2016年04月11日

『転生の魔 私立探偵飛鳥井の事件簿』(笠井潔著、講談社刊『メフィスト 2016vol1』掲載)

『転生の魔 私立探偵飛鳥井の事件簿』(笠井潔著、講談社刊『メフィスト 2016vol1』掲載)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<感想>

実に13年ぶり、「私立探偵飛鳥井の事件簿シリーズ」2016年4月時点での最新作が『メフィスト』にて連載開始されました。
それが本作『転生の魔 私立探偵飛鳥井の事件簿』、その第1話です。

ちなみに2016年4月時点での「私立探偵飛鳥井の事件簿シリーズ」には他に『三匹の猿』『道―ジェルソミーナ』『魔』『壺中の魔(未完)』がある。
このうち『魔』については『追跡の魔』と『痩身の魔』を過去にネタバレ書評(レビュー)していますね。

『追跡の魔』(笠井潔著、文藝春秋社刊『魔』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『痩身の魔』(笠井潔著、文藝春秋社刊『魔』収録)ネタバレ書評(レビュー)

この『〜〜〜の魔』シリーズは上記『追跡の魔』、『痩身の魔』に『壺中の魔』を加えて3部作となる予定であった。
実際は『壺中の魔』が未完に終わっている。

また、この『〜〜〜の魔』シリーズは、現代社会に潜む恐怖や社会問題を作中に取り上げることで「本格ミステリ」と「社会派ミステリ」の融合を志したものと管理人には思われる。
ちなみに『追跡の魔』が「ストーカー」、『痩身の魔』が「過剰なダイエット」をテーマに取り上げている。

そんな中、今回の『転生の魔』はそのタイトルからおそらく「生まれ変わり」を取り上げていると思われる。
おそらく黒シャツの少女が、三奈子が若かりし日の「ジン」なる女性に生き写しとなるのでしょう。
とはいえ、彼女が生まれ変わりとも思えないし「ジン」本人である筈もない。
こればかりは如何なアンチエイジングでも難しいだろう。
考えられるのはその子孫だが、動画で目にして分かるほどそっくりなのは不自然。
だとすれば……本シリーズが社会問題をテーマに用いることを考え合わせれば「クローン」の可能性がありそうだが。

「ジン」に代わり「飯倉」を探させているのも「クローン」研究の関係者だった……とか?
ただ、飯倉は作中描写に基づくと研究者よりも思想家、活動家のように見える。
飯倉のサークルに「カントク」と呼ばれる人物が居たらしいことも気になるところだが。
そもそも「ジン」との呼称も名前ではなく、何かの名称の略称にも思える。
「ジン」と「カントク」、この2つがキーワードになるのかも。

まだまだ第1話だけに先の読めない展開になっています。
先が気になって仕方がありません。

作者の笠井潔先生と言えば『探偵小説と叙述トリック』で第12回本格ミステリ大賞評論・研究部門を受賞され『容疑者Xの献身』論争でも知られる方です。
詳細については、ネタバレあらすじ後の過去記事リンクに詳しいので各記事をご参照ください。

ちなみにネタバレあらすじはかなり改変しています。
興味のある方は本作それ自体を読むべし。

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
飛鳥井:これまでに数多くの事件を解決して来た探偵、主人公
鷺沼晶子:飛鳥井と親しいサイコセラピスト
巽:飛鳥井に探偵事務所を提供した元探偵
山科三奈子:今回の依頼人
山科郁:三奈子の孫を名乗る
ジン:三奈子が探している女性
飯倉:三奈子が探している男性
花房:コンサルタント会社の経営者
カントク:飯倉と同じサークルに所属していた人物


探偵・飛鳥井は元探偵・巽から事務所を引き継ぎ、細々と探偵業を続けていた。
今の飛鳥井は巽からの紹介が命綱となっていたのだ。

今日も飛鳥井は巽から依頼人を紹介されていた。
その名は山科三奈子、巽の古い知り合いの娘で60代の女性なのだそうだ。
困り果てていた飛鳥井はこの依頼に一も二も無く飛び付く。

