2016年04月21日

水曜ミステリー9「マザー・強行犯係の女〜傍聞き〜 伝えたい話を別人の会話から漏れ聞くことで信じやすくなる効果――傍聞き。連続殺人に潜む過去の闇、怨恨、娘の本心…強行犯係・羽角啓子が傍聞きで真実に迫る!」(4月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)

水曜ミステリー9「マザー・強行犯係の女〜傍聞き〜 伝えたい話を別人の会話から漏れ聞くことで信じやすくなる効果――傍聞き。連続殺人に潜む過去の闇、怨恨、娘の本心…強行犯係・羽角啓子が傍聞きで真実に迫る!」(4月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<あらすじ>

ある日、若い女性を狙った殺人が立て続けに発生する。一人目の被害者は建設会社勤務の阿川明美(由梨乃)。二人目はフリーターの神田朱美(木嶋のりこ)。いずれも死に顔に口紅で×印が描かれ、杵坂署・強行犯係の羽角啓子(南果歩)らは通り魔連続殺人事件として捜査を進める。

同じ頃、啓子の自宅の二軒隣りに住み、普段から懇意にしている羽角フサノ(佐々木すみ江)が、居空き事件の被害に遭う。フサノの話では、現金と共に一昨日ぶつかった人が落とした腕時計が無くなったという。さらに犯行時刻に右目の下に傷がある怪しい男がいたという目撃情報も。それを聞いた啓子は、2年前に逮捕し、右目の下に傷を負わせた横崎宗市(高橋和也)のことを思い出す。10日前に出所しており、恨みから菜月(濱田ここね)が狙われないか不安に思っていた。

そんな中、歌舞伎界のプリンスの恋人で読者モデルの女子大生・澤井夏蓮(瀬戸さおり)が遺体となって発見される。顔に×印が書かれていたことから、通り魔殺人と同一犯と目されるが、啓子は夏蓮だけ×の書き順が違うことに気づく。捜査会議で別人による犯行の可能性を指摘するが、その時、捜査一課の課長・田神崇(丸山智己)から、朱美殺害現場に残った毛髪が、3年前に殺人で逮捕された木場亮介(杉山ひこひこ)と一致したことが告げられる。身柄を確保すべく、捜査員は木場の自宅を訪ねるが、すでにもぬけの殻で…。

一方、刑事課長の八生守雄(佐戸井けん太)から「余計なことはするな」と釘をさされた啓子だったが、独断で夏蓮の身辺調査を始めていた。そんな中、警務課長の伊丹小次郎(田中要次)に呼び出される。留置所にいる人物が啓子に会いたがっていると言う。その男はフサノ宅の居空きをしたとして捕まった横崎で、さらに身の危険を感じる啓子だった…。

その頃、木場の家で発見された衣類が、第一の被害者・明美のものであると判明。犯人らしき証拠をつかんだ警視庁鑑識課管理官・秋月浩司(柄本明)は、その人物探しに人を割いてほしいと田神に懇願するが、木場の確保が先だと聞く耳を持たない。

夏蓮の犯人は別人だと考える啓子と秋月。連続殺人の犯人は同一人物なのか否か?木場の行方もつかめない中、再び×印が書かれた、第四の殺人が発生してしまう…。
(水曜ミステリー9公式HPより)


では、続きから(一部、重複アリ)……。

杵坂署強行犯係の羽角啓子には小学生の1人娘・菜月が居る。
夫も刑事であったが逮捕した犯人に逆恨みされお礼参りとして殺されてしまった過去がある。
だから、母1人娘1人の生活だ。

だが、最近になって啓子は菜月のある癖に悩まされていた。
菜月は啓子への不満があると直接伝えず、わざわざ自宅あてに葉書を送るのだ。
このまどろっこしい方法には啓子は頭を抱えざるを得ない。
しかも、この葉書が近所に住む同姓の老女・羽角フサノに届いてしまうのである。
葉書の内容は「家事をサボるな!!」などといったものが殆どで、フサノが目にしているかと想像すると啓子としては顔から火が出る思いである。

そんなある夜、連続通り魔殺人事件が立て続けに発生した。
1人目の被害者は建設会社勤務の阿川明美、2人目の被害者はフリーターの神田朱里だ。
殺害方法こそ1件目が刺殺、2件目が絞殺と異なるが、共に遺体の顔に口紅でバツ印が落書きされていた。
啓子はこの捜査に乗り出すことに。

