金曜プレミアム「西村京太郎スペシャル　警部補・佐々木丈太郎8　丈太郎の元に届いた見覚えなき手帳。隠されたメッセージと謎多き殺人事件の結末は！？」（2月26日放送）ネタバレ批評（レビュー）: ミステリ通信　創刊号

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2016年02月27日

金曜プレミアム「西村京太郎スペシャル　警部補・佐々木丈太郎8　丈太郎の元に届いた見覚えなき手帳。隠されたメッセージと謎多き殺人事件の結末は！？」（2月26日放送）ネタバレ批評（レビュー）

金曜プレミアム「西村京太郎スペシャル　警部補・佐々木丈太郎8　丈太郎の元に届いた見覚えなき手帳。隠されたメッセージと謎多き殺人事件の結末は！？」（2月26日放送）ネタバレ批評（レビュー）です！！

＜あらすじ＞

佐々木丈太郎（寺脇康文）の母、春代（吉行和子）は、この日も丈太郎の妻、涼子（横山めぐみ）と一緒に「ショップゴールド」という会社のテレビショッピングを見て楽しんでいた。番組キャスターとして有名な西野美奈子（三浦理恵子）とサブキャスターの有沢唯（永池南津子）が、ナンバーワンヒット商品の真珠のネックレスを紹介している。その生放送中、誤ってスタジオにクレームの電話がつながってしまうというハプニングが発生！突然映像が切り替わり、驚く春代たち。
美奈子はクレーム対応担当の田中啓子（高橋由美子）に駆け寄ると怒鳴りつけ、社長の池宮信恵（あめくみちこ）も啓子を厳しく叱責した。ひたすら謝る啓子。バイヤーの川西伸彦（須田邦裕）がとりなしたおかげで、なんとかその場は収まった。
その夜、ある男が歩道橋から転落死する事件が起きた。死亡したのはバイヤーの川西だった…。
事件からわずか五日後、なぜか丈太郎の元に川西の遺品である手帳が届く。「もし自分に万一のことがあったら、警視庁の佐々木丈太郎さんに渡して下さい」と書かれていたのだ。しかし丈太郎は、川西という男と自分の関係を思い出せない…。また、その手帳は冷蔵庫から発見されたと丈太郎の相棒である降谷拓（石黒英雄）が言う。手帳のあるページに“SPS SPR 蓮沼G2575”と記されている。一方で、自殺とは考えにくいという事件現場の状況から、丈太郎と降谷は、この“自殺”に不信を抱く。一体、川西の身に何が起きたのか。そして川西は丈太郎に何を伝えたかったのだろうか…。あらためて丈太郎が手帳に記された暗号を眺めていると、何者かが手帳を奪おうと丈太郎に襲いかかる。何とか手帳は奪われずに済んだ丈太郎。もみ合いの末、丈太郎のその手には襲い掛かってきた男のニット帽が残り、妻の涼子と三浦さくら（山村紅葉）がいる科捜研へDNA鑑定を依頼した。
奪われずに済んだ手帳…。この手帳には何かが隠されている…？！本格的に捜査に乗り出した丈太郎と降谷。早速二人はショップゴールド本社へと出向く。フロアで美奈子から叱責され謝る啓子の姿を目撃するも、その足で社長の池宮の元へと向かう丈太郎と降谷。池宮から、川西は信恵にとって弟のような存在だったこと、啓子が川西をストーカーしていたという噂があることを知らされる。丈太郎と降谷は池宮の元を後にする。すると今度は、お客様相談室長の畑幸雄（村松利史）から啓子が激しく叱りつけられていた…。メーンキャスターの美奈子、サブキャスターの唯、お客様相談室の啓子、社長の信恵、そして川西…。テレビ通販会社の不穏な人間関係の裏に何があるのか。そして、なぜ啓子はいつも謝罪ばかりするのか。
謎が深まる中、さらなる事件が起きる。高見明（松本実）という男がアパートの一室で殺害されたのだ。高見の部屋には、大量の贈答品が並び、ショップゴールドの紙袋も発見される。高見は、企業に理不尽なクレーム電話をかけては、恐喝まがいの強引さで代わりの品を送らせる、悪質なクレーマーだったのだ。丈太郎は、真珠が一粒だけ落ちているのを発見し、科捜研に持ち込んだ。
さらに事件の夜、高見の部屋から出てくる啓子の姿を目撃したという情報が入り…。

