<あらすじ>
主人公・宅間善人(草ナギ剛)は、冤罪で10年服役した経歴を持つ刑事。服役中に受刑者のあらゆる犯罪データを記憶した“犯罪心理のスペシャリスト"! 男の転落死体が見つかり、その所持品から「い」という文字が書かれた謎のカードが見つかった。“犬も歩けば棒に当たる"という、ことわざにぴったりの殺害状況に宅間は注目。その後も、次々と「いろはかるた」になぞらえた犯行が連続して発生し…!?
(公式HPより)
では、続きから(一部、あらすじと重複あり)……
新設された「総合事犯対応係(仮称)」。
メンバーには10年と10ヶ月に渡り冤罪で服役し犯罪に精通した宅間。
未だ対応係に慣れない様子の我妻。
個性的なメンバーのまとめ役・姉小路。
システムに強い松原。
元SPでイケメンの堀川。
そして、このメンバーを集めた滝道が居る。
そんな中、「総合事犯対応係(仮称)」の名が決まって以来初めての事件が飛び込んで来た。
被害者は老舗玩具メーカー「ユキザワトーイ」の管理職・板野朋之。
現場の状況から、愛犬の散歩中に誤って工事現場の鉄柵を通り抜けて転落死したものと思われた。
ところが、宅間は板野死亡直前の防犯カメラ映像を見るなり「他殺」と断言する。
映像の中で、板野の愛犬が何かに反応し暴走、これに板野が誘導されていたのだ。
板野の愛犬が反応した何かとはその背後から投げ込まれた棒切れであった。
つまり、犯人は棒切れで犬の気を惹き暴走させ、板野を工事現場に誘き寄せたことになる。
これから宅間は本事案を「犬も歩けば棒に当たる」殺人事件と命名する。
早速、「ユキザワトーイ」を訪れた宅間たち。
応対に現れたのは取締役の山辺和幸、開発リーダーの辻岡益美、営業部の連城明弘たちである。
板野殺害の動機を持つ人物について尋ねられた彼らは一様に口を閉ざす。
何やら隠しているようだ。
矢先、板野の所持品から「い」と書かれたカルタが発見される。
直後、開発部から情報漏洩したとの大騒ぎが持ち上がる。
何でも、辻岡益美のメールアドレスから機密情報を含むファイルが送信されたらしい。
無実を訴える益美だが、山辺に出社禁止を言い渡されるとセキュリティ担当の警備員・京野に社外へと連れ出されてしまう。
京野に抵抗する益美、そんな益美を「大概にして」と押さえつける京野。
この騒動の最中、宅間は益美の机の上に「つ」と書かれたカルタを発見する。
宅間は益美が何者かに嵌められたと推測、板野と益美の事件が同一犯による犯行だと考える。
宅間によれば「事件は全ていろはカルタに従って起こっている」らしい。
例えば板野の場合は「い」で「犬も歩けば棒に当たる」、益美の場合は「つ」で「月夜に釜を抜く(抜かれる)」を示しているのだ。
「月夜に釜を抜く(抜かれる)」は「月夜の晩に大切な釜を盗む(盗まれる)」の意である。
機密情報漏洩の状況と合致していた。
さらに宅間は今回の事件が「い」が「板野」、「つ」が「辻岡」であることから、カルタと被害者の苗字が対応していることにも注目。
次なる犯行を阻止しようと動く。
営業部内に掲示されていたスケジュール表を目にした宅間は「ユキザワトーイ」内に「CK」なる部署があることに気付く。
どうやら、山辺たちが隠そうとしているのはコレらしい。
その正体を炙り出すべく宅間は連城に「れ」のカルタを予告として送り付ける。
すると、慌てた連城は社内の片隅に、まるで押しやられるかのように用意された地下室へ。
其処では、狭い部屋の中で多数の社員が薄暗い明かりに照らされて何やら作業に勤しんでいた。
これを目にした宅間は「CK」の正体が「キャリア強化室」こと「追い出し部屋」であると気付く。
「ユキザワトーイ」では古くからの知育玩具中心からソーシャルゲーム中心に切り替えを図っており、旧来の部門に従事していた社員を「キャリア強化室」に追いやり自主退職させていたのだ。
これを主導していたのが山辺、連城、板野。
そしてソーシャルゲーム開発の切り札として他者から招聘されたのが益美であった。
宅間は「キャリア強化室」の中に今回の事件の犯人が居ると考え、容疑者を洗い出す。
すると、元知育玩具開発担当の布田が浮かび上がる。
しかも、布田は4日前から姿を消していた。
こうして布田を追う面々。
一方で次なる標的とその復讐方法にも着目する。
標的と考えられるのは連城と山辺。
連城の「れ」はカルタでは「良薬は口に苦し」、山辺の「や」はカルタでは「安物買いの銭失い」だ。
「れ」は毒殺と思われるが「や」はどのような復讐方法なのだろうか?
