2016年04月23日

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第106話「動く岩」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2016年5月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第106話「動く岩」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2016年5月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:
森羅:主人公。C.M.B.の指輪の主。多大な影響力を持つ。
七瀬立樹:森羅のパートナー。身体を動かすことが得意。

玄武:ゲーム好きのサラリーマン
花岡:ゲーム好きの研究者
安山清子:旅館の女将
石英:旅館の番頭

<105話あらすじ>

玄武はゲーム好きのサラリーマン。
同好の仲間たちと共にゲームに興じる日々を送っていた。

その矢先、ゲーム仲間の花岡が大出世を遂げた。
研究者であった花岡は上司の娘を嫁に貰うと、その力を背景に賞を受賞するなど大躍進したのである。

だが、その反面で花岡は自由にゲームを楽しむ時間を失った。
結果、年に1回だけ玄武たちと共にゲーム旅行に出かけることとなったのだ。

しかし、花岡とは逆で玄武には時間はあるが金が無い。
困り果てる玄武であったが……。

ある日、街中で派手な女性を躱したところでばったり花岡と出くわす玄武。
その勢いで「ゲーム旅行に同行したいが金が無い」と零してしまう。
すると、花岡は「お前の費用ぐらいは持ってやるよ」と応じてくれた。
これに玄武は大喜び。

こうして、玄武は花岡らと共にゲーム旅行へ。
出迎えたのは旅館の女将・安山清子と番頭・石英である。

この地方の言い伝えを語る清子たち。
何でも「動く岩を見たら死ぬ」との伝承が語り継がれているのだそうだ。

一方、同じ旅館には森羅と立樹も宿泊していた。

その翌日、玄武たちは落石を目撃。
崖の上から落ちた物と思われたが、崖の上に向かってみると其処にはあの石があるではないか。

「動く岩だ!!」
花岡が叫び、その指示に従った玄武たちは狼狽しつつも目隠しをしてその場を立ち去った。

ところが、その翌日のこと。
なんと、清子が崖から転落死体で発見されたのである。
花岡は「動く岩を見たのだろう」と述べるが……。

捜査が開始される中、玄武が身に覚えのない現金の入った封筒を発見。
其処から清子の指紋が検出されたことで「玄武が金目当てに清子を殺害した」と疑われてしまう。

困り果てた玄武、そんな彼を見かねた森羅が真相を解き明かす。

そもそも「動く岩」とは落石の窪みに紫外線を当てることで浮かぶ映像であった。
紫外線を当てることで、其処に岩があるように見えるのだ。

犯人はこれを利用し玄武たちの前に「動く岩」を演出して見せた。
その後、目隠しするよう指示し、隙を突いてその場を離れて清子を殺害したのだ。
この際に、封筒を清子に握らせることも忘れなかった。
おそらく犯人は清子に脅迫されており、口封じを目論んだのだろう。

この犯人こそ、花岡であった。
花岡には浮気相手がおり、これを清子に知られた為に殺害したのであった。

では、玄武に罪を着せたのは何故か?
花岡の供述によれば玄武にも脅迫されたからだそうだが。

これに玄武は思い出す。
旅行の費用について相談したことを。
花岡はアレを脅迫と誤解したのだ。
しかも、あのとき花岡の背後に派手な女性を見たことを―――エンド。

<感想>

「月刊少年マガジン」2016年5月号掲載「106話 動く岩」です。

登場人物は「玄武」が「玄武岩」、「花岡」が「花崗岩(深成岩の一種)」、「安山」が「安山岩(火成岩の一種)」、「石英」が「石英(水晶など)」と、それぞれ鉱物の名前が用いられていました。
此の点、遊び心が見受けられました。

また、テーマもなかなか考えさせられるもの。
「動く岩自体が全くの無害でありながら、人を殺すとありもしない伝承が作られた」ように「玄武もそれとは意図せず脅迫したと花岡に思い込まれて恨まれて」しまいました。
これは「本人にその気が無くとも、他者から勝手に誤解されかねない」との内容でしょう。

同時に「後ろめたいところ(恐怖)があればありもしない幻覚を見る」ことも示しています。
花岡は不倫現場を目撃されたとの後ろめたさから玄武の言葉を脅迫と受け取りました。
おそらく「動く岩」の背後にも事故だけではなく、花岡のように伝承を利用しようとした者が居た筈です。
そもそも、当の玄武たちが花岡に利用され恐怖から「動く岩」を目にしていますし。
「幽霊の正体見たり」のアレもコレと同じ原理なのかもしれません。

ただ、玄武が花岡の不倫を目撃していたとするならば口封じせずに泳がせておいたのはかなり危険な行動。
もしかすると、安山同様に殺害されていても不自然ではなく玄武にとっては誤解で殺されかねないところだったかと思うと……命拾いしたと言うべきか。
もちろん、それもこれも森羅あってのことですが。

とはいえ、花岡はゲームする時間はないけど不倫する時間があったのか……。
逆玉も果たしているし、そもそも純粋にゲームを愛する玄武たちとは異なった考え方の持ち主だったのかもしれませんね。

そう言えば、花岡は落石が起こらなければどうしていたのだろうか。
此の点も気になりました。

ちなみに、あらすじでは良さを伝え切れてません。
本作自体を読むべし!!

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