2016年05月12日

「ブレイド・マスター」(2014年、中国)

「ブレイド・マスター」(2014年、中国)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

「レッドクリフ」「グランド・マスター」のチャン・チェン主演で贈る武侠アクション。共演にワン・チエンユエン、リー・トンシュエ、リウ・シーシー。明朝末期の北京を舞台に、義兄弟の契りを交わした3人の男たちが、錦衣衛の一員として権力闘争を巡る巨大な陰謀の渦に巻き込まれていく姿を描く。
(公式HPより)


<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
沈煉:錦衣衛の1人、主人公
盧剣星:錦衣衛の1人、沈煉と義兄弟の契りを結ぶ
斬一川:錦衣衛の1人、沈煉と義兄弟の契りを結ぶ
魏忠賢:先代皇帝の腹心
趙成忠:皇帝の腹心


時は明朝末、後金(後の清)の侵攻が続く中で16代皇帝・天啓帝が没したことで17代皇帝・崇禎帝が即位した。
これに伴い、天啓帝のもとで権勢を奮っていた宦官・魏忠賢が失脚。
これまで魏忠賢と共に栄華を誇っていた彼の部下たちは次々と粛清されることとなった。

そんな中、皇帝直属の錦衣衛には盧剣星、沈煉、斬一川と3人の腕利きが存在していた。
3人は義兄弟の契りを交わしていたが、それぞれに悩みを抱えていた。

盧剣星は出世を望むも直属の上司から賄賂を要求され、行き詰まりを感じていた。
沈煉は芸妓の明桃に好意を寄せていたが、彼女に拒否されていた。
斬一川は労咳を病み医者にかかる中でその娘と恋を育んでいたが、自身の出自が盗賊であり本物の斬一川を殺害し入替っていることを必死に隠していた。

ある日、盧剣星たち3人は皇帝の覚えも目出度い大監の趙成忠から魏忠賢抹殺の指令を受ける。
こうして指令を果たす旅に出た3人。

途上、何度となく襲撃を回避し魏忠賢を捕捉した盧剣星たちであったが……。
なんと、沈煉が密かに買収され魏忠賢を逃がしてしまう。
沈煉は盧剣星たちにも事実を告げず、別人の遺体を魏忠賢として都に持ち帰る。

ところが、都に戻るや謎の刺客の襲撃を受けることに。
長槍を縦横無尽に奮う刺客に苦戦する沈煉たちであったが、何とか撃退する。

刺客を退けた沈煉はその正体を気に掛けながらも、魏忠賢から手にした金で盧剣星の出世を買う。
また、斬一川の為に治療費を支払う。
その一方で、明桃を身請けしようとするのだが……。

明桃はこれをも拒否する。
実は、明桃は元貴族の出身。
ところが、過去に一族を沈煉の手で処刑されており苦界に身を落とす羽目になっていた。
しかも、今は魏忠賢の部下と恋を育んでいたのだ。
明桃は身請けしたいならば地下牢に捕まっている恋人を連れ出すようにと沈煉に要求する。

それで明桃が手に入るならばと沈煉は牢破りを行おうとするが、当の恋人は拷問により瀕死の状況にあった。
彼は明桃を沈煉に託し命を絶つ。

同じ頃、斬一川は盗賊時代の兄貴分と再会。
正体露見をちらつかされ金銭を要求されるように。

また、盧剣星は昇進を果たしたが魏忠賢の遺体が偽物であることに気付く。
しかも、これが当の皇帝にも知られてしまった。
皇帝は激怒し、盧剣星らの抹殺を命じる。

明桃に事の顛末を伝える沈煉。
其処へ趙大監が長槍を手に襲撃を仕掛けて来た。
その槍捌きに沈煉は先の刺客が彼であると気付く。

実は趙大監は魏忠賢の隠し子、親子であることが発覚する前に魏忠賢殺害を目論んでいた。
其処で、本来は捕縛命令だったものを抹殺命令と偽り盧剣星らを派遣したのだ。
彼らを襲撃したのは命令を摩り替えたことを知られることを怖れた為であった。
ところが、選りにも選って沈煉が魏忠賢を逃がしてしまった。
しかも、これに皇帝が気付き、続いて彼の正体までも明かされてしまう破目に陥ったらしい。

趙大監は自身の計画が狂ったと逆上し、沈煉に襲い掛かる。
短刀でこれに対抗する沈煉は明桃を抱えつつ、撃退に成功するのだが。

同時刻、盧剣星は皇帝からの追捕の手に囚われ処刑されてしまう。
また、斬一川は趙大監に雇われた兄貴分により半死半生の状態に追い込まれていた。
さらに、趙大監の部下により射殺されてしまう。