ところが、飛鳥井の事務所に現れたのは三奈子ではなく、その孫・郁青年であった。
どうやら、三奈子は飛鳥井に姿を見せることを極端に恐れているようだ。

郁によれば三奈子の依頼は人探し。
とある動画に映っていた黒シャツの若い女性を探して欲しいらしい。
三奈子はその女性を「ジン」と呼んだそうだが……。

とはいえ、それだけの情報で探し出せる筈もない。
些か残念に思いつつも丁重に断りを入れる飛鳥井。

すると、郁は「では、この人を探して欲しい」と新たな人物の名を上げた。
その人物の名は飯倉、三奈子の大学時代の同級生なのだそうだ。

経歴がはっきりしている以上、捜索は容易いと考えた飛鳥井はこれを引き受けた。
もちろん、「ジン」に代わって「飯倉」の名を上げられたことで関連性があると考えた為だ。
もしかすると「ジン」に繋がる手掛かりや三奈子の狙いも分かるかもしれない。

三奈子の母校を訪れた飛鳥井、其処には奇しくも親しいサイコセラピスト・鷺沼の研究室があった。
飛鳥井は鷺沼に「飯倉」を知る人物を紹介して貰おうと考えたのだ。
これも飛鳥井が依頼を引き受けた理由である。

この計算は図に当たり、「飯倉」本人には辿り着けなかったが彼と親しかったとされるサークル仲間の花房を突き止めた。

花房はコンサルタント会社の経営者。
しかし、先頃に起きた傷害事件で世間を騒がせていた。
花房がコンサルタントを引き受けた会社で行ったリストラが原因でクビにされた社員が傷害事件を起こしていたのだ。

飛鳥井は密かに花房へと接触、彼から飯倉についての情報を引き出す。
ところが、花房によればサークルの解散と共に飯倉は行方不明になってしまったのだそうだ。
元サークルメンバーもバラバラになっており、主だった者は新興宗教の信者や企業の幹部になっているのだそうだ。
また、サークルメンバーに「カントク」と呼ばれていた者が居たことを知る。

この結果に、飛鳥井は「飯倉が既に此の世の人では無いのではないか」と考えることに―――2話へ続く。

◆関連過去記事
『追跡の魔』(笠井潔著、文藝春秋社刊『魔』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『痩身の魔』(笠井潔著、文藝春秋社刊『魔』収録)ネタバレ書評(レビュー)

「超再現!ミステリー」第7回「2時間スペシャル!!“謎解き4択クイズで視聴者に総額100万円大当たりスペシャル”Q1…通り魔殺人の謎美人刑事の心理テスト殺人のトリック暴く▽Q2…黒マントの殺人恋敵の女たちIQ手口名探偵が矛盾に気付く(2時間SP!!上甲宣之著・10分間ミステリー“防犯心理テスト”の謎解きを!笠井潔著・本格ミステリー小説“魔”)」(6月5日放送)ネタバレ批評(レビュー)


第12回本格ミステリ大賞(小説部門、評論・研究部門)発表!!栄冠はどの作品!?

果たして、ミネルヴァの梟は黄昏に飛びたつか?笠井潔先生「探偵小説と叙述トリック」が2011年4月28日発売予定!!

『容疑者Xの献身』(東野圭吾著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『転生の魔 私立探偵飛鳥井の事件簿』第1話が掲載された「メフィスト 2016 VOL.1 (講談社ノベルス)」です!!
メフィスト 2016 VOL.1 (講談社ノベルス)



キンドル版「メフィスト 2016 VOL.1」です!!
メフィスト 2016 VOL.1



「魔 (文春文庫)」です!!
魔 (文春文庫)





「三匹の猿―私立探偵飛鳥井の事件簿 (講談社文庫)」です!!
三匹の猿―私立探偵飛鳥井の事件簿 (講談社文庫)





「道―ジェルソミーナ 私立探偵飛鳥井の事件簿 (集英社文庫)」です!!
道―ジェルソミーナ 私立探偵飛鳥井の事件簿 (集英社文庫)



posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月08日

『声』(松本清張著、新潮社刊『張込み』収録)

『声』(松本清張著、新潮社刊『張込み』収録)ネタバレ書評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

推理小説の第1集。殺人犯を張込み中の刑事の眼に映った平凡な主婦の秘められた過去と、刑事の主婦に対する思いやりを描いて、著者の推理小説の出発点と目される「張込み」。判決が確定した者に対しては、後に不利な事実が出ても裁判のやり直しはしない“一事不再理”という刑法の条文にヒントを得た「一年半待て」。ほかに「声」「鬼畜」「カルネアデスの舟板」など、全8編を収録する。
(新潮社公式HPより)


