<あらすじ>
ある日、京都南署の鑑識係・円城寺りつ子(田中美里)は、困った様子で署の入り口に佇む男性に気づく。声をかけると、彼はカフェ経営者の今井亮太(河相我聞)と名乗り、アルバイトの女子大生・宇佐見衿香(仁村紗和)が2日前から無断欠勤しているため、警察に相談にやって来たと話す。 衿香の実家に電話したところ、父親らしき男性は「娘は旅行に出かけている」と応答したが、彼女がひとり暮らしをしているマンションの玄関ドアに血がついていたと、亮太は訴える。
本来、家族からの届け出がなければ捜査に乗り出すことはできないが、気になったりつ子は同僚の常盤康介(長谷川朝晴)と共に、衿香のマンションへ。しかし、検査の結果、ドアに付着していたのは血液ではないとわかる。
ひとまず事件性なしと判断したりつ子は、亮太のカフェを訪ねて現状を報告。だが、そこで彼の妻・ひかり(遠藤久美子)から意外な事実を聞く。実は25年前、ひかりの父は志賀鑑識主任(小林稔侍)によって誤認逮捕されたというのだ。志賀が捜査一課の刑事として最後に担当した殺人事件で、志賀は状況証拠のみでひかりの父を逮捕。自白に追い込もうとしたが、新たに見つかった証拠品から無実が判明したという。責任を感じた志賀は刑事の職を辞し、鑑識係として生きる道を選んだらしい。そして、事件は未解決のまま10年前、時効を迎えていた…。
そんな中、橋のたもとで身元不明の男性の変死体が発見される。顔面がひどく腫れあがっていたが、致命傷は頸部の刺創で、別の場所で殺され遺棄されたものと見られた。しかも遺体の下から衿香のスマートフォンが見つかり、りつ子たちは騒然。すぐに大山刑事(東幹久)が衿香の実家を訪ねたが、彼女の父で健康食品会社の社長である宇佐見武(石橋保)は、やはり娘は旅行中だと主張する。ところが、りつ子たちが携帯電話のメールを復元したところ、薄暗い室内に監禁された衿香の写真が見つかったのだ…!
玉木刑事課長(黒田福美)は、衿香が遺体の男らに誘拐されたものとにらみ、彼女を救うため早急に殺害現場を特定するよう指示。りつ子は最新式3Dプリンターを使って、刺創痕を元に凶器を復元。被害者がダーツの矢で刺殺されたことを突き止める。また、着衣にビリヤード用のチョークが付着していたことも発覚し、殺害場所がビリヤード場であることを明らかにするが…!?
はたして、りつ子は衿香の居場所を捜し当て、無事救出することができるのか…!?その矢先、殺された男は、志賀が刑事を辞めるきっかけとなった殺人事件の関係者・戸倉大介(佐伯新)と判明!一連の事件は25年前の迷宮入り事件とどう繋がっているのか、事件は混迷の度合いを深めていって…!?
(土曜ワイド劇場公式HPより)
では、続きから(一部、あらすじと重複あり)……
円城寺りつ子は京都南署の鑑識官。
上司である志賀主任と共に鑑識課員として様々な事件解決に貢献して来た。
そんなりつ子が手掛けることとなった新たな事件とは……。
ある日、りつ子はカフェ経営者・今井亮太から相談を受けた。
内容は今井が店で雇い入れているアルバイトの女子大生・宇佐見衿香のことだ。
何でも衿香が2日前から姿を消してしまったのだそうである。
気になった今井が宇佐見家へ確認したところ、父親である宇佐見武が出て来て「娘は旅行中だ」とにべもなく追い払われたと言う。
だが、今井は衿香のマンションのドアに血痕らしきものを目撃したと主張。
何かある筈なので調べて欲しいと訴える。
しかし、家族の届け出が無ければ捜査は出来ない。
りつ子はこれを断ろうとするのだが、今井を見た志賀の様子から依頼を引き受けることに。
今井も志賀も何やら動揺したのである。
りつ子は捜査を口実にその理由を突き止めようと考える。
その日の午後、衿香のマンションを調べたりつ子は血痕が食紅であることに気付く。
今井のカフェに結果を報告に訪れたりつ子は、彼の妻・ひかりを紹介され志賀との意外な因縁を教えられる。
25年前、ひかりの父・山口が当時刑事であった志賀に誤認逮捕されていたのだ。
その事件は料亭の女将・原田ひろ子が預かっていた裏金が奪われ、ひろ子が殺害されたとのもの。
この容疑者として山口が取調を受け、冤罪であったにも関わらず社会的に批判を浴び1年後に病死していた。
この件を後悔した志賀は刑事の職を辞し鑑識係に異動したのである。