義兄弟が殺害されたことを知った沈煉は趙大監へ復讐を決意。
斬一川の兄貴分を雇い、逃げた趙大監を追う。

一方、趙大監は魏忠賢を殺害すると彼の代わりに後金へ亡命しようとしていた。
追い付いた沈煉と斬一川の兄貴分、これに後金側の出迎えに現れた手勢が加わり乱戦に。
だが、沈煉は今は亡き盧剣星と斬一川の技を用いて趙大監を討つのであった。

生き残った沈煉らは待っている明桃のもとへ向かう―――エンド。

<感想>

原題は「繡春刀 Brotherhood of Blades」。

義兄弟の契りを結んだ3人の剣客たちの行く末を、衰亡著しい明朝末期と重ね合わせつつ描きます。
すなわち、其処に待つのは「滅び」のみ。
だが、最後の最後で沈煉が生き残り明桃と共に新時代を生きる決意を見せることでそれとなく「淡い希望」も描き出しています。

ちなみに、ネタバレあらすじはかなり改変しています。
明桃との恋人は自害ではなく沈煉の手にかかっての死亡だったり。
斬一川の医者の娘との恋が兄貴分により儚く散ったり。
ラストの沈煉と趙大監の決着はまた別の形だったり。
何時の間にか沈煉と明桃の間に信頼関係が芽生えつつあったり。
もっと複雑な内容だったりします。
特に斬一川の兄貴分については余りの縦横無尽ぶりに「何時の間にそちらに!?」的な驚きがある筈。

興味のある方は本作をチェックされたし!!

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2016年05月11日

「朝鮮美女三銃士」(2013年、韓国)

「朝鮮美女三銃士」(2013年、韓国)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

剣術が得意なジノク(ハ・ジウォン)、お金に目がない人妻ホンダン(カン・イェウォン)、口より先に手が出るカビ(ガイン)は、大金が懸けられた凶悪犯を捕まえる賞金稼ぎ「美女三銃士」。彼女たちは王の密命により、消えた十字鏡の捜査に乗り出す。刺客に襲われるなどさまざまな危機に遭遇する三人だったが、懸賞金だけではなく国の命運を背負い、事件の真実を追い求めていく。
(公式HPより)


<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
ジノク:賞金稼ぎ「美女三銃士」のリーダー。剣術に優れ、発明もこなす。
ホンダン:賞金稼ぎ「美女三銃士」の1人。婚家の借金返済のために奔走する。
カビ:賞金稼ぎ「美女三銃士」の1人。腕力に優れる。
ムミョン:元高官でジノクたちのまとめ役。
ソン:捕盗庁の捕卒。

キム・ジャホン:国の高官
サヒョン:ジャホンの部下だが実は……。

チョ・ユシク:10年前に消えた高官、ある秘密が……。
コン・グ:強盗団の首領。


ジノク、ホンダン、カビは国に名を轟かせる賞金稼ぎ「美女三銃士」。
ジノクは剣術に優れ、発明も得意。
カビは腕力に優れ、弓術も得意。
ホンダンは……嫁ぎ先の借金を返済すべくメンバーとなっているが特筆すべき点はない。
そんな3人を元高官のムミョンがまとめ役として支持していた。

一方、強盗団の首領として知られるコン・グは必死に逃げていた。
彼のまわりに居た部下は1人減り、2人減り、今や彼1人となっていた。
そして、そんなコン・グを追跡する覆面の集団が。
その先頭の人物はサヒョンと呼ばれていた。

数日後、ジノクたちのもとに時の朝廷の高官から依頼が持ち込まれた。
コン・グを保護してい欲しいとの依頼である。
高額の報酬に惹かれたジノクたちは一も二も無く応じることに。

こうして、ジノクたちはコン・グの手配書を作り彼の行方を求めた。
捕盗庁の捕卒であるソンが見守る中、遂にコン・グの居場所を突き止めたのだが……。

コン・グ確保に動いたところで、覆面集団の襲撃を受けることに。
逃げるコン・グだが、サヒョンに捕まり殺害されてしまう。

当のサヒョンを目にしたジノクは衝撃を受ける。

実はジノクは10年前に消えたチョ・ユシクなる高官の1人娘であった。
さらに、サヒョンはジノクに仕える従僕だったのだ。
とはいえ、ジノクは同じ年頃のサヒョンに恋をし結婚の約束を交わしていた。

ところが、此処で惨劇に見舞われる。
ある晩にキム・ジャホン率いる集団に襲撃されたのだ。
ジノクは目の前でユシクを刺され、自身も負傷してしまった。
意識を取り戻した後にはユシクもサヒョンの姿も無くなっていたのであった。

