ネタバレあります、注意!!
<感想>
今年も来ました!!
『宝石 ザ ミステリー』に東野圭吾先生の読切短編が掲載です。
今回の短編は『水晶の数珠』。
アメリカで俳優を目指す度会直樹。
そんな直樹と不仲になっている父・真一郎の心の交流を不思議なアイテム「水晶の数珠」を通じて描きます。
父は子のことを思っていた。
そして、子もまたそんな父の想いを受けて前へ進む。
良いですね、王道です。
ちなみに、絶大な効果を誇る「水晶の数珠」の力ですが意外と限定されそうです。
特に、結果が出るまでに時間がかかる経営には向かないだろうなぁ……。
何しろ、あくまで1日で結果が出ることにしか使えないので。
その点、直樹の祖父の使い方こそが適切な気がする。
真一郎は心の支えとしてのみ使ったのかもしれませんね。
とはいえ、使いどころを誤らなければその効果は抜群な筈。
ちなみに、ネタバレあらすじはかなり改変を加えています。
本作を楽しむには本作それ自体をご覧頂くことをオススメします!!
<ネタバレあらすじ>
登場人物一覧:
度会直樹:主人公、アメリカで俳優を目指している
度会真一郎:直樹の父、巨大企業の経営者
度会直樹はアメリカで俳優を目指す青年。
ある日、日本に居る姉から巨大企業を率いる父・真一郎が余命幾許も無い状態であることを知らされる。
姉は直樹の誕生日が近いことを理由に帰国を促して来た。
これを渋る直樹。
実は直樹は真一郎の後継者の座を蹴って夢を追っていた。
真一郎はそんな直樹を批判し絶縁状態にあったのだ。
だが、直樹は夢に挫けつつあった。
幾多のオーディションを重ねても一向に芽が出なかったからである。
ちょうど姉に帰国を促された日に行われるオーディションが最後の希望だったのだ。
迷いを抱えた直樹だが、オーディションの日が少しずれていたことから姉の言葉に従い帰国することに。
空港を出てJRに乗り込んだ直樹、其処に真一郎から電話が入る。
真一郎は直樹を夢に破れた負け犬と罵り、売り言葉に買い言葉で腹を立てた直樹はその場で引き換えし再びアメリカに戻った。
ただ、直樹には幾つかの謎が残された。
説教をするならば目の前ですれば良かったものを、どうして電話で済ませようとしたのか?
そもそも、直樹の電話番号を真一郎は知らない筈なのだが……。
それから三週間後、真一郎がこの世を去り直樹は再び帰国した。
直樹を出迎えた親戚は一様に彼を励ます。
度会家には代々伝わる秘伝の「水晶の数珠」があり、これを用いることで不可能を可能に出来るらしい。
直樹の祖父は「水晶の数珠」で相場で莫大な富を築いたのだそうだ。
真一郎もまるで何かを確信したかのように要所要所で勝負に出て悉く勝ちを収めていた。
その「水晶の数珠」を真一郎亡き今、直樹が相続することとなったのだ。
真一郎の遺書を目にした直樹、其処には「水晶の数珠」と共にその使用法が記されていた。
それによると「水晶の数珠」は「使用者一人につき一生に一度、一日だけ過去に戻ることを可能にする数珠」なのだそうだ。
使用者が死亡し、次の使用者の手に渡ることで使用回数は復活する。
直樹の祖父が相場で財を成したのも、相場の結果を確認し前日に戻ることで大儲けを可能にしたのだ。
真一郎もこれがあるからこそ大胆な勝負に出られたのだ。
だが、真一郎によれば幸いなことにごく最近まで使うことが無かったらしい。
半信半疑ながらも「水晶の数珠」を相続した直樹。
だが、直樹の心は乱れていた。
例のオーディションは結局上手く行かなかったのだ。
果たして父の後を継ぐべきか、引き続き夢を追うべきか……。
とりあえず、アメリカに戻ることにした直樹は帰路の駅である騒ぎに遭遇する。
なんでも三週間ほど前に小型飛行機が墜落する事故があり、駅が不通になる事故が起こっていたそうだ。
これが解消されるのに一週間を費やしていたらしい。
此処で直樹は先の疑問の答えを見出した。
直樹を怒らせると知りつつ行われた急な電話での説教。
何故か知られていた電話番号。
つい最近まで使用されなかった「水晶の数珠」。
全てが繋がったのだ。
おそらく真一郎は既に直樹と会っていたのだ。
本来ならば、その場で和解し直樹が電話番号を教えたに違いない。
だが、オーディションの為に渡米しようとしたところで事故によりこれが叶わなくなった。
真一郎はそれを知っていた。
其処で「水晶の数珠」を用いて1日前に戻ると、オーディションを受けさせるべく敢えて引き返すように誘導したに違いない。
これを悟った直樹は亡き真一郎の後押しを受けて夢を追うことを決意する―――エンド。
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