<感想>

短編集『張込み』に収録された一編です。

まさに「天網恢恢疎にして漏らさず」。
完全犯罪かと思われた強盗犯たちでしたが、思わぬ繋がりに足元を掬われることに。
とはいえ、其処には犠牲が伴うこととなりました。

そんな本作のテーマは「思わぬ人と人との繋がり」か。
世間は広いようで狭いのかもしれません。

また「場所誤認トリック」もなかなかに奏功しています。

ちなみにネタバレあらすじはかなり改変しています。
興味のある方は本作それ自体を読むべし。

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
朝子:新聞社の電話交換手
小谷:朝子の夫
川井:小谷の上司
浜崎:小谷の同僚
ヤス:???
赤星:強盗事件の被害者
畠中:刑事


朝子は新聞社の電話交換手である。
ある夜のこと、記者から急な取材の必要があるとの要請を受けて大学教授の赤星に電話を入れた。
すると、電話口の相手に「此処は葬儀場さ」とあしらわれてしまった。
さらに、電話の先に居たもう1人により一方的に電話を切られてしまう。
どうやら別の赤星さんに間違い電話をしてしまったようだが、朝子は不快な想いを抱くこととなった。

ところが、その翌日になり誤って電話を架けた先の住人が強盗犯に殺害されていたことを知り驚く。
つまり、電話口に出た相手こそ強盗犯だったのだ。
こうして朝子は警察へ情報提供を行った。

この事実は当時の新聞を賑わせた、朝子の証言が事件解決に繋がると期待されたのだ。
新聞にはお手柄として朝子の名前が載せられるほどであったが、朝子は犯人が2人組であること以外は上手く伝えられないのであった。
結局、犯人は捕まらず数年の歳月が流れた。

数年後、朝子は小谷と結婚し人妻となっていた。
長く就職から縁遠かった小谷だが、ようやく定職に着き朝子もようやく一息吐きつつあった。

そんなある晩のこと、小谷の仕事先の上司である川井が家を訪れた。
川井をもてなす朝子を電話のベルが呼び出す。
こちらは小谷の同僚の浜崎だ。
と、朝子は電話越しの声を聴いて強盗犯を思い出す。
まさか……様子のおかしくなった朝子を小谷と川井が不審がるのだが。

それから数日後、朝子は他殺体で発見されることとなった。
遺体から石炭屑が検出されており、炭鉱で殺害されたと思われた。

容疑は小谷や周辺の川井や浜崎にも向かった。
しかし、川井には鉄壁のアリバイがあった。
時間的に炭鉱では殺害不可能なのだ。

この事件の捜査に畠中刑事が乗り出した。
畠中刑事は朝子の殺害場所の特定が石炭屑に頼ったことであることに注目する。
つまり、朝子を別の場所で殺害後に石炭屑を残せば同様の状況が完成するのだ。

其処から畠中刑事は川井と浜崎へと容疑を向ける。
犯行場所が異なれば彼らにも犯行が可能だからだ。

取調が行われ、遂に川井と浜崎が犯行を自供した。
朝子殺害は畠中の推測通り「場所誤認」を利用した殺害。
そして、その動機は数年前の赤星殺害の犯人だと浜崎が疑われたことにあった。
朝子は電話の声を通じて、あのときの声が浜崎だと見抜いたのだ。
そんな浜崎の共犯者こそ川井であった。
小谷を通じ、朝子と川井らが結び付けられてしまったのである。

「まさか、こんな偶然があるなんて信じられなかった」
逮捕された川井は畠中に呟くのであった―――エンド。

◆松本清張先生関連過去記事
【小説】
「霧の旗」(松本清張著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)

「書道教授」(松本清張著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)

「球形の荒野」(松本清張著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『寒流』(松本清張著、新潮社刊『黒い画集』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『市長死す』(松本清張著、光文社刊『青春の彷徨』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『熱い空気』(松本清張著、文芸春秋社刊『事故―別冊黒い画集1』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『波の塔 上下』(松本清張著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『危険な斜面』(松本清張著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『疑惑』(松本清張著、文藝春秋社刊)ネタバレ批評(レビュー)

