ネタバレあります、注意!!
<感想>
2016年1月時点での「古典部シリーズ」最新作『いまさら翼といわれても』の後篇です。
これにより未収録の「古典部シリーズ」短編は『連峰は晴れているか』『鏡には映らない』『長い休日』と本作『いまさら翼といわれても』の4作となりました。
どうやら「古典部シリーズ」最新作の単行本化も近付いている様子。
・『鏡には映らない』(米澤穂信著、角川書店刊『野性時代』2012年8月号 vol.105掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『長い休日』(米澤穂信著、角川書店刊『小説野性時代 2013年11月号 vol.120』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
さて、いずれ来る朗報を待ちつつ、早速読んでみたワケです。
すると、一読して驚かされることに!!
まずは、奉太郎の成長ぶり。
周囲に興味を払わなかった奉太郎が『ふたりの距離の概算』など経て此処まで成長したとは……。
一方、えるには思わぬ選択が待ち受けていました。
『いまさら翼といわれても』のタイトルは彼女を示しています。
自由を知らなかった彼女が「いまさら翼(を与える)といわれても」戸惑うのは道理です。
自由を与えられたえるはどうなる!?
奉太郎を変えたえるが今度は変革を求められている。
このとき、奉太郎はえるに何が出来るのか!?
物凄く気になるところで終わった『いまさら翼といわれても』。
早く続きをプリーズ!!
そんな本作を一文字で表現するならば、まさに「急転直下」の「転」!!
必要最小限に多くを語らずも、多くが伝わる作品に仕上がっていました。
ファンは読め、とりあえず読め!!
なお、あらすじはまとめ易いようにかなり改変しています。
興味をお持ちの方は本作それ自体を読まれることをオススメ致します。
<ネタバレあらすじ>
合唱コンクールを控えてえるが姿を消してしまった。
里志によれば「自由」を意味する歌詞の内容に悩んでいたらしい。
周囲の状況から事情を察した奉太郎は横手の協力を引き出し、蔵に隠れていたえるのもとへ。
えるが姿を消した理由は、やはり歌詞にあった。
これまで「千反田家を継ぐ者」として養育されて来たえる。
それは負担でもあったが、彼女にとっての誇りでもあった。
ところが、唐突に後を継ぐ必要が無いと告げられたのだ。
えるは自由を手にした。
だが、その自由をどう謳歌して良いのやら分からない。
それどころか、えるに残されたのは寧ろ喪失感であった。
生真面目なえるはその状況で「自由」を謳う歌詞に反発し、これを拒否したのであった。
えるの気持ちを理解出来ると語る奉太郎。
える自身にどうするかを任せるのであった―――エンド。
◆関連過去記事
・「インシテミル」(文藝春秋社)ネタバレ書評(レビュー)
・「儚い羊たちの祝宴」(新潮社)ネタバレ書評(レビュー)
・「追想五断章」(集英社)ネタバレ書評(レビュー)
・「折れた竜骨」(東京創元社)ネタバレ書評(レビュー)
・『Do you love me ?』(『不思議の足跡』収録、米澤穂信著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『下津山縁起』(米澤穂信著、文藝春秋社刊『別冊 文芸春秋 2012年7月号』)ネタバレ書評(レビュー)
・『川越にやってください』(米澤穂信著、早川書房刊『ミステリマガジン700 国内篇』収録)ネタバレ書評(レビュー)
・『ほたるいかの思い出』(米澤穂信著、新潮社刊『小説新潮 2014年7月号』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『リカーシブル』(米澤穂信著、新潮社刊『小説新潮』連載)ネタバレ書評(レビュー)まとめ
・『リカーシブル リブート』(『Story Seller 2』収録、米澤穂信著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『満願』(米澤穂信著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)
【古典部シリーズ】
・「氷菓」(角川書店)ネタバレ書評(レビュー)
・「愚者のエンドロール」(角川書店)ネタバレ書評(レビュー)
・「クドリャフカの順番」(角川書店)ネタバレ書評(レビュー)
・「遠まわりする雛」(角川書店)ネタバレ書評(レビュー)
・「ふたりの距離の概算」(角川書店)ネタバレ書評(レビュー)
・『鏡には映らない』(米澤穂信著、角川書店刊『野性時代』2012年8月号 vol.105掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『長い休日』(米澤穂信著、角川書店刊『小説野性時代 2013年11月号 vol.120』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
【小市民シリーズ】
・「夏期限定トロピカルパフェ事件」(東京創元社)ネタバレ書評(レビュー)
【S&Rシリーズ】
・『犬はどこだ』(米澤穂信著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)
【太刀洗シリーズ】
・『さよなら妖精』(米澤穂信著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『王とサーカス』(米澤穂信著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『真実の10メートル手前』(米澤穂信著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)
【シモンズシリーズ】
・『913』(『小説すばる 2012年01月号』掲載、米澤穂信著、集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『ロックオンロッカー』(米澤穂信著、集英社刊『小説すばる 2013年8月号』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『金曜に彼は何をしたのか』(米澤穂信著、集英社刊『小説すばる 2014年11月号』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
【甦り課シリーズ】
・オール讀物増刊「オールスイリ」(文藝春秋社刊)を読んで(米澤穂信「軽い雨」&麻耶雄嵩「少年探偵団と神様」ネタバレ書評)
・『黒い網』(米澤穂信著、文藝春秋社刊『オール読物 2013年11月号』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
【その他】
・探偵Xからの挑戦状!「怪盗Xからの挑戦状」(米澤穂信著)本放送(5月5日放送)ネタバレ批評(レビュー)
古典部シリーズ『連峰は晴れているか』が掲載された「野性時代 第56号 62331-57 KADOKAWA文芸MOOK (KADOKAWA文芸MOOK 57)」です!!
野性時代 第56号 62331-57 KADOKAWA文芸MOOK (KADOKAWA文芸MOOK 57)
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古典部シリーズ『鏡には映らない』が掲載された「小説 野性時代 第105号 KADOKAWA文芸MOOK 62332‐08 (KADOKAWA文芸MOOK 107)」です!!
小説 野性時代 第105号 KADOKAWA文芸MOOK 62332‐08 (KADOKAWA文芸MOOK 107)
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◆米澤穂信先生の作品はこちら。
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