2015年06月12日

「ドラゴン・フォー2 秘密の特殊捜査官/陰謀」(2013年、中国)

「ドラゴン・フォー2 秘密の特殊捜査官/陰謀」(2013年、中国)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

皇帝直属の特務機関“神侯府”の秘密捜査官、“四大名捕”の冷血(ドン・チャオ)らは偽金事件を解決。しかし、事件の黒幕・安世耿(ウー・ショウポー)の父親である安雲山(ユー・チェンフイ)の絶大な超能力により、安世耿は樹木と同化し復活していた。さらに安雲山は、神侯府を率いる諸葛正我(アンソニー・ウォン)に変身し、首都警察“六扇門”の隊長・柳(チェン・タイシェン)を亡き者にし……。
(公式HPより)


<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:

【神候府(皇帝直属の特務機関)】
諸葛正我:神候府の頭目、メンバーを集めた。
冷血:後に神候府が誇る「四大名捕」の1人。無情を愛し、彼女の為に「六扇門」を捨てた。
無情:後に神候府が誇る「四大名捕」の1人。車椅子の女性。
鉄手:後に神候府が誇る「四大名捕」の1人。筋肉隆々の大男。
追命:後に神候府が誇る「四大名捕」の1人。賞金稼ぎ。

【六扇門(首都警察)】
柳:六扇門の総帥「捕神」と呼ばれる。諸葛正我を敵視する。
姫遥花:六扇門のナンバー2、実は安世耿の情婦にして部下だった。

【その他】
安雲山:安世耿(前作の黒幕)の父親、魔術を使う。
安世耿:豪商にして事件の黒幕、魔術を使う。
如煙:安雲山の部下。変身と毒を自在に操る能力を持つ。
蔡丞相:朝廷の重臣。安雲山の支配下にある。


時は宋王朝末期。
前作にて安世耿の陰謀を打ち破った「神侯府」と「四大名捕」。
だが、相変わらず「六扇門」とその総帥・柳から敵対視されていた。
「神侯府」の頭目・諸葛正我は「六扇門」との協力関係を構築しようと模索する。

同じ頃、朝廷では蔡丞相と共に白髪の老人が参内していた。
老人の名は安雲山、前作の黒幕・安世耿の父であった。

表向き安雲山に対し居丈高に接する蔡丞相だが、その陰では安雲山に傅いていた。
そう、安雲山こそ朝廷を影で牛耳る真の黒幕だったのだ。
その最終的な狙いは我が子である安世耿を皇帝の地位に押し上げること。
しかし、当の安世耿は此の世を去った筈であったが……。

数日後、その安雲山の手により儀式が行われた。
亡き息子・安世耿復活の儀式である。
こうして、安世耿は樹木と同化し此の世に生を留めることになったが身動きが出来ない身体になってしまった。
これを嘆く安雲山に、安世耿は「1度死亡した身ゆえに既にこの世に未練はない」と語る。
だが「ただ1つだけ、姫遥花の願いを叶えてやりたい」と訴える。

その頃、当の姫遥花は「六扇門」にて柳に次ぐナンバー2にのし上がっていた。
そんな姫遥花の前に安雲山の遣いとして如煙が現れた。
彼女に捕まり安雲山の前へと引き出された姫遥花は樹木と化した安世耿と再会する。
怯える姫遥花に願いを尋ねる安世耿。
これに姫遥花は「冷血と無情を別れさせて欲しい」と訴える……。

一方、柳が諸葛正我に呼び出されていた。
柳の前に現れた諸葛正我はいきなり宣戦布告するや武器を構えて攻撃を始めた。
これを予期していたのか柳は悠々と迎撃するのだが、数刻後に遺体で発見されてしまう。

こうして総帥を失った「六扇門」。
次代の総帥となったのは姫遥花であった。
彼女は柳の仇を討つと宣言し、諸葛正我を手配することに。
柳を育ての親と慕っていた冷血も仇を討つべく「神侯府」を離れ単独行動を取る。

一方、無情にも転機が訪れつつあった。
自身の親族を皆殺しにした仇12人の内の1人に遭遇したのだ。
復讐心に駆られた無情は、その場にいた諸葛正我の制止にも関わらず仇を惨殺してしまう。