以来、ジノクはムミョンのもとで育ち、ホンダン、カビと共に「美女三銃士」となったのである。

そのサヒョンと再会したのだ。
ジノクはサヒョンに呼びかけるのだが……サヒョンはそんなジノクにさえも刃を向ける。
結局、駆け付けたムミョンによりサヒョンは撤退するのだが、ジノクの心には大きな傷が残ることに。

ところが、傷心のジノクをさらに追い詰める出来事が。
コン・グの保護にはある大きな陰謀が隠されていたのだ。
重要だったのはコン・グではなく、彼が所持していた「十字鏡」だったのである。
「十字鏡」には秘密が隠されており、それを朝廷が必要としていたのだ。
だからこそ、ソンが監視役としてジソクたちを見張っていたのであった。

しかし、当の「十字鏡」はコン・グを殺害したサヒョンにより奪われていた。
この失態を受けてジノクたちは依頼主からも追われる羽目に。
こうして、ジノクを庇ってムミョンが朝廷に逮捕されてしまう。

ムミョンが逮捕されたことで時間を稼いだジノクたちは「十字鏡」の行方を追う。
情報を得た彼女たちはキム・ジャホン宅へ。

其処で奪われた「十字鏡」を発見するのだが……またしてもサヒョンが現れた。
ジノクはサヒョンに「ジノクだ」と訴えるが、サヒョンは躊躇せず彼女を刺してしまう。

倒れたジノクは未だ監視を続けていたソンに保護された。
ジノクはサヒョンへの蟠りを残しつつ、仲間たちと共にキム・ジャホンとの対決を決意する。

その頃、キム・ジャホンは清の公主に「十字鏡」を引き渡そうとしていた。
「十字鏡」には陸続きの大国・清に奇襲をかける際の軍用道路の地図が隠されていたのだ。
これは清への叛意に他ならない。
キム・ジャホンは「十字鏡」を証拠として売渡し、大金を得ようとしていたのである。
さらに、キム・ジャホンは奇襲計画を証明する生き証人まで用意していたのだが……。

一方、ソンの計らいで釈放されたムミョンを加えた一行はキム・ジャホンの本拠地へ潜入する。
中心となっている塔を爆破するホンダン、カビ。

その頃、ジノクはと言えば……地下で思わぬ再会を果たしていた。
なんと、父であるチョ・ユシクは刺されながらも命を取り留めキム・ジャホンの虜囚となっていたのだ。
ジャホンが用意した生き証人とはユシクのことであった。
10年前、ユシクは奇襲攻撃用の軍用道路建設の担当者だったのである。
だからこそ、ジャホンに狙われたのだ。

ユシクを助け出したジノク。
ところが、其処にサヒョンが立ち塞がる。

未だ戸惑うジノクだが、サヒョンは容赦なく攻撃を仕掛ける。
それもその筈、サヒョンは記憶喪失に陥っておりジャホンに洗脳されていた。

此処に騒ぎを聞き付けたジャホン当人も登場。
サヒョンとの戦いを拒否するジノクの目の前で、サヒョンを刺してしまう。
此の時、ようやくサヒョンに記憶が戻って来た。

しかし、既に遅かった。
塔は爆破により崩落し、これからジノクを助けたサヒョンは瓦礫の中に埋まってしまう。

サヒョンの死に激怒したジノクは「十字鏡」を手に逃亡しようとするジャホンを追撃。
ヨーヨーで並み居る敵を蹴散らすと、ジャホンを爆弾で吹き飛ばした。
こうして、事件は解決したのである。

助け出されたユシクは高官へと返り咲いた。
ムミョンもまたユシク同様に元の官職へ。
ホンダンは多額の謝礼で婚家の借金を返済した。
カビは宮廷に武官として取り立てられることとなり、またソンとも恋仲となった。

そして、ジノクはと言えば……未だホンダンやカビと共に「美女三銃士」を続けているのである―――エンド。

<感想>

痛快娯楽作品ですね。
まさに韓国版「チャーリーズ・エンジェル」。

とはいえ、ジノクのキャラが強過ぎて他の2人は印象が薄い。
特に序盤と終盤でジノクが用いるヨーヨーは凄かった。
あのシーンは必見だろう。
それと、劇中で登場するアジトのピタゴラスイッチも面白かった。
続編も期待したい作品です。

興味を持たれた方は是非、本作にチャレンジされたし!!
ちなみにネタバレあらすじはまとめ易いように改変を加えているので、詳しくは本作をご覧頂きたい。

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2015年10月12日

「怪しい彼女」(2014年、韓国)

