日本で100番目に早い(たぶん)、「相棒season14」第18話「神隠しの山」(3月2日放送)ネタバレ批評(レビュー)。
<ネタバレあらすじ>
此処は質屋の店先である。
店主の前に並べられた高級そうな貴金属類の数々、その数の多さに驚く店主。
そんな店主の様子を静かに窺う客の男性(窪寺昭)。
やがて、店主と客の間で幾つか遣り取りが交わされ店主が「買い取ろう」と客に告げた。
ほっとした客であったが、次の店主の一言により表情が凍り付くことに。
「身分証を見せて貰うよ」
そう、店主は貴金属の出自に疑惑を抱いていたのだ。
身分証の提示を求める店主に反発する客。
それもその筈、宝石は盗品であった。
客の正体は3年前に立川で発生していた宝石強盗犯であり、逃亡中の指名手配犯・斗ヶ沢だったのだ。
斗ヶ沢は店主の通報を怖れて逃走。
駆け付けた巡査と揉み合いになるや所持していた拳銃を3発ほど発砲し逃走した。
3年前、斗ヶ沢は犯行現場に居合わせた巡査から拳銃を強奪していたのだ。
逃げた斗ヶ沢が夕霧岳に逃げ込んだことが分かり、山狩りが行われることになった。
これに伊丹(川原和久)や右京(水谷豊)たちも参加することに。
同じ頃、冠城(反町隆史)は日下部とゴルフコンペに興じていた。
冠城は日下部に夕霧岳の噂話について語り出す。
夕霧岳では人が消えるのだそうだが……。
一方、山狩りを行っていた右京は山中の崖付近の樹木に2発の弾痕を見出す。
もしかして、斗ヶ沢が発砲したものではないか……そう考えた右京は崖付近を捜索。
だが、直後に足を滑らせ崖から転落してしまう。
翌日、冠城が右京を尋ねて夕霧岳にやって来た。
ところが、伊丹はともかく、米沢も含めその場に居た誰もがその消息を知らないことが判明。
角田はと言えば「コーヒーメーカーが壊れたので新品を発注したい」と連絡して来る状態であった。
そう、まさに噂の如く右京が消えてしまったのである。
その頃、右京は見知らぬ民家で目覚めていた。
起き上がると足に鋭い痛みが走った、どうやら負傷したようだ。
痛む足を引き摺りつつ、周囲を眺めれば最初に飛び込んだのは囲炉裏に捨てられた煙草の吸殻が複数。
そっと部屋を這い出ると、其処には陶磁器が並んでいた。
右京はこれを目にするなり著名な陶芸家・村井流雲(大槻修治)作と看破する。
流雲は7年前に夕霧岳に移住したのだが消息不明になっていた。
と、耳に聞こえて来たのは人の息遣い。
何やら音がする方向を探ってみると、住人の喜久子(山口果林)の姿があった。
喜久子によれば此処は流雲の工房なのだそうだ。
冠城たちに連絡を取るべく自身の携帯電話について問う右京。
だが、「そんなものはなかった、あっても通じない」とつれない返事である。
固定電話自体も先日の大雪で不通になっているそうだ。
また、付近の民家までは10キロ先だそうで怪我をした状態では難しい。
軒先に見つけた軽トラを借りようとしてもガソリンがないと言う。
仕方なく、右京は喜久子の世話になることにした。
同じ頃、冠城はと言えば伊丹たち相手に夕霧岳の噂話の詳細を語っていた。
夕霧岳は神隠しの山、人が消えるのだ。
それに付随して白いスーツを着たオバケが出るとの噂まであった。
しかも、冠城自身もこれに関わっていた。
甲府法務局の職員と夕霧岳に宿泊したところオバケを目撃したのだそうだが……。
一方、右京は喜久子と共に登り窯を見学していた。
飾られた流雲と弟子たちの集合写真を眺める右京。
其処では弟子たちが憔悴し、流雲1人が会心の笑みを浮かべていた。
また、流雲は心臓に持病を患っており「死」をイメージした作風で知られていたそうだ。
其処から流雲の陶磁器は「骨壺」と呼ばれていたらしい。
そんな右京たちをじっと眺める何者かの視線。
喜久子に断りを入れてそっと母屋に戻った右京。
それとなく置かれていた固定電話と家主の携帯を確認するが共に不通であった。
さらに台所には三膳の茶碗と箸、隅にまとめられたゴミの中には缶ビールらしき物が……。
「何してるぅ!!」
唐突に怒鳴り付けられた右京。
振り返ると見知らぬ男性が立っていた。
騒ぎを聞いて駆け付けて来た喜久子によれば、彼は夫の鉄朗(升毅)だそうだ。
右京を山中で発見し助けたのは鉄朗らしい。
この家には鉄朗と喜久子の2人が生活しているとのことであった。
同じ頃、夕霧岳の麓の村にある「ほうとうの店・富士屋」では女性従業員(岡本あずさ)が斗ヶ沢逃亡の報道を目にして動揺していた。