丈太郎は、手帳の謎を解き明かすことができるのか―。
女ばかりの華麗なる通販会社に潜む恐ろしい陰謀とは―。

（公式ＨＰより）

では、続きから……（一部、重複あり）。

その日、警視庁捜査一課・警部補の佐々木丈太郎は母・春代や妻・涼子と共にテレビを視ていた。
その内容は「ショップゴールド」社の通販番組である。

番組では有名キャスター・西野美奈子、サブキャスターの有沢唯が南洋真珠ネックレスを紹介していた。
そのお値段は49800円だ。
やがて、美奈子の軽妙なトークに感化されたのか春代が「買ってみようかしら」と呟き始めた。

続いて、実際の使用者の声を伝える電話コーナーへ。
ところが、繋がるなり電話口の男は「ふざけんじゃねぇ」と激怒し始めた。
どうやらクレームの電話のようだ。
ひたすら謝罪を繰り返す美奈子、紛うことなき放送事故だ。
思いも寄らぬ展開に呆然とする丈太郎を他所に放送は突然の中断を迎えた。

数分後、美奈子は電話を繋いだ田中啓子に詰め寄ることに。
啓子は「ショップゴールド」のクレーム担当で電話応対をしていた。
揉み合う美奈子と啓子、そんな2人を社長の池宮信恵やバイヤーの川西伸彦が執成しその場を収めた。
ところが、同じ夜のこと川西が謎の転落死を遂げてしまった。

5日が経過し、丈太郎のもとに川西の遺品である手帳が届いた。
手帳に丈太郎に届けて欲しいと書かれていたのである。
実は丈太郎と川西には過去に面識があったのだ。
川西が何かを伝えようとしたと考えた丈太郎はその遺志を継ぐべく捜査を開始する。

まず、丈太郎が気に留めたのは手帳に記された「SPS」「蓮沼G2575」との単語群。
それは顧客名簿らしき羅列の隅に書き込まれていた。
何を意味しているのか！？

矢先、丈太郎は手帳を奪おうとしたニット帽の男から襲撃を受けることに。
丈太郎はコレを撃退し、逆にニット帽を奪い取ることに成功。
ニット帽男の正体を掴むべく鑑定を涼子たちに依頼する。

やはり、手帳に何かあると確信した丈太郎は「ショップゴールド」へ。
すると、信恵から啓子が川西をストーカーしていたとの情報を得ることに。
何でも、啓子は川西の元交際相手だったらしい。

啓子に問い質したところ、何を尋ねても彼女は謝罪を繰り返すばかり。
そんな啓子の様子に丈太郎は不安を覚える。

一方、啓子はと言えば丈太郎と別れた後も謝罪を繰り返していた。
まずは、お客様相談室の上司・畑幸雄から叱責。
続いて美奈子や唯からも叱責を受ける。
唯によれば「グチャグチャのチョコレートケーキを啓子に送り付けられた」のだそうだが……。

直後、高見明なる男性が他殺体で発見された。
高見は強引なクレーマーで有名な男であった。
丈太郎は犯行現場から真珠を拾うと共に「蓮沼硝子株式会社」と書かれたメモを見つける。
まさか、これこそ「蓮沼G」の正体なのか！？
早速、「蓮沼硝子株式会社」を訪問した丈太郎だが其処は1年前に倒産していた。

そんな中、高見殺害現場付近で啓子を見たとの証言が得られた。
こうして容疑は啓子へ向かう。
啓子は高見からクレームが入りお詫びに訪問したと主張するが、その通話データが見当たらない。
啓子が嘘を吐いているのだろうか？