ところが、2件目の通り魔事件が起こった翌日のことである。
フサノ宅が居空きの被害に遭ってしまった。
居空きとは住人が居る中で堂々と盗みが行われること。
フサノによれば現金と共に昨晩に拾った腕時計が被害に遭ったと言う。
啓子は犯行現場付近で右目の下に傷のある怪しい男が居たとの目撃証言を聞き、不安を覚える。
啓子自身が逮捕した横崎宗市のことを思い出したからだ。

横崎は2年前に妻との痴情のもつれから刃物を振り回し啓子に逮捕されていたが、10日前に社会復帰を遂げていた。
もしかすると、そのことを根に持っているのではないか!?
だからこそ、啓子宅と間違えてフサノ宅に侵入したのではないか!?
夫のことがあるだけに啓子の心は乱れるばかり……。

矢先、澤井夏蓮が何者かに殺害されてしまう。
夏蓮は読者モデルの女子大生、歌舞伎界のプリンスと呼ばれる桐生内蔵助の恋人として騒がれていた。
その遺体に、またもや口紅でバツ印が落書きされていたことから捜査本部の責任者・田神崇は通り魔事件第3の犯行として捜査を開始する。

だが、啓子はこの見解に異議を唱える。
夏蓮の遺体だけはバツ印の描き順が異なっていたのだ。

しかし、田神は聞く耳を持とうとしない。
むしろ、2件目の現場から木場亮介の毛髪が検出されたことから彼の犯行を疑う。
こうして身柄を確保すべく木場宅が確認されるが、当の木場は1週間ほど前から姿を消していた。
さらに木場宅から1件目の被害者の衣類が見つかり、田神は木場確保を優先するよう指示を出す。

一方、啓子は犬猿の仲である警務課長・伊丹小次郎から「留置所の15番が会いたがっている」と呼び出された。
ところが、その15番こそフサノ宅の居空きの容疑で逮捕された横崎だったのである。
横崎はニヤニヤ笑いを浮かべると「明日、面会室に来て下さい」と啓子へ依頼する。
尚更、身の危険を感じる啓子だが……。

同じ頃、啓子の旧知である警視庁鑑識課管理官・秋月浩司は夏蓮の携帯電話に3件ほど不審な着信履歴があることを発見。
すべて留守番電話として録音されており無言であったが、小田急線北新宿駅の公衆電話からの通話であることに気付き、防犯カメラ映像から共通の人物を見出していた。

横崎のことを不安に思いつつ帰宅した啓子。
すると、フサノが葉書を届けて来る。
もちろん、菜月の葉書である。
其処には「泥棒を追い回すだけじゃなく、家の仕事もして!!」と記されていた。
菜月の考えていることが分からない啓子は「泥棒じゃないの、連続殺人犯なの!!」と叱りつけてしまう。

その夜、中村鈴江なる女性が刺殺されてしまった。
またも、顔にバツ印が残されていたが書き順は1件目、2件目と同じであった。
これにより、啓子は夏蓮の殺害のみ別件なのではないかとの認識をより強くする。

そんな啓子の部下・黒木駿が気になる情報を手に入れて来た。
夏蓮がネット上に嫌がらせの書き込みをしていたとの噂があったのだ。
噂の主は小柴由香里なる女性、彼女によると夏蓮の無責任な書き込みで内定取り消しの憂き目に遭ったと言う。
しかも、夏蓮は中学時代に人を殺したと自慢していたそうだが……。

5年前、中学時代の夏蓮の同級生が自殺を遂げていた。
その同級生の名は須藤エリナ。
だが、遺書も無く自殺の理由は未だに明らかになっていないらしい。

当時の担任で今は杵坂第二中学校副校長となっている温井博によれば、エリナ自身の家庭環境が原因だそうだ。

エリナの母・渡辺郁子を訪ねたところ、エリナの死を契機に夫婦仲が悪くなり離婚してしまったと語る。
また夏蓮殺害時刻と思われる22時のアリバイを尋ねたところ、些か戸惑いつつもすらすらと語り出した。