さらに、諸葛正我に全ての事情を明かすよう詰め寄る無情。
だが、騒動を聞き駆け付けた姫遥花により諸葛正我と共に逮捕されてしまう。
こうして、諸葛正我と無情は脱出不可能と謳われた監獄に幽閉されることに。

これを助け出すべく残された「神候府」のメンバーが動き出した。
落ち着いたことで諸葛正我の犯行に疑問を抱いた冷血も「神候府」に戻って来た。
彼らは柳が諸葛正我を騙った何者かに殺害されたと考え、真相に辿り着いた。

諸葛正我とされる人物に呼び出され攻撃を受けた柳だが、すぐにそれが何者かの変身であると見抜いた。
そう、正我を騙ったのは如煙だったのだ。
如煙には変身能力と毒を自在に操る能力が備わっていたのだ。

正体を露にした如煙と交戦する柳。
流石は「捕神」の2つ名を持つ柳は終始戦いを優位に進めていた。

ところが、此処に安雲山が参戦するや状況は一変する。
柳の技のどれもをひらりひらりと躱す安雲山、遂には必殺の一撃もあっさりと吸収されてしまう。
こうして、一撃も決められぬうちに安雲山に嬲り殺しにされてしまったのだ。

諸葛正我たちが冤罪で囚われていると知った冷血たちは、これを救うべく監獄へ。
無事に「六扇門」の警戒網を抜け、助け出したかに思われたのだが……。

此処に無情を救うべく、もう1人の冷血が駆け付ける。
無情は仲間として戦っていた冷血こそが偽物だと気付いた。

そう、偽冷血は如煙の変身だったのだ。
此処に冷血と偽冷血が熾烈な戦いを繰り広げることとなった。

だが、いかに如煙といえども相手は「四大名捕」である。
しかも、必死に交戦するが変身能力は衆人環視の中では使えず、毒能力は無情に無効化される。
この状況下では打つ手がなく、多勢に無勢で捕まることに。
こうして、如煙こそ柳殺害の真犯人とされ諸葛正我と無情はお咎めなしとなった。

しかし、無情は未だ納得していなかった。
一家皆殺しの仇と諸葛正我との関係を彼に糺そうとするのだが……これに答えたのは鉄手であった。
実は鉄手も12人の仇の内の1人だったのだ。

すべてを語り出す諸葛正我。
過去、無情の父は清廉で知られる官僚であった。
無情の父は当時から悪政を行っていた蔡丞相の不正を突き止め、7人の仲間と共に告発を試みた。
ところが、その前日に何処からか情報が漏洩し、無情の父を除き7人が皆殺しとなってしまったのだ。

事の顛末を耳にした時の皇帝は無情の父が7人を裏切ったと判断した。
其処で逆上のあまり刺客集団を送り込み、誅殺を命じたのだ。
この刺客集団こそが鉄手たちであった。

しかし、いざ冷静になってみるとどうにも妙だ。
少なくとも裏切った証拠が無い。
慌てて諸葛正我に誅殺中止命令を出したのだが、時既に遅く無情を除き一家が皆殺しにされたのであった。

諸葛正我と鉄手はこの罪を悔い、孤児となった無情を支え続けたのである。

真相を知った無情は蔡丞相が誅殺されず、自身の父が誅殺されたことに衝撃を受ける。
どうしても、諸葛正我らを許せなかった無情は冷血にも別れを告げ1人で「神候府」を去ることとなった。

無情に去られた冷血は孤独となった。
すべては姫遥花の願い通りとなったのだ。
だが、姫遥花の顔に喜色は無い。
それが何故なのか自身でも困惑する姫遥花であった―――エンド。

<感想>

人気武侠小説の映画化で、原題は「四大名捕2 The Four2」。

そんな「ドラゴン・フォー 秘密の特殊捜査官/陰謀」は「ドラゴン・フォー」三部作の二作目。
シリーズには一作目「ドラゴン・フォー2 秘密の特殊捜査官/隠密」と三作目「ドラゴン・フォー3 秘密の特殊捜査官/最後の戦い」がある。