『十万分の一の偶然』(松本清張著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『事故』(松本清張著、文芸春秋社刊『事故―別冊黒い画集1』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『留守宅の事件』(松本清張著、文藝春秋社刊『証明』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『黒い福音』(松本清張著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『小説 3億円事件 「米国保険会社内調査報告書」』(松本清張著、新潮社刊『水の肌』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『密宗律仙教』(松本清張著、文藝春秋社刊『証明』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『時間の習俗』(松本清張著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『強き蟻』(松本清張著、文芸春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『坂道の家』(松本清張著、新潮社刊『黒い画集』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『草』(松本清張著、新潮社刊『松本清張傑作選 暗闇に嗤うドクター』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『影の地帯』(松本清張著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『共犯者』(松本清張著、新潮社刊『共犯者』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『地方紙を買う女』(松本清張著、新潮社刊『張込み』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『黒い樹海』(松本清張著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『喪失の儀礼』(松本清張著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『一年半待て』(松本清張著、新潮社刊『張込み』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『かげろう絵図』(松本清張著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)

松本清張先生原作「砂の器」が5回目のテレビドラマ化決定。テレビ朝日制作、主演は玉木宏さん!!&「砂の器」ネタバレあらすじ

【ドラマ】
月曜ゴールデン特別企画 松本清張生誕100年スペシャル「中央流沙」(12月14日放送)ネタバレ批評(レビュー)

月曜ゴールデン特別企画 松本清張生誕100年記念スペシャルドラマ『火と汐』(12月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)

松本清張ドラマスペシャル「顔」(12月29日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「フジテレビ開局55周年特別番組 松本清張スペシャル『顔』 清張作品の原点 傑作がドラマで甦る!大女優へのぼり詰めた女には“殺人”という秘密の過去があった。顔がスクリーンに映し出される前に過去を消さなければ」(10月3日放送)ネタバレ批評(レビュー)

金曜プレステージ「松本清張ドラマスペシャル 山峡の章」(1月29日放送)ネタバレ批評(レビュー)

生誕100年記念作 松本清張ドラマスペシャル〜霧の旗「歌舞伎界のプリンスが現代劇初主演!原作と異なる衝撃のラスト!魔性の女3人に振り回される傲慢敏腕弁護士誰もが陥る心の闇と罠の先に待つ真実の幸せとは?真犯人は誰?」(3月16日放送)ネタバレ批評(レビュー)

金曜プレステージ 文化庁芸術祭参加作品 松本清張2夜連続SP球形の荒野・前編「連続殺人の裏に隠された昭和史の光と影〜奈良古寺に残る亡霊の筆跡!」(11月26日放送)ネタバレ批評(レビュー)

土曜プレミアム 松本清張2夜連続SP球形の荒野・後編「昭和39年東京オリンピック開催日にすべての謎は明かされる!刑事も涙した戦争で引き裂かれた父娘の結末」(11月27日放送)ネタバレ批評(レビュー)

サスペンス特別企画「砂の器〜松本清張の最高傑作遂に放送へ!秋田−東京−伊勢−出雲、日本縦断3000キロの殺人捜査!!操車場の死体とカメダの謎!?二人の刑事が追う宿命…」(9月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)

サスペンス特別企画「砂の器〜松本清張の最高傑作遂に完結へ!日本縦断3000キロの捜査が暴く連続殺人の罠!?二人の刑事が見た父子永遠の旅!!天才作曲家の殺意…衝撃の結末」(9月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)

水曜ミステリー9「松本清張3週連続スペシャル 張込み〜平凡な幸福を壊す殺人者!美しい人妻の秘められた過去!密会現場で刑事が最後に見た真実(3週連続松本清張特別企画“張込み” 強盗殺人犯追う刑事逃亡の果てに昔の女は家族を捨てるか?)」(11月2日放送)ネタバレ批評(レビュー)

水曜ミステリー9「松本清張3週連続スペシャル 鉢植を買う女〜愛したから殺した!?金に執着する女2人の戦い!死体が語る消えた3000万と花壇の謎(3週連続松本清張特別企画“鉢植を買う女” 愛する殺人…優雅な暮らしの金貸し女が愛欲に溺れたとき、不幸は始まった)」(11月9日放送)ネタバレ批評(レビュー)

水曜ミステリー9「松本清張企画最終章 聞かなかった場所〜謎に満ちた夫の急死!燃える山鹿灯籠が暴く愛人との密会…女性官僚が堕ちた獣道(3週連続松本清張特別企画“聞かなかった場所” 夫に愛人が?女性官僚が堕ちた罠…俳句に隠された密会の屋敷)」(11月16日放送)ネタバレ批評(レビュー)