其処にある男性客(川野直輝)が来訪し、彼女はさらに動揺を深めることに。
その頃、冠城は右京救出を伊丹たちに任せて夕霧岳の噂について調べていた。
村役場に事情通を訪ねた冠城は助役・前園から流雲失踪について聞き出す。
前園によれば町おこしとして「陶芸の里」計画があり、そのシンボルとして招聘したのだそうだ。
ところが、姿を消してしまい失望しているとのことであった。
これを耳にしつつ、村のゆるキャラ「イワナッチ」に目をやる冠城。
右京はと言えば、喜久子相手に斗ヶ沢について語っていた。
さらに、喜久子と鉄朗の2人暮らしの筈なのに茶碗が三膳あった理由について問う。
加えて、喜久子たちが煙草を吸わない筈なのに吸殻を目にしたことも告げる。
どう応じるべきかしどろもどろになる喜久子だが……。
ほぼ同時刻、冠城と伊丹たちが山梨県警で合流していた。
冠城は例の噂の検証、伊丹は山狩りと共に右京捜索の協力依頼に現れたのである。
助役の前園もこれに加わり、捜索場所について提言して行く。
こうして優先順位が決められて行くが、其処からは工房が外れていた。
矢先、斗ヶ沢目撃の報が寄せられた。
引き続き右京捜索を伊丹に託し、冠城はこちらの捜査を続けることに。
一方、右京は流雲の書斎を見学していた。
クローゼットに複数のスーツを見つけた右京は、その幾つかが先月になってクリーニングに出されていることに目を留める。
さらに右京は「スーツ姿では陶芸に相応しく無いのでは?」と喜久子に問い掛ける。
右京が目にした写真の流雲が全てスーツ姿であった為だ。
これに喜久子は「実際の陶器製作は弟子たちで行っていたこと」を明かす。
どうやら、流雲は弟子の作品を自身の物としていたようだ。
此処に来て、先の煙草や三膳の件も含めて右京は「喜久子たちが斗ヶ沢を匿っていたのではないか」と追及。
崖の弾痕が斗ヶ沢による拳銃の試し撃ちの跡ではないかと指摘する。
これを否定する喜久子。
同じ頃、冠城は村のバーを訪れていた。
このバーのママこそが斗ヶ沢目撃情報の提供者だった為だ。
何でも、斗ヶ沢は普段から宝石商の鈴木を名乗って店に出入りしていたのだそうだ。
その際は大槻のホテルに泊まっていると口にしていたらしい。
また、斗ヶ沢はホステスの1人・遠藤里美(岡本あずさ)に入れ上げ、宝石を贈っていたそうである。
この里美こそ「富士屋」の従業員であった。
里美によれば宝石はネットで販売したとのことだが……。
その頃、鉄朗と喜久子は右京の口封じを決意していた。
其処に堂々と現れる右京、何時の間にやら流雲のスーツを身に着けている。
その姿に流雲を幻視した鉄朗は尚更殺意を募らせる。
右京周辺が殺伐としつつあると知らない冠城はと言えば、里美の夫・遠藤亮(川野直輝)の元へ。
彼こそ「富士屋」に里美を訪ねた客であった。
斗ヶ沢について全く知らないと語る遠藤だが。
数十分後、鉄朗は鉈を手に右京の部屋へ。
ところが、其処は既にもぬけの空であった。
当の右京は工房に居た。
後を追って現れた鉄朗に「あなたは峯田鉄朗さんですね」と語る右京。
峯田鉄朗は流雲の弟子として個展を開催したことがあり、右京はその個展を鑑賞したことがあったのだ。
鉄朗によれば個展は失敗だったらしい。
それまでの流雲の作も鉄朗の物であったが、流雲の名が無くなった途端に人が寄り付かなくなったのだそうだ。
以来、鉄朗は創作活動を止め、大量生産のみに従事していた。
しかも、夕霧岳の土も作陶に使わなくなったようだ。
これを聞いた右京は鉄朗たちが嘘を吐いていると指摘する。
右京は鉄朗たちが次のいずれかの状況に置かれているのではないかと語る。
1.鉄朗たちは何処かに隠れている斗ヶ沢に拳銃で脅されて匿っている。
2.斗ヶ沢は既に死亡しており、それに鉄朗たちが関与している為に嘘を吐かざるを得ない。
前者ならば斗ヶ沢に弾は無いから安心して欲しいと訴える右京。
何故なら崖で2発、街で3発発射した為に弾は使い切っているからだ。
そして……後者ならば自首すべきだと主張する。
途端、鉄朗が右京に襲い掛かった。
壮絶な取っ組み合いを演じる右京と鉄朗。
その頃、伊丹たちのもとに驚くべき情報が。
斗ヶ沢らしき遺体が発見されたのである。
此の間も獣のごとき咆哮を上げ右京に飛び掛かる鉄朗。
その勢いに押されて行く右京であったが、隙を突いて外へ飛び出す。