前作は「武侠モノ」と「Xメン」と「ファンタスティック・フォー」を足して3で割った感じの作品と評したが、今回はこのカラーが些か薄れる。
とはいえ「Xメン」的要素は未だ残っており、何と言っても如煙がミスティークっぽい。

ただ、今回はそれにも増していろいろとスゴイ。

例えば、無情が途中から車椅子ではなく歩くようになったり。
その無情の戦いぶりも前作に比べてアグレッシブ。
身体を独楽のようにくるくる回転させながら短剣を四方八方に投げつける、投げつける。

そして前作で活躍が余り無かった諸葛正我も大活躍。
実は強かったんだなぁ。

さらに、前作の無情パワードスーツ化も見所だったが、今回も如煙が変身した諸葛正我がロケットランチャーを連射する。

さらにさらに、蔡丞相が中川家・礼二さんにソックリ。
話し方も礼二さんがモノマネしたものに似てる。

ちなみに気になる第三作のあらすじは次の通り。

<あらすじ>

・「ドラゴン・フォー3 秘密の特殊捜査官/最後の戦い」
車椅子の超能力者無情(リウ・イーフェイ)、鍛冶屋の鉄手(コリン・チョウ)、脚力自慢の追命(ロナルド・チェン)、剣の使い手の冷血(ダン・チャオ)らは、皇帝直々の特務機関である神候府の秘密捜査官だった。彼らは四大名捕として活躍していたが、ある理由により無情が抜けてしまう。そんな折、皇帝(アレック・スー)はひそかに城下を訪れる。
(公式HPより)


いよいよ決戦です!!
果たして「神候府」はどうなるのか、そして無情は!?
もちろん、冷血、無情、姫遥花の三角関係も見所と言えるだろう。

興味を持たれた方は是非、本作にチャレンジされたし!!
ちなみにネタバレあらすじはまとめ易いように改変を加えているので、詳しくは本作をご覧頂きたい。

◆関連過去記事
「ドラゴン・フォー 秘密の特殊捜査官/隠密」(2012年、中国)ネタバレ批評(レビュー)

「ドラゴン・フォー3 秘密の特殊捜査官/最後の戦い」(2014年、中国)ネタバレ批評(レビュー)

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2015年05月02日

「風暴 ファイヤー・ストーム」(2013年、中国)

「風暴 ファイヤー・ストーム」(2013年、中国)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

ツァオ(フー・ジュン)が率いる武装強盗団の検挙に燃える、香港警察特捜班のロイ刑事(アンディ・ラウ)。すさまじい銃撃戦を経て彼らを追い詰めるものの、すんでのところで交通事故の影響により逃してしまう。事故を起こしたのは、ロイの古くからの友人で刑務所から出てきたばかりのトー(ラム・カートン)。ツァオの仲間だった彼だが、恋人ビン(ヤオ・チェン)の妊娠を知って更生を誓う。そして、自身の無罪放免を条件に強盗団内でツァオと並ぶ力を誇るパコ(レイ・ロイ)が企てている犯罪計画をロイに伝えるが……。
(公式HPより)


<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
ロイ刑事:香港警察特捜班の刑事。
トー:ロイの幼馴染、ツァオの部下。
ビン:トーの恋人。
ツァオ:凶悪強盗団のリーダー。
パコ:凶悪強盗団のナンバー2、ツァオの部下。
トン:ロイがツァオのもとに送り込んだスパイ。

ロイは香港警察特捜班の刑事。
彼の目下の任務はツァオ率いる凶悪強盗団の逮捕である。
だが、ツァオは巧妙で尻尾を掴ませない。

其処でロイが採った手段はツァオのもとにスパイを送り込むこと。
ロイは娘の為に更生したトンにこれを依頼する。

実はトンを逮捕したのはロイであった。
トンが罪を償う間、ロイは彼の娘の世話をしていたのである。
この恩に報いるべく、トンはツァオのもとへ。

その甲斐あって、ツァオの次の標的が判明。
先回りしたロイたちはツァオたちを逮捕しようとするが……ツァオたちは軍隊なみに武装していた。
思わぬ反撃に遭い、逆にロイたちが窮地に追いやられることに。