後に温井と郁子のアリバイは共に確認されることとなる。

その午後、啓子は伊丹立ち会いのもと約束通り横崎との面会に訪れた。
ところが横崎は何も語ろうとせず、業を煮やした伊丹が部下の斉藤と交代した。
途端、横崎は「取調中の空気で分かったんですけど羽角フサノさん宅の居空き犯は直に捕まります。つまり、私はもうすぐ釈放になるんですよ」と笑顔を浮かべながら語り出した。
これをもうすぐ自由になるとの宣告だと受け取った啓子はさらに身の危険を感じることに。

翌朝、啓子は伊丹に絡まれてしまう。
なんでも、横崎との面会直後から斉藤が早退してしまって出て来ないらしい。

「あんたが悪いんじゃないの!?」
普段の伊丹の態度を思い出し、悪態を吐く啓子。

それでも気が収まらなかった啓子は黒木相手にも愚痴を零す。
これを聞いていた黒木は斉藤が射撃の名人であることを伝え、広報誌にも掲載された有名人だと教える。
広報誌の写真で笑う斉藤の腕にはフサノ宅から消えたとされる腕時計が光っていた。

此処で啓子は気付いた。
居空き犯の狙いは金ではなく腕時計が目的だったのだ。
フサノが腕時計を拾ったのは第二の通り魔事件の夜である。
腕時計は通り魔事件の犯人の物だったのだ。
すなわち居空き犯こそ連続通り魔事件の犯人だ。
そして真犯人は……。

啓子は木場の居所が分かったと語り、その現場へ。
数時間後、木場は既に死亡していたことが判明する。
なんと、木場宅の庭に埋められていたのだ。

木場は真犯人に殺害されていた。
2件目の現場に残された毛髪や1件目の被害者の衣服は真犯人が木場を犯人と偽装すべく仕掛けた品であった。
その真犯人こそ斉藤である。

この啓子の推理を裏付けるように斉藤宅から被害者の物と思われる口紅が押収される。
さらに4件目の被害者・鈴江は斉藤の元交際相手であった。
どうやら、鈴江が斉藤の犯行に気付き口封じされたようだ。

矢先、斉藤が田神を狙っていることが分かる。
駆け付けた啓子により斉藤は逮捕された。

斉藤の動機は他者に認められないことによるストレスであった。
特に田神には横柄な奴だと反感を抱いていたようである。

斉藤の逮捕により、横崎が釈放された。
横崎は事情を語り出す。

居空き当日、偶然にも横崎はフサノ宅で斉藤を目撃した。
ところが、横崎はフサノ宅の居空き犯として身柄を拘束されてしまった。
しかも、其処で当の犯人である斉藤を発見することに。
斉藤を告発したいが信用されるとは到底思えない。
其処で啓子との面会を演出しつつ、斉藤を追い詰めたのだ。
それこそ「傍聞き」である。
横崎は2年前に妻への凶行を未然に防いでくれた啓子に感謝しており、啓子に助けを求めていたのである。

しかし、まだ事件は解決していない。
夏蓮殺害犯が残っている。
だが、これについても啓子は突き止めていた。
秋月が入手した防犯カメラ映像が犯人を示していたのだ。

その頃、ナイフを手にした郁子が温井に迫っていた。
エリナ殺害の事情を問い質そうとしていたのである。
啓子はその場に駆け付けると郁子こそが夏蓮殺害犯であると指摘する。
郁子にはアリバイがある筈なのに、何故!?

実は郁子には22時以降のアリバイしか存在していなかった。
実際の犯行時刻は21時からだったのだ。
夏蓮は浮気の常習犯であり、それを隠す為に友人を利用して22時までのアリバイを作成していた。
この為に犯行時刻自体が1時間遅くなってしまい22時と誤認されてしまったのだ。

郁子は夏蓮殺害を認め、動機を語り出した。

テレビで夏蓮と桐生内蔵助との交際を報じられる姿を目にした郁子は彼女がエリナの同級生であることを思い出し周辺を調べ始めた。
すると、エリナが夏蓮とそのグループから陰湿なイジメを受けていたことを突き止めたのだ。

郁子は夏蓮に謝罪を要求するが、夏蓮はこれを拒否。
逆上した郁子は夏蓮を殺害した。
しかし、郁子にはまだやらねばならないことがあった。
エリナの死にはまだ隠された謎があったのだ。

