2015年11月08日

土曜ワイド劇場「新ヤメ検の女 〜情熱弁護士&機関銃トークのクセ者検事!水と油のNEWコンビが挑む復讐殺人と青い蝶の謎〜」(11月7日放送)ネタバレ批評(レビュー)

土曜ワイド劇場「新ヤメ検の女 〜情熱弁護士&機関銃トークのクセ者検事!水と油のNEWコンビが挑む復讐殺人と青い蝶の謎〜」(11月7日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<あらすじ>

葵あかね(賀来千香子)は、検察庁を辞めて弁護士に転身した“ヤメ検”。利益を求めず国選弁護を専門に引き受けると心に決め、心機一転、家賃タダのプレハブ小屋に事務所を移転するなど、一本気で志の高い女性だ。あかねをサポートするのはかつての依頼人で、あかねを「姐さん」と慕う元ヤンキーで、今は小劇団の女優をしている矢吹真緒(雛形あきこ)。大家の奥本健三(竜雷太)もちょくちょく顔を出してはあかねたちの世話を焼く。

新体制となった葵事務所で最初に引き受けた案件は、阿部泰子(りりィ)による尾関紗理奈(多岐川華子)殺害事件。居酒屋チェーン『友民亭』の清掃スタッフだった泰子が、お客様相談室勤務の紗理奈を果物ナイフで刺殺。凶器を手にしたまま交番に出頭した泰子は、清掃について紗理奈から叱られたことを恨んで殺したと自供していた。
泰子に接見したあかねは、視線を合わせようとしない泰子の態度を不自然に思う。また、捜査に関わる若手刑事の野瀬(市川知宏)は、泰子が同じ銘柄のハンドクリームを2つ所持していたことがひっかかっていた。さらに、あかねと逆の立場から事件を扱う検事の剣崎十志男(川平慈英)は、「被疑者は左手で刺したあと、凶器に付いた指紋を拭き取ってから、右手に凶器を持ち替えて交番に出頭した」という警察の不自然な見解をこっそりあかねに伝えてくる。
剣崎はあかねと司法修習の同期生。組織に属する切れ者ながら、口数が多く本人が言うところのユーモアは誰にも通じない、あかねにとって敵か味方かさっぱりわからない変わり種だ。ただ分かっているのは、剣崎も泰子の犯行を疑っているということ。剣崎から内緒で捜査資料一式を受け取ったあかねは、泰子の真犯人説を覆す証拠探しを始める!
泰子は26年前に結婚し娘を一人もうけるも、夫の暴力から逃れるように離婚。その娘の梨花(前田希美)も2年前に事故で亡くなり、現在は独り身で質素な生活を送っていたという。
一方の紗理奈は、高級ブランド品を身につけたりホストクラブに通ったりと、居酒屋の給料に見合わない派手な暮らしを送っており、不倫相手の上司、飯塚誠(宮川一朗太)からお金をもらっていたとの噂があった。
また、お客様相談室の同僚の話では、半年程前に紗理奈を指名する脅迫まがいの電話があったという。
そんな中、紗理奈がホストクラブでいつも指名していたアキラ(山口翔悟)が突然姿を消す。また、剣崎の調べで、2年前に亡くなった梨花が友民亭でアルバイトをしていた事実が判明する。当時、本社から管理者として派遣されていたのは、なんと紗理奈だった!
(土曜ワイド劇場公式HPより)


では、続きから……(一部、重複アリ)

葵あかねは検事から弁護士に転身した、いわゆる「ヤメ検」である。
あかねは弱者救済をモットーに今日も多くの人々を救っている。

あかねの今回の依頼者は阿部泰子。
泰子は大手居酒屋チェーン『友民亭』の清掃スタッフであったが、同社のお客様相談窓口を担当していた尾関紗理奈を殺害したとされていた。
泰子が出頭したことで事件は解決したと思われていたが、あかねは泰子の犯行を不審に思う。

