誘拐事件をテーマとするミステリのこと。
このジャンルの代表作としては天藤真先生『大誘拐』、岡嶋二人先生『99%の誘拐』などがある。
近年では、佐倉淳一先生『ボクら星屑のダンス』(第30回横溝正史ミステリ大賞 テレビ東京賞)や、大山淳子先生『猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち』(TBS・講談社第3回ドラマ原作大賞受賞作)が特筆すべき作品か。
このジャンルは、そのトリックが視覚的に理解し易いこともあって映像化に適していることも特徴。
他に誘拐犯側、捜査側の2つの視点を交互に繰り返すことで臨場感を盛り上げるパターンが多い。
このジャンルにおけるトリックは、次の2つに大別される。
1つ、誘拐被害者が加害者側に転じる、或いは、首謀者である。
2つ、誘拐は偽装であり、被害者の殺害が主目的である。
特に1つ目のトリックは「意外性がある」、「人情ものと絡め易い」などの理由からか非常に多く、如何にこのパターンから抜け出すかがこのジャンルの醍醐味と言えるだろう。
1つ目のトリックを逆手にとった作品としては、連城三紀彦先生『造花の蜜』も面白いかもしれない。
2つ目のトリックを逆手にとった作品としては……って、こちらはネタバレになるので避けたいと思います。
代わりに、当ブログ内にて取り上げているこのジャンルの作品を幾つか下記に記載しておきます。
厳密にはこのジャンルとは言い切れない作品もありますが、どれも個性的ですね。
当然、過去記事にネタバレ書評(レビュー)があるので、読み比べて頂くことで傾向を把握されることも面白いかもしれません。
東野圭吾先生『ゲームの名は誘拐』
貫井徳郎先生『長く孤独な誘拐』(『光と影の誘惑』収録)
我孫子武丸先生『夏に消えた少女』
松浪和夫先生『刑事魂』
東川篤哉先生『もう誘拐なんてしない』
◆関連過去記事
・『ボクら星屑のダンス』(佐倉淳一著、角川書店刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち』(大山淳子著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『造花の蜜』(連城三紀彦著、角川春樹事務所刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『光と影の誘惑』(貫井徳郎著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『ゲームの名は誘拐』(東野圭吾著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『夏に消えた少女』(我孫子武丸著、新潮社『Mystery Seller(ミステリーセラー)』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『刑事魂(警官魂 激震編・反撃編)』(松浪和夫著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『もう誘拐なんてしない』(東川篤哉著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)