松本清張没後20年特別企画『市長死す 死体になるまでの5日間に市長が見たものは何か?日記に隠された市長の意外な一面が驚くべき真実を浮かび上がらせる!たった一行の文章に秘められた誰も知らない12年前の出来事…53年ぶりに隠れた名作を映像化!』(4月3日放送)ネタバレ批評(レビュー)

松本清張没後20年特別企画「ドラマスペシャル 波の塔 汚職官僚連続殺人!!捜査検事に仕掛けられた女の罠!?“点と線”に続く大ベストセラーを完全映像化!東京〜京都〜富士、証言者を追う1000キロの旅衝撃の結末」(6月23日放送)ネタバレ批評(レビュー)

松本清張没後20年特別企画「危険な斜面 偶然再会した元恋人によって、眠っていた“出世欲”に目覚めてしまった男…しかし芽生えたのは殺意だった!普通の男から悪魔へ…このまま男は昇りつめるか転落するか?」(9月30日放送)ネタバレ批評(レビュー)

金曜プレステージ 松本清張没後20年特別企画第3弾「疑惑 夫殺しの疑いをかけられた若き悪妻はシロかクロか?個性派女性弁護士が史上最強の悪女と闘う〜無実だったら覚えていろ!衝撃の真相とは」(11月9日放送)ネタバレ批評(レビュー)

水曜ミステリー9「松本清張没後20年特別企画 事故〜黒い画集〜 疑惑の事故が招く連続殺人!不倫密会の代償点と線を結ぶ捜査が暴く死体移動トリック」(12月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)

テレビ朝日開局55周年記念 松本清張没後20年 2週連続ドラマスペシャル「十万分の一の偶然〜激突!事故か殺人か!?東名高速四重衝突!!一枚の写真が暴く赤い火の玉の謎…結婚目前に消えた娘〜父の追跡」(12月15日放送)ネタバレ批評(レビュー)

月曜ゴールデン「松本清張没後20年スペシャル『寒流』〜黒い画集より〜エリート行員の不倫の恋が上司の嫉妬を生み運命が転がる!一体誰が悪で誰が善なのか?幻の名作の意外な結末とは」(1月14日放送)ネタバレ批評(レビュー)

水曜ミステリー9「松本清張没後20年特別企画『留守宅の事件』〜証明より〜妻は何故殺されたか?密会と密告の罪深い闇 空白5日間の不在証明を追う刑事達の執念」(4月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「テレビ朝日開局55周年記念 松本清張二夜連続ドラマスペシャル 三億円事件 戦後最大の未解決事件〜衝撃の推理初映像化!!消えた真犯人VS保険調査員!!最後の真実」(1月18日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「テレビ朝日開局55周年記念 松本清張二夜連続ドラマスペシャル“黒い福音” 国際線スチュワーデス殺人事件!昭和最大の未解決事件に挑む定年刑事&若手エリート刑事!!真犯人は誰か!?衝撃の結末」(1月19日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「フジテレビ開局55周年記念特別番組 松本清張ドラマスペシャル 時間の習俗 点と線の名刑事コンビ登場!相模湖畔で消えた女と福岡の変死体を結ぶ謎1000キロの距離と時間を超えた難事件…鉄壁のアリバイを崩せるか?真実はカメラが知っている」(4月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「テレビ東京開局50周年特別企画 松本清張『強き蟻』 3年後に夫は死ぬ!10億円の財産狙う美貌の妻に群がる4人の男 屋根裏の情事に隠した殺人トリックと欲望!最後に生き残るのは」(7月2日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「松本清張サスペンス 悪女の事件・第一夜 坂道の家〜魔性の女が招く連続殺人の罠!美しい理容師に全財産を奪われた初老の男!!嫉妬と憎しみの殺意…浴室の氷のトリック(松本清張二夜連続ドラマスペシャル 坂道の家)」(12月6日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「松本清張サスペンス 悪女の事件・第二夜 霧の旗 無実の弟の弁護を断った弁護士に対する復讐を描く傑作サスペンス!殺人の汚名を着せられたまま獄中で死亡した弟への悲しみが、1人の女を悪女へと変貌させる!(松本清張二夜連続ドラマスペシャル 霧の旗)」(12月07日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「テレビ東京開局50周年特別企画 松本清張ドラマSP『黒い画集−草−』 清張医療サスペンスの傑作!大病院の闇…不倫、失踪、医療ミス そして雨の夜に3件の連続殺人…白い巨塔に隠された驚愕の陰謀」(3月25日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「月曜ゴールデン特別企画 松本清張サスペンス 影の地帯 大学教授失踪!?森に消える白い家・幻の黒髪の美女は敵か味方か…湖に捨てられた木箱の謎?蛍の里山に渦巻く悲しき欲と業」(7月6日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「松本清張特別企画 共犯者 夫を殺して!報酬は5000万円…整形手術で成功を手にした女社長が堕ちた罠!!福岡から東京へ…封印した過去から迫る謎の脅迫者!傑作清張サスペンス」(9月30日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「松本清張二夜連続ドラマスペシャル 第一夜 地方紙を買う女〜作家・杉本隆治の推理 金沢の地方紙で連載している推理小説を、東京の女性から購読したいという依頼があったことを聞き、疑念を抱くことから始まる傑作ミステリー!」(3月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「松本清張二夜連続ドラマスペシャル 第二夜 黒い樹海 唯一の肉親である姉を事故で亡くした新聞記者・祥子。その事故に隠された姉の嘘と秘密とは…。松本清張の傑作が再び甦る!!」(3月13日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「松本清張特別企画 喪失の儀礼 松本清張の長編推理小説!中伊豆の旅館と深大寺の公園で発生した医師連続殺人…。かつてコンビを組んだ変わり者刑事・大塚と須田が事件の謎を追う」(3月30日放送)ネタバレ批評(レビュー)

