2016年05月26日

「ダジャレ禁止令」(志水アキ画、講談社刊「週刊少年マガジン」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「ダジャレ禁止令」(志水アキ画、講談社刊「週刊少年マガジン」掲載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

【登場人物一覧】
主人公:企業に勤めるダジャレ好きの男性
友人:主人公の同僚男性

<あらすじ>

主人公は企業に勤める家族持ちの中年男性。
釣りもゴルフにも興味を持たない彼だが1つだけ決して譲れない趣味があった―――ダジャレである。
彼にとってダジャレは空気と同じ、自然に口を吐いて出るものであった。
そんな彼を部下たちは冷ややかに眺めていたが、同好の士であり友人である同僚だけは深い理解を示していた。

ある日、何がどうしたものか「ダジャレ禁止令」が法で定められてしまった。
ダジャレを口にした者はその内容に関わらず逮捕、厳罰を処されるとのものだ。
世間はこれを歓迎し、当初は主人公も「生きづらくなったなぁ……」と悲嘆に暮れる程度だったのだが。

次第に主人公の中に鬱憤が溜まって来る。
いつもなら、こんなときは気軽に口に出来ていたあんなダジャレやこんなダジャレ。
ところが、それを口にすれば彼は罪人になってしまうのだ。

それから幾らかが経った。
主人公は同好の士であった同僚が会社を追われたことを知った。
ふとした拍子にダジャレを口にしてしまったのだ。
彼は仲間を失ってしまった。

さらに数日が経ったある日、主人公は秘密クラブに誘われる。
其処はダジャレ好きの者たちが集まって作り上げたシャングリラであった。
主人公は其処であの同僚と再会を果たす。

此処でなら心行くまでダジャレを口に出来る。
早速、口を開こうとした主人公。

ところが、何やら騒がしい。
気付けば、入り口からは警官が押し寄せていた。
抜き打ちでダジャレの摘発が行われたのだ。

我先に逃げ出そうとするダジャレ愛好家たちだが次々と検挙されて行く。
その様子に、元同僚は主人公を庇い裏口から逃がす。

何とか表通りに逃げ出した主人公、その目の前を逮捕された元同僚が連行される。
耐え切れず駆け寄ろうとする主人公だが、それに気付いた元同僚が彼を庇おうとダジャレを連発して注意を惹こうとする。

それは罪を重ねることに他ならない。
逆上した捜査官が銃を抜き、元同僚へ向ける。

歯を食いしばる元同僚を目にした主人公は彼らの前に飛び出すや、これまでの鬱憤を晴らすかのようにダジャレを連呼する。
この行動に捜査官の怒りの矛先が主人公へと向き直り、次いで発砲音が響く。

(誰がこんな世の中にしちまったんだ……)

静かに倒れ込む主人公―――エンド。

<感想>

志水アキ先生によるフジテレビ系「世にも奇妙な物語」のコミカライズ第4弾。
これまでに「美女缶」、「張り込み先」、「私は、女優」がコミカライズされています。
「美女缶」と「張り込み先」については過去に批評(レビュー)してますね。

「美女缶」(志水アキ画、講談社刊「週刊少年マガジン」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「張り込み先」(春名功武原作、志水アキ画、講談社刊「週刊少年マガジン」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

そんな本作「ダジャレ禁止令」は「ダジャレが犯罪となった並行世界の日本」を描いた物語。
いわば「行き過ぎた規制の結末」がテーマであり「権力の恐ろしさ」や「言論統制の恐ろしさ」を描いています。

日常に少しずつ忍び寄る制限により追い込まれて行く主人公。
それは規制を超えて迫害の域にすら達している。
だが、その恐怖に怯えるのは一部の者たちでしかない。
もしかすると、その恐怖は形を変えてダジャレ以外のものにも適用されるかもしれないのに……。
ある種、主人公の最後の声は全ての迫害された者たちの声と言えるでしょう。

この「何かが禁止された並行世界」設定はSF的な作品では割とポピュラーなもの。禁止される内容が「夜間外出」だったり「漫画」だったりと「制限の対象が一般的かつ自由な行動であればあるほど制限された時の違和感が大きくなる」のですが、本作では「ダジャレ」であったことが新しかったように思います。

◆「世にも奇妙な物語」関連過去記事
「美女缶」ネタバレ批評(レビュー)

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posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画批評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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