ネタバレあります、注意!!
<感想>
鬼才・大山誠一郎先生による「ワトソン力」シリーズ第4弾。
2015年12月現在、シリーズには『赤い十字架』『求婚者と毒殺者』『雲の上の死』があります。
本作の特徴は何と言っても「各短編ごとのゲストが探偵役を勤める」こと。
ただし、共通する登場人物が和戸刑事で各ゲストは彼の無意識のサポートにより飛躍的な推理力を手にした状態。
此の点で西澤保彦先生『完全無欠の名探偵』(講談社刊)に近いかな。
この作品、かなり面白いので興味のある方はチェックすべし!!
あらすじはまとめ易いように改変が加えられています。
興味のある方は本作それ自体をチェックすべし!!
<ネタバレあらすじ>
登場人物一覧:
和戸:刑事
宮城:容疑者
香川:宮城の競争相手、被害者
輝美:香川の母
ライフル協会に所属する宮城は次期オリンピック代表候補の1人。
ライバルである香川と代表の座を争っていた。
ある雪の強い日に呼び出された宮城、すると銃声と共に呻き声を耳にする。
駆け付けたところ、壕の中に居た香川が射殺されていた。
其処へ偶然、和戸刑事が通りかかったことから事件が発覚。
周囲に人が居なかったことから宮城に容疑が向かうことに。
しかし、宮城に犯行は不可能だ。
何しろ、凶器を所持していない。
また、不可思議なことに誰が犯人であろうとも壕の中にあった香川を遠距離から狙撃することは困難を極める筈であった。
犯人はどうやってこれを成し遂げたのか。
そんな中、事件発生の報を聞き付けて現場へやって来た香川の母・輝美は宮城を目にするや「人殺し!!」と叫ぶ。
輝美に罵られる宮城、そのうちに事件の真相が見えて来た。
そもそも、誰であろうと香川を狙撃するのは不可能であった。
つまり、犯人の狙いは香川では無い。
むしろ、宮城自身だったのだ。
犯人は宮城を狙撃したが、弾が逸れ香川に当たったに過ぎなかった。
そして、この犯人こそ香川を代表にしようと望んでいた輝美だったのだ。
輝美は息子の為に宮城殺害を試み、誤って息子を殺してしまったのであった―――エンド。
◆関連過去記事
・『密室蒐集家』(大山誠一郎著、原書房刊)ネタバレ書評(レビュー)
・収録作『不可能犯罪係自身の事件』について書評(レビュー)
『蝦蟇倉(がまくら)市事件1』(東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)
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