言わば、ひかりにとって志賀は間接的に父を死に追いやった仇だったのである。
矢先、身元不明の男性死体が発見された。
どうやら激しく暴行されたらしく、顔が原型を留めないほどに殴打されていた。
りつ子は凶器の形状からビリヤードのキューで乱打し、ダーツで刺殺したと結論付ける。
かなり凶暴な犯行である。
ところが、この被害者の所持品から衿香のスマートフォンが発見される。
意外な接点が生じたことから、衿香の行方が重要視されるように。
父で健康食品会社の社長を務める宇佐見とその妻・幸恵に確認が行われるが、彼らは一様に黙秘を貫く。
何かが起こっていると察したりつ子。
スマートフォンのメールを復元したところ、衿香が何者かに誘拐されていたことが判明する。
どうやら、殺害された被害者が衿香を誘拐し宇佐見を脅迫していたようだ。
一方、殺害された被害者が戸倉大介と判明し事態は急展開。
戸倉こそ25年前に逃げる犯人を目撃したと語った人物だったのだ。
直後、宇佐見が動き出した。
どうやら何者かに呼び出されたようだ。
考えられるのは衿香誘拐犯である。
これを尾行した大山刑事らは、宇佐見が衿香を保護した現場を抑えることに成功する。
やはり、衿香は誘拐されていたのだ。
衿香の証言で戸倉が誘拐犯だと確定。
戸倉死後に宇佐見に連絡を入れた人物が居たことから誘拐犯には共犯が居ると思われた。
ところが、此処で新事実が発覚。
なんと、25年前の被疑者とされた指紋と宇佐見の指紋が合致したのだ。
どうやら、宇佐見こそがひろ子を殺害し裏金を奪った犯人だったようである。
同じ頃、有名リポーターの藤堂陽子のもとに鈴木駿なる男性が現れる。
駿は陽子に25年前の犯人が宇佐見であると訴えると取材して欲しいと依頼する。
特ダネの匂いを嗅ぎ付けた陽子は調査に乗り出した。
矢先、鈴木駿こそが25年前の被害者・原田ひろ子の息子であることが明らかに。
戸倉の共犯者ではないかと見方が広まる。
さらに、衿子宅の食紅が今井によるものであることも判明。
これについて今井は妻・ひかりと駿が密会しており、何かを企んでいるのではないかと心配した為に行ったことと弁明する。
実はひかりと駿は幼馴染だったのである。
だが、ひかりはこれを否定する。
数日後、陽子が謎の転落死を遂げた。
現場に立ち会ったりつ子は他殺と判断。
その遺体の爪からワセリン、遺体の胸元からまつ毛を発見する。
どうやら、犯人の遺留品のようだ。
其処から突き止められた犯人とは!?
DNA鑑定の結果、宇佐見の妻・幸恵の犯行であることが明らかになった。
幸恵は保湿剤としてワセリンを常用していたのだ。
さらに、押収された靴から陽子の血痕が検出されたことで幸恵は犯行を認めることに。
この事実を知らされた駿は「そんな馬鹿な……」と激しく動揺する。
すべては駿の復讐計画であった。
駿は戸倉を操って宇佐見を追い込み戸倉を殺害させる予定であった。
仇である宇佐見を抹殺すると共に、過去に正しい証言を行わなかった戸倉にも復讐するつもりだったのだ。
ところが、戸倉は宇佐見ではなく幸恵を呼び出し身代金を受け取っていた。
この際、戸倉に危機感を抱いた幸恵がこれを殺害してしまったのだ。
さらに、駿は陽子をも操り宇佐見を追い込ませた。
もちろん、宇佐見に陽子を殺害させる為だ。
実は、陽子は容疑者とされた山口だけではなく被害者であるひろ子をも貶めるような報道を重ねていた。
結果として戸倉、陽子、宇佐見へ復讐しようと計画していたのである。
ところが、実際は全て幸恵による犯行であったことで目論見が外れたのだ。
だが、事此処に居たり25年前の事件についてクローズアップされることとなり、宇佐見は取調を受けることとなった。
これに宇佐見は罪を認める。
25年前の事件は宇佐見の犯行であった。
しかし、駿もまた衿香誘拐事件の首謀者として逮捕された。
彼はひかりの為にも山口の無実を証明しようとしていたらしい。
りつ子はひかりに志賀が如何に過去を後悔しているかを訴える。
ひかりは志賀を許し、店に来て欲しいと告げるのであった―――エンド。
<感想>
「京都南署鑑識ファイル」シリーズ10作目。
前作が2015年6月20日の放送だったので、ほぼ10ヶ月ぶりの新作となりました。
前作のネタバレ批評(レビュー)ありますね。
興味のある方は過去記事リンクをどうぞ!!
