ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
後の大作家の処女作をお届けする―――民明書房ミステリ叢書第2弾は「巨星」と呼ばれた松木清帳
とある殺人事件の目撃者となった女の証言は全くの出鱈目であった。何故、その女は嘘を吐いたのか―――松木の処女作『嘘を吐く女』
突然、知らされた末期の台詞「ルーフルリプイエ」の意味とは―――表題作『恐るべき四月一日』
記者が突き止めた事実は全て偽りであった―――『露となる新聞紙』
食事制限はそれなりに精神的に来る―――『食べたいのに食べられない』
最近、妙に肩が凝るんだけど―――『肩こりにさよならを』
そう言えば、夜中にグルメ番組もなかなか精神的に来るよね―――『深夜のつまみ食い』
へぇ、そうなんだ。大変だね!!お前、本当にそう思ってる?―――『気の無い返事』
だから、何度も言っただろ!!―――『良い加減に俺の話を聞け!!』など全41編を収録する
(民明書房公式HPより)
<感想>
本作『嘘を吐く女』は短編集『恐るべき四月一日』に収録された一編。
また、松木清帳先生のデビュー作でもあります。
その為か、後の作品に比較すると全体に漂う初々しさが印象的です。
これについては『恐るべき四月一日』自体が発表順に収録されている為、先頭から読んで頂ければお分かりになる筈。
そんな本作のポイントは何と言っても「どうして女が嘘を吐いたのか?」。
最後に明かされる理由には愕然とさせられるに違いありません。
その背景には「裏付け取材の大切さ」もテーマにありそうです。
41編の先頭に立つ『嘘を吐く女』。
月日を感じさせる作りとなっています。とはいえ……
1番初めに目にする松木作品としては最適かもしれません。
日記に残された衝撃の事実が鍵となる『深夜のつまみ食い』もオススメです。
ちなみにネタバレあらすじはかなり改変しています。
興味のある方は本作それ自体を読むべし。
<ネタバレあらすじ>
登場人物一覧:
四郎:事件を追う取材記者
月子:目撃者の女性
馬中:殺害された被害者
鹿賀:月子の婚約者
とある公園で男性の他殺死体が発見された。
被害者は馬中なる男性、死因は刺殺であった。
捜査が開始される中、取材記者の四郎は事件の目撃者を突き止める。
目撃者は月子と言う付近の会社に勤務するOLであった。
月子は四郎に「鹿賀が馬中を殺害した」と語る。
実は鹿賀は月子の婚約者、結婚を数日先に控えていた。
そんな月子が鹿賀を告発したのだ。
(彼女はどうして婚約者を窮地に陥れるような真似をするのか?)
四郎は訝しみつつ、特ダネに目がくらみ月子の証言を記事にした。
ところが、記事が掲載された途端に月子は証言を翻したのだ。
しかも、鹿賀には鉄壁のアリバイが存在していたのである。
鹿賀に犯行は不可能であった。
大誤報を記事にしてしまった四郎は記者生命を絶たれてしまう。
「あんたは俺に恨みでもあったのか?」
月子へ向けて取り縋るように叫ぶ四郎、そんな四郎に月子は呟く。
「だって、あの日はエイプリルフールだったんですもの」―――エンド。
管理人注:ちなみに『嘘を吐く女』は実在致しません。
もちろん「松 “木” 清 “帳”」も『恐るべき四月一日』も実在しません。
何故、この記事を書いたか……それこそ月子と同じ動機なのです。
そう、「だって、今日はエイプリルフールだから」。
以上、2016年度「エイプリルフール企画」でした。