<あらすじ>
ある日、笠木法律事務所に1本の電話が。電話の相手は女性で人を殺したと言う。弁護士の富永優美子(羽田美智子)と笠木一子(杉田かおる)は急いで事件現場に駆けつける。
殺害現場には、ソファに座り呆然としている香川安子(遠藤久美子)がいた。安子は京都にある一之瀬ホテルの社長・一之瀬真央(原田夏希)の秘書だ。現場は一之瀬家の自宅キッチンで、一之瀬ホテルの常務で真央の夫・貢(津田寛治)が胸に包丁を刺され息絶えていた。
安子は調理中に貢に襲われ、咄嗟に刺してしまったと打ち明ける。
優美子と一子の旧知の仲の刑事・小金井研四朗(山田純大)が捜査を開始。すると、凶器の包丁は真央が購入したもので、真央は貢に高額の生命保険を掛けていたこと、ホテルの経営が行き詰まっていたことが判明する。
真央が保険金を目当てに貢殺害を安子に依頼したのではないかとの疑惑が浮かび、警察が真央の取り調べを始めると、真央は優美子を弁護人に指名する。
一方、安子の両親がかつて一之瀬家に住み込みで働いていたことが明らかになる。その両親は20年前の不審火で亡くなり、その後、高校・大学まで通わせてくれた一之瀬家と真央に対し、安子は幼い頃から頭が上がらない立場だった。
そんな安子の弁護は一子が担当することになり、貢殺害事件を巡り、優美子と一子は容疑者2人をそれぞれの立場から弁護することになった。
法廷で優美子と真央、一子と安子が顔を揃え、緊張感に満ちた審理が始まった。一之瀬家の家政婦・佐藤朋美(松井紀美江)や運転手・村上正吉(中西良太)が証言に立ち、真央と安子、貢についての新しい事実が次々と明らかになるが、真央と安子の発言が二転三転して、謎は深まるばかり・・・。
事件の夜キッチンで何が起こったのか?優美子と一子は、関係者たちの心情に寄り添って、丁寧に真実を解きほぐしてゆくのだが・・・。
(公式HPより)
では、続きから……(一部、重複アリ)。
笠木一子と徳永優美子は同期の弁護士である。
優美子は元居た事務所を誤解から追われ一子が経営する笠木法律事務所に転がり込んでいた。
以来、時に揉め、時に協力しつつ二人三脚でやって来た。
そんなある日、笠木法律事務所に依頼の電話が入った。
依頼人は香川安子なる女性で、一之瀬ホテルの経営者・真央の秘書であった。
安子によれば一之瀬家のキッチンでカレーを作っていたところ、真央の夫・貢に迫られ身を守るべく刺殺してしまったのだそうだ。
これを聞いた一子は安子の正当防衛を主張し、その弁護を引き受けた。
一方、真央自身に貢殺害の動機があることが判明。
最近になって貢に多額の保険金が掛けられていたのだ。
一之瀬ホテルは経営難に陥っており、貢に掛けられた保険金は大きな救いになる筈であった。
しかも、凶器に用いられた包丁は真央が購入した物だったのだ。
さらに、安子と両親が一之瀬家の使用人だったことも明らかに。
安子の両親は20年前の不審火で焼死しており、天涯孤独になった安子を真央たちが援助していたのだ。
安子は真央の支援で大学を卒業し秘書としての仕事を得ていた。
周囲によれば、安子は真央に頭が上がらないらしい。
加えて、安子自身の供述と実際の犯行現場の状況が異なることも判明。
貢の利き手から安子の供述通りでは包丁を手に出来なかったのだ。
こうして、真央が安子に命じて貢を殺害した保険金目的の犯行の疑いが浮上。
無実を訴える真央は優美子を弁護士に指名する。
互いに1つの事件で異なる被疑者の弁護を引き受けた一子と優美子。
一子としては正当防衛が無理ならば真央を主犯として少しでも安子の罪を軽くしたい。
優美子としては真央が事件と無関係であることを立証しなければならない。
2人は利害関係から袂を分かつことに。
いよいよ公判が開始。
安子の希望により真央と同じ法廷での審理となった。
まず、検察側は「貢の刺し傷が2回に及んでいたこと」から安子の正当防衛ではなく殺意があったことを立証する。
正当防衛ならば止めを刺す必要が無いからだ。
一子は忽ち不利に追い込まれた。
一方、優美子は真央が包丁を購入した理由が「普段、あまり料理をしない真央が慣れない包丁に戸惑った為」と指摘。
さらに、保険金目的の犯行に関しても別のスポンサーから資金を確保する予定であったことを立証する。
