2015年11月10日

「デザイナーベイビー〜速水刑事、産休前の難事件〜」最終話(8話)「母の条件」(11月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「デザイナーベイビー〜速水刑事、産休前の難事件〜」最終話(8話)「母の条件」(11月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<最終話あらすじ>

ノゾミが救世主兄弟であると記者会見で告白した優子(安達祐実)に、世間からは非難の声があがった。一方、山原(斉藤由貴)は警察に追い詰められ、ノゾミを人質に大型ストアに立てこもる。山原は、交渉役となった速水(黒木メイサ)に、ノゾミの兄とならば人質交換に応じてもいいと話す。山原を説得するには、優子が必要だと悟った速水は、与那国(松下由樹)にその許可を願い出る。そして、優子が事件現場にやってきた。
(公式HPより)


では、続きから……(一部、重複あり)。

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
速水悠里:妊娠中の刑事。夫・浩介との間には彼の連れ子・雄介が居る。
日村健吾:悠里の上司。
近森優子:新、望の母親。
近森新:優子の長男。
近森望:優子の長女、誘拐被害者。
岸田裕也:トモの夫。
岸田トモ:岸田の妻。優子の赤ん坊を誘拐した。
崎山典彦:優子の担当医。不妊治療に新たな手法を持ち込もうとしている。
須佐見誠二郎:城南大学病院産婦人科の教授、崎山とは対立している様子。
皆本順:城南大学病院産婦人科講師。トータルケアプロジェクトのメンバー。
柊奈留:城南大学附属病院医師。須佐見を尊敬している。
山原あけみ:胚培養室の担当者。
峠緑郎:城南大学病院院長。
峠則孝:峠院長の息子。製薬会社勤務。
有吉久美:城南大学病院院長秘書。

〜〜〜前回のあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

近森優子が出産したばかりの娘・望が岸田夫妻に誘拐された。
岸田夫妻は長年の間、不妊治療を続けようやく子宝を授かっていた。
ところが、須佐見医師が担当した直後に流産していた。
これに対し感情的な行き違いから、岸田夫妻は望を誘拐したのである。

この捜査に妊娠中の速水悠里刑事が加わることに。
何やら病院側の様子を不審に思いながらも捜査を続ける悠里であったが、追い詰められた岸田夫妻は優子に身代金を要求する。

結局、岸田の妻・トモが逮捕され望は保護されることとなったが別の赤ん坊であった。
本物の望はと言えば、峠院長の息子・則孝の手にあったのである。
則孝は峠院長に身代金を要求するが、受渡しに失敗。
追い詰められた則孝は桟橋から望を遺棄したと偽装し久美にこれを託す。

則孝が逮捕され、1人となった久美は崎山を頼る。
崎山の指示に従った久美だが望は皆本の手に。
当の崎山も皆本により殺害されてしまう。

そして今、望は山原あけみの手にあった。

「デザイナーベイビー〜速水刑事、産休前の難事件〜」7話「公開捜査」(11月3日放送)ネタバレ批評(レビュー)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

望は近森夫妻が息子・新の為に皆本と山原あけみへ依頼し用意したデザイナーベイビー(作られた子供)であった。
その狙いは望から骨髄液を新へ移植すること。
それにより新は救われる筈であった。

しかし、それには代償が求められる。
生まれたばかりの望の命である。
山原あけみはこれを阻止すべく、望の居所を掴むとこれを奪って逃げてしまった。
この事実を知った悠里たちはあけみを追う。

一方、あけみの行動を知った近森夫妻は再度の記者会見を設定。
優子が望を返すよう訴える中、近森はこれを否定。
「正直、戻って来ない方が良い」とまで述べる。
近森は望もまた自身の娘であると認めていたのだ。
だが、優子はこれに強く反発する。

この記者会見を目にしたあけみは再度の逃避行を開始。

同じ頃、皆本は崎山殺害など全ての罪を山原あけみに押し付け逃げ切ろうとしていた。
しかも、それだけではない。
並行して望の創造主として学会に君臨しようとしていたのだ。
崎山殺害の容疑から逃げるべく、皆本は院長代理となった須佐見に助けを求めるが……。

須佐見はあっさりとこれを拒否、逆に罪を償うように訴える。
あくまで逃げようとする皆本だが、証拠が出たことから
こうして、皆本は逮捕されることに。

逃亡中のあけみは追い詰められ、遂に立て籠もり事件を起こしてしまう。
これに交渉を持ちかける悠里、あけみは望と新の人質交換を申し出る。
この申出を聞いた優子は自らあけみとの対決に足を運ぶ。

此処に望を作ったあけみ、望を生んだ優子、望の2人の母親が対峙することとなった。
さらに悠里がその場に立ち会うことに。

悠里の胸には切り札が2つ。
1つ目は「あけみの父に関する情報」。
2つ目は「あけみが卵子をラボに保管していたが3日前に消えたこと」。
果たして、悠里はあけみも優子も救えるのか!?