それでも数の力で押し切ることに成功するのだが、ロイの幼馴染・トーにより妨害され逃がしてしまう。
そう、トーもまたツァオの仲間だったのだ……。

情報が洩れていたことから裏切り者の存在を嗅ぎ付けたツァオはトンに気付いた。
結果、トンは娘と共に凄惨な拷問を受け殺害されてしまう。

これにロイは激怒。
周囲が止めるのも聞かずツァオ逮捕に乗り出す。
証拠が無いと主張するツァオだが、ロイは聞く耳を持たない。

執拗なロイの捜査に痺れを切らしたツァオは本性を露にしこれを殺害しようとするのだが失敗。
逆に重傷を負い入院することに。
その所持品から強盗団の証拠が出たことで、捜査は劇的に進むことになった。

しかし、これには裏があった。
用心深いツァオが証拠品を持ち歩く筈がない。
気絶したツァオの所持品にロイが証拠品を紛れ込ませたのだ。
ロイは強盗団を憎む余り、証拠品の捏造に手を出してしまったのである。

この事実にツァオの部下の1人が気付いた。
男はロイを脅迫するも、薬物依存の状態だった為に急死することに。
何とか難を逃れたロイは凶悪強盗団撲滅に執念を燃やす。

一方、トーは恋人・ビンから別れを切り出された。
彼が強盗団の一味であることを知られた為だ。
必死に考え直すよう訴えるトーに、ビンは「妊娠した」と告げるのであった。
此処にトーは「自分はロイに頼まれた潜入捜査官だった」と嘘を吐き彼女の気を惹くと同時に、強盗団を抜ける覚悟を決めた。

数日後、ロイのもとをトーが訪れた。
トーは強盗団を抜けたいので保護して欲しいとロイに訴えた。
また、ビンに「トーが潜入捜査官だった」と嘘を吐いて欲しいとも主張する。

代わりに強盗団についての情報を求めるロイ。
トーはロイが大きな勘違いをしていたことを明かす。

実はツァオは強盗団のリーダーから手を引いており、今はツァオの部下でナンバー2のパコがリーダーとなっているらしい。
先日の襲撃もトン殺害も、実質はパコの指示だったそうだ。
つまり、ツァオから強盗団の証拠が出て来る筈が無かったのだ。

それとなくロイの罪を知っていることを匂わせるトー。
ロイは彼から情報を引き出しつつ、口封じを決意する。

トーの情報により、次の強盗団の襲撃計画が判明した。
ロイはこれを上司に伝え、強盗団壊滅作戦に踏み切る。
その内容は投降しない限り、全員射殺との厳しいものであった。
もちろん、内通者であるトーの存在は明かしていない。
ロイはトーごと強盗団を抹殺するつもりなのだ。

それと知らないトーはパコの指示のもと、現金輸送車襲撃を実行に移していた。
ところが、踏み込むなり警察の猛反撃を受ける。

「罠だ!!」
死地に赴いたことに気付いたパコが叫ぶ。
同時に、彼の部下たちが一斉に反撃を開始。

警察と強盗団は互いに多数の死傷者を出す事態に。
だが、まだ終わりでは無い。
街に嵐が吹き荒れようとしていた。

同じ頃、ビンは婦人科でCTスキャンを受けていた。
「胎児に影響が出ますけど妊娠は?」
「いいえ」
主治医の問いにあっさりと返すビン。

トーはと言えばパコと共に必死に応戦していた。
かなりの痛手を与えているのだが、ロイたちは不退転の決意からか下がろうとしない。

トーは自分が助かるべくロイに必死に連絡を取るが、ロイは相手にしない。
此の状態では……焦ったトーは切り札を持ち出した。
実は、トーもロイの証拠品捏造現場の映像を所持していたのだ。
これで脅されたロイは「交差点の角を抜けた場所にハザードをかけた車があるからそれで逃げろ」と指示する。
もっとも、ロイはトーを本当に逃がす気はない。
トーが証拠品を所持している以上、何が何でも此処で口を封じる気だ。

