<あらすじ>
身に覚えのない映画試写会の招待状を受け取った宅間(草ナギ剛)は、千波(南果歩)とともに映画館に向かう。上映中、突然スクリーンにメッセージが現れ、客席の下から毒ガス発生装置が発見される!宅間は自身の刑務所での経験から、犯人は観客15人の中にいることを明言。混乱する館内!さらにスクリーンには、毒ガス装置の解除キーと思われる謎の数字が3つ現れる。その数字は、宅間の刑務所時代の衝撃の真実と関係していて…!?
(公式HPより)
では、続きから(一部、あらすじと重複あり)……
新設された「総合事犯対応係(仮称)」。
メンバーには10年と10ヶ月に渡り冤罪で服役し犯罪に精通した宅間。
未だ対応係に慣れない様子の我妻。
個性的なメンバーのまとめ役・姉小路。
システムに強い松原。
元SPでイケメンの堀川。
そして、このメンバーを集めた滝道が居る。
そんな「総合事犯対応係」は今日も今日とて何やら騒がしい。
「あなた、自分のやったことが分かってるの?」
「何だと、こいつがどうなってもいいのか!?」
其処には我妻を人質に取る堀川、そんな堀川を威嚇する姉小路、彼らの中心で何やら立ち尽くす松原、それを漫然と眺める宅間の姿があった。
まさか堀川ご乱心!?……と思いきや、よくよく見れば何やらおかしい。
まず、堀川が泥棒風の衣装に身を包んでいる。
さらに、彼を威嚇する姉小路が「あなた、自分のやったことが分かってるの?」しか言っていない。
しかも、堀川に人質に取られた筈の我妻が「こいつがどうなってもいいのか?」と繰り返している。
加えて、どうも松原はやる気が無さそうだ。
それもその筈、彼らは防犯啓発PRビデオの撮影の練習に勤しんでいたのである。
どうやら堀川が犯人役、我妻が人質に取られた被害者宅の娘役、姉小路がその母親役のようだ。
それぞれの台詞を繰り返す面々だが、どうも緊張感に欠けるらしく芳しく無い。
一方、傍に据え付けられたテレビでは「白骨死体の身元判明、20年前に行方不明になっていた星野孝之36歳だった」とのニュースが報じられている。
どうやら、先頃に発見された白骨死体の身許が判明したらしい。
それによると白骨と共に社章らしいものが発見されており、これに基づき捜査が行われていたが奏功しなかったとされていた。
結局、復顔が決め手となって身許が明らかになったようである。
そんな中、不意に宅間が立ち上がるや「真実は斜め左に隠れている!!」と叫び出した。
呆気に取られる一同の前で説明を始める宅間。
この「真実は斜め左に隠れている!!」とは藤村毅が主演していたドラマ「名探偵 早乙女明」の決め台詞。
早乙女が全てを見通した際に「謎はすべて解けました、真実は斜め左に隠れている!!」と決めるのだ。
それにしても何故、宅間がこれに言及するのか。
宅間は自慢そうに懐からチケットを取り出した。
それは試写会の招待状である。
其処には「20年前の幻の名作がいよいよ公開」と記されていた。
宅間によれば、この主演が早乙女明を演じていた藤村なのだそうだ。
このチケット、15席に対して2万通の応募が集まったとのシロモノ。
実は「早乙女明」のファンであった宅間は試写会に参加するつもりのようだ。
その試写会当日が今日これからだったのである。
すなわち、宅間はその場を去ろうとしているのだ。
「じゃ、これに行くんで」
言うや歩き出す宅間だが、その腕を姉小路がむんずと捕らえていた。
何やらニヤリと笑う姉小路、その目はチケットの一文を見詰めていた。
そう、「1枚につき2名様まで有効」との一文を。
姉小路もまた藤村のファンだったのだ。
こうして宅間と姉小路は練習を放置して試写会場へ。
その途中、話題は京都に残した姉小路の娘・茜のことに。
何でも茜は化学の試験に苦戦しているらしい。
「水兵リーベ僕の船」と歌い出す宅間、化学には自信があるそうだ。
ちなみに、宅間自身には試写会に応募した覚えはないらしいが……。
試写会場には藤村を始め、監督の武田健吾、藤村のマネージャー・美沙や運営スタッフ数人、当選者である観客たちが集まっていた。
早速、壇上に立った藤村と武田の舞台挨拶から試写会はスタート。
藤村によれば、映画の内容は彼が演ずる主人公と7年前に病死した小宮山月子演ずるヒロインとの恋愛物らしい。
「な〜〜〜んだ」
これを聞くや冷めてしまった様子を見せる宅間。
一方、姉小路の興奮は最高潮だ。
そんな中、上映を前に休憩が挟まれた。
武田と藤村がトイレに立つ中、宅間は上映予定の映画チラシに目を留める。
数分後、いよいよ上映が開始。
スクリーンの中では何処かの会社員役なのだろうか社章を胸に留めた背広姿の藤村と月子のラブロマンスが繰り広げられていた。
駆け寄る藤村に、右手を差し伸ばす月子。
そして2人の影が寄り添う……。
数十分後、物語も中盤に突入したようで花畑で語り合う藤村と月子。