【その他】
・『眼の壁』から出題がありました。
「ミステリーキューブ 名作ミステリーを凝縮▽華麗なトリックを見破り密室から脱出せよ!▽松本清張が仕掛けたわなに挑戦だ」(8月20日放送)ネタバレ批評(レビュー)

【特報】松本清張先生、未収録短編発見さる!!その名も『女に憑かれた男』!!

【2015年】松本清張先生『女に憑かれた男』に続く未収録短編作品見つかる!!その名は『渓流』とのこと!!

「張込み (新潮文庫―傑作短篇集)」です!!
張込み (新潮文庫―傑作短篇集)



キンドル版「張込み―傑作短編集(五)―」です!!
張込み―傑作短編集(五)―



キンドル版「清張映画にかけた男たち―『張込み』から『砂の器』へ―」です!!
清張映画にかけた男たち―『張込み』から『砂の器』へ―

posted by 俺 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月07日

『黒い線』(横山秀夫著、文藝春秋社刊『陰の季節』収録)

『黒い線』(横山秀夫著、文藝春秋社刊『陰の季節』収録)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

天下りなどの人事問題に真っ正面から取り組んで、選考委員の激賞を浴びた松本清張賞受賞作ほかテレビドラマ化されたD県警シリーズ

警察一家の要となる人事担当の二渡真治は、天下り先ポストに固執する大物OBの説得にあたる。にべもなく撥ねつけられた二渡が周囲を探るうち、ある未解決事件が浮かび上がってきた……。「まったく新しい警察小説の誕生!」と選考委員の激賞を浴びた第5回松本清張賞受賞作を表題作とするD県警シリーズ第1弾。解説・北上次郎
(文藝春秋社公式HPより)


<感想>

横山秀夫先生による「D県警シリーズ」の1作。
「D県警シリーズ」は架空の「D県警」を舞台に其処で働く人々が関わる事件とその真相を描いたシリーズ作品。
シリーズ既刊には『陰の季節』の他に『顔 FACE』『64』が存在しており、共通の世界観を保持しています。
また、未収録作品として『刑事の勲章』も存在しています。
いずれも視点人物が異なるものの、二渡が共通して登場している点がポイントです。

『陰の季節』(横山秀夫著、文藝春秋社刊『陰の季節』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『64』(横山秀夫著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)

本作『黒い線』は短編集『陰の季節』に収録された1編。
『陰の季節』には、他に表題作『陰の季節』、『地の声』、『鞄』など合わせて4編が収録されている。
なお、表題作でもある『陰の季節』は第5回松本清張賞受賞作となっています。

さて、『黒い線』は七尾友子が視点人物。
そして、友子が直面したのは「何故、手柄を立てた平野瑞穂が姿を消したのか?」との謎。
つまり「ホワイダニット」作品であり、その陰に潜む事情はなかなかに残酷です。
特に、似顔絵により犯人が逮捕された=似顔絵が先と思いきや……この逆転の構図が諧謔的です。
また、瑞穂は後に『顔 FACE』(徳間書店刊)の主人公として登場もしています。

なお、ネタバレあらすじはかなり改変しています。
興味のある方は本作それ自体を読むべし!!