この間、巻き込まれた市民たちの多くが凶弾に倒れていた。
これを見ていたパコが市民バスに目を付ける。
其処にはガラス越しにこちらを窺う乗客たちの姿が。

爆弾を投擲し周囲を牽制しながら市民バスへ移動したパコたち。
バスへ乗り込むと銃を突き付け人質を取ろうとする。

しかし、外の状況を見ていた乗客たちは混乱していた。
誰1人としてパコに従うことなく我先に逃げ出す。

其処にパコの銃が火を噴いた。
乱射された銃により乗客がバタバタと折り重なるように転がって行く。
こうして、パコたちは無人のバスに立て籠もることに。

遠巻きにこれを囲むロイたち。
パコの部下はトーも含め2人となっていた。
トーたちは投降しようとパコに訴える。
だが、パコは聞かない。

此処でロイがトーの携帯に電話を架ける。
トーの携帯が受信し音を立てた。

これを見ていたパコの顔色が変わった。
トーこそが裏切り者だと察したのだ。
パコはトーを殺そうと銃口を向ける。
そう、ロイはパコの手でトーを殺害させようと考えたのだ。

しかし、残ったもう1人の部下がパコを射殺。
その首を手土産に投降しようとバスを降りる。
一方、命拾いしたトーはビンのもとに戻るべく、投降せずにその場を逃げ出す。

ロイはトーを射殺しようと陰から発砲。
だが、先程の部下に弾が当たった。
この一発が引き金となり周囲から乱射を受けた男は射殺された。

肝心のトーは背中を見せて脱兎の如く交差点を抜けて行く。
ロイはその背中に向けて銃を構える。
後は引き金を引くだけだ。

此の時、パコが投擲した爆弾の影響でガス管が破裂した。
周囲から交差点に向け、一斉に劫火が押し寄せる。
同時に交差点地下が陥没して行く。

だが、トーはこれらを掻い潜って進む。
劫火はトーの背中を通り抜けて行く、陥没はトーの足を止めない。
むしろ、ロイの仲間たちが次々とこれに巻き込まれ悲鳴を上げている。

ロイ自身はこの光景に唖然としていた。
見渡せば仲間や守るべき市民の屍が積まれている。
一方でトーは迫り来る死の刃を次々と躱し続けて居るのだ。

やがて、ロイは銃口をトーの背中から下げた。
トーの姿は曲がり角を過ぎ、消えて行った。
その先にはロイが用意した車が確かに停まっている。

トーは死の口から逃れたと確信していた。
背後からは悲鳴と呻き声が絶え間なく上がり続けて居る。
だが、トーの目の前にはロイが約束していた車があった。
あと一息である。

同じ頃、ビンは婦人科の待合室に置かれたテレビでこの報道を目にしていた。
そして見知った顔を目にして驚いていた、トーだ。
トーは他の人々のように陥没した地面や火柱に巻き込まれることもなく、するすると走り抜けて行く。
これをカメラが追っていた。
誰もがトーに集中していた。
ただ1人を除いては。

そのただ1人がトーに気付いたときには遅かった。
目の前に飛び出して来たトーに運転手が気付いたときにはブレーキは間に合わなかった。
トーは交差点を抜けようと曲がり角を過ぎたところで、横合いから来た車に轢かれて飛んだ。
無防備に撥ねられたトーは空中を錐揉みしながら舞うと地面に叩きつけられた。
それきりピクリとも動かない、即死であった。

この結末を目にしたロイとビンは絶句していた。
互いに別の場所にありながら、放心状態である……。

こうして嵐は過ぎ去り、日常が戻って来た。

ある日、ビンのもとにロイから手紙が届いた。
其処には「トーが潜入捜査官であった」と記されていた。
手紙を目にしたビンは「そんなことって……」と泣いた。

一方、ロイは監察官から取調を受けていた。
彼は自身の罪を償おうとしていたのだ。
だが、ロイの顔は何処か晴れやかだ。
なにしろ、市民に仇為す強盗団は既に壊滅しているのだから―――エンド。

<感想>

さまざまな人間模様を描いた作品です。
作中ではロイの「正義の在り方」、トーの「ビンへの愛」、ビンの「トーへの愛」などが描かれました。

ロイは正義を追及する為に証拠品捏造の罪を犯してしまいます。
当初はこの罪から逃れようと暗躍しますが、トーの「因果応報」的な結末に罪を償うことを決意し実行することに。

