<あらすじ>
二件の不可解な殺人事件が発生する。釣りをしていた弁護士の五十嵐泰臣(長棟嘉道)が海辺で絞殺された事件と、その一カ月後に起きた芸能プロダクション社長・十文字みどり(宇津井香織)の毒殺事件だ。なぜか五十嵐の遺体には百人一首の藤原敦忠の上の句、みどりの遺体には下の句の札が残されていた。湾岸北署の捜査本部では、句の意味から恋愛絡みの怨恨による連続殺人であると推測。模倣犯を防ぐためマスコミには伏せて捜査が進められるが、三カ月経っても犯人逮捕に至らないでいた。そこへ警視庁人事一課の監察官・音無一六(小日向文世)が現れ、「捜査そのものの特別監察をする」と捜査員に宣言。だが本当は警務部長の千住遼子(田中美佐子)からある任務を任されていた…。
一六は、刑事の個人面談に加え、捜査を監察し続ける。三条渚(中越典子)、高崎邦茂(松田悟志)が向かった宗教団体「幸愛の光」への聞き込みに同行した一六は、本部前で抗議活動を行う被害者の会の姿を目にする。被害者の会と共に闘っていた五十嵐弁護士の殺害にも関与しているはずだと訴える彼らに対し、広報の真柴圭史(尾上寛之)は、全員アリバイがあると否定するが…。
そんな中、一六は元監察官の藤代栄治(宅麻伸)と遭遇。かつては誰からも好かれる監察官で、高崎が過去に問題を起こした際、温情で処分が軽くなったことも。数年前に警察を退職し、今は探偵として「幸愛の光」を調べているという。その頃、三条は刑事部長の七尾政和(石丸謙二郎)に呼び出されていた。一六を危険人物だと思っている七尾は、三条に一六を監視するよう命じる。
ところがその日の深夜、大学病院の心臓外科医・小玉道宣(大家仁志)の刺殺体が発見される。遺体にはまたもや右近という女流作家の百人一首の札が…。恋愛に関する句で、管理官の飯塚久雄(矢島健一)は今回も怨恨の線だと断言するが、一六はそんな飯塚の考えに異を唱える。句の背景に気付いた一六の“深読み”とは…。
さらに三条、高崎を監察していた一六は、被害者の会の代表・原雅義(井上高志)から、前代表の田辺秀治(藏内秀樹)が自殺した話を聞く。田辺の死もまた教団に仕組まれたものだと主張するが、やはり「幸愛の光」にはアリバイがあった。捜査が行き詰まる中、マスコミに伏せていた事件の捜査情報が漏れ、新聞の一面に「百人一首殺人事件」の詳細が掲載されてしまう。
なぜ情報が漏れたのか?連続殺人は教団の仕業なのか?そして百人一首に込められた意味とは…?
(水曜ミステリー9公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……。
音無一六は警視庁人事一課の監察官である。
警察の警察とでもいうべき仕事である監察官だが、一六はその厳しい姿勢により周囲から疎んじられていた。
そんな彼を理解し支持するのは刑務部長の千住遼子などごくわずかである。
そんな中、弁護士の五十嵐泰臣が何者かに絞殺される事件が発生。
さらに1ヶ月後には芸能プロダクション社長・十文字みどりが毒殺された。
一見、全く別件に見える2つの殺人事件。
ところが、2つの殺害現場には共に百人一首の句が残されていたのである。
藤原敦忠の上の句が五十嵐の殺害現場に、下の句がみどり殺害現場に置かれていたのだ。
三条渚が所属する湾岸北署では句の内容から恋愛絡みの怨恨殺人として捜査を開始。
ところが、3ヶ月経過するも犯人を捕まえられない状態であった。
此処へ一六が参加することとなった。
渚は刑事部長の七尾から一六監視の命を受けて相棒となることに。
一方、当の一六も千住遼子からの密命を遂行していた。
それは黒い噂の絶えない高崎邦茂を監察すること。
また、元監察官の藤代栄治について調べることであった。
藤代は監察官当時から一六と異なる温情派で知られており、高崎に対しても処分を軽くしたほどであった。
ところが、高崎は素行不良が改まらず、今も利益を貪り続けている。
そして、処分した筈の藤代が退職する羽目に陥っていた。
退職した藤代は探偵として「幸愛の光」を調べていたが、金属アレルギーに苦しんでいた。
「幸愛の会」はかなり悪評高い団体で、騙しては金を巻き上げていたらしい。
そんな中、「幸愛の光」と五十嵐が対立関係にあったことが明らかに。
五十嵐は「幸愛の光被害者の会」と共に訴訟を起こすつもりだったようだ。
「被害者の会」代表・原雅義は「幸愛の会」側が五十嵐を殺したと主張。
原によれば彼の先代となる前代表・田辺秀治も謎の首吊り自殺を遂げており、これも「幸愛の会」による謀殺だと主張する。