藤村は相変わらず背広姿であるが、どうしたことかその胸元が些か広く見える。
そんな藤村に、そっと左手を差し出す月子。
おや……と宅間が何かに気付いた途端、画面が暗転した。
表示されたのは「執行の時が来た 敗者は死をもって罰せられる」との文字。
さらに『16』『68』『13』と3つの数字が表示される。
すると唐突に映画は終わりを迎えてしまった。
困惑する観客の中から悲鳴が上がった。
なんと、観客の1人が死亡していたのだ。
駆け寄った宅間は被害者が中毒死を遂げたことに気付く。
しかも、その傍からは毒ガス発生装置が発見される。
被害者は毒ガスの犠牲になったらしい。
館内は大パニックに。
我先に飛び出そうとする観客たちだが姉小路が一喝する。
なんと、スクリーンには「扉を開ければ死の雲に覆われる」との文字が。
どうやら、扉を開けてしまうと宅間が発見した発生装置が起動するようだ。
同じ頃、「総合事犯対応係」では松原が姉小路の忘れていた携帯を発見。
練習から逃げ出す口実を見つけた松原は嬉々として試写会場へ。
一方、宅間は『16』『68』『13』が毒ガス発生装置を止めるヒントだと気付く。
これを証明するように毒ガス発生装置には答えを入力するキーボードとそれを表示するディスプレイが付随していた。
試しに「166813」と入力する宅間だが、ディスプレイに「エラー」と共に「3→2」との表示が。
どうも入力回数に制限があり、残るは2回のようだ。
さらに、スクリーン上ではタイマーが起動。
2回を失敗するか、タイマーが0になったら毒ガスが発生する仕組みのようである。
ルールを理解した宅間だが、此処である疑問に行き当たる。
何故、わざわざ試写会だったのか、だ。
すると、美沙が藤村宛に脅迫状が届いていたことを明かす。
狙われたのは藤村なのだろうか?
ふと美沙が周囲を見回したところ、武田監督の姿が消えていることに気付く。
閉じ込められた観客たちは「武田こそが犯人ではないか」と言い募るが……。
その頃、試写会にやって来た松原はトイレで武田監督の他殺体を発見。
館内放送を利用して姉小路にこれを伝えることに。
ところが、直後に音響装置が使用不可能になってしまう。
どうやら、犯人が仕掛けていたらしい。
緊急事態を受けて松原は我妻と堀川を招集する。
武田の死を知った姉小路は激しく動揺。
だが、宅間は閉じ込められたメンバーの中にこそ犯人が居るに違いないと主張する。
状況の推移を間近で監視している筈と考えたのだ。
これを聞いた観客たちは互いに疑心暗鬼に。
犯人は藤村、美沙、運営スタッフ2人、14名の観客の中に居るのか?
一方、松原はスタッフから受け取った招待客リストを確認し宅間の名が無いことに気付く。
そう、宅間たちこそ犯人の狙いだったのだ。
同じ頃、宅間は1人の運営スタッフに注目していた。
彼が故意に観客たちをコントロールしていたことに気付いたのだ。
しかも、宅間はそのスタッフに見覚えがあった。
刑務官の1人だったのだ。
同時刻、松原たちも宅間と同じ運営スタッフに注目していた。
彼は1週間ほど前にボランティアスタッフとして加わったらしい。
その名は真壁秀介だそうだが……。
試写会場では宅間が真壁に詰め寄っていた。
真壁の標的はやはり宅間であった。
どうやら真壁は宅間が「名探偵・早乙女明」のファンであることを知り機会を窺っていたらしい。
正体を暴かれた真壁は毒ガスの起爆スイッチを手に周囲を威圧し始めた。
5年前、宅間は配膳係のある受刑者を告発した。
それこそ真壁の動機だったのだ。
周囲に対し歪んだ優越感を抱き続けていた真壁。
それは彼が知らぬ間に多くの反発を招いていた。
ある日、真壁は1人の受刑者から一本の煙草が欲しいと依頼された。
これに真壁は「俺の靴を舐めたらな」と応じ、実行させると暗い愉悦に浸っていた。
ところが、直後にこの関係は逆転する。
煙草を融通したことで脅迫されることになったのだ。
しかも、反発を招いていた真壁は複数の受刑者から暴行されるようになった。
そんなある日、真壁を1人の受刑者が救った。
彼に便宜を図ることで真壁は生き残ることが出来たのだが……宅間が彼の不正通信を暴いてしまった。
これにより状況は再度逆転する。
後ろ盾を失った真壁は再び脅迫されるようになり暴行も日常茶飯事に。
其処で真壁は宅間を恨むようになったのだ。
この動機を聞いた宅間は『16』『68』『13』が真壁を脅迫していた受刑者の番号だと気付いた。
当時、真壁を脅迫していたのは6人。
其処から宅間は先の3つに『53』『95』『8』を加えた6つの数字がキーだと結論付けた。
問題は入力順だが、これは「受刑者の序列」だと「13958165368」と入力する。
しかし、タイマーは止まらない。
それどころか、入力回数は残る1回になってしまった。
此処に来て宅間は真壁の行動を訝しみ始める。
