<あらすじ>
検事を陰で支える検察事務官・黒坂百合子(岡江久美子)は、新人検事の中原祐作(永井大)と殺人事件を担当することになった。生真面目で仕事に燃える百合子に対し、彼女の実の姉・律子(酒井和歌子)は陽気で自由奔放なタイプ。その律子のもとには友人のオカマ・舟子(近藤芳正)らが集まり、百合子に話題になっている事件のことを聞きたがるが、立場上捜査のことは口外できない。
その事件の被疑者とは、たまたま通りかかった廃工場でレイプされそうになっていた女性を助けようと、加害者のスポーツジム経営者・山際良和(山崎潤)を金属バットで殺してしまった進藤正彦(中林大樹)だった。もともと良和は素行が悪く、頻繁に裁判沙汰を起こしては、義弟の弁護士・睦夫(山崎樹範)に問題の処理をさせていた。その上、被害者の女性・堂島佐和子(山口あゆみ)は、自分を救ってくれた正彦に寛大な措置を望んだこともあり、正彦の勇気ある行動に同情が集まっていた。
しかし捜査を続けると、通りがかりのはずの正彦に良和を殺害する動機が見つかった。正彦の元恋人で、良和が経営する会社に勤めていた塚本瞳(広瀬みか)がつい先日自殺していたのだ。その際の裁判も睦夫が後始末していた。
(公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)。
22時25分、1人の女性がビルの屋上に佇んでいた。
地上を見下ろしながら、女性は父と楽しく過ごした幼い時を思い返し「木綿のハンカチーフ」を口ずさむ。
その瞳は既に深い暗闇に囚われていた。
事態に気付き駆け付けた警備員が制止するも無駄であった。
こうして女性は空中へと身を投げた。
後に判明することだが、女性の名は塚本瞳と言った。
同じく22時25分、検察事務官の「黒ユリ」こと黒坂百合子は知り合いのオカマ・舟子と共に大騒ぎしていた。
それから数日が経過した夜のことである。
廃倉庫にて堂島佐和子がスポーツジム経営者・山際良和に襲われていた。
其処へ金属バットを抱えた進藤正彦が飛び込んで行く……。
数時間後、山際殺害容疑で連行される進藤の姿があった。
進藤は「通りがかったところ助けを求める声を聞き、止めようとして山際を殺してしまった」と供述。
佐和子もこれを認めたことで、進藤は世間から「人助けを行おうとして誤って人を殺してしまった悲劇の英雄」として同情を集めることに。
この事件を担当することとなったのが百合子と新人検事の中原祐作であった。
百合子は中原に検事としての心構えから立ち居振る舞いまでを伝授しつつ、事件の真相を追い始める。
まず、進藤の供述に不審な点があることを指摘。
進藤は佐和子の声を聞いて廃倉庫へ向かったと述べたが、そもそも廃倉庫は防音設備が整っており声が外へ届かなかったのだ。
これを発端に進藤への疑惑を深める百合子。
さらに、進藤に山際殺害の動機が浮上する。
山際が塚本瞳を睡眠薬で眠らせ暴行したとの疑いで訴えられていたのだ。
この瞳の恋人こそ進藤だったのである。
瞳の裁判では山際の義弟・睦夫が山際側の弁護人となり激しく争うこととなった。
当初、山際の普段の素行の悪さから瞳側が優位であったが吉田麻美の存在が趨勢を定めた。
麻美は山際が瞳に睡眠薬を盛るところを目撃したと証言。
ところが、直後に麻美の口座に瞳の名で100万円が振り込まれていたことが明らかになり、瞳による自作自演の疑いが浮上し山際は無罪とされたのだ。
直後、瞳は冒頭の自殺を遂げたのであった。
百合子は瞳の自殺に注目。
彼女が死の直前に「木綿のハンカチーフ」を口ずさんでいたことを気に掛ける。
また、瞳の過去を調べたところ、彼女の父で薬剤師であった塚本幸男が知人に騙された為に瞳を置いて失踪していたことも分かった。
そんな中、佐和子にも疑惑が浮上する。
なんと、睦夫の元愛人だったのだ。
さらに、佐和子が自身の浪費癖から大金を欲していたことも明らかに。
此処から中原は、山際の遺産を狙った睦夫が佐和子と進藤を買収し殺害させたと考えるように。
しかし、百合子には佐和子はともかく進藤が睦夫に協力するとは思えない。
その翌日、佐和子が謎の死を遂げた。
どうやら他殺のようだ。
睦夫を疑った百合子たちは彼の自宅へ向かうが……其処では睦夫が瀕死の状態となっていた。
すぐに応急処置が施され、睦夫は一命を取り留めた。
どうやら、タリウムを飲まされ解毒剤となるプルシアンブルーと引き換えに情報を引き出されたらしい。
その夜、舟子が勤めるバーを訪ねた百合子は彼が「木綿のハンカチーフ」に対して深い思い入れを抱いていることを聞く。
そう、舟子こそ塚本幸男だったのだ。
