2014年02月02日

『高度な文明』(星新一著、新潮社刊『かぼちゃの馬車』収録)

『高度な文明』(星新一著、新潮社刊『かぼちゃの馬車』収録)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

【現代社会に隠されたからくりをユーモアと鋭い風刺で描いた28編】冴えない女の運命を変えた、1通のダイレクト・メール――。

地方から都会に出てきて、ひとりで暮している若い女のもとに届いたダイレクト・メールの内容は? だれもが見すごしてしまいそうな、目立たない家に住んでいる夫婦者の正体は? 熱帯の小さな国の独裁者に捕えられた男の運命は? めまぐるしく移り変る現代社会の裏の裏のからくりを、寓話の世界に仮託して、鋭い風刺と溢れるユーモアで描くショートショート28編。
(新潮社公式HPより)


<感想>

星新一熱が再燃している管理人です。
やっぱり、星先生の作品はいいですね。
短い中に濃いエッセンスがグッと凝縮されていて、読むとハッとさせられます。

本作『高度な文明』は新潮社刊『かぼちゃの馬車』収録の一篇。
短編です。

専門化した故の弊害なのか。
これこそが文明が成熟した証なのか。
いずれにしろ、それはそうだなぁ……と納得の結末。

文明が高度になればなるほど、出来ることは増えて行く。
だが、逆に個人として出来ること自体は減って行くのかもしれない。

例えば、炊飯器。
炊飯器の利用者の中で、構造を理解している者がどれほど居るのか。
また、お釜でご飯を炊ける者がどれだけ居るのか。

炊飯器が普及する前はそれが当然だったのに。

例えば、ガス。
ガスの利用者の中で、理論を理解している者がどれほど居るのか。
また、自身で火を起こすことが出来る者がどれだけ居るのか。

ガスが普及する前にはそれが当然だったのに。

文明が高度化するということは、それだけ機械に依存する割合も大きくなるのでしょう。

<ネタバレあらすじ>

地球に宇宙人が到来した。
当初は身構えた地球人だが、相手が友好的であると分かり一安心。
しかも、宇宙人は高度な文明の持ち主で、亜空間航法の技術や万能翻訳機などを所持していた。
さらに、ありがたいことに友好の証にこれらの技術を教えてくれるらしい。

人々は宇宙人を歓待した。
ところが、さぁ、実際に教えて貰うぞとなったある日、宇宙人の宇宙船が故障を起こした。
宇宙人は万能翻訳機1つを持ち出すと這う這うの体で逃げ出した。
直後、宇宙船は爆発し四散してしまった。

とはいえ、宇宙人自身は生きている。
彼から技術を学ぶことは出来ると、人々は喜んだ。
結果的には学んだ技術で彼の新たな宇宙船を用意することも出来る。
互いに損は無い筈であった。

だが、宇宙人は何処か歯切れが悪い。
万能翻訳機から聞こえてくる声は片言ばかりだ。

やがて、その理由が明らかになった。
技術を教える為には宇宙船が必要だったのだ。
亜空間航法や万能翻訳機の技術はデータとして宇宙船に収納されていたが、彼自身は知らなかったのだ。

人々は困ってしまった。
だが、ある者が言う。

高度な文明ってそんなものじゃないか。
実際に使いながらもテレビや炊飯器の理論を理解している人間がどれだけいるのか、と―――エンド。

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『七人の犯罪者』が収録された「かぼちゃの馬車 (新潮文庫)」です!!
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こちらはキンドル版「かぼちゃの馬車」です!!
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2014年02月01日

『七人の犯罪者』(星新一著、新潮社刊『かぼちゃの馬車』収録)

『七人の犯罪者』(星新一著、新潮社刊『かぼちゃの馬車』収録)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