しかし、「幸愛の会」では広報担当の真柴圭史がこれに真っ向から反論。
五十嵐殺害時には1日かけて会報誌を撮影しており犯行は不可能だと主張する。
これを証明するように会報誌にはピンク色の酔芙蓉と共に映る真柴の姿が。
また、田辺死亡時には真柴は「幸愛の会」の会員では無かった。
同時に会員にも犯行不可能とアリバイを提示する。
その深夜、大学病院の心臓外科医・小玉道宣が刺殺体で発見される。
現場には右近による百人一首の句が残されていた。
一六は監察の結果から高崎が「幸愛の会」と繋がっていることに気付く。
しかも「被害者の会」側だった筈の五十嵐も実は「幸愛の会」側の人間であった。
直後、高崎が拳銃で死亡する。
一六は高崎宅の蛍光灯が取り換えられていたことから、何者かによる他殺だと考えるが……。
さらに、一六は原から田辺が被害者の会を立ち上げた動機を聞くことに。
原によれば、田辺は本人ではなく知人が被害に遭ったのだそうだ。
田辺について調べたところ、田辺が教師として百人一首研究会の顧問を務めていたことが分かる。
どうやら、現場に残された百人一首はコレを示していたようだ。
「スコトーマ(心理的盲点)だった!!」と叫ぶ一六。
一六は五十嵐、みどり、小玉の殺害方法がそれぞれ異なっていたことに注目。
百人一首から1人が別の方法で殺害したと考えていたが、そもそも複数が犯行に及んでいる可能性に思い至る。
まず、一六は田辺が首吊り自殺を遂げたとされていた点に注目。
五十嵐の殺害方法が絞殺であることから、この復讐と考えるように。
つまり、田辺は五十嵐に殺害されたのだ。
続いて、みどりについて調べたところ、みどりが従業員に靴を舐めさせ相手を死に追いやっていたことが明らかに。
みどり殺害直前の映像を調べたところ、靴を履きかえたと思しき人物を発見する。
どうやら、犯人は靴に毒を塗りみどりに舐めさせ毒殺し、靴を履きかえたようだ。
小玉もまた過去に手術ミスで患者を死に追いやっていた。
だからこそ、刺殺だったのだろう。
続いて、一六は会報誌の酔芙蓉に注目。
酔芙蓉は午前中は白色、午後はピンク色に変る花であった。
ところが、会報誌に真柴と共に載った酔芙蓉はピンクである。
つまり、真柴は午後から撮影に参加したが午前は不在だったのだ。
アリバイがこうして崩れた。
さらに、真柴について調べたところ田辺の教え子だったことが判明。
真柴宅を訪れた一六は、彼のPCに「天誅」と書かれたサイトを見つける。
しかし、パスワードが分からず中を確認出来ない。
当時の百人一首研究会の会誌「あまつかぜ」から「AMASTUKAZE」と推測した一六、さらに「12番の句」であることから「AMASTUKAZE12」と入力したところ、これがパスワードであった。
「天誅サイト」では、真柴らが五十嵐、みどり、小玉殺害について赤裸々に語っていた。
そして、もう1人・長谷部もターゲットにされていたのだ。
一六は長谷部を救うべく現場へ駆け付け、真柴らを逮捕する。
「天誅サイト」は五十嵐、みどり、小玉、長谷部に恨みを持つ4人が集まって運営していた。
真柴が田辺の恨みで五十嵐を殺害。
他のメンバーもそれぞれに復讐していたのであった。
逮捕された真柴たちは五十嵐、みどり、小玉殺害は認めるが高崎殺害については否定する。
一六は高崎殺害犯は別に居るとして、ある人物を呼び出した。
藤代だ。
藤代は温情をかけたにも関わらず高崎から恨まれていた。
高崎は「幸愛の会」に藤代の母・美和子を狙わせ金を奪い死に至らしめた。
これに激怒した藤代が高崎を殺害したのであった。
藤代には金属アレルギーがあり、高崎殺害時に首筋に金属片を浴びていた。
これにより湿疹が残ったことが決め手となり、藤代は逮捕されることに。
そんな藤代に一六は「あなたが高崎に温情をかけたことが仇になったんです!!」と叫ぶ。
藤代が高崎に温情をかけたことで「幸愛の会」により多くの人々が被害に遭ったのである。
監察官として「辛くとも厳しくあらねばならぬ」と訴える一六に、涙を流す藤代であった。
この一六の姿に感銘を受けた渚は彼に尊敬のまなざしを寄せるのであった―――エンド。
<感想>
「嫌われ監察官 音無一六〜警察内部調査の鬼〜」シリーズ第3弾。
原案は「金曜プレステージ 財前一二三」で知られる酒井直行先生。
そう言えば、名前が漢数字との共通点がありますね。
「財前一二三」のときも思ったけど「一六」の「3」って、面白いなぁ。
酒井先生と言えば、次のニュースも過去記事がありましたね。
興味のある方は本記事下部のアマゾンさんリンクをチェック!!