宅間が頭を悩ませる中、姉小路は「子供の頃にやったのと違う……」と呟いていた。
矢先、連城のもとに「れ」のカルタが届き、磔にされた上に腹を裂かれた状態で発見される。
「良薬は口に苦し」と全く異なる殺害方法に戸惑いを隠せない宅間。
其処へ板野殺害の詳細な鑑識結果が報告される。
何でも板野は穴に落ちたことが死因ではなく、その前に犯人に撲殺されていた。
このことから犯人が板野よりも身長の高い人物であることも明らかに。
ところが、容疑者と思しき布田は板野よりも身長が低かったのである。
宅間は此処で情報を整理、遂に真相に辿り着く。
向かった先は山辺のもとだ。
数十分後、倉庫に呼び出された山辺を狙う銃口があった。
引き金を引こうとする犯人だが、飛び込んで来た我妻たちに妨害される。
その正体は警備員・京野であった。
宅間は犯人と自身との間でルールの齟齬があったと指摘。
宅間は「江戸カルタ」だと思っていたが、犯人は「京カルタ」を用いていたのだ。
第一の被害者・板野は江戸カルタの「犬も歩けば棒に当たる」ではなく、京カルタの「一寸先は闇」をモチーフに殺害されていた。
犯人にとって犬を棒切れで誘導するのは副次的な物に過ぎず、必要だったのは「板野を暗くて深い穴に落とす」ことだったのである。
第二の被害者・益美は「月夜に釜を抜く(抜かれる)」で情報漏洩の罪に落とされた。
セキュリティ担当の京野ならばアクセス権限に関係なく益美のメールアドレスを用いることが出来たのだ。
ちなみに「月夜に釜を抜く(抜かれる)」は江戸カルタ、京カルタともに同じである。
第三の被害者・連城。
「れ」は江戸カルタでは「良薬は口に苦し」だが、京カルタでは「連木で腹を切る」だ。
其処で磔にし腹を掻っ捌いたのである。
そして第四の被害者になりかけた山辺。
「や」は江戸カルタでは「安物買いの銭失い」だが京カルタでは「闇夜に鉄砲」だ。
其処で薄暗い倉庫に呼び出し射殺を目論んだのである。
姉小路の言葉「子供の頃にやったのと違う……」と呟いたのも当然だ。
姉小路は京都出身、実際に全く別の物だったのだから。
とはいえ、これが大きなヒントとなった。
同時に宅間は益美を連れ出す際の京野の言葉を聞き逃さなかった。
「大概にして」とは関西の方言である。
だからこそ、京野は京カルタで犯行に及んだのであった。
全てを暴露された京野は動機を語り出す。
京野は布田が作る温かみのある玩具が好きだった。
ところが、社の方針転換に伴い布田は「キャリア開発室」に追いやられてしまった。
それでも布田は「良い物を作れば認めて貰える」と努力していた。
そうして出来上がったのが「江戸カルタ」を基にしたソーシャルゲームだ。
ところが、山辺たちはこれを一顧だにせず廃棄した。
開発に戻れないことを悟った布田は密かに自殺してしまった。
京野は布田の遺体を隠すと、布田の残したゲームを用いて復讐したのだ。
しかし、これを聞いていた宅間は京野の動機を復讐ではないと否定する。
布田の作ったゲームは「江戸カルタ」を用いた平和なゲームであった。
ところが、京野は故意に「京カルタ」を用いて危険なゲームに仕立ててしまった。
それは京野自身の欲望の為せる業だと指摘したのだ。
宅間の言を受けた京野は、知らず復讐の美名に酔っていたことに気付き愕然とするのであった。
こうして京野が逮捕され事件は解決した。
ふと、「た」のカルタが気になった宅間。
そっと取り出したカルタには「旅は道連れ」と記されていた―――3話へ続く。
<感想>
「スペシャリスト」の連続ドラマ版、その第2話です。
ラストにて宅間が手に取った「旅は道連れ」の札。
あれは「宅間は決して孤独ではなく、姉小路ら仲間たちが存在していること」を指すものでしょう。
旅の目的地は「我々との戦い」。
だが、その道中は厳しく険しい。
確かに宅間の能力は卓越している。
とはいえ、個人で挑むには「我々」は余りに強大過ぎる。
また「我々」だけではなく「犯罪の持つ深い闇」も宅間を取り込もうと蠢くことでしょう。
その中で、宅間が闇を覗き闇に呑まれてしまうかもしれない。
だが、宅間を傍で支え彼が闇に呑まれないように支える仲間たちが彼には居る。
だからこそ「旅は道連れ」。
宅間の傍には姉小路たち仲間がいるのです。
そんな宅間が挑んだ今回の事件。
「いろはカルタ」がルールと思いきや「ゲームマスター(京野)とプレイヤー(宅間)の間で認識していたルールが異なっていた点(京野=京カルタ、宅間=江戸カルタ)」がポイントでした。
伏線も姉小路の発言や京野の発言などなかなかに巧妙に配されていた点も良し。
レギュラー、サブともにキャラをきちんと活かした良作だと感じました。
そして、宅間でさえ破れない「我々ファイル」のパスワード。
其処には何が隠されているのか!?
