2015年11月08日

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第47話「ミステリアスな死」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第47話「ミステリアスな死」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

第47話登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪。幽霊となって戻って来た。

緑川楓:蛍のクラスメート。実は少女探偵であった。
逸見:楓の知人の刑事。

赤沼茂樹:工学部の院生、ミステリーマニア。
広重将美:赤沼の同期、テレビで一躍大ブレイクを遂げた著名人。

これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。

<ネタバレあらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

高校生になった赤木蛍は行方不明となっていた兄・圭一と思わぬ形で再会を果たすことに。
なんと、圭一が幽霊として蛍のもとに戻って来たのだ。
しかも、圭一は悪意が関わる事件を察知し悪意を消滅させる能力を手に入れていた。
だが、圭一は現世に介入することが出来ない。
これでは折角の力も無意味である。
其処で圭一から協力を求められた蛍は、兄妹で力を合わせ1人でも多くの人を助けるべく動き出すことに。

・前回までのあらすじはこちら。
「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第46話「ザ・ボディーガード2」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

その夜、流星群が去って行くと同時刻のことである。
マンション屋上から銃声が響き、1人の男性が流星のように地上へ転落した。

転落した男性の名は赤沼茂樹、大学工学部の院生。
だが、彼の死因は転落死では無かった。
眉間に鉛玉を撃ち込まれたことによる射殺だったのだ。

凶器が拳銃であることから事故は無い。
此の場合、状況は自殺と他殺が考えられた。
しかし、捜査に乗り出した逸見は首を傾げることとなった。

屋上の扉には屋上側から鍵がかかっており、何者かが逃げた痕跡はない。
弾から推測される銃は狙撃用の物ではなく、せいぜい有効射程は20メートル。
また、現場の屋上に比肩する高さのビルは付近に存在しない。
当然、遠距離狙撃も考えられない。
此の時点で他殺は考えづらい。

かといって、凶器と思われる拳銃は屋上にもマンション付近にも見つからない。
これでは自殺も考えづらい。

果たして、赤沼はどのようにして死を迎えることとなったのか!?

その翌日、この事件について蛍に協力を依頼する楓の姿があった。
逸見に依頼されたこの難事件を共に解決しようと語る楓だが……。

とりあえず楓の協力要請を引き受けることにした蛍。
ところが、現場で楓ともども逸見に叱られてしまう。
どうやら、楓は逸見に依頼されておらず、手柄を欲して独断で調査に乗り出したようだ。
結果、蛍はこれに巻き込まれたことになる。

やっぱりね……と心の中で納得する蛍だが、その視線が霊体となり彷徨う赤沼を捉える。
そうだ、赤沼に事情を聞けば良いのだ!!

早速、圭一に事情を聞き出すよう頼む蛍。
しかし、圭一によれば赤沼とコミュニケーションが成立しないらしい。
それどころか避けられている節があるそうだ。
それは死を認められていないのか、それとも眉間を撃ち抜かれた故に混乱しているのか。

もっとも確実な方法を失った蛍だが、赤沼の死の真相を明らかにすべく動き出した。

まずは現場を捉えた映像が無いか調べることに。
周辺の防犯カメラ映像などを片っ端から当たって行ったところ、当夜が流星群だったことが判明。
これを撮影する為にマンションの屋上付近を写した写真を発見する。
其処には降り注ぐ流星群を背景に、何か円盤のような物がマンションから飛び出す光景が残されていた。

一方、楓はと言えば赤沼の周辺を調べていた。
赤沼は工学部の院生であったが、影が薄く実力がありながらも手柄を他人に奪われるなど不遇だったらしい。
特に同期でテレビで一躍大ブレイクを果たした広重将美とはあまりに対照的な為に比較されがちだったそうだ。
そんな赤沼の唯一の趣味と言えば「ミステリー小説」、かなりのフリークだったそうだが……。

矢先、広重宅の庭から凶器と思われる拳銃が発見、容疑は広重へ向かう。

だが、これを聞いた蛍は入手した写真の意味に気付く。
円盤と思しきソレを拡大してみたところ、正体はドローンであった。

蛍は赤沼が工学部の院生であったことから予めプログラムを入力したドローンを用いて自殺したと推理。
赤沼はマンションの屋上に移動すると、拳銃を固定したドローンの引き金を引き自殺。
ドローンは入力されたプログラムに従い、屋上を離れ広重宅へ。
其処で拳銃を切り離すと何処かへと移動したのだろう。
おそらく、人知れず海にでも没している筈だ。