啓子について調べた丈太郎は彼女が信恵や川西と共に「ショップゴールド」設立からのメンバーであることを知る。
しかも、啓子は美奈子の前のメインキャスターであった。
だが、2年前に美奈子が招聘され啓子はクレーム担当に異動となっていた。
以来、啓子は元気を失い何事にも謝罪を繰り返すようになってしまったのだそうだ。

一方、ニット帽男の毛髪と高見のDNAが合致した。
手帳を奪おうとしたのは高見であったのだ。
さらに、唯から「啓子に嫌がらせのようなチョコレートケーキを送られた」と聞く丈太郎だが。

手帳の謎を解明すべく、記されていた顧客を訪ね歩く丈太郎。
すると、川西が南洋真珠セットのクレーム対応に歩き回っていたことを突き止める。
どうやら、不良品と良品とを交換して回っていたようだ。

此処で丈太郎は「SPS」の正体が「South　Pearl　Set」の略であると気付く。
すなわち「南洋真珠セット」のことだ。

その翌日、啓子宅で大事件が発生。
帰宅した啓子がストーカーに襲われたのだ。
丈太郎たちが駆け付け、ストーカーを逮捕し事無きを得ることに。

ストーカーの正体は中島なる男性、啓子のファンだったらしい。
その声を聞いた丈太郎は彼こそが放送事故を起こしたクレーマーであると気付く。

なんと、啓子に依頼されて騒動を起こしたらしい。
啓子によれば美奈子への意趣返しだったのだそうだ。

落ち込む啓子にチョコレートケーキを差し入れする丈太郎だが、啓子はチョコアレルギーらしく口にしようとしない。
此処で丈太郎は唯に嫌がらせチョコケーキを送った主が啓子では無いのではないかと考えるように。
嫌がらせとは言えアレルギーのある食べ物を用いるとは思えなかったのだ。
また、啓子が高見から受けた電話のデータも消えていたことから、何者かが啓子を陥れようとしていると考え始めた。

そんな中、高見殺害現場で発見された真珠がガラス細工による偽物と判明。
此処から丈太郎は「蓮沼G2575」の意味が「蓮沼硝子製2575円の偽真珠」だと察する。
つまり、「ショップゴールド」では2575円のガラス細工を本物と偽り49800円で販売していたことになる。
これについて信恵を問い質す丈太郎であったが、信恵は「川西の犯行だ」と主張する。

直後、高見殺害当日の放送を美奈子が休んでいたことが明らかに。
休憩室に居たとアリバイを述べる美奈子だが、啓子がこれを否定する。
さらに啓子によれば、美奈子と川西が交際していたとの噂もあったらしい。
こうして美奈子に容疑が向かうのだが……。

実は美奈子が高見殺害当夜に母親の見舞いに訪れていたことが判明。
しかも、川西とは交際していたワケではなく偽造真珠の件で告発の打ち合わせをしていたことも分かる。
さらに、啓子に厳しく当たっていたのは彼女にキャスター時代同様に輝いて貰う為だったのだそうだ。

では、犯人は誰なのか！？
丈太郎が犯人として指摘したのは信恵であった。
信恵の所持品の痕跡が川西殺害現場から検出されたのだ。

告発を受けた信恵は真相を明かす。

偽真珠を用いて不正を行ったのは川西ではなく信恵であった。
川西はこれを公表しようと美奈子と図っていた。

信恵が阻止しようと川西を説得しようとしたところ、高見が勝手に殺害してしまったらしい。
川西殺害は高見明の犯行だったのだ。

ところが、今度は高見が信恵を脅迫して来た。
其処で口封じに殺害したのであった。
高見殺害は信恵の犯行だったのだ。
もちろん、啓子を呼び出した電話も信恵のものだ。

信恵は川西の心を奪った啓子に嫉妬していたのだ。
其処で美奈子を招聘し、啓子をクレーム担当に追いやったのだ。
唯に送ったチョコケーキも信恵の犯行であった。

信恵の身勝手さを責める丈太郎。
こうして信恵は逮捕された。

残された美奈子と啓子は「ショップゴールド」を守り抜くことを誓う―――エンド。

＜感想＞

金曜プレステージ「警部補・佐々木丈太郎」シリーズ第8弾。
原作は西村京太郎先生『仙台青葉の殺意』（角川書店刊）。

原作のあらすじはこちら。

＜あらすじ＞

仙台で病死した食品会社の社長・田中の手帳になぜか十津川の名が残されていた。手帳を巡って繰り返される殺人事件。事件の脚本を書いたのは誰か？　厚いヴェールに覆われた真相に、十津川警部の推理が迫る！