それこそ、エリナの遺書の行方だ。
エリナの遺書は存在していた。
ところが、保身に走った温井がこれを握り潰していたのである。
結果、エリナの死はエリナ自身の責任に転嫁されてしまったのだ。
郁子は母としてエリナの死の責任を感じ、温井にもその清算を迫ろうとしていたのである。

郁子は逮捕された。
果たして、郁子の罪は問われるべきものだったのだろうか!?
啓子は自身の仕事に一抹の虚しさを抱えてしまう。

その日、菜月と共に家路に就いた啓子はフサノからまたも葉書を受け取ることに。
もちろん、菜月の葉書だ。
赤面しかけた啓子だが内容を目にして菜月の意図に気付く。
其処にはまたも「泥棒を追ってないで」と書かれていたのだ。
啓子が追っていたのは「居空き事件」ではなく「連続通り魔事件」である。

世間では連続通り魔事件に目が向いており、フサノが被害に遭った居空き事件は全く報道されない。
フサノは自身が無視されているのではないかと不安に駆られたことだろう。
そんなフサノを慮った菜月が敢えて葉書を目に届くように送ることで彼女を励ましていたのだ。
これも「傍聞き」である。

菜月の思わぬ優しさに胸を突かれる啓子であった―――エンド。

<感想>

新シリーズ「マザー・強行犯係の女」第1弾。
原作は長岡弘樹先生『傍聞き』(双葉社刊『傍聞き』収録)。
本作は2008年の「日本推理作家協会賞 短編部門」受賞作です。
過去にネタバレ書評(レビュー)してますね。

『傍聞き』(長岡弘樹著、双葉社刊『傍聞き』収録)ネタバレ書評(レビュー)

では、ドラマの感想を。

「連続通り魔殺人事件」と「夏蓮殺害事件」はドラマオリジナルですね。
「フサノ宅居空き事件」と「2つの傍聞き」が原作からとなっていました。

とはいえ、上手く原作を膨らませていたと思います。
少なくとも原作の特徴を活かす為に必要なアレンジであったと感じられました。

これならば全く別の原作(本作の設定のみ活かしたもの)やオリジナルでのシリーズ化を視野に入れても大丈夫な気がします。

此処からは思ったことをつらつらと。

夏蓮殺害犯は田神だと思ったんだけどなぁ……。
てっきり、郁子の別れた夫が田神で亡き娘・エリナの仇を討とうとしたものとばかり。
だからこそ、捜査を木場による連続通り魔事件に仕立てようとし。
だからこそ、真相に近付く啓子を疎んじた。
これに斉藤が気付いて田神を狙った的なストーリーだと思ってました。
純粋に別件だったのは意外でしたね。

そして、郁子は殺害後にアリバイを作っていたのか……。
急な犯行だったにも関わらず割と冷静だなぁ。

そう言えば「南果歩さんが刑事役」を演じ「過去に刑事であった夫が殉職」し「娘を1人で育てている」との設定で「スペシャリスト」の姉小路を思い出しました。

「スペシャリスト」最終話(10話)(3月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)

また、「傍聞き」は一昨日(2016年4月18日)に放送された月曜名作劇場「陰の季節」でもありましたね。
尾坂部が用いたアレです。
此の点でも本作の理解をより手伝ってくれたと思います。
放送順の巡り合わせもありますね。

『陰の季節』(横山秀夫著、文藝春秋社刊『陰の季節』収録)ネタバレ書評(レビュー)

月曜名作劇場「横山秀夫サスペンス 陰の季節 横山秀夫最高傑作「64(ロクヨン)」の原点!第5回松本清張賞受賞作品 不朽の名作「陰の季節」が蘇る!「ロクヨン」と並ぶもう一つの未解決事件!その真相に涙する!」(4月18日放送)ネタバレ批評(レビュー)

<キャスト>

羽角啓子:南果歩
黒木駿:皆川猿時
横崎宗市:高橋和也
八生守雄:佐戸井けん太
田神崇:丸山智己
羽角菜月:濱田ここね
富士田登:夙川アトム
澤井梓:星ようこ
斎藤拓也:松下洸平
澤井夏蓮:瀬戸さおり
温井博:日野陽仁
伊丹小次郎:田中要次
羽角フサノ:佐々木すみ江
渡辺郁子:高橋ひとみ
秋月浩司:柄本明 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)


「傍聞き (双葉文庫)」です!!
傍聞き (双葉文庫)



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