「怪しい彼女」(2014年、韓国)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

70歳のマルスン(ナ・ムニ)は、向かうところ敵なしの口の悪さと頑固さで近所でも有名なおばあさんだった。国立大教授に出世した一人息子(ソン・ドンイル)を女手一つで育て上げたものの、アクの強い性格が災いし最近は嫁にも煙たがられる始末。ある日、彼女が写真館で遺影のつもりで写真を撮ると、不思議なことに20歳のころの自分(シム・ウンギョン)に戻っていた。
(公式HPより)


<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
オ・ドゥリ:正体は20代に若返ったマルスン。
オ・マルスン:70代のおばあちゃん。歌が上手い。
パク氏:マルスンを慕う老人。
パン・ヒョンチョル:マルスンの息子。福祉問題を扱う教授。
パン・ハナ:マルスンの孫娘。
パン・ジハ:マルスンの孫。半地下バンドのメンバー。
ハン・スンウ:音楽プロデューサー。
チュ・オクチャ:パク氏を巡るマルスンの恋敵。


オ・マルスンは70代の女性である。
夫を早くに亡くし、女手1つで息子・ヒョンチョルを大学教授にまで育て上げた。
今は、息子夫婦と同居し孫娘のハナや孫のジハに囲まれて暮らしている。
さらに、マルスンの元使用人であったパク氏が営む喫茶店でバイトする毎日だ。

ちなみに、マルスンは歌が大得意でハナもその血を引いたのか歌が上手い。
ジハも半地下バンドなるバンドを結成しメジャーデビューに向け活動している。

そんなマルスンだが大きな悪癖があった。
少々、いや、かなり口が悪かったのだ。
当然、あちこちで衝突を繰り返しており敵も多い。

例えば、マルスンに熱烈なアプローチを繰り返すパク氏を巡り、彼に恋するチュ・オクチャとは犬猿の仲だ。
何かあればいがみあっている。

ところが、他にも意外なところで反感を買っていたのである。
なんと、嫁がマルスンの悪口雑言に耐えられず倒れてしまったのだ。

ショックを受けたマルスンは街を彷徨う内に「青春写真館」なる店を発見する。
其処で遺影にでもしようと写真を撮影して貰ったのだが……。

写真館を出てからハタと気付いた。
何処か身体が軽いのだ。
見ればマルスンは20代に若返っていた。

ワケの分からないマルスンだが、これはチャンスだと考えた。
もう1度生き直すように、とのメッセージなのだと。

マルスンはパク氏が下宿人を募集していたことを思いだし、憧れのオードリー・ヘップバーンから「オ・ドゥリ」と名乗り下宿生活を始めた。

とはいえ、中身はマルスンである。
相変わらず口は悪いのだが、若さもあってか反発は小さい。

そんな中、パク氏の喫茶店でカラオケを歌ったマルスン。
それを2人の人物が耳にした。

1人はジハ。
もう1人は売れっ子音楽プロデューサーのハン・スンウである。

2人は共にマルスンの歌に惚れた。
ジハはドゥリが祖母とも知らずバンドのボーカルに誘う。
スンウは出遅れてマルスンを見失ってしまった。

他ならぬ孫に誘われたことで意気揚々と半地下バンドに参加するマルスン。
その歌唱力は健在でキュートな容姿と相俟って、あっと言う間に人気バンドに。
遂にはテレビ番組のオーディションにまで出場するように。

そのオーディション会場にはスンウも居た。
スンウは「大人の歌を情感込めて歌い上げる若い女性ボーカル」とマルスンを絶賛する。
それはそうだ、何しろマルスンには実際に70年の人生経験があるのだから。
こうして「半地下バンド」と謎のボーカル「オ・ドゥリ」はプロデビューを果たす。

一方、パク氏はヒョンチョルと共に消えたマルスンの行方を必死に探していた。
そして、パク氏はオ・ドゥリに疑惑を向け、彼女の所持品からマルスンの入れ歯を発見する。

その夜、帰宅したマルスンを片手斧を手にしたパク氏が襲う。
ドゥリがマルスンだと知らないパク氏は仇を討とうとしたのだ。
ところが……不意討ちをかけたにも関わらずパク氏はマルスンにあっさりと倒されてしまう。
此処でマルスンは自身の正体を明かし、事情を知ったパク氏はマルスンに協力する。