此の点も注目です!!
◆関連過去記事
・土曜ワイド劇場 サスペンス特別企画(ドラマスペシャル)「スペシャリスト〜無実の罪で10年服役した刑事と殉職警官の妻…異色タッグが京都を揺るがす4つの殺人連鎖に挑む!」(5月18日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場 サスペンス特別企画(ドラマスペシャル)「スペシャリスト2〜全ての犯罪を知る刑事VS完全犯罪を操る男!京都の街に現れた謎の暗号…女性議員を狙う殺人計画の罠」(3月8日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場 サスペンス特別企画(ドラマスペシャル)「スペシャリスト3 無実の罪で10年服役した刑事!7体のフィギュアが結ぶ連続殺人 冤罪の謎が解ける衝撃の結末とは!?」(2月28日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場 サスペンス特別企画(ドラマスペシャル)「スペシャリスト4」(12月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「スペシャリスト」1話(1月14日放送)ネタバレ批評(レビュー)
【関連する記事】
- 「歴史紀行バラエティー GOSISON 三国志・英雄たちの子孫」(5月4日放送)..
- 「僕のヤバイ妻」3話「魔女の新たなる罠!戦慄の夫婦生活の果ての殺人!?」(5月3..
- 木曜ミステリー「警視庁捜査一課長」3話(4月28日放送)ネタバレ批評(レビュー)..
- 木曜ドラマ「グッドパートナー 無敵の弁護士」第2話(4月28日放送)ネタバレ批評..
- 「僕のヤバイ妻」2話(4月26日放送)ネタバレ批評(レビュー)
- 木曜ドラマ「グッドパートナー 無敵の弁護士」第1話(4月21日放送)ネタバレ批評..
- 土曜ドラマ「64(ロクヨン)」最終話(第5話)「指」(5月16日、5月22日放送..
- 「僕のヤバイ妻」1話「妻殺しを計画した不倫夫、妻を誘拐される!?」(4月19日放..
- 「スペシャリスト」最終話(10話)(3月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)
- 「ヒガンバナ〜警視庁捜査七課」最終話(10話)「チーム解散!・最後の敵は最強の毒..
- 「スペシャリスト」9話(3月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)
- 「ヒガンバナ〜警視庁捜査七課」9話「資産家殺害!犯人は家政婦か娘か?」(3月9日..
- 「スペシャリスト」8話(3月3日放送)ネタバレ批評(レビュー)
- 「ヒガンバナ〜警視庁捜査七課」8話「仲間が逮捕!?殺された暴行犯の謎」(3月2日..
- 「スペシャリスト」7話(2月25日放送)ネタバレ批評(レビュー)
- 「ヒガンバナ〜警視庁捜査七課」7話「宿命の2人…明かされる衝撃の真実」(2月24..
- 「スペシャリスト」6話(2月18日放送)ネタバレ批評(レビュー)
- 「ヒガンバナ〜警視庁捜査七課」6話「明かされる秘密!父を殺した男の謎」(2月17..
- 「スペシャリスト」5話(2月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)
- 「ヒガンバナ〜警視庁捜査七課」5話「嫉妬と羨望…天才バレリーナの悲劇」(2月10..