つまり、蛍は「赤沼が華やかな広重に罪を着せるべく自殺した」と考えたのだ。
ところが、これに楓が反論する。

もしも、その間に広重にアリバイがあったらどうするのか?
そんな不確かなことに自身の生命を懸ける筈がない、と。
さらに、赤沼ではなく他者がドローンを利用した可能性についても触れだした。

なるほど、楓の指摘はもっともである。
これに困惑する蛍、そっと赤沼の霊体に目を向けるが……。

「いや、もう十分。それだけ見抜かれてしまえばどうしようもない」
赤沼は蛍の推理の正しさを認めるや、何やら満足そうに微笑んでいるではないか。

赤沼によれば広重の件はおまけに過ぎず、あくまでも「影が薄く注目されなかった自身が、せめて最後だけは注目を集めたいとの動機で行ったことだった」と言う。
また、ミステリーフリークとしての集大成でもあったようだ。

えっ、そんな理由!?と呆気に取られる蛍を前に何度も頷く赤沼。

「いや、マニアとしては満足したよ。何しろ、2人の美少女探偵が謎に挑んでくれたのだから」
そう言い残すや、未練を断ったのかあっさりと昇天してしまった。
もちろん、彼の言う「2人の美少女探偵」とは蛍と楓のことだ。

事態に付いて行けず呆然とする蛍と圭一、未だに蛍の推理について指摘を続ける楓。
蛍は「これをどう説明しよう」と途方に暮れるのであった―――次話に続く。

ネタバレあらすじはまとめ易いように展開などをかなり改変してます。
気になる詳細は「週刊少年チャンピオン」本誌で確認せよ!!

<感想>

「名探偵マーニー」から3ヶ月……我らが木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」に還って来た!!
というワケで、その新作「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」です。
1巻、2巻、3巻に続き、早くも4巻が発売!!

さて、その47話。
サブタイは「ミステリアスな死」。

赤沼は「犯人」であり、「被害者」であり、「事件の幕引き人」であり、「蛍の推理の判定人」でもありました。
何しろ本人が認めているのですから、これ以上、蛍の推理を保証するものはありません。
此の点、なかなかにエスプリの効いたストーリー。

また、今回は「どうやって赤沼が死を迎えることになったか」について「その方法」である「ハウダニット」と「其処に至る動機」である「ホワイダニット」が並行して描かれました。
ある種「実現出来るか試してみたかった」的なその動機は、まさに「ミステリーフリークの業の深さ」とでも言うべきか。

同時に「(トリックを弄し、意図せず)結果としてミステリアスな死となった」のではなく「結果としてミステリアスな死を求めた(為に意図してトリックを弄した)」点も特筆すべきでしょう。
原因と結果が逆転しているワケです。

そして、サブタイトルが非常にフェアです。
「ミステリアスな殺害」ではなく「ミステリアスな死」、これにより他殺では無いことを匂わせています。
此の点も好ましいですね。

そして以前に本ブログの記事で取り上げた「ドローン」の意外な使い方もポイントでした。
なるほど、こう言った用い方もあったか。

これでミステリの可能性も広がる!?空を飛ぶ「ドローン」に注目せよ!!

やっぱり、本作は面白い!!
次回にも注目です!!

木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。

木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!

さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。

「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。

衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。

既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。

◆「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」関連過去記事
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「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第46話「ザ・ボディーガード2」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

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これまでの登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪。幽霊となって戻って来た。

獣を連れた男(10人と1匹の獣):圭一の死に関わる人物。獣は殺意のことらしい。
PND(疑われざる者):静香によれば圭一が追っていた謎の人物らしい。獣を連れた男と同一人物なのか?
十二人委員会:警察内部に存在する犯罪者を私的制裁する組織、メンバーは12人居るらしい。
フード男:「十二人委員」の1人。展望台から多くの犯罪者を抹殺した。