同じ頃、泰子の担当検事となった剣崎十志男もその犯行を疑問に思っていた。
紗理奈の傷口からは「凶器が左手に持たれていた」と思われたが、実際に検出された指紋は「泰子の右手のものだけ」だったのだ。
すなわち、泰子は左手で凶器を手にし紗理奈を刺殺した後に、指紋を拭い右手で持ちかえたことになる。
明らかに不自然だ。

あかねと司法修習の同期であった剣崎は真実を明らかにすべく立場を超えて共闘を約束。
密かにあかねにこの疑問を教えることに。

あかねは泰子の背景を調査。
泰子は26年前に結婚し1人娘・梨花をもうけるも、夫からDVを受けて離婚。
当の梨花も2年前に事故死し、孤独に暮らしていた。

紗理奈はと言えば給与に見合わぬ派手な生活ぶりで上司の飯塚誠と不倫しているとの噂さえあった。
さらに、紗理奈はホストクラブのアキラと懇意にしていたらしい。

その翌日、あかねは『友民亭』の事務員・井坂英子と出会う。
何やら影のある英子を不思議に思うあかねだが……。

そんな中、梨花が『友民亭』でアルバイトしていたことが判明。
しかも、その上司が紗理奈であった。
どうやら、紗理奈が梨花にアルバイトの職責以上に責任を負わせたことが事故の原因らしい。
つまり、泰子には紗理奈を殺害する動機があったのだ。

矢先、アキラが姿を消してしまった。
アキラに注目したあかねは、彼が梨花の元恋人であったことを突き止める。
その数日後、当のアキラが何者かに殺害されてしまった。

紗理奈殺害とアキラ殺害に関連があると考えるあかねは若手刑事の野瀬から「泰子がハンドクリームを2つ所持していたこと」を教えられる。
何か意味があるのだろうか!?

さらに、梨花の友人・嶋村未久から彼女の死が事故ではなく、紗理奈により精神的に追い詰められての自殺であったことが明らかに。
また、梨花が「モルフォ蝶」が好きであったことも教えられる。

英子と再会したあかねは英子から「モルフォ蝶」の話を聞き驚くことに。
英子は泰子とも顔見知りで、彼女から教えて貰ったらしい。
どうやら、泰子は梨花の好きな蝶の話を明かすほど英子に心を開いていたようだ。

一方、『友民亭』に横領事件が発生していたことも判明。
なんと、その金額3億円らしい。
これも紗理奈やアキラの死に関連しているのか!?

直後、剣崎から紗理奈やアキラが「レイナ」なる人物が運営するブログを頻繁に閲覧していたことを教えられる。
レイナはかなり贅沢な暮らしを送り、その様子をブログにアップすることで多くの人々から支持を得ていた。
そのレイナの写真を目にしたあかねは大いに驚くことに。

数日後、レイナの前にあかねと剣崎が立ちはだかっていた。
2人はレイナが横領犯であり、紗理奈とアキラを殺害した犯人と告発する。
レイナの正体は変装した英子であった。

孤独を感じていた英子は会社の金を横領し、レイナとして華やかな自分を演出していたのだ。
ところが、これを紗理奈に知られ口封じに殺害。
その現場を泰子が目撃し庇ったのである。
さらに、アキラにも脅迫された為にこれも口封じに殺害したのだ。

では、どうして泰子が英子を庇ったのか?

紗理奈を梨花の仇として恨んでいた泰子は「自分に代わって復讐してくれた」と考えた。
実は、英子は紗理奈殺害時にハンドクリームを現場に残しており、泰子はこれを自身の所持品と偽装することで彼女を庇おうとしたのだ。
2本のハンドクリームは泰子と英子の品であった。

いや、それだけでは無かった。
以前、泰子が荒れた手を眺めていたところを英子にハンドクリームを塗って貰ったことがあったのだ。
そのハンドクリームは奇しくも梨花と同じ物であった。
泰子は英子に梨花を重ねて庇ったのである。

これを知った英子は1人では無かったと知り、泰子に感謝すると共に罪を償う決心をするのであった―――エンド。

<感想>

「ヤメ検の女」がシリーズ第6弾にてリニューアルされました「新ヤメ検の女」の開幕です。
引き続き原作なし、オリジナル作品。
なお、この変更に伴いあかねを除くレギュラーキャストが一新されました。
また、「フィギュアグランプリ2015」により21時30分から放送されています。