（角川書店公式HPより）

あれ、このあらすじ何処かで目にしたような……と思ったらありました。
土曜ワイド劇場「西村京太郎トラベルミステリー64」が同じ『仙台青葉の殺意』が原作のドラマでした。
とはいえ、ドラマ同士の内容は全く別で「主人公のもとに心当たりのない手帳が届くこと」だけが共通点でした。

・土曜ワイド劇場「西村京太郎トラベルミステリー64 仙台・青葉の殺意～見知らぬ美貌の喪主VS十津川警部！！夫の手帳にヒントが…秋保温泉女将の復讐殺人？」（8月15日放送）ネタバレ批評（レビュー）

では、ドラマの感想をば。

メタ的ですが暗号に関わる真珠偽造が発覚した時点でキャスター陣に動機が無くなってしまったのが何とも。
結果として偽造に関与出来る容疑者は信恵しか居なくなったものなぁ……。
でもって、キャスター陣のドロドロと事件がほぼ関係ないことに。

そう言えば、美奈子は川西と共に偽造真珠を公表しようとしていたのにそれについて丈太郎に全く明かそうとしないのはどうよ。
その状況なら川西殺害の有力な動機ですよ、ソレは。
ソレが明かされていれば信恵が第一容疑者だったんですよ。
当然、早期解決に繋がっていた筈なんですよ。
美奈子は公表するつもりだった割には、隠蔽しているようにしか見えない……。
そもそも、本当に公表する気はあったんですか！？

美奈子と言えば啓子からキャスターの座を奪っておいて「輝け！！」は無理な話だと思いますが。
特にクレーム担当で輝くってどうなのだろう。
そもそも、クレームが一本でも入らないようにするのも美奈子たちの仕事だと思うのだけどなぁ。
あれだけプライドについて語りながら、品質保証出来ない品を笑顔で販売するのはどうなんだろう。
そう言えば、2年前に偽真珠を先頭に立って販売したのは美奈子の筈なんだけどそれには触れてはいけないのだろうか。

でもって、唐突にプライドを取り戻した啓子。
とはいえ、あの後も事あるごとに美奈子と衝突して空中分解になりそうな予感。
そもそも、唯も居るし。
「船頭多くして船山に登る」との格言を忘れてはならないだろう。

そして、悉く鑑定結果頼りな丈太郎。
寧ろ、涼子が居れば事件は解決していた。
確かにもっとも確実なのは物証だけど、容疑者断定ではなく容疑者消去以外に殆ど推測を巡らせていないのはミステリ作品として頂けないと思う。

総評として、今回はツッコミどころの多い回でしたね。
とはいえ、シリーズ続編に期待！！

ちなみに西村京太郎先生と言えば「十津川シリーズ」最終作について語られています。
興味のある方はリンクよりどうぞ！！

・十津川シリーズ最終作、舞台はあの村！？作者である西村京太郎先生が激白！！

・「JR時刻表」と西村京太郎先生がコラボ！！2013年7月号、8月号にファン必見のクイズとエッセイが掲載！！

TBS版十津川警部について、シリーズの制作秘話を森下和清プロデューサーが語られています。

・月曜ゴールデン版「十津川警部シリーズ」、その制作秘話を森下和清プロデューサーが読売新聞さんに明かしました！！

＜キャスト＞

寺脇康文
高橋由美子
三浦理恵子
あめくみちこ
須田邦裕
村松利史
永池南津子
松本実
寿大聡
於保佐代子
山口竜央
山村紅葉
石黒英雄
升毅
横山めぐみ
吉行和子　ほか

（順不同、敬称略、公式HPより）