死神:黒い影の男の正体。「桐島静香の秘密」「謎の桃園」「騙された死神」「母の父」に登場。

【赤木家とその周辺】
蛍の父:赤木興業の社長。
赤木真知恵:蛍の母。バーのような店を経営している様子。
節:蛍の妹。
和也:蛍の弟。

紀理香:真知恵の姉、長女。
陽香:真知恵の姉、次女。
おじいちゃん:真知恵の父、蛍にとっては母方の祖父。44話で死去。

謎の少年:蛍の初恋相手らしい。11話に登場。
真島慎一:蛍の幼馴染。彼女に恋心を抱いている。9話から登場。

【聖マルス学園関係者】
緑川楓:蛍のクラスメート。実は少女探偵であった。
桃園霧子:「聖マルス学園」2年生とされる謎の令嬢。「謎の桃園」「崖の下の呪い家」「恋する桃園」に登場。
青葉:「聖マルス学園」2年生女子、学園1の天才。
黄多川礼:「聖マルス学園」の女子生徒。実は武闘派。

志田りか:聖マルス学園の生徒。2話から登場。
塞田康平:蛍のクラスの担任教師。割とミーハーらしい。
見場創太:3話ラストに登場した怪しい男。学園の生徒であった。
校長:聖マルス学園の校長。
教頭:聖マルス学園の教頭。
千葉:鐘楼登頂に挑み謎の転落死を遂げた男子学生。
沼代:22話ラストで鐘楼登頂に挑んでいた男子学生。
5人の成功者:過去に鐘楼に登頂することに成功した面々。
五島:5人の成功者の1人だが……。
東条春道:霧子の幼馴染、人気者。
創さん:「聖マルス学園」の成績優秀者。
野間:「聖マルス学園」の成績優秀者。
郷里良子:「聖マルス学園」の女子生徒。「ザ・ボディーガード」に登場。
垣木:「聖マルス学園」の女子生徒。柔道部の猛者だが……。「ザ・ボディーガード」に登場。

【警察関係者】
緑川宗達:楓の祖父。推理能力に長けた名刑事として有名らしい。
逸見:楓の知人の刑事。
桐島静香:圭一の同期であるキャリア。現在は警察署長に。
大島:南具署の刑事。
光芝:圭一と静香の同期。
久毛山:圭一と静香の同期。
紅梅:圭一と静香の同期。
二階堂:警部。白い服の男。静香に想いを寄せていたらしい。
山本巡査長:在りし日の圭一の上司。今は田舎の派出所に勤務している。
蓮宮:県警の担当者。

【その他】
志田高志:りかの兄。りかにストーカーしているとのことだが……。
実山:赤木興業を担当している会計士。
貝塚俊雄:実山会計士事務所の職員。比較的若手。
役丸みつえ:実山会計士事務所の職員。紅一点。
三島:実山会計士事務所の職員。太目。
丸木田:実山会計士事務所の職員。ダンディ。
麻依:貝塚の元婚約者。
緑川宗達:楓の祖父。推理能力に長けた名刑事として有名らしい。
末為良則:12話で遺体で発見される。場津間高校の教師であった。
逸見:楓の知人の刑事。
葉森了:場津間高校の学生。末為の教え子。
葉森美和:蛍が廃病院で出会った女性。了の母で入院していた毛羽病院で落命していた。
間岩:米城警察病院の看護師。
怪物:人中に居ようとも誰も興味を向けない怪物。
大人しい人間:怪物に付き添う不可思議な人影。
栗山将秋:怪物たちが暮らしている部屋の契約者。
三ツ矢:誘拐事件の被害者とされる子供の母親。
満島:節の担任教師。
鏡二郎:呪いの家の過去の所有者。
円卓:「占いの館」の占い師の1人、「ジュエル」を名乗っていた。「緑川楓の誤算」に登場。
蝶野:「占いの館」の占い師の1人、「カラスアゲハ」を名乗っていた。「緑川楓の誤算」に登場。
丹下七郎:携帯ショップの店員、35歳。「騙された死神」に登場。
真利奈:七郎の姪。「騙された死神」に登場。
能美功次:「城町西学園」の成績優秀者。「フックマン」を抱えている。
能美一郎:過去に町止小学校襲撃殺傷事件を引き起こした犯人、当時37歳であった。
三橋:能美一郎と親しかった男性。
赤沼茂樹:工学部の院生、ミステリーマニア。
広重将美:赤沼の同期、テレビで一躍大ブレイクを遂げた著名人。

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