そもそも料理を作ろうと志したのもこのスポンサーの為であった。
これにより、優美子は真央に動機が無いことを証明したのである。
ところが、直後に安子が「真央に指示され貢を殺害した」と主張し大混乱に。
真央は窮地に追いやられてしまった。
だが、この様子を見ていた一子は安子の行動に不審を覚える。
何故、最初から真相を明かさなかったのだろうか……。
一子は安子が真央を恨んでいるのではないかと考えるように。
また、優美子は真央から貢と不仲であったことを聞き出す。
原因は4年前の貢の不倫だそうだ。
貢はどうしても相手の名前を明かさなかったそうだが……。
互いに事件に裏があると感じた一子と優美子は休戦し共同戦線を張る。
まず、20年前の安子の両親の焼死事件に注目した一子たち。
すると、一之瀬家の運転手・村上正吉が「焼け跡から通信簿の切れ端を見つけた」と証言する。
その通信簿はオール5となっており、安子に「返して」と迫られたのだそうだ。
これを聞いていた一之瀬家の家政婦・佐藤朋美は「それは真央様の物ではないか」と疑問を口にする。
さらに、貢行きつけの居酒屋を訪れた一子たちは店主から4年前に安子と貢が来店していたことを聞き出す。
しかも、貢の1週間前の忘れ物を確認したところ、中からは「六法全書」が。
しかもしかも、中の「刑法第36条 正当防衛」の項にチェックが入っていた。
真実に辿り着いた一子と優美子は法廷に挑む。
まず、優美子は料理に慣れない真央がスポンサーの為に料理を作ろうとしたことを疑問視する。
慣れない人間の発想では無いからだ。
そう、真央に料理をするよう奨めたのは安子であった。
しかも、この際に包丁を買い替えるよう奨めたのも安子である。
暗に包丁購入を誘導したのだ。
つまり、安子は此の時点から真央に罪を着せようとしていたのだ。
やはり、安子は真央を憎んでいたのだ。
20年前のあの夜、真央は通信簿でオール5を達成出来ず苛立っていた。
其処で夜中に使用人である香川の家で密かに通信簿を燃やしていた。
ところが、これが失火に繋がり安子は家族を失ってしまった。
真央は安子に口止めを命じる代わりに、その後の生活を支援したのである。
真央の過失で両親を奪われた安子は復讐を誓いつつ、じっと息を潜めていたのだ。
続いて、一子が今回の事件が貢による嘱託殺人であったことを明かす。
貢は真央に大金を残す為に安子に殺害を依頼したのだ。
貢の浮気相手は安子であった。
たった1度の関係だったと言う。
貢はその1度の過ちを後悔しており、真央への贖罪の方法を模索していた。
そして見つけたのが正当防衛に偽装し安子に殺害され保険金を残すことであった。
もちろん、安子が素直に従ったワケではない。
必死に拒否したが、貢の決意も堅かった。
安子は仕方なくこれに応じたが、この際に真央への復讐を決意した。
真央を主犯に仕立てることを決め、包丁を購入するよう誘導したのだ。
だが、いざとなって安子に迷いが生じた。
此処で「貢が2回刺されたこと」が重要な意味を持つ。
ぎりぎりになって安子は貢を刺せなかったのだ。
しかし、貢はそれでも諦めなかった。
自ら胸を刺した。
もはや、貢は助からない。
其処で安子が貢に止めを刺したのだ。
「ありがとう、真央を頼む……」
それが貢の最期の言葉であった。
だからこそ、安子はギリギリまで真央への復讐を戸惑っていたのだそうだ。
これが決め手となり、真央は無実となった。
法廷を去る真央に「貢さんを愛していたんですね」と語りかける優美子。
真央は貢を愛していた。
だが、20年前に安子の両親を奪った罪の意識から貢を避け続けたことが悲劇に繋がったのだ。
一方、安子が貢を刺すことを躊躇ったのは「憎しみつつも真央を好きだったから」であった。
無罪となった真央はホテル再建を宣言した。
とはいえ、経営はかなり不安定らしい。
結局、優美子は成功報酬を貰い損ねてしまった。
こうして、優美子は一子のもとへ戻ることに―――エンド。
<感想>
「オバベン 〜京都ふたりの女弁護士〜」シリーズ2作目。
原作なし、オリジナル作品です。
本来は2015年11月16日の放送予定でしたが変更が行われた結果、2016年2月29日の放送となりました。
早速、ドラマ感想を!!
