2015年11月28日

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第50話「捏造怪談2」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第50話「捏造怪談2」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

第50話登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪。幽霊となって戻って来た。

緑川楓:蛍のクラスメート。実は少女探偵であった。
真島慎一:蛍の幼馴染。彼女に恋心を抱いている。9話から登場。

奥宮サキ:墓地で殺害された被害女性。
荒井忠良:サキと交際していた男性、姿を消している。
君近良雄:サキと交際していた男性、姿を消している。

これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。

<ネタバレあらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

高校生になった赤木蛍は行方不明となっていた兄・圭一と思わぬ形で再会を果たすことに。
なんと、圭一が幽霊として蛍のもとに戻って来たのだ。
しかも、圭一は悪意が関わる事件を察知し悪意を消滅させる能力を手に入れていた。
だが、圭一は現世に介入することが出来ない。
これでは折角の力も無意味である。
其処で圭一から協力を求められた蛍は、兄妹で力を合わせ1人でも多くの人を助けるべく動き出すことに。

・前回までのあらすじはこちら。
「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第49話「捏造怪談」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

町内会主催の肝試しを手伝うこととなった蛍。
怪談の語り部役が急遽欠席したことから、咄嗟に怪談を捏造して披露することに。
すると、その捏造怪談通り「3つの頭に7本の腕を持った幽霊」が目撃されてしまう。
しかも、目撃場所には奥宮サキなる女性の他殺体が!!
さらに、その夜には肝試し参加者のもとにまで「3つの頭に7本の腕を持つ幽霊」が現れた。
さらにさらに、驚くべきことに蛍が語った「裁判費用はコチラ持ち」で本当に退散したと言うのだ。
一体、何が起こっているのか―――蛍が調査に乗り出すことに。

同じ頃、圭一は奥宮サキ殺害事件の捜査本部に紛れ込んでいた。
捜査員の報告を盗み聞く圭一。
それによると、奥宮サキは過去に多数の異性と交際し浮名を流していたが、最近は荒井忠良と君近良雄の2人に絞って交際していたそうだ。
しかも、そのどちらかと結婚まで考えていたらしい。
ところが、当の荒井と君近はサキ殺害後から姿を消していた。
其処から痴情のもつれによる犯行で容疑者は荒井と君近のいずれかと思われた。

荒井と君近の写真を見た圭一は、幽霊目撃騒動の直後に君近の姿を目にしたことを思い出す。
だとすれば、犯人は君近なのか!?

これを伝え聞いた蛍は得ている情報から時系列を並べ直す。

1.肝試しが始まり、怪談を聞いた子供たちが「3つの頭に7本の腕を持つ幽霊」を目撃する。
2.同じ現場から奥宮サキの遺体が発見される。
3.直後に、圭一が現場から逃走する君近の姿を目にする。

以上の順だ。
此処から蛍は次のように考えた。

事前に蛍から「3つの頭に7本の腕を持つ幽霊」の話を聞かされた子供たち。
被害者・奥宮サキが犯人に襲われ揉み合う現場を目撃した。
折り重なった2人の姿が蛍の捏造怪談と結び付き、咄嗟に「幽霊を目撃した」との証言に繋がった。
これが1の時点の出来事だ。

続いて2により、サキの遺体が発見された。
つまり、サキは1と2の間に殺害されたことになる。
そしてその直後に圭一が逃げる君近の姿を見ている以上、君近の犯行の可能性が高い。
すなわち、圭一と同じ結論である。

だが、何処か納得がいかない蛍。
だとすれば、肝試し参加者のもとに現れたソレは何なのか?
さらに、どうして蛍が捏造した「裁判費用はコチラ持ち」で退散したのだろうか?

矢先、荒井と君近が警察に出頭して来た。
事情通の楓によれば「3つの頭に7本の腕を持つ幽霊」に追い回されたことが原因らしい。
さらに、犯行現場からは荒井の足跡が検出されたらしいが……。

どうしても気になった蛍は、肝試し中にサキ殺害現場で「3つの頭に7本の腕を持つ幽霊」を見たと証言した少年を訪ねる。
すると、目撃した少年は「折り重なった2人」ではなく「3つの頭に7本の腕を持つ幽霊」を見たと断言する。
つまり、サキが生きている筈の1の時点でその幽霊が存在していたことになるのだ。
これは一体どうしたことか!?