そんな中、いよいよあけみを眼前に捉えた悠里と優子は対話を開始する。
優子はあけみを威圧するが、あけみは毅然と立ち向かう。

此処で悠里は切り札を切る。
1つ目の「あけみの父に関する情報」である。
山原あけみの父は遺伝性の神経変性疾患であった。
そして、あけみ本人にも父から遺伝した疾患があったのだ。
だからこそ遺伝性疾患を憎み、皆本に協力しゲノム編集に手を貸した。

全ては上手く行く筈であった。
ところが、望の誘拐事件を皮切りに想定外の出来事が重なることに。
状況はどんどんと悪化し、遂には崎山に事態を気付かれることとなった。

皆本は崎山を口封じすべく屋上から突き落とした。
そして、遂には止めを刺したのだ。

此処で悠里は2つ目の切り札を切る。
すなわち「あけみが卵子をラボに保管していたが3日前に消えたこと」。
3日前とは崎山の転落事件の日だ。

皆本があけみに沈黙を強いるべく、卵子を人質にしたのだ。
遺伝性疾患の強い恐怖に曝されていたあけみは子供を作れなかった。
だが、心の何処かで自身の子供が欲しかった。
いつか自身の子供を作る―――それを願って自身の卵子を冷凍保存したのだ。

ところが、これを皆本に利用された。
其処であけみは罪を悔い、卵子を破棄したのである。
そして、望を連れて逃避行に出たのだ。

しかし、優子にとってそんなことは関係ない。
優子はひたすら望を返すように訴える。

「新を助けられればそれで良いの?望の意志は関係ないの?」
そんな優子に問いかけるあけみ。

「その子は新の家族だから新を助けて当然でしょ!!」
「なら、あなたには渡せない。私にはあの子を守る責任があるの!!」

交渉は決裂し、山原あけみは望と共に死ぬと宣言する。
この言葉に悠里は望が此の場に居ないことを見抜く。
そう、激高したあけみは「この子」ではなく「あの子」と言ったのだ。

人質が居ない―――強行突入が行われ、あけみは逮捕された。

悠里は「望の人生は望自身の物なのだから、望に選ばせる為にもあるべき場所に戻すべきだ」とあけみを説得。
その居所を聞き出すことに成功する。

一方、優子への風当たりは強さを増していた。
これに、須佐見は「優子もまた命の大切さを知った上で選んだことだ」と理解を示す。
さらに、須佐見は骨髄液以外の新の治療法を模索することに。

そんな中、新の容態は悪化の一途を辿っていた。
「望さえ帰って来ればこの子を助けられる」と繰り返す優子に、新はうなされながらも「望は大切な妹だ」と告げる。
新の本意を知り、優子は涙することに。

同じ頃、遂に悠里が望のもとに辿り着いた。
こうして望は近森夫妻と新のもとへ帰って行った。

今回の事件が優子の心境に変化を与えたのだろうか。
骨髄移植は近森夫妻の意志で中止となった。
この結末にあけみは静かに微笑んだのだそうだ。

須佐見は最初から骨髄液の移植を行うつもりは無かったらしい。
だが、何時か望が成長したときにはそれが正解になるかもしれないと述べる。

数日後、須佐見は当事者ではないにも関わらず騒動の責任を取り病院を去ることとなった。
その一方で、城南大学病院にはデザイナーベイビーを願う両親が殺到しているのだそうだ。

とはいえ、悠里にそれを鑑みる余裕はない。
何故なら、新たな事件が発生したかである―――エンド。

<感想>

ドラマ原作は岡井崇先生による同名作品。
過去にネタバレ書評(レビュー)していますね。
とはいえ、ドラマ版はほぼオリジナル展開を見せています。

『デザイナーベイビー』(岡井崇著、早川書房刊)ネタバレ書評(レビュー)

タイトルにもなっている「デザイナーベイビー」の意味は「生まれて来る前に遺伝子に調整を施し両親が望む子供を手に入れる方法」のこと。
此処での調整は「健康」であったり「身体能力の向上」であったりします。
この方法ならば両親が望む子供が得られることに。

この手法は既にSF世界やアニメなどでは一般的となっており、例えば森岡浩之先生「星界シリーズ」(早川書房刊)に登場するアーヴや「機動戦士ガンダムSEED」のコーディネーターなどが挙げられます。

「機動戦士ガンダムSEED」(2002年、日本)

ディスティニープラン発動!!