トーはと言えばそれまで顧みなかったビンとの関係を「彼女を失うかも」と思った途端に改めようと決意。
それまでの仲間を裏切ろうとしますが「天網恢恢疎にして漏らさず」であのような結末に。
良く考えれば、このトーは最初はビンを裏切り、次いでロイ、そしてパコと悉く裏切り続けたことになります。

そして、そんなトーの恋人であるビン。
胎児に影響が出るCTを特に戸惑うことも無く受診したところを見ると、妊娠は嘘だったのでしょう。
それはトーを更生させる為の嘘だったか。
だが、これがあの結末に。

とはいえ、本作ではこの3人よりも周囲の人間の方が物凄く被害に遭っているんだよなぁ。
なにしろ、3人は能動的に関わっているけど、他の人々は受動的に巻き込まれて行ってるから。
特に、ラストでトーを轢いてしまった車の運転手はかなり切ない羽目に。
因果応報的な結末でさえ他者を巻き込むとは……トーは業が深い。

そんな本作、途中途中に挿入された都市部を襲う嵐は「風雲急を告げていること」を示しています。
そして、ラストで物語が終焉を迎えると共に「台風一過」の光景が描写されます。
それはロイ、トー、ビンにとって運命の一日でさえも日常に繋がる一日にしか過ぎないことを指す。
あの大事件も大騒動も日常に埋もれて行くのでしょう。
それこそが世界なのです。

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2015年04月18日

「ドラゴン・フォー 秘密の特殊捜査官/隠密」(2012年、中国)

「ドラゴン・フォー 秘密の特殊捜査官/隠密」(2012年、中国)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

宋代末期の中国。偽金事件を捜査する首都警察に、皇帝直属の特務機関“神侯府”が協力することに。オオカミの血を引く剣の扱いにたける冷血(ドン・チャオ)、超能力が使える車いすの美女・無情(リウ・イーフェイ)ら神侯府の4人の秘密捜査官は、神侯府を率いる諸葛正我(アンソニー・ウォン)と共に捜査を開始。そして、事件の首謀者が豪商だと確信するが……。
(公式HPより)


<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:

【神候府(皇帝直属の特務機関)】
諸葛正我:神候府の頭目、メンバーを集めた。
冷血:後に神候府が誇る「四大名捕」の1人。この時点では六扇門の幹部でもあった。
無情:後に神候府が誇る「四大名捕」の1人。車椅子の女性。
鉄手:後に神候府が誇る「四大名捕」の1人。筋肉隆々の大男。
追命:後に神候府が誇る「四大名捕」の1人。賞金稼ぎ。

【六扇門(首都警察)】
柳:六扇門の総帥「捕神」と呼ばれる。諸葛正我を敵視する。
姫遥花:六扇門の新参幹部、実は安世耿の情婦にして部下。

【その他】
安世耿:豪商にして事件の黒幕、魔術を使う。


時は宋王朝末期。
人々が平和に暮らす中で、ある大きな事件が発生していた。
都に贋金が横行していたのだ。

首都警察である「六扇門」では、総帥にして「捕神」と称された柳の指揮のもと必死の捜査が行われていた。
そんなある夜、酒場で贋金の鋳型の取引が行われるとの情報を掴んだ柳は自身が育て腹心と頼む幹部・冷血と連れ、多くの部下を連れ酒場へ向かう。

一方、酒場には怪しげな3人組の姿があった。
1人は好々爺然とした男、1人は車椅子に座り何やら探っている女性、残る1人は筋肉隆々な力自慢の男である。
彼らの視線の先には鋳型とそれを所持する官吏の姿があった。
どうやら、官吏は鋳型を何者かに売るつもりのようだ。
これこそ「六扇門」が掴んだ情報だったのである。
果たして、「六扇門」に先んじてこの場を見張る彼らは何者なのか!?