直後、喜久子のもとに電力会社の作業員・翔太(清水優)がやって来た。
電話が復旧したことを伝えに来たのだ。
その現場に出くわした右京は彼のバンに乗り込むとこの場を逃げるように依頼する。
慌てて、走り出す翔太のバン。
しかし、鉄朗も軽トラでこれを追跡する。
軽トラは動いたのだ。
鉄朗の追撃に焦った焦ったバンは山中で乗り上げて立ち往生してしまった。
右京は翔太から携帯を借りると囮となって山奥へ消えて行く。
これをさらに追う鉄朗。
追い付かれた右京は鉄朗と共に山を転がり落ちて行く。
倒れた右京と鉄朗。
だが、先に立ちあがったのは鉄朗であった……。
同じ頃、手にした指輪を眺める里美の前には遠藤が―――第19話「神隠しの山の始末」へ続く。
・「相棒season14」第19話「神隠しの山の始末」(3月9日放送)ネタバレ批評(レビュー)
<感想>
シーズン14第18話。
脚本は池上純哉さん。
サブタイトルは「神隠しの山」。
前後編の前編です。
結末は後編「神隠しの山の始末」へと持ち越されることに。
・「相棒season14」第19話「神隠しの山の始末」(3月9日放送)ネタバレ批評(レビュー)
物凄く気になるところで終わりましたね。
ちなみに予告によれば右京さんは翔太と共に鉄朗に囚われてしまうようです。
これに冠城たちが救出に迫るとの展開かな。
言わば「山の中の出来事」で「森の中(相棒11の9話)」「猛き祈り(相棒11の10話)」と「右京ピンチ」で「鮎川教授最後の授業(相棒13の15話、16話)」を足して2で割ったような展開か。
・「相棒season11(eleven)」第10話「猛き祈り」(12月19日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「相棒season13」第16話「鮎川教授最後の授業・解決篇」(2月18日放送)ネタバレ批評(レビュー)
此処からは前編を踏まえて本作の真相を予想。
とはいえ、かなり妄想なので信頼性は低いです。此の点は注意。
まず、何と言っても最大の謎は「鉄朗と喜久子がどうして斗ヶ沢を匿ったのか?」。
鉄朗、喜久子に続く第三の人物の存在は茶碗などから確定しており、崖の弾痕が右京の推理通りとすれば第三の人物は斗ヶ沢と思われる。
だとすれば、この謎はどうしても避けて通れない。
考えられるのは「鉄朗と喜久子が斗ヶ沢に弱味を握られたから」だろう。
では「鉄朗と喜久子の弱味」とは何か?
これは流雲の死についてと思われる。
流雲は失踪ではなく既に死亡しているのだろう。
鉄朗が夕霧岳の土を使えないのは「其処に流雲を埋めたから」ではないか。
だからこそ、他の弟子が彼の地を後にする中で彼らが見張りの為に居残り続けることになったのではないか。
では、流雲殺害は鉄朗たちの犯行なのか?
答えは否。
確かに、流雲は弟子の作品を奪っていた。
集合写真の流雲が笑顔で弟子たちが憔悴していたのも、流雲が作陶に関わっていなかったと共にコレを示していた為だろう。
彼らに動機はある。
だが、彼らはこの動機故に流雲殺害犯を庇うことに協力したのではないか。
此処で気になるのが助役の前園。
どうも今回の捜索で意図的に工房付近を避けるよう提案していた節があります。
とすると、前園も事情を知っていたのではないか。
流雲を利用し村おこししようと考えていたようなので、当の流雲が弟子頼みだったことを知ってトラブルが発生していた。あるいは、流雲が夕霧岳以外の土地に移ろうとしていた可能性もある。
結果として、前園と流雲が揉めて流雲が死亡したものか。
流雲には持病があったそうなので、これが死の遠因だったのかもしれない。
いずれにしろ、流雲の死に関わってしまった前園は鉄朗や喜久子に言い含め、3人が共謀して夕霧岳の地に流雲を埋めた。
これが7年前のことだ。
さて、此処で斗ヶ沢が出て来る。
斗ヶ沢は3年前に夕霧岳へ逃げ込んで来た。
この際、前園たちの共謀に纏わる証拠となった流雲の遺体を偶然にも発見したのではないか。
其処で弱味を握られた前園たちが彼を匿った。
こうなると斗ヶ沢殺害も見えて来る。
現在になって斗ヶ沢が再度騒ぎを起こしたことで、彼が逮捕され流雲の死発覚を恐れた前園が口封じしたのではないでしょうか。
ちなみに、白いスーツの幽霊は本当に流雲の幽霊だったりしてね。
どうだろう、如何にもありそうな筋立てを妄想してみた。
果たして、管理人の妄想推理は的中するか!?