【現代社会に隠されたからくりをユーモアと鋭い風刺で描いた28編】冴えない女の運命を変えた、1通のダイレクト・メール――。

地方から都会に出てきて、ひとりで暮している若い女のもとに届いたダイレクト・メールの内容は? だれもが見すごしてしまいそうな、目立たない家に住んでいる夫婦者の正体は? 熱帯の小さな国の独裁者に捕えられた男の運命は? めまぐるしく移り変る現代社会の裏の裏のからくりを、寓話の世界に仮託して、鋭い風刺と溢れるユーモアで描くショートショート28編。
(新潮社公式HPより)


<感想>

星新一熱が再燃している管理人です。
やっぱり、星先生の作品はいいですね。
短い中に濃いエッセンスがグッと凝縮されていて、読むとハッとさせられます。

本作『七人の犯罪者』は新潮社刊『かぼちゃの馬車』収録の一篇。
短編です。

斬新な設定に意外な結末。

犯罪が増えたとされるあの世界。
犯罪が増えた為にあのルールが適用されたのか、あるいはルールが適用された為にエヌ氏同様の考えを持つ者が増えて犯罪も増えたのか。

卵が先か、鶏が先か。
さて、どちらが答えとなるのでしょうか?
いずれにしろ、あの方法では犯罪抑止に対しての実効性は低そうです。

<ネタバレあらすじ>

その夜、エヌ氏はとある屋敷への窃盗計画を実行に移していた。
エヌ氏の後ろにはこの日の為に集めたスペシャリスト4人が居る。
金庫開けのプロなど、それぞれがエヌ氏がこれはと見込んだ人物だ。

エヌ氏は彼らに自身が先行して屋敷に侵入し、警報装置を解除するので計画通りに行動するよう言い含めた。
4人はこれい頷く。
彼らが計画通りに動けばエヌ氏の計画は成功間違いなしである。
エヌ氏は小躍りするほど喜んだ。

勇躍、1人で先を行くエヌ氏。
しかし、その喜びの反面、どこか複雑な気持ちも残っていた。
何故なら、これから窃盗に挑むのはエヌ氏の自宅なのである。

話は1年半ほど前に遡る。
ある晩、エヌ氏はバーで見知らぬ男に声をかけられた。
男はエヌ氏に「良いバイトがあるのだが……」と勧めて来た。
男によれば自分が忙しいので代わりに知人宅に届け物をして欲しいとのこと。
報酬の金額も手伝って、エヌ氏は一も二も無くこれに応じてしまった。

そして、指定された住所のポストに届けたところを張り込んでいた警察に逮捕されたのだ。
聞けば、届け物の中身は薬物だと言う。
事情を説明するエヌ氏だが、誰もそれを信用してくれない。
結局、エヌ氏は懲役7年の実刑判決を受けた。

ところが、その判決直後にエヌ氏は裁判官に呼び出されたのだ。
裁判官はエヌ氏にある取引を持ちかけた。
それは7人の犯罪者をエヌ氏が通報或いは捕まえることで、永遠に刑の執行を停止するとのもの。
猶予は2年間与えられる。
その間に7人のノルマを達成すればエヌ氏の罪は見逃されるのだ。

なんでも、最近は受刑者が増加し過ぎた為に収容施設が破綻をきたしつつあるらしい。
とはいえ、治安維持にも金がかかる。
其処でこの取引が持ちかけられるようになったのだそうだ。
もちろん、逃亡防止用の機械が体に埋め込まれるのは免れえない。
エヌ氏はまたも一も二も無くこれに応じることに。