早速、感想を。

きっと英子は何処かで誰かに認めて貰いたいとの承認欲求を抱えていたのだろう。
それを埋めてくれたのがレイナブログだったのだろうなぁ……。
おそらく変身願望もあったのだと思う。
片や泰子も孤独を抱えていたし、この2つの孤独な魂が出会ったことは何かの計らいだった筈。
もっと早く泰子と出会えていれば、いや、互いに気持ちを伝えていればもっと良い結末を迎えることも出来たのかもしれない。
此の点、なかなかに余韻を残す作りでした。

此のテーマ、かなり興味深いだけにもっと掘り下げて欲しかった。
「フーダニット」は早々に切り上げて中盤から英子と泰子の心の交流の物語に切り替えても良かったほど。
むしろ「倒叙物でも面白くなったのではないか」と思うと勿体ない。

また、他にもいろいろと気にかかる点が……いや、正直に述べると不満が残る点があった。

注意!!
此処から管理人の愚痴が始まります。
久しぶりながらのアレです。
目にすると不快になる恐れがあります、気を付けられたし!!
また、あくまで本日このときの管理人の主観に基づくアレとご理解ください。


何と言っても、一番はもはや新シリーズと言っても良いほどの変化だろう。
リブートではなく、いっそのこと全く別の新シリーズにした方が良かった気もする。
なまじ、これまでの「あかねのイメージ」が残っているだけにいろいろ気になって仕方がない。
これまでの本シリーズを知っている人ほど困惑するところが大きかったのではないか。

また、驚くぐらい意味の無いアイテムやワードが多過ぎ。
「五種の胃薬(紗理奈の所持品)」や「ポケベルの語呂合わせ(野瀬が指定したコインロッカーのパス)」や「お茶で困る(アキラの存在を示唆もそれで終わり)」とか全く本編に関わらないし……。
これらが後の伏線になるかと思ったのに放置かぁ……。

だったら、そもそも使う必要が無いような。
現にあらすじをご覧頂ければお分かりの通り、端折っても全く不都合ないし。
と言うか、脅迫すら辞さない神経を持つ紗理奈が「五種の胃薬」を所持していた方が驚きだ。
これ何か真実が隠されているのではないか!?

「モルフォ蝶」はと言えば確かに泰子と英子を繋ぎはしたがかなり細い線だったし。
どちらかと言えば「レイナブログ」1つで強引に物語を畳んだと言えなくもない。
その割に最重要の「レイナブログ」の登場が残り30分を切ってからなんだもんなぁ……。

それと、何だか無理矢理登場キャラを増やしているようにも見えた。
これについては諸事情あると勘案するが、それにしても視聴者の立場からでは首を傾げる。
ただ、役者さんは好演されていたと思う。

また、此処からは完全に管理人による独断と偏見による考察となるが、本作は「最初と最後が決まっていて間を埋めた感じ」。
「泰子による紗理奈殺害疑惑から始まり、英子が横領犯かつ真犯人でレイナブログが決め手となる結末」がある、これを大筋とした上で其処に肉付けして行ったような印象。
もしかすると「レイナブログ」ですら後からなのかもしれない。
少なくともそう感じられるほど最初と結末を除き、その間が浮いていた。

いっそのこと、レギュラーと見せかけて掟破りの「矢吹真緒犯人」とか「奥本健三犯人」の方がサプライズはあっただろう。
実はコレ、本シリーズ1作目の構造でもある。
すなわち、不満があった本シリーズ1作目の方が評価は高い。
何だったら、これまでとはパラレルワールドということで「あかね犯人」でも良かったぐらいだ。
それくらいショックだった。

とはいえ、折角始まったリブート作。
次回に期待したい。

ちなみに、次回11月14日は「ゴーストライターの殺人取材」第2弾を予定とのこと。
こちらも注目です!!

「2015年11月14日」の「土曜ワイド劇場」は「ゴーストライターの殺人取材2」が放送予定とのこと!!