此処で蛍は大事なことを見落としていたことに気付く。
てっきり、1から事が始まったと思っていた蛍。
だが、実際は蛍が「3つの頭に7本の腕を持つ幽霊」の捏造怪談を語って聞かせたところから始まっていたのだ。
もしも、これを死亡直後で記憶が曖昧なサキの幽霊が聞き影響を受けたとしたら!?
そう、そもそも発端が蛍だからこそ其処で語られた「裁判費用はコチラ持ち」で退散したに違いない。

だとすれば、本当の時系列は次のようになる。

0.サキが真犯人に殺害される。
1.蛍が捏造怪談を語り、サキがこれを聞き影響を受け「3つの頭に7本の腕を持つ幽霊」となる。
2.肝試し中に少年が「3つの頭に7本の腕を持つ幽霊」を発見し騒ぎに。
3.騒動が原因で既に殺害されていたサキの遺体が発見される。
4.直後に現場から逃げ去る君近の姿を圭一が目撃。

つまり、サキ殺害は既に終わっている以上、騒ぎになるまで現場をうろうろしていた君近の犯行とは考えにくい。
むしろ、足跡が物証として挙がっている荒井こそが真犯人なのだ。

蛍は今こそ捏造怪談の影響を受けているサキだが、記憶を取り戻せば真犯人に復讐する筈と考えた。

その夜、留置所の荒井のもとに「3つの頭に7本の腕を持つ幽霊」が現れた。
サキである。
サキは復讐を果たすべく荒井に襲いかかろうとするが……。

「動くな!!」
復讐に燃えるサキの前に圭一が立ち塞がる。
事あるを予期した蛍が圭一に荒井の警護を依頼したのだ。

銃を構え制止する圭一だが、怒りに囚われたサキには届かない。
致し方なく圭一はサキへ向けて発砲、サキは強制的に排除されてしまうことに。
サキを排除したことを心苦しく思う圭一。

その翌日、楓から「荒井が罪を認めた」と教えられた蛍。
サキに襲われたことに怯えてかと思う蛍だが……。

楓によれば全くの逆らしい。
何でも警官姿の幽霊に守られた夢を見たらしく、少しでもソレに応えねばと思ったのだそうだ。
これに顔を見合わ微笑み合う蛍と圭一であった―――次話に続く。

ネタバレあらすじはまとめ易いように展開などをかなり改変してます。
気になる詳細は「週刊少年チャンピオン」本誌で確認せよ!!

<感想>

「名探偵マーニー」から3ヶ月……我らが木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」に還って来た!!
というワケで、その新作「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」です。
1巻、2巻、3巻、4巻に続き、早くも5巻が発売!!

さて、その50話。
サブタイは「捏造怪談2」。

前回の予想を上回って来ましたね、相当な完成度の作品です。
これはネタバレあらすじへの注力ぶりをご覧頂ければ分かる筈、それほど良かった。
是非是非、本作それ自体を読んで欲しいほどのエピソードとなっています。

まず、「幽霊騒動の発端が実は蛍であった」との結末はまさに衝撃!!
さらに、この「事の起点が変わる」ことで「殺害時刻が変わって来る点」も見事でした。
そもそも「捏造怪談で生じた幽霊により起点が異なることが判明する」といった点は本作の特徴をフルに活かしたと言えるでしょう。

同時にあのラストも見事。
被害者であるサキを加害者にしない為に心ならずも発砲した圭一。
言わば被害者に傷を重ねたようなもの。
しかし、それは決して無駄ではなかった。
最終的に荒井の改心に繋がることに。

やっぱり、本作は面白い!!
次回にも注目です!!

木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。

木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!

さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。

「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。

衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。

既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。

◆「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」関連過去記事
「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)第1話から第40話までネタバレ批評(レビュー)まとめ

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「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第48話「オバケの出る公園」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

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これまでの登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪。幽霊となって戻って来た。

獣を連れた男(10人と1匹の獣):圭一の死に関わる人物。獣は殺意のことらしい。
PND(疑われざる者):静香によれば圭一が追っていた謎の人物らしい。獣を連れた男と同一人物なのか?
十二人委員会:警察内部に存在する犯罪者を私的制裁する組織、メンバーは12人居るらしい。
フード男:「十二人委員」の1人。展望台から多くの犯罪者を抹殺した。