そんな中、官吏に颯爽と近付く男が1人。
男の名は追命、名うての賞金稼ぎである。
彼の足は「神足」と呼ばれ、一蹴りで800メートルを移動する。
また、これを人に向ければその破壊力たるや絶大だ。
追命は官吏の借金を取り立てにやって来たのであった。

と、其処に冷血が遅れてやって来た。
実は冷血は狼の血を引き、鼻が利く。
また、そのスピードと破壊力も大したものであった。
追命と官吏の姿を見咎めるや、冷血は2人を逮捕しようと挑みかかる。

これに驚いたのは追命だ。
彼は自身が逮捕されるいわれがないと主張するが、冷血は聞く耳を持たない。
2人の達人同士の対決はその場を混乱の極みに陥れた。

この隙に逃げ出す官吏。
だが、その前に先程の3人組が立ちはだかる。
官吏は車椅子の女性に飛び掛かって行くのだが……空中で身体が静止し身動きとれず捕まることに。

その間にも、追命と冷血の戦いは激しくなる一方である。
やがて、酒場を飛び出した2人は路上に移動し、なおも戦いを続ける。

この戦いを止めたのは柳であった。
柳の命で大勢の兵士により拘束されることとなった追命。

ところが、此処に先の好々爺が割って入る。
官吏と引き換えに追命を引き渡せと言うのだ。

反発する柳であったが、突如やって来た皇太子から事情を説明され譲歩することに。

好々爺の正体は「諸葛正我」、皇帝直属の特務機関である「神候府」の頭目だったのだ。
先の車椅子の女性は「無情」、サイコメトリーやテレキネシスを得意とする超能力者。
さらに、筋肉隆々の大男は「鉄手」、圧倒的な腕力の持ち主である。

こうして、追命は神候府に引き取られた。
追命は諸葛正我からのスカウトを受け、名酒と引き換えにその傘下に加わることに。

だが、これで済まないのは柳である。
柳は神候府を危険視し「苦肉の策」により冷血を六扇門から追い出したと偽装し、スパイとして神候府に送り込む。

同じ頃、六扇門に新たな幹部が参加することに。
その名は姫遥花、彼女は忍びの技を得意としており部下の女性たちも特異な技を誇る。
柳は姫を加えたことで、六扇門の勢力が増強されたと喜ぶが……。

実は姫遥花は豪商で知られる安世耿から送り込まれたスパイであった。
姫は安世耿の情人だったのだ。
さらに、安世耿は姫に柳暗殺を命じていた。
そう、贋金事件の黒幕は安世耿だったのだ。

ところが、安世耿も想定していない事態があった。
姫は安世耿との関係に飽いていたのだ。
其処で安世耿に味方すると見せつつも、彼のもとから独立し六扇門を牛耳ろうと目論んでいたのである。

しかし、そんな姫にも想定外の事態が。
なんと、噂に聞いた冷血に一目惚れしてしまったのだ。
ところが、当の冷血は神候府に潜入捜査の真っ最中。
姫はなんとかアプローチを図ろうとあの手この手で奮闘することに。

一方、潜入捜査中の冷血にも想定外の事態が起こっていた。
儚げな影を持つ無情に心を奪われてしまったのだ。
しかも、当の無情もまた冷血に好意を抱いていた。
いつしか、2人は惹かれ合う。
冷血は神候府に居心地の良さを覚えるように。

だが、柳はそんな冷血を許さなかった。
六扇門の総力を挙げて、神候府の排除に乗り出したのだ。
血が流れることを怖れた諸葛正我は敢えて神候府を閉鎖する。

行き場を失くしたかに思われた冷血、無情、追命、鉄手らメンバー。
だが、彼らはこの数日の間に仲間の絆を育んでいた。
組織としての後ろ盾は無いが、独自捜査を開始し安世耿が黒幕であることを突き止めた。
どうやら、安世耿は贋金だけではなくもっと大掛かりな何かを計画しているようだが……。

そんな間にも、姫は冷血に接近し彼を自身の物にしようとアプローチ。
これを敵視した無情はサイコメトリーにより彼女が安世耿の手の者だと知ることに。
だが、誰も無情の言葉を信じようとしない。
それは冷血さえも同じであった。

その頃、皇太子と柳が夜分に密会することに。
これを安世耿が狙っていることが分かる。

冷血たちからこの情報を聞いた諸葛正我は彼らを連れて皇