でもって、11月24日が「ショカツの女11」となるワケですね。

2015年11月21日の「土曜ワイド劇場」は「ショカツの女11」が放送予定とのこと!!

2015年11月8日追記

一晩経過して本作に対して改めて考えてみたところ「少し思うところ」があったので追記しておきます。

「英子のレイナブログでの豪遊」については「瑞枝が仕事のストレスをボクササイズや腕時計購入で発散していたこと」が伏線と捉えられなくもない。
この視点で見れば本作は「『友民亭』の従業員たちが会社から適切なフォローを受けられなかった為にストレスを抱えイジメや横領が発生し、結果として殺人にまで発展した」との「企業の従業員への適切なケアがテーマ」と見ることも出来るだろう。
ただ、この視点だとあかねが『友民亭』について全くアクションを起こしていないことが説明出来ないんだよなぁ……。

追記終わり


◆関連過去記事
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<キャスト>

葵 あかね:賀来千香子
剣崎十志男:川平慈英
矢吹真緒:雛形あきこ
野瀬剛史:市川知宏
井坂英子:菜葉菜
飯塚 誠:宮川一朗太
アキラ・山瀬陽二:山口翔悟
尾関紗理奈:多岐川華子
嶋村美久:おのののか
牛島里美:井上晴美
藤塚瑞枝:川村亜紀
阿部梨花:前田希美
田上道明:小木茂光
阿部泰子:りりィ
奥本健三:竜 雷太 ほか
(敬称略、順不同、公式HPより)


「検事はその時」です!!
検事はその時





「女検事ほど面白い仕事はない (講談社文庫)」です!!
女検事ほど面白い仕事はない (講談社文庫)



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この記事へのコメント
自分も同意見です。
ミスリードや無意味な伏線が多過ぎて、視聴後がすっきりしない印象が強いですね。
飯塚誠の意味ありげな電話は何だったのか、結局横領はしていたのかしてないのか?
部下を虐めていた嫌な上司の牛島里美のその後とか、モヤモヤが残る登場人物が多過ぎます。

自分は悪人や腹に一物抱えている人物がミスリード役で、最終的にその人物だけが逮捕もされず罰も受けずに終わるという結末が大嫌いなのですが、今回はまさにその典型でした。
昔は良くあったんですよね、遺産争いが動機の主軸の2時間サスペンスで他の遺産相続者が軒並み死亡&逮捕されて一番性格の悪い銭ゲバの親族が遺産丸ごと手に入れて一人勝ちなんてのが。

アキラの設定や行動も拍子抜けでした。
アキラが梨花の恋人だったという伏線は何だったのか?
意味ありげな設定にして結局ただの脅迫者だったのは残念すぎます。
あれなら脅迫者のお約束の逆パターンで、いかにも金に目が眩んで自滅する脅迫者のように見せかけて、実は恋人の梨花の復讐をする為に動いていたとか脅した金は梨花の親の泰子に渡していた、みたいな話にした方が捻りがあって良かったのではと思います。

このアキラの元彼設定もそうですが、全体的にその場その瞬間だけのミスリードばかりに執着していて、事件が全て終った後の整合性や読後感を考慮していませんね。
それが一視聴者として、一番残念に思います。
Posted by 翔丸 at 2015年11月08日 04:37
Re:翔丸さん

こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!

確かに、本作はもう少し登場人物を絞った方が物語的により面白くなったような気がしますね。
また、ミスリードも「ある程度ならば作品に貢献」しますが、度を過ぎると作品の整合性を乱しかねない「諸刃の剣」だと言えそうです。
これまた「どんでん返しが多過ぎる場合」も然り。
敢えてコレを狙うこともあるとは思いますが、少なくとも本作の場合は効果的とは言えなかったように思います。

個人的には虚しいラストもアリと言えばアリかも。
心情的に受け入れ難い場合もありますが、敢えて狙ったラストだった場合はいろいろ考えさせられることもありますし。
ただ、狙っての結末ではなく「説明不足の結果だった場合」は仰る通りスッキリしませんね。

折角のシリーズなので次回に期待したいところです。
Posted by 俺 at 2015年11月08日 21:02
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