同じ頃、マルスンはスンウに恋をした。
スンウもまたマルスンに「運命の女性だ」と告げ、髪飾りをプレゼントする。
喜ぶマルスンは夢見心地に。

こうして、マルスンの新たな人生は上手く行っていたのだが。
一方で、暗雲も忍び寄っていた。

ある日、プールに出掛けたマルスンは足を怪我してしまった。
すると、怪我した箇所を中心に老化していたのである。
いや、老化は正確ではない、元に戻ったのだ。
相談を受けたパク氏は「出血することにより元に戻るのではないか」との仮説を立てる。
つまり、不用意に血を流せば「オ・ドゥリ」は此の世から消えるのだ。

不安を覚えるマルスン、さらに立て続けに事件が起こる。
なんと、喧嘩仲間であったチュ・オクチャが病死したのだ。
年齢が原因だったらしい。

今ある若さに執着するマルスン。
だが、一方でヒョンチョルたちは未だにマルスンを探している。
家族のもとに戻るには若さを捨てなければならない。
思い悩むマルスンだが……。

矢先、半地下バンドを売り出す為に大規模コンサートが開催されることとなった。
ところが、会場に向かう途中でジハが事故に遭ってしまう。
マルスンはジハの無事を祈りつつ歌い抜きコンサートを成功させる。

ジハが運び込まれた入院先に駆け付けたマルスン。
しかし、ジハは危険な状況であった。
ジハが非常に珍しい血液型の為に、手術用の血液が確保出来ないらしい。

此処でマルスンは思い出す。
マルスンとジハの血液型は同じだったのだ。
だが、マルスンが血液を提供すれば元に戻ってしまう。
オ・ドゥリは消えて無くなるのである。

マルスンを想い必死に反対するパク氏。
これを立ち聞きしていたヒョンチョルも「僕を育てるのに苦労したのは知ってる。だからこそ、生き直して欲しい」と訴える。
だが、マルスンは「オ・ドゥリ」としての輝かしい人生ではなく、家族を選ぶ。
ジハは一命を取り留め、オ・ドゥリはマルスンに戻った。

そして1年が経過した。
半地下バンドは未だ健在である。
謎のボーカル「オ・ドゥリ」に代わりハナが新ボーカルとなり成功したのだ。
どうやら、ハナに流れるマルスンの血は本物だったようだ。

マルスンはヒョンチョルや嫁と和解した。
今では友達のように付き合っている。

そして……マルスンはスンウを見かける。
彼の前で髪飾りを見せるマルスン、だがスンウは全く気付かない。
どうやら「運命の相手」では無かったようだ。

その頃、パク氏は「青春写真館」に遭遇する。

数時間後、バス停に立つマルスンの前に1人のライダーが現れた。
ヘルメットを脱ぐと、其処には美青年が!!
周囲の色めき立つ女性たちに目もくれず、美青年はマルスンに声をかける。
そう、彼こそ「青春写真館」により若返ったパク氏であった。
パク氏に促されその背後に座るマルスン、バイクは2人を乗せて発進する。
2人の青春はまだまだこれからのようだ―――エンド。

<感想>

「身体は子供、中身は大人な名探偵」……ではなく「身体は20代、中身は70代の口さがないながらもキュートなおばあちゃん」が大活躍する映画―――それが本作です。

誰もが1度は思う、若返りたいとの願い。
そんな願いを叶えたなら、あなたはソレを手放せますか?
しかも、「若さ」だけではなく「名声」と「新たな恋」も手にしたとしたら……。

ところがマルスンはこちらを選ばず、苦悩しつつも「家族への愛」を選ぶのです。
此処に大きく心が動かされました。

また、マルスンにとってこの選択は決して犠牲ではありませんでした。
確かにこの選択で失った物も大きい。
だが、マルスンがこれまでに生きて来た中で既に得ていた物も同様に大きかったのです。
これを肯定出来たのが良し。

そんなマルスンが既に手に入れていた物、それが「愛する家族」と「パク氏」。
その2つを取り戻したマルスン、ラストはそんなマルスンの健在ぶりが描かれていました。

そして、マルスンと言えば忘れてはならないのがパク氏。
どんな状況下にあっても愛するマルスンに一途なパク氏がグッド!!
また、ラストで若返りながらもマルスンのみ見詰める姿も良しでした!!

ドゥリを「運命の相手」と語ったスンウ。
しかし、スンウはドゥリの本当の姿を知らなかった。
髪飾りが2人の絆として描かれながら、それに気付かないスンウの姿は象徴的です。
此の点、確かにスンウの気持ちは本物だったかもしれないが「運命の相手」では無かった。
やはり、マルスンの「運命の相手」はパク氏だったのでしょう。

あらすじからは省きましたが、ドゥリとパク氏の掛け合いも面白かった。
あれは視て欲しいなぁ。

さて、興味を持たれた方は是非、本作にチャレンジされたし!!
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