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
七尾友子:婦警を管轄する責任者
平野瑞穂:鑑識課員、似顔絵担当
森島:鑑識課課長
二渡真治:警務部警務課に所属する警視


七尾友子はD県警の婦警を管理する立場にある。
また、D県警内女性初の警部でもあった。

そんな彼女のもとに意外な報が飛び込んで来た。
なんと、婦警の1人・平野瑞穂が姿を消してしまったと言うのだ。

瑞穂は鑑識課の似顔絵担当。
つい先日もある事件の被疑者の似顔絵を描き、犯人逮捕に繋げたとのことで大手柄とされていた。
直後の行方不明である、もしかして犯人の関係者に報復されたのではないか……七尾は事件を思い浮かべずには居られなかった。

ところが、報告を受けた二渡は少し確認しただけで奇妙な余裕を見せ始めた。
何かに気付いたようだが納得の行かない七尾は自身で瑞穂の行方を追い始める。

まずは、お手柄となった似顔絵の件だ。
鑑識課長・森島によれば目撃者の協力を得て瑞穂が似顔絵を作成したらしいのだが……。

さらに、七尾は瑞穂の行動を追跡し始めた。
すると、犯人逮捕後に事件に関係する場所や人を調べ回っていたことが分かる。
既に犯人は逮捕されているのに何故なのか!?

その矢先、瑞穂が実家に戻っていることが判明。
何かにショックを受けてしまっているようだ。

これに七尾は真相を察した。
原因は森島にあった。

目撃者の証言に沿って似顔絵を作成した瑞穂。
だが、森島は最初から被疑者を絞り込んでいた。
其処で瑞穂に似顔絵の描き替えを強要したのだ。
瑞穂は断り切れずに従ってしまったらしい。

七尾は思う、二渡も早期に同様の結末に至っていたのだろう。
だとすれば、今度の人事でこそ彼の真価が問われるのかもしれない、と―――エンド。

◆関連過去記事
【横山秀夫先生著作記事】
『陰の季節』(横山秀夫著、文藝春秋社刊『陰の季節』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『64』(横山秀夫著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)

【ドラマ関連】
土曜ドラマ「64(ロクヨン)」第1話「窓」(4月18日、4月24日)ネタバレ批評(レビュー)

土曜ドラマ「64(ロクヨン)」第2話「声」(4月25日、5月1日)ネタバレ批評(レビュー)

土曜ドラマ「64(ロクヨン)」第3話「首」(5月2日、5月8日放送)ネタバレ批評(レビュー)

土曜ドラマ「64(ロクヨン)」第4話「顔」(5月9日、5月15日放送)ネタバレ批評(レビュー)

水曜ミステリー9「横山秀夫特別企画 永遠の時効 謎の数列29、41、51は無意識の自白調書!2つの完全犯罪とオンナの嘘を暴く逆転の取り調べ!」(6月25日放送)ネタバレ批評(レビュー)

日曜洋画劇場「特別企画 臨場 劇場版 話題作!!テレビ初放送 大ヒットドラマ遂に映画化!!型破り検視官倉石が挑む最大の事件」(6月9日放送)ネタバレ批評(レビュー)

【その他】
横山秀夫先生、前橋でのトークショーにて小説観を語る!!

横山秀夫先生7年ぶりの新作『64』、文藝春秋社より2012年10月27日発売決定!!

【速報】横山秀夫先生『臨場』が映画化決定!!キャストはドラマ版と同じ!!

「横山秀夫サスペンス」DVD-BOX、2010年10月27日発売!!

横山秀夫先生『64』(文藝春秋社刊)が続々実写化!!まずは2015年4月に連続ドラマ化、次いで2016年に映画化とのこと!!

「陰の季節 (文春文庫)」です!!
陰の季節 (文春文庫)



キンドル版「陰の季節 D県警シリーズ」です!!
陰の季節 D県警シリーズ



キンドル版「動機 D県警シリーズ」です!!
動機 D県警シリーズ



キンドル版「顔 FACE」です!!
顔 FACE



キンドル版「刑事の勲章 D県警シリーズ (文春e-Books)」です!!
刑事の勲章 D県警シリーズ (文春e-Books)

posted by 俺 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。