ちなみに出産を取り扱ったサスペンス系ドラマでは同じNHK系火曜22時枠にて海堂尊先生原作ドラマ「マドンナ・ヴェルデ」も放送されています。

『マドンナ・ヴェルデ』(海堂尊著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)

NHKドラマ10「マドンナ・ヴェルデ」第1話(第1回)「希望の卵」(4月19日放送)ネタバレ批評(レビュー)

では、ドラマ版最終話の感想を。

特別な出生ゆえに流されて行った望。
彼女は兄・新の為に作られた存在、遺伝子書き換えにより生まれました。
言わば、近森夫妻の「新を助けたい」との願望そのもの。

そんな彼女は岸田トモから始まり、峠則孝、有吉久美、崎山典彦、皆本順、山原あけみと数多の手を経ることに。
実は彼女は全ての人にとっての望みでもありました。

岸田トモにとっては得られなかった子供。
則孝にとっては得られなかった愛情。
久美にとっては則孝との間の絆。
崎山にとっては夢の結晶。
皆本にとっては自身の最高傑作。
そして、山原あけみにとっては……。

そんな望自身の望みがようやく叶えられることに。
それは彼女と血縁で繋がる両親や兄の存在、ようやく本来在るべき場所に辿り着いたのです。
一方で悠里、優子、あけみによる3人の母性がぶつかり合う最終話でもありました。

優子は新のために。
あけみは望のために。
悠里はまだ見ぬ子供を抱え、事件解決のために。

それぞれがそれぞれの立場で向き合いました。

創造主として何時の間にか望の母となっていたあけみ。
望はきっと彼女が手にすることが出来なかった子供なのでしょう。
だから、あけみは冷凍卵子を捨ててでも彼女を救おうとした。

そんな彼女の訴えが優子の心に少しでも影響を与えたのだとしたら……彼女の行動も無駄ではなかった筈です。
ただ、行動こそ問題でしたがあけみの危惧はかなり正当な物だっただけに「望のことは望が決めること」との結論は些か人を選ぶかもしれませんね。

何しろ、あの時点では望は本人の意志に関わらず骨髄移植を強制されようとしていたのだし、そもそも意思表示が出来ない。
加えて命の危機にあった以上、親元から引き離すことは虐待児童を救う「緊急避難」とも取れる行動だったワケで。
ただ、あけみにはその法的根拠が備わっていない行動だったことが問題だった。

ところが、悠里はこの根本的な「望の命の危機」を解決せずに親元へ返しちゃったワケなので。
まぁ、これも悠里の職分から考えればその通りなのですが、折角のドラマなのでもう少し能動的に動いても良かった気がしないでもない。
特に、母性を強調するならそれこそ優子へもっと働きかけても良かった気も。
何しろ優子は実際に望を出産している、此の点を強調して説得するとかだったらもっと3者の立場を強調しつつ議論が深まったと思うのだけど。
此処まで割とバリバリ動いていた悠里なのになぁ……些かさらっと流してしまった印象あり。

また、これまでは優子が「新と望のどちらを選ぶのか」的な展開になっていただけに幾ら新の言葉があったとはいえ「両方を選んだ」のもちょっと不可思議な感じかなぁ……。
「優子もまた望に対して密かに苦悩していた」ということなのでしょうが、そもそも「どちらも大切な我が子であり、どちらを選ぶかが問題では無い」のは至極当然のこと、其処を最終話まで引っ張ったからには別の結論があるかと思っていたのだけど。
だからこそ、この結論になるからには誰か第三者の指摘が必要な筈で、これを悠里が指摘して優子が翻意することに繋がるかと思いきやそうでもなかったしなぁ。
此の点で、もう1つあれば……と思ったり。

さて、驚くべきことにこのドラマの世界は決してフィクションではありません。
なんと、現実でも2015年11月6日に「世界初、英国にて1歳女児が遺伝子操作細胞で白血病を治療した」として世を賑わせたのです。
これは白血病細胞を攻撃、死滅させる細胞を人為的にデザインしこれを撃破したとの内容だそうです。
もしかすると、我々が知らないだけで望もすぐ其処に居るのかもしれません。

◆関連過去記事
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