・「医療捜査官 財前一二三」原作で知られる酒井直行先生がご当地キャラクター「あみたん娘」を題材にした小説を手掛けられるとのこと。
では、ドラマの感想を。
既に述べましたが、レギュラーキャラの名前がすべて数字に関連していますね。
また、今回から五月女ちとせに代わり三条渚が加わることに。
これにより数字も、主人公が一と六、三条渚が三、七尾政和が七、二宮満が二、千住遼子も千か。
それ以外にもゲストでは五十嵐泰臣が五十、十文字みどりが十だったり。
こういったところに遊び心が感じられます。
今回は一六の監察官としての信念が描かれました。
職務の内容が内容だけに、藤代のように温情をかけることは逆に多くの被害を生む。
だからこそ、冷徹と疎まれようとも忠実に職務を遂行する必要がある。
そんな一六の声が聞こえて来そうです。
そう言えば、真柴たちは1人で1人ずつターゲットに復讐していたのに、どうして長谷部のときだけ4人で集まっていたのだろう。
まるで一網打尽にされるのを待っていたかのようです。
総評として、2時間ではちょっと尺が不足していた気がします。
それくらい内容が濃かった。
内容的に2時間30分くらいでじっくり描いた方が良かったかも。
◆関連過去記事
・水曜ミステリー9「嫌われ監察官 音無一六2〜警察内部調査の鬼〜 “深読み”の天才は刑事の敵!?15年前から届いた悪魔の告発文!!“時が止まった”母子を救え!!」(11月5日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・金曜プレステージ「医療捜査官 財前一二三5 〜湯けむりに沈む殺意!温泉病院殺人事件〜 医師&刑事2つの顔持つ女シリーズ第5弾・病院長の令嬢が殺害!!遺産60億円!相続人は父の愛人!?鍵は温泉水、禁断の死因操作とは!?完璧な医療トリックに財前が挑む」(6月6日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・金曜プレステージ「壮絶!女のミステリー第2弾 医療捜査官 財前一二三4 大人気医療サスペンス第4弾!名門校で相次ぐ生徒の心臓発作 不審死に秘めた学校の思惑と薬物投与疑惑!?証拠のない遺体に財前が正義のメスを刻む」(11月8日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・金曜プレステージ「医療捜査官 財前一二三3 死のカルテが導くウィルス新薬の謎と悲しき真実…連続殺人の裏に潜む薬物犯罪!?医学部の陰謀を医療捜査のメスが刻む!」(8月3日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・金曜プレステージ「医療捜査官 財前一二三2 遺体解剖後に消された病理医!?4年前の事件が呼び起こす歪んだ愛の殺人連鎖…闇に潰された再捜査が示す悲しい絆と復讐の鬼」(12月16日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・金曜プレステージ「医療捜査官 財前一二三 顔と指紋の無い身元不明の焼死体!重病患者の謎の退院に隠された陰謀〜病院内に渦巻く復讐の罠…消えたカルテが誘う第2殺人」(5月13日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「医療捜査官 財前一二三」原作で知られる酒井直行先生がご当地キャラクター「あみたん娘」を題材にした小説を手掛けられるとのこと。
<キャスト>
音無一六:小日向文世
三条渚:中越典子
藤代栄治:宅麻伸
高崎邦茂:松田悟志
飯塚久雄:矢島健一
真柴圭史:尾上寛之
水守義昭:西山浩司
原雅義:井上高志
中川孝祐:田中聡元
末次俊:伊与勢我無
七尾政和:石丸謙二郎
二宮満:小野武彦
千住遼子:田中美佐子 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)
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今回は、宅麻さんが登場されるなり「何でだろう?」と気になりはしましたが、なかなか素人推理(推量?)が結びつかず (^_^;)、その意味でも楽しめました。
酔芙蓉の色の変化のことは、たまたま知っていましたので、ちょっぴり優越感(?)でした。
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
小日向さん演じる音無一六、良いですよね。
今回もドラマをきちんと締めるような存在感を示していました。
そして、知っている物事がドラマのキーになってたりするとついつい嬉しくなりますよね。
これもまた「2時間サスペンス」の魅力と言える気がします。