった。
その差は18.3センチにもなる。
慌てて代用の額縁を揃えたが、豪華さに欠ける。
其処で完成度の高い和久井の額縁を転用したのだ。
しかし、和久井の額縁は『母』の為に作られたもの。
その転用は冒涜であった。
これに陸が気付き、事情を聞かされた和久井が怒鳴り込んだのだ。
そして隠館と和久井が揉み合う内に損壊してしまったのだ。
結局、色原は幾つもの企業から賄賂を受け取っていた為に解雇されることとなった。
とはいえ、隠館は絵を守れなかったことを悔い、解雇を受け入れた。
一方、今日子は隠館が一計を案じたことを見抜き、好意を察した上で拒否してしまう。
隠館はそんな今日子に「淋しくないか」と呼びかけるのだが、それでも今日子に拒否されてしまった。
意気消沈する隠館。
そんな隠館に和久井から連絡が入る。
なんと、今日子と共にアトリエ荘に来て欲しいらしい。
早速、向かったところ和久井が血塗れで倒れていて―――4話に続く。
<感想>
ドラマ原作は西尾維新先生『掟上今日子の備忘録』シリーズ(講談社刊)。
ちなみに『月刊少年マガジン』では浅見よう先生によりコミカライズされています。
そのドラマ版3話です。
今回は「何故、今日子の評価額が急変したか」また「和久井が何故、激怒したか」との「ホワイダニット」でした。
絵画でなければそれを飾るもの……ということで早期に額縁がポイントになることを気付いた方も多いのではないでしょうか。
それにしても、まさに今日子自身が意図せず謎を創出し、その解答にも最初から辿り着いていたワケですね。
「トータルバランス」や「先入観」などと言った形で解答が提示されていました。
流石は「最速探偵」、始まった時点で既に解答は出ていたことに。
また、隠館は今日子の観察者と言えそうです。
そして、今日子にとっては同じ一日を何度も繰り返しているのと同じような物。
つまり、『七回死んだ男』や「リピートアフターミー」などある種のループ物と同じ。
隠館は何度もアタックを繰り返し最適解を見出すことも出来るかも……と思いきや既に急接近してますね。
意図せず、今日子の本質に近付いていると言えそうか。
・『七回死んだ男』(西澤保彦著、講談社刊)ネタバレ批評(レビュー)
・「リピートアフターミー」最終話(第9話)「リピートアフターミー」(ヤマモトマナブ作、マッグガーデン刊「月刊コミックブレイド 12月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)
次回も引き続き和久井や陸が登場する様子。
次回にも期待!!
◆関連過去記事
【ドラマ版】
・「掟上今日子の備忘録」第1話「僕が恋した白髪の美女探偵…寝たら記憶を無くすので難事件も1日で解決致します」(10月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「掟上今日子の備忘録」第2話「忘却探偵に恋の罠…水泳選手殺しの犯人は今日子さんの恋人!?」(10月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)
【コミカライズ版】
・「掟上今日子の備忘録」第1話(西尾維新原作、浅見よう画、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年9月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「掟上今日子の備忘録」第2話「隠館厄介A」(西尾維新原作、浅見よう画、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年10月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「掟上今日子の備忘録」第3話(西尾維新原作、浅見よう画、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年11月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・西尾維新先生「傷物語」がアニメ映画化決定!!
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すいません、今回のコメントは警備員(警備会社)からしたら非常に腹立たしい内容だったため、その観点のために恐らく見苦しい内容の為、コメントを拒否されたい時はそれを理解し、また先に謝罪させていただきます
厄介が館長の言葉で解放したのは問題行為です
警備員でも手に負えないほどの武器所持・格闘家みたいな大男でもなく、あれだけ暴れているってことは絵だけでなく周囲の客にも被害が及ぶ可能性があるのだから館長の言葉を無視して取り押さえるべき
落ち度が100からオマケして90程度になるだけで、仕事を舐めているレベルじゃありません
更にこれは、絵の修繕費は警備会社が補償するはずです
クビになって当然
それどころか、厄介の落ち度が酷すぎるため、教育担当なり主任や、会社の美術館担当にだって降格や解雇(中小クラスの警備会社なら本当にそのくらいあり得る)並みの大きな責任を取らされてもおかしくなく、むしろ主任や同僚からしたら給料や仕事を奪われるミスをした馬鹿新人であり、顔を出しながら誰も文句を言わず対応する主任と元同僚は仏です
理由を判明させても、結局下らない判断で仕事を放棄したので解約はあの館長でなくても当然の判断です
そして、言い分があるのなら正式に抗議すればいいのに暴動、器物損壊に及んだ和久井
和久井は立場も発言力もあるだけに訴えられないし、厄介は絵の作者を第一に言うのはふざけているとしか思えない
そして、警備会社側の不遇が描かれない、ご都合主義にむかっ腹です
現実に厄介の警備会社の所属自体がまずありえないんですがね
警備員は、前科や借金歴、仕事歴も働く前に調べます。
トラブル続きの彼が入れることなどありえません
よくある退職した人が再就職しても、その人は綺麗な経歴でなければ入れないので、ミステリーで現実ではありえないのに指摘されない「前に問題があった人が入れる」とか、警備員ならちょっと怒りたいです
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
やっぱり、専門家やその職業のプロの方からするとドラマの設定に違和感を持たれることもあるんですね。
今回の場合、あの登場人物には職務上で順守すべきルールがあった。
それが疎かにされた上に作中で咎められることなく認められていたとすれば、実際を知っている方からすると確かに気を落ち着けて視聴出来ないかもしれません。
言わば、それは管理人にとってのモヤモヤポイントと同じでしょう。
だとすれば其処が譲れない点になるのも理解出来ます。
折角のドラマなので気軽に楽しく視聴したいところですが、そうなるとたとえフィクションと言えど素直には楽しめませんよね。
此の点、難しいところですね。