2016年01月29日

「スペシャリスト」3話(1月28日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「スペシャリスト」3話(1月28日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<あらすじ>

主人公・宅間善人(草ナギ剛)は、冤罪で10年服役した経歴を持つ刑事。服役中に記憶したあらゆる犯罪データを駆使して鮮やかに事件を解く!宅間の同僚刑事・我妻真里亜(夏菜)は、かつて自分の家庭教師をしていた女(鶴田真由)によって、密室に閉じ込められる。目の前に置かれた2つのケース。女が言うには、一方を開ければ助かり、もう一方を開ければ爆発すると…。タイムリミットが迫る中、究極の心理戦が繰り広げられる!
(公式HPより)


では、続きから(一部、あらすじと重複あり)……

新設された「総合事犯対応係(仮称)」。
メンバーには10年と10ヶ月に渡り冤罪で服役し犯罪に精通した宅間。
未だ対応係に慣れない様子の我妻。
個性的なメンバーのまとめ役・姉小路。
システムに強い松原。
元SPでイケメンの堀川。
そして、このメンバーを集めた滝道が居る。

ところが2016年1月28日のこと、不意に我妻が姿を消してしまった。
その直前の様子を目にしていた宅間は我妻がどうして姿を消したのかを推理することに。

まず、我妻は何かの資料を手に動画サイトを確認していた。
資料と動画サイトを見比べた後に、何やら真剣な表情で出かけたのだ。

此処から宅間は我妻が手にしていた資料を用意。
それは我妻の父・公昭が10年前の1月29日に事故死を遂げた事件の資料であった。
ところが、不思議なことに事故であるにも関わらず事件として資料が保存されていたのだ。

さらに、我妻が注目していた動画を発見。
それはとある予備校での騒動が撮影された物。
映像自体は悪ふざけの域を出ない代物であったが、その映像に資料と共通する女性が映り込んでいることが確認出来た。

どうやら、我妻はこの女性に会いに行ったらしい。

と、我妻のPC宛てに謎のリアルタイム動画が配信されて来た。
内容を確認した宅間たちは驚愕する。

其処には何処かの倉庫に監禁された我妻の姿が。
我妻の目の前には先程の女性が立っている。
女性は自らを丹羽奈津美と名乗ると、我妻の前に白と黒2つのアタッシュケースを提示する。
奈津美によれば、1つには爆弾、もう1つには爆弾を解除するリモコンが収められているらしい。
爆弾を選べば爆死してしまう、リモコンを選べば生きてこの場を出られるとの寸法のようだ。
タイムリミットは0時までと繰り返す奈津美。

さらに、奈津美は公昭の死が事故死ではなく彼女による殺人だったと告白。
その経緯を語り出した。
なんでも公昭は公安調査庁の職員で奈津美を協力者としてある組織に潜入させていたらしい。
奈津美は組織から爆弾開発の依頼を受け当初はこれを拒否していたが、公昭に「愛している、助けてくれないか」と告白され引き受けてしまったのだそうだ。
ところが、公昭は奈津美が再度止めたいと切り出すや態度を豹変させ恫喝して来たのだと言う。
これに失望した奈津美が先の我妻と同じようにアタッシュケースを用いた罠で爆殺したようだ。

我妻にはこれに覚えがあった。
公昭は死の直前、我妻に対し「お前と母さんのこと愛してるぞ、これでいいのか」と電話を入れていたのだ。
その音声は今も我妻の携帯にデータとして残されている。
我妻にとって公昭の死の謎を解き明かす唯一の手掛かりとなっていた。
まさか、それがこんなことだったとは……ガックリと肩を落とす我妻。

一方、動画を通じて我妻の状況を察した宅間たちは救出に動く。
まず、奈津美が10年前から予備校事務員として目立たぬように暮らしていたこと。
さらに、奈津美宅から「女か虎か」の書籍を発見。

「女か虎か」はF・R・ストックトンの有名な「リドル・ストーリー」。
内容は次の通りである。

ある若者が自国の王女と恋に落ちた。
ところが、これを知った王様が激怒し若者にある難題を与えた。
「2つの扉から1つを選べ」とのものだ。
1つには美女が、もう1つには虎が入っている。
どちらにどちらが入っているかは分からない。
美女を選べば美女と結婚し助命されるが、虎を選べば食い殺されてしまう。
確率は2分の1だ。

これを見かねた者が居た、王女である。
王女としては若者に助かって欲しい。
だが、若者が助かるということは美女と結婚することに他ならない。
悩んだ王女はある扉を開けるように若者に告げた。