さて、今回の感想は。
結果として駿の復讐はこれ以上ないほど成功していたように思えます。
確かに宇佐見は過去の罪では裁かれないが、彼の大切な家族はもはや元には戻らないでしょう。
宇佐見の業が家族に仇為したとも言えそうです。
その為に、衿香は両親ともに殺人者になってしまいました。
おそらくひかりを遥かに上回る好奇の視線を集め、陽子を遥かに上回る熱心な攻勢をかけられるに違いありません。
アルバイト先である今井とひかり、特に同じ境遇を味わったひかりがどう行動するか……気になるところではあります。
そして戸倉殺害。
ビリヤードのキューで殴り、ダーツで刺す、かなり凶暴な犯行でしたね。
それだけ衿香を守りたいとの幸恵の気持ちが強かったのでしょう。
これを考えると、その最も大切であった衿香を襲う苦難に幸恵は耐えられるのでしょうか。
一時期は誘拐が衿香の自作自演ではないかと疑っていたのですが、衿香は真面目な娘さんのようです。
だとすれば、宇佐見にとってこれ以上ない罰になってしまうのかもしれません。
それにしても、陽子とひかりが階段の上で密会しているシーン。
翌朝、陽子の死体が階段下で見つかるんだろうなぁ……と確信してしまいました。
そう言えば、最近は22時跨ぎではなく22時30分跨ぎで第二の犯行が起きることが多いですね。
例えば2016年3月28日に放送された「浅見光彦シリーズ35 風のなかの櫻香」。
物語の盛り上がりを狙っているのかなぁ……。
撮影時期を考慮すると以前から想定されていたに違いなく、もしかすると今後はこの形式が増えて来るのかもしれません。
・月曜ゴールデン「内田康夫サスペンス 浅見光彦シリーズ35 風のなかの櫻香 尼寺で育った櫻香を苦しめる逃れられられない定めとは?女の園を揺るがす連続殺人事件の謎を光彦が解き明かす。歴史ロマン漂う古都・奈良と三重県・志摩を舞台にお届けする」(3月28日放送)ネタバレ批評(レビュー)
とはいえ、本作では幸恵逮捕から逆算して物証を集める為に起こった事件のような気もします(その為にギリギリで犯行発生)。
あれがなければ幸恵にまで辿り着けなかったでしょう。
これを考えれば、此の点でも駿の行動は目的を果たしていたことになりますね。
シリーズ次回にも期待です!!
◆関連過去記事
・土曜ワイド劇場「京都南署鑑識ファイル 京グルメ殺人事件〜最後の晩餐の謎!!直径15.5ミリ…滴下血痕が語る真実!!」(7月28日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「京都南署鑑識ファイル 華道家元連続殺人!!美女は青いバラの浴槽に浮かぶ!?月下美人の花粉が語る死体移動の謎…(華道家元殺人事件)」(8月13日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「京都南署鑑識ファイル 狙われた映画女優〜連続殺人の罠!!圧迫痕花粉、掌紋…科学捜査が暴く真犯人の秘密」(11月6日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「京都南署鑑識ファイル 氷上の連続殺人!!足跡痕24.5センチの犯人が狙う復讐のターゲット!!現場物証なし…移動する死体」(6月14日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「京都南署鑑識ファイル 仕組まれた医療ミス殺人の謎!!身長差10cmの犯人の完全犯罪!?指紋、飛沫痕、足跡痕で暴く美人姉妹の空白の5年間!!」(6月20日放送)ネタバレ批評(レビュー)
<キャスト>
円城寺りつ子:田中美里
志賀隆造:小林稔侍
大山恭一:東 幹久
玉木ケイ子:黒田福美
今井ひかり:遠藤久美子
鈴木 駿:海東 健
藤堂陽子:田中美奈子
今井亮太:河相我聞
常盤康介:長谷川朝晴
久坂竜子:茅島成美 ほか
(敬称略、順不同、公式HPより)
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