タリウムとプルシアンブルーを用いたのも薬剤師だった過去があれば頷ける。
百合子は舟子が瞳の復讐に動いていると考え、ある疑問を抱く。
本来ならば舟子の復讐対象は山際と睦夫の筈である。
しかし、睦夫はプルシアンブルーと引き換えに何かを舟子に教えたのだ。
つまり、舟子にとってもう1人復讐対象が居るに違いない。
瞳の死に対し関係者はもう1人居た。
しかも、その人物により山際は無罪となっていたのだ。
そう、麻美だ。
その頃、当の麻美はナイフを手にした舟子に追われていた。
麻美は山際と睦夫に買収され彼らに手を貸したのであった。
いや、寧ろ率先して計画したそうである。
この事実を睦夫から聞き出した舟子は激怒した。
舟子が瞳を捨てなければならなくなった借金の原因も麻美だったからだ。
実は、舟子は麻美に奨められた証券で損害を被り、これを穴埋めしようとしたことが仇になっていたのだ。
しかも、舟子にとっては不甲斐ない自身を許せないとの想いもあった。
愛娘である瞳が自殺していたそのとき、舟子は百合子らと歌い踊っていたのだ。
それだけに余計に瞳を追い詰めた者を許せないのである。
だから、佐和子と進藤を仲間にして復讐に立ちあがったのだ。
「もはや許せん!!」
麻美に迫る舟子だが、百合子が駆け付け瞳がそれを望んでいないと説得。
舟子は麻美への復讐を思い留まり逮捕された。
舟子は山際殺害が進藤ではなく彼の犯行であることを明かした。
こうして、舟子は逮捕されることに。
その翌日、睦夫が佐和子殺害の容疑で逮捕された。
睦夫は佐和子から良和殺しを事前に聞かされていながらこれを放置した。
良和の遺産を継ぐ為だ。
しかし、佐和子は睦夫を脅迫し始めた。
其処で睦夫が佐和子を殺害したのであった。
事件は解決し、一回り成長した中原は百合子に礼を述べるのであった―――エンド。
<感想>
新シリーズ「検察事務官 黒ユリ」第1弾。
原作はなし、オリジナル作品。
ちなみに、本作は当初「女検察事務官 黒坂百合子」とのタイトルで発表されていました。
では、ドラマ版感想を。
検事……ではなく、検事を支える検察事務官を主人公に設定したのが新しいですね。
基本、百合子主導も終盤で中原が急に覚醒したのは面白かった。
それと「2時間サスペンス」で時間表示に意味を持たせたことも新しかった。
基本、時間表示に意味の無いドラマが多い中で、本作はきちんと犯人の動機へと繋げて来ていました。
しかも、冒頭の「絵馬」と「時間表示」で早期に犯人の目星が付けられるようになっていたのも面白かった。
そう言えば、百合子は「舟子に罪を犯させない為に」と説得していましたが、結果として既に罪を犯していた点は切なかったですね。
ただ、だからこそ瞳が愛した進藤を守ることが出来たワケで。
此の点は父として娘の遺志を尊重出来たことになるのかな。
続編があるとしたら、毎回百合子と別の新人検事さんを組ませてみるとシリーズとして膨らむかもしれません。
<キャスト>
黒坂百合子:岡江久美子
中原祐作:永井 大
稲田耕一:金田明夫
黒坂沙也香:吉田里琴
明石厚子:清水めぐみ
宗像直樹:宮田俊哉
南ママ:橋本じゅん
シャリーヌ:Sharo
サブ:稲葉俊哉
吉田麻美:ふせえり
山際睦郎:山崎樹範
進藤正彦:中林大輔
山際良和:山崎潤
塚本瞳:広瀬みか
堂島佐和子:山口あゆみ
中原守:原田大二郎
夜桜舟子・塚本幸夫:近藤芳正
黒坂律子:酒井和歌子 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)
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近藤芳正さんがホステスさんの役で登場されるなり、真犯人に違いないと当たりをつけて、そこへどう持って行って貰えるか、或いは別な楽しみ方をさせて貰えるか……と、わくわくしながら見終え、なかなかの満足感でした。
新人検事さんの成長ぶりなど、他にも楽しみ所が随所にありましたが、それとは別に印象強かったのが、理解している筈のネットの恐さ。真実を追い正義を貫く立場である主役側が、あのような形で脅かされる当事者として描かれる辺りに、かなりの衝撃を覚えました。
次の第2作も、きっと見ると思います。
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
なるほど、第一作にしては確かに不思議な安心感がある作品でしたね。
同時に展開も「中原の成長」や「百合子の危機」など印象的な点が多かった。
続編が気になる作品の1つと言えそうですね。