キャストが羽田美智子さんに津田寛治さんに遠藤久美子さんと「警視庁捜査一課9係」を思い起こさせるものでしたね。
物語のテンポも良かった。
ただ、視聴していて最大の謎が残されました。
何故、最初に安子は笠木法律事務所に電話を入れたのだろう?
そもそも何故、安子は笠木法律事務所の存在を知っていたのだろう?
安子が過去に一子たちの世話になったワケでもないし、笠木法律事務所が大手というワケでもない。
てっきり、真央と安子が共謀して攪乱し一事不再理を狙っており、其処で弁護士が2人居る一子と優美子に目を付けたのかと思いきやそうでもない。
本当に謎である。
それにしても貢は酷いなぁ……安子に手を汚させるなんて。
何しろ、正当防衛とはいえ安子に人殺しを強いるワケだし。
また、真央も罪の意識から貢に素直になれなかったようだが、これが貢を突き放して死へ追いやり、結果としてまたも安子に負担を強いたことを考えるとかなり酷い。
結局、安子は貢と真央の犠牲者と言えそうである。
ただ、安子も気になる点が多いんだよなぁ。
まず、安子は真央の秘書でもあるし、スポンサーに料理を振る舞うよう提案したことからも、スポンサーから支援が得られればホテルが苦境を乗り切れることを知っていた筈。
本当に止める気があれば、これをどうして貢に教えて翻意を促さないのか?
それこそ、真央への復讐だったのか?
ところが、ラストによると真央から貢を奪うことには否定的だったようだし。
そもそも、安子は貢行きつけの店にピンポイントで足を運んでいたから、貢との浮気も安子の真央への復讐からかと思いきやどうも違うらしい。
いろいろと気になる点があってどうも腑に落ちないなぁ……。
◆関連過去記事
・月曜ゴールデン「オバベン 〜京都ふたりの女弁護士〜 白装束の遺体がスーツケースの中に!?老舗の旅館の跡取り息子が殺された 犯人は毒嫁?目撃者は左ピアスの男?新コンビが挑む」(6月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)
<キャスト>
富永優美子:羽田美智子
笠木一子:杉田かおる
熊野マキ:青山倫子
小金井研四朗:山田純大
三浦博司:いわすとおる
笠木 駿:玉山 詩
一之瀬真央:原田夏希
香川安子:遠藤久美子
一之瀬 貢:津田寛治
一之瀬東次郎:三浦浩一
村上正吉:中西良太
佐藤朋美:松井紀美江 ほか
(公式HPより、敬称略)
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遠藤さん演じる安子の設定は、確かに複雑過ぎるような所があって、目的は何なのか、動機は何なのか、どこからどこまでが真実なのか、単純な私には、なかなか見えて来なくてもどかしかったです。
所で、安子と書いて「あんこ」とは読めますが、食い意地の張った私は、つい「餡こ」を連想してしまい、極めてシリアスな作品であるのに、その部分にだけ少し違和感を覚えてしまいました (^_^;) 特に設定的に深い意味を持たせた名前でない限り、読みを「やすこ」にしても、一文字で「安(あん)」にしても、大丈夫だったのでは……という気はするのですが、どこかで説明を見落としたのでしょうか。
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
確かに豪華女優陣の競演と言った印象の作品でしたね。
また、「安子」の読みについて言われて気付きました。
気付いてしまうと気になりますね。
ただ、それについては特に説明は無かった気がします。