次回にも注目です!!
と言いつつ、まだまだ感想は続くのです。
此処からは思ったことをつらつらと。
右京は真っ先に冠城に連絡を入れたのに、冠城は右京よりも夕霧岳に関わらないことを選ぶんだもんなぁ。
とはいえ、これこそ冠城か。
鉄朗と喜久子は右京を見殺しにすることも出来たが、敢えて命を助けた。
見殺しにすることで捜査が及ぶことを怖れた為か、それとも別に理由があるのか!?
そして、今回で驚いたのは右京があの高さから転落しても足の負傷だけで済んでいることだよ。
そして、それよりも何よりも驚いたのは右京の眼鏡が全く無傷だったことだよ。
此処で最終回について情報が。
サブタイは「ラストケース」だそうです。
誰にとっての「ラストケース」なのか、かなり意味深長なサブタイ。
ゲストは高岡早紀さん、小野寺昭さん、国広富之さん、石橋蓮司さんほかとのこと。
豪華ゲストですね。
ちなみに皆さん、既に「相棒」には出演済みの方たち。
高岡早紀さんは「相棒3」7話「夢を喰う女」での辻村めぐみ役(犯人)。
小野寺昭さんは「相棒 -劇場版- 絶体絶命! 42.195km 東京ビッグシティマラソン」での片山擁一役(雛子の父、作中では故人)。
国広富之さんは「相棒7」15話「密愛」での榊敏郎役(被害者)。
石橋蓮司さんは「相棒4」2話「殺人講義」での春日秀平役(犯人)。
どうやら別の役での再登場となりそうです。
これだけの豪華キャストとなると冠城の去就も含めて省庁舞台の政治劇になりそうかな。
要注目!!
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私もそう思います。
素手で戦う右京さんといい、
相変わらずの超人的な身体能力ですよね。
でもメガネは壊れたほうがやっぱ自然・・汗。
助役の下條アトムさんは、
シーズン2で「消える銃弾」で出てましたね。好きな作品でした。
個人的に「右京さん危ない」と思ってた時にやってきた鉄朗のジャンピングアタックに吹いてしまいました(笑)
「ちょっめっちゃ軽やか」と思わず笑いました
右京さんを追ってくる鉄朗のバックからターミネーターのテーマ曲が聞こえてくるかのようでしたそれぐらい凄いと思いました
そういえば鉄朗達の窯場は「森の中」で出てきた場所では?と思いました。その為実はあの即身仏の場所が今回明らかになるのでは?と勘違ていました。
もしかしたら違うかもしれませんが
ただあの場所は2時間ドラマ等で良くロケで使われているのかなと思いました
では一週間気になりながら待ってようと思います
では失礼します
管理人の“俺”です(^O^)/!!
Re:わたこさん
解決編が待ち遠しいですね、一週間が長く感じる……。
一度目は崖、二度目は急斜面からと2度に渡って転落しながら割と元気な右京さん。
そんな右京さんと行動を共にしながらも罅1つ無い眼鏡。
果たして彼らは何処から来て何処へ向かうのか。
此処に来て「Season14」最大の謎が明らかになってしまったのかも……。
下條さんも「相棒」出演経験者でしたね。
あのエピソードは切ないながらも印象的でした。
Re:花さん
管理人もあのシーンで不覚にも噴き出しました。
その後の急斜面を仲良くゴロゴロもかなりツボだったりします。
でもって、逸早く復帰する鉄朗。
まさに、彼こそ名の通り「鉄の男」に相応しい。
これは「ターミネーター」のテーマが似合っても不思議ではない筈です。
「相棒14」10話「英雄〜罪深き者たち」で見せた右京さんの身体能力ならば負傷の分を差し引いても通常の相手ならば圧倒して不思議ではない筈。
ところが、鉄朗とは互角、あるいは押されてさえいる。
やはり鉄朗、物凄く強いのでは!!
果たして鉄朗は本当に陶芸家なのだろうか!?
此処にまた1つ「Season14」最大の謎が明らかになってしまったか……。
ただ、この謎は解決編でも解けない気がします。
そして、言われてみて気付きましたが「相棒11」9話「森の中」のロケ地と似ているような……。
だからこそ、感想でも取り上げたのかも。