死神:黒い影の男の正体。「桐島静香の秘密」「謎の桃園」「騙された死神」「母の父」に登場。

【赤木家とその周辺】
蛍の父:赤木興業の社長。
赤木真知恵:蛍の母。バーのような店を経営している様子。
節:蛍の妹。
和也:蛍の弟。

紀理香:真知恵の姉、長女。
陽香:真知恵の姉、次女。
おじいちゃん:真知恵の父、蛍にとっては母方の祖父。44話で死去。

謎の少年:蛍の初恋相手らしい。11話に登場。
真島慎一:蛍の幼馴染。彼女に恋心を抱いている。9話から登場。

【聖マルス学園関係者】
緑川楓:蛍のクラスメート。実は少女探偵であった。
桃園霧子:「聖マルス学園」2年生とされる謎の令嬢。「謎の桃園」「崖の下の呪い家」「恋する桃園」「オバケの出る公園」に登場。
青葉:「聖マルス学園」2年生女子、学園1の天才。
黄多川礼:「聖マルス学園」の女子生徒。実は武闘派。

志田りか:聖マルス学園の生徒。2話から登場。
塞田康平:蛍のクラスの担任教師。割とミーハーらしい。
見場創太:3話ラストに登場した怪しい男。学園の生徒であった。
校長:聖マルス学園の校長。
教頭:聖マルス学園の教頭。
千葉:鐘楼登頂に挑み謎の転落死を遂げた男子学生。
沼代:22話ラストで鐘楼登頂に挑んでいた男子学生。
5人の成功者:過去に鐘楼に登頂することに成功した面々。
五島:5人の成功者の1人だが……。
東条春道:霧子の幼馴染、人気者。
創さん:「聖マルス学園」の成績優秀者。
野間:「聖マルス学園」の成績優秀者。
郷里良子:「聖マルス学園」の女子生徒。「ザ・ボディーガード」に登場。
垣木:「聖マルス学園」の女子生徒。柔道部の猛者だが……。「ザ・ボディーガード」に登場。

【警察関係者】
緑川宗達:楓の祖父。推理能力に長けた名刑事として有名らしい。
逸見:楓の知人の刑事。
桐島静香:圭一の同期であるキャリア。現在は警察署長に。
大島:南具署の刑事。
光芝:圭一と静香の同期。
久毛山:圭一と静香の同期。
紅梅:圭一と静香の同期。
二階堂:警部。白い服の男。静香に想いを寄せていたらしい。
山本巡査長:在りし日の圭一の上司。今は田舎の派出所に勤務している。
蓮宮:県警の担当者。

【その他】
志田高志:りかの兄。りかにストーカーしているとのことだが……。
実山:赤木興業を担当している会計士。
貝塚俊雄:実山会計士事務所の職員。比較的若手。
役丸みつえ:実山会計士事務所の職員。紅一点。
三島:実山会計士事務所の職員。太目。
丸木田:実山会計士事務所の職員。ダンディ。
麻依:貝塚の元婚約者。
緑川宗達:楓の祖父。推理能力に長けた名刑事として有名らしい。
末為良則:12話で遺体で発見される。場津間高校の教師であった。
逸見:楓の知人の刑事。
葉森了:場津間高校の学生。末為の教え子。
葉森美和:蛍が廃病院で出会った女性。了の母で入院していた毛羽病院で落命していた。
間岩:米城警察病院の看護師。
怪物:人中に居ようとも誰も興味を向けない怪物。
大人しい人間:怪物に付き添う不可思議な人影。
栗山将秋:怪物たちが暮らしている部屋の契約者。
三ツ矢:誘拐事件の被害者とされる子供の母親。
満島:節の担任教師。
鏡二郎:呪いの家の過去の所有者。
円卓:「占いの館」の占い師の1人、「ジュエル」を名乗っていた。「緑川楓の誤算」に登場。
蝶野:「占いの館」の占い師の1人、「カラスアゲハ」を名乗っていた。「緑川楓の誤算」に登場。
丹下七郎:携帯ショップの店員、35歳。「騙された死神」に登場。
真利奈:七郎の姪。「騙された死神」に登場。
能美功次:「城町西学園」の成績優秀者。「フックマン」を抱えている。
能美一郎:過去に町止小学校襲撃殺傷事件を引き起こした犯人、当時37歳であった。
三橋:能美一郎と親しかった男性。
赤沼茂樹:工学部の院生、ミステリーマニア。
広重将美:赤沼の同期、テレビで一躍大ブレイクを遂げた著名人。
奥宮サキ:墓地で殺害された被害女性。
荒井忠良:サキと交際していた男性、姿を消している。
君近良雄:サキと交際していた男性、姿を消している。

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