「毒ガス」と「武田殺害」との行動性が一貫性に欠けたのである。
「1つの犯罪に2つのルール」がある筈はないと考えた宅間は「2つの犯罪」なのではないかと考えるように。
宅間は姉小路の協力を得て松原たちに「真実は斜め左に隠れている」と映画のチラシを見るようにジェスチャーで知らせる。
其処には重大な情報が記されていた。
これに気付いた松原たちは驚愕することに。
一方、タイマーはいよいよ残り1分を切った。
此処で宅間は試写会場までの道中で姉小路と交わした内容を思い出す。
そう、化学だ。
『16』『68』『13』『53』『95』『8』を「原子番号」だと看破した宅間。
それぞれを元素記号に置き換えアナグラムしたところ「Iamaloser(私は敗者です)」となることに気付く。
答えに辿り着かなければ敗者であるし、答えに辿り着いても敗者と入力することになる。
これこそまさに真壁好みの趣向だ。
確信を得た宅間が文字列を入力したところタイマーは無事に停止。
真壁は「負けを認めたな!!」と宅間を嘲笑するが宅間は動じない。
「犯罪に勝ち負けは関係ないし、この犯罪には別に主役が居るし」
その視線は既に真壁から真犯人へと移されていた、すなわち藤村である。
宅間は全ての動機が星野の遺体が発見されたことにあったと指摘する。
星野の白骨と共に発見された社章、それは星野の身許特定に繋がらなかった。
何故か―――社章は映画の小道具だったからだ。
それを身に着けていたのは藤村である。
映画の中盤、藤村の胸元が広く感じられた理由は「その胸元から社章が消えた」からであった。
すなわち、藤村が星野を埋めた際に誤って落としてしまったのだ。
其処で藤村は社章を失くした状態で映画に出演を続けざるを得なかったのである。
さらに、宅間たちが松原へ伝えようとした情報。
映画のチラシにはロケ地が記載されていた。
そのロケ地と死体発見現場はすぐ近くだったのである。
指摘を受けた藤村は動機を語り出す。
20年前、星野は月子のヒモであった。
そして、藤村は月子を恩人だと尊敬していた。
其処で藤村は月子を苦しめる星野を許せず殺害し埋めたのだ。
だが、此の時に社章を落としてしまったのが迂闊だった。
数十年経過し、星野の遺体が発見された。
映画が上映されてしまえば誰かが社章に気付くかもしれない。
其処から過去の犯行が暴かれてしまうかもしれない。
困った藤村は偶然見つけた真壁を利用し、事件を引き起こすことで映画の公開中止を目論んだのだ。
ところが、試写会直前にトラブルが発生した。
武田が星野の死を知り藤村を脅迫したのだ。
しかも、あろうことか武田は月子を貶めるような発言を繰り返した。
逆上した藤村が武田を殺害してしまったのであった。
連行される藤村、此処で宅間はふと気付いた。
劇中、月子は右利きであったが、画面の中の藤村から社章が失われたとほぼ同時に右手を庇い左手を使っていたことに。
これを聞かされた姉小路は呟く。
もしかして月子さんが星野を殺害したのではないか、と。
藤村はその名誉を守ろうとしたのではないか、と。
だが、誰にも真相は分からない―――6話へ続く。
<感想>
「スペシャリスト」の連続ドラマ版、その第5話です。
今回は内容がかなり盛り沢山でしたね。
寧ろ、盛り過ぎかな〜〜〜との感もあるほど。
とはいえ、これもまた「スペシャリスト」の魅力かも。
そんな今回でしたが、中でも特筆すべきは映像媒体であるドラマならではの「藤村の社章」。
あれはサプライズでした。
まさに「ドラマ版叙述トリック」とでも言うべき物でしたね。
活字媒体であるあらすじではあの衝撃を上手く伝えることが出来ず、苦肉の策で「胸元が広く感じる=胸元の社章が消えた」と改変しています。
とはいえ、あれは映像で是非確認して欲しいところ。
同時に、宅間以外の「総合事犯対応係」が存在感を発揮していた点も良し。
ただ、折角試写会場内外で「宅間&姉小路組」と「松原たち」とで分断されていたのでこれをもっと活かして「宅間が試写会場内の毒ガス解除とこの犯人の捜査」と「松原たちが武田殺害犯の捜査」を並行しつつ互いに情報交換し、それぞれ別の犯人を逮捕するぐらいでも良かったかもしれないなぁ……。
そして、藤村の意を汲んだ宅間。
宅間がその気になれば真実に辿り着けるかどうかは別にして藤村を追及することも出来た筈。
それを行わなかったのは宅間なりに藤村の想いを尊重したと言ったところでしょうか。
ちなみに「真壁の後ろ盾をしていた彼」の件ですが5年前の出来事だそうなので「スペシャリスト3」で不正通信を暴かれた人とは別人ですね。
同じ人かなと思ったのですが、5年前の時点では宅間の冤罪が立証されていないし。
とはいえ、宅間の設定も活かした回だった気がします。
次回にも期待ですね!!
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