エヌ氏には指名手配犯のカタログが渡された。
もちろん、カタログに載っていない現行犯でも良いらしい。
さらに、カタログには参考として統計まで添付されていた。

エヌ氏はこれを一読し、あることに気付いた。
どうやら、都会より地方の方が検挙率が高いようだ。
おそらく人の数が少ないから見つけやすいのだろう。

こうして、エヌ氏は地方へ旅に出た。
しかし、素人であるエヌ氏にすぐに見つけられる筈もない。

それでもエヌ氏は自身の自由がかかっている。
必死にカタログ掲載の顔写真を覚え、探し続けた。

その甲斐あってか最初の1年間に2人を捕まえることが出来た。
1人は鄙びた旅館に、もう1人は整形まで施していたが耳の形で気が付いたのだ。
残るは5人。

慣れればなんとかなるかと考えていたエヌ氏だがそのペースは一向に上がらなかった。
さらに半年が経過した頃、ようやくもう1人、轢き逃げの現行犯を捕まえることに成功した。

今では、エヌ氏の注意力は尋常ではないレベルにまで達している。
だが、このペースではノルマが達成出来ないことも明らかであった。

エヌ氏は悩んだ。
そして、気が付いた。

要は誰かに犯罪を行わせて、それを通報するなり捕まえれば良いのだ。

エヌ氏のノルマは残り4人。
其処でエヌ氏はそれまでに培ってきた注意力で「これは」と思われる冒頭の仲間4人を見つけ出したのである。

エヌ氏はノルマから解放される喜びに打ち震えつつ、自宅へと入って行った。
そして「自宅に不審な人物4人が侵入しようとしている」と通報した。
これで4人が捕まれば、エヌ氏の手柄である。

ところが、此処で予期せぬことが起きた。
4人は霞の如く消えていたのである。
しかも、通報者もまたエヌ氏を含め5人居たのだそうだ。

エヌ氏は気付いた。
彼らもまたエヌ氏と同様の立場の人間であったことに。
5人全員が他の4人を陥れ、ノルマにしようと企んでいたのだ。

そして、エヌ氏はさらに愕然とした。
もしかして……最初にエヌ氏が逮捕されることとなった薬物配達事件。
あれさえも、別の誰かがノルマの為に行ったのではなかったか?

エヌ氏は考えた。
次はあれのようにもっと上手くやらなければ、と―――エンド。

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【その他】
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かぼちゃの馬車 (新潮文庫)





こちらはキンドル版「かぼちゃの馬車」です!!
かぼちゃの馬車





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2014年01月30日

『シャーロック・ホームズの内幕』(星新一著、角川書店刊『きまぐれ星のメモ』収録)

『シャーロック・ホームズの内幕』(星新一著、角川書店刊『きまぐれ星のメモ』収録)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

ショート・ショートの神様、頭の中を大公開!

日本にショート・ショートを定着させた星新一が、10年間に書き綴った100編余りのエッセイを収録。創作過程のこと、子供の頃の思い出――。簡潔な文章でひねりの効いた内容が語られる名エッセイ集。
(角川書店公式HPより)


<感想>

星新一熱が再燃している管理人です。
やっぱり、星先生の作品はいいですね。
短い中に濃いエッセンスがグッと凝縮されていて、読むとハッとさせられます。

本作『シャーロック・ホームズの内幕』は角川書店刊『きまぐれ星のメモ』収録の一篇。
短編です。

読めばお分かりの通り、本作はかの有名な『赤毛組合(赤毛連盟とも)』がモチーフとなっています。

『赤毛組合』は「質屋のウィルスンがその見事な赤毛を認められ、赤毛組合なる組織に加入。組合から命ぜられるままに、本業を留守にするのだが……もちろん、これには裏があって」とのストーリー。
島田荘司先生『紫電改研究保存会』(講談社刊『御手洗潔の挨拶』収録)のもとになった作品でもあります。

あなたは思ったことがありませんか?
ホームズの推理は余りに凄過ぎる……と。
そんな疑問がこの一篇で払拭されるかも……。
ただし、人間不信に陥っても当方は与り知らないので悪しからず。