さて、困ったのは若者である。
王女の言葉を素直に受け止めて良いものだろうか。
もしかすると、王女は若者を取られるくらいなら……と考えても不自然ではない。
王女を信じるべきか、それとも……若者は決意するとある扉を開けた。
果たして其処には……とのストーリーだ。

結論は読者に委ねられている。
だからこそ「謎の物語」すなわち「リドル・ストーリー」なのだ。

宅間は今回のアタッシュケースがこれと同じだと指摘する。
一方で微かな違和感を覚えることに。
集中した宅間は奈津美の真意を悟った。

10年前の公昭死亡現場を訪れた宅間は其処に奈津美を発見し身柄を確保することに。
取調室へと運ばれる奈津美だが、未だに余裕の表情は崩れない。

そして、1月29日の午前0時がやって来た。
ところが、動画の中では何も起こらない。
これを確信していた宅間は「時効成立おめでとう」と奈津美に声をかける。

宅間は我妻が監禁されてはいなかったと指摘する。
爆弾ももちろん嘘だ。
そして、公昭とのエピソードも嘘だったと。

妻子を愛する公昭は最後まで奈津美と男女の一線を乗り越えなかった。
だが、奈津美が手を引いてしまった為に焦った公昭が製作を引き継ごうとして誤って爆死したのだ。
此の場合、殺人ではなく過失致死だ。

殺人に時効は無いが、過失致死ならば時効は10年。
奈津美は10年が過ぎるまで予備校に姿を隠そうとした。
しかし、例の動画が流れた為に身を隠すことが難しくなった。
其処で時間を稼ぐべく我妻誘拐と監禁の芝居を目論んだのだ。
あくまでちょっと手の込んだドッキリに過ぎず、罪に問われることはない。
現に宅間たちに動画を配信したのもそれを証明する為だ。

目的を果たし取調室から立ち去ろうとした奈津美。
ところが、その前に我妻が現れる。

奈津美の目的を察した宅間により、我妻は既に解放されていた。
我妻は彼女の携帯に残されている公昭の音声データを宅間に手渡す。
当時こそ分からなかったが、10年の時が技術を進めたことである事実を掴んだのだ。

「お前と母さんのこと愛してるぞ、これでいいのか」
「違うわそっちじゃない、信管なら黒い方よ」
公昭の声の後に、ノイズ交じりに奈津美の声が入っていたのだ。
そう、奈津美はわざと公昭に偽の情報を教え爆死を誘ったのだ。
これは立派な殺人である。

こうして、公昭殺害の罪で奈津美は逮捕されることになった。

その日の夜、我妻は姉小路に公昭の死について語り出す。
我妻によれば、公昭の死亡時に伯父である白川警察庁長官が「公昭君は我々のことを調べていなかったか」と尋ねて来ていたらしい。

その頃、宅間は手に入れたリストの中に公昭の写真を見出していた。
それが意味するところとは―――4話へ続く。

<感想>

「スペシャリスト」の連続ドラマ版、その第3話です。

時は皆に平等に流れます。
宅間が10年の時を檻の中で過ごしていた頃、我妻もまた父・公昭の喪失感を胸に10年を過ごしていたワケです。
そして、奈津美はその10年に「罪からの逃亡」を期待していたことになります。
しかし、皮肉にも同じ10年が奈津美の罪を暴く技術を発展させる時間になりました。
さらに、宅間が生み出されたのもその10年。
今回、奈津美は10年に期待し、10年に裏切られたとも言えそうです。

奈津美と言えば、10年前の公昭の死に関する真相が二転三転していったのも特徴。
公昭はアタッシュケースを開け爆死した。
公昭は爆弾製作を奈津美から引き継ぎ爆死した。
公昭は奈津美に謀られ爆死した。
此の点、多重解決ものとしても秀逸でした。

一方、そんな奈津美が用いた「女か虎か」。
これは「リドル・ストーリー」で有名なストックトンの物語。
主人公が「女(生存)」か「虎(死亡)」の二者択一を迫られることになる作品です。
詳しくはあらすじ中に盛り込んでいますので興味のある方はチェックを。

可能性を純粋に物語として楽しむことも出来る、それが「リドル・ストーリー」。
「リドル・ストーリー」に興味がある方は山口雅也先生による『謎(リドル)の謎(ミステリ)その他の謎(リドル)』(早川書房刊)がオススメです。
中でも『異版 女か虎か』が面白いので読んでみてください。

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