<ネタバレあらすじ>

私はワトスンである。
私はホームズの天才的な頭脳に敬意を表していた。
本当に彼は素晴らしい!!
今日はそんな彼の内幕について語って行きたいと思う。

ある日、ホームズのもとにジョン・クレイなる貴族が現れた。
彼は金に困っているらしく、ホームズにそれを相談する。

何故、相談するかって?
当然だ。
彼は世界一の犯罪プランナーだからだ。

ホームズはクレイの為にあるプランを提示する。
もちろん、発案料は無料ではない。

まず、ウィルスンが経営する質屋に触れたホームズ。
その付近に銀行があり、これを襲撃するよう唆す。
さらに追加料金を貰って、ウィルスンを「赤毛組合」なる架空の組織で誘き出すプランを授けた。
ホームズはさらに追加料金を払えば、もっと完璧なプランを教えようと告げるが……。

クレイはこの支払を渋り、去ってしまった。

これにホームズは激怒。
渋い奴には灸を据える必要があると豪語するや、銀行の頭取・メリーウェザーのもとへ。
其処でホームズが推理したとの内容で、クレイの銀行襲撃を暴露したのだ。
ホームズは此処でも撃退してやるからと報酬を要求。
かなりの収入を得た。

さて、良い面の皮はクレイである。
ホームズの言に従いやって来たは良いが、当のホームズに捕まってしまった。
もちろん、ホームズはクレイに多くを語らせない。
あっさりと、警察に引き渡してしまう。

此処からが私の出番だ。
私はそっと手を差し出す。
ホームズは「上手く書いてくれよ」と言いつつ、多額の金を手に握らせる。
さて、これだけの金額を貰ったからには腕を奮ってホームズの活躍を描かなければなるまい。

読者のみなさん、お分かりだろうか。
これこそが、シャーロック・ホームズの活躍の内幕なのである―――エンド。

◆星新一先生関連過去記事
【ネタバレ書評(レビュー)】
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『悲しむべきこと』(星新一著、新潮社刊『ボッコちゃん』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『約束』(星新一著、新潮社刊『ボッコちゃん』収録)ネタバレ書評(レビュー)

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『人類愛』(星新一著、新潮社刊『ボッコちゃん』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『変な薬』(星新一著、新潮社刊『ボッコちゃん』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『悪魔』(星新一著、新潮社刊『ボッコちゃん』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『程度の問題』(星新一著、新潮社刊『ボッコちゃん』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『意気投合』(星新一著、新潮社刊『ボッコちゃん』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『白い記憶』(星新一著、新潮社刊『ボッコちゃん』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『なぞの青年』(星新一著、新潮社刊『ボッコちゃん』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『シンデレラ王妃の幸福な人生』(星新一著、新潮社刊『未来いそっぷ』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『アリとキリギリス』(星新一著、新潮社刊『未来いそっぷ』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『北風と太陽』(星新一著、新潮社刊『未来いそっぷ』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『別れの夢』(星新一著、新潮社刊『未来いそっぷ』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『価値検査機』(星新一著、新潮社刊『未来いそっぷ』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『きまぐれロボット』(星新一著、角川書店刊『きまぐれロボット』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『霧の星で』(星新一著、新潮社刊『ようこそ地球さん』収録)ネタバレ書評(レビュー)

【ネタバレ批評(レビュー)】
「星新一ショートショート 新春スペシャル」(1月2日放送)ネタバレ批評(レビュー)「マイ国家」編

「星新一ショートショート 新春スペシャル」(1月2日放送)ネタバレ批評(レビュー)「凍った時間」編

「星新一ショートショート 新春スペシャル」(1月2日放送)ネタバレ批評(レビュー)「古風な愛」編

「星新一ショートショート 新春スペシャル」(1月2日放送)ネタバレ批評(レビュー)「午後の恐竜」編

【その他】
世田谷文学館にて「星新一展」開催中!!

『シャーロック・ホームズの内幕』が収録された「きまぐれ星のメモ (角川文庫)」です!!
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こちらはキンドル版「きまぐれ星のメモ (角川文庫)」です!!
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「星新一 ショートショート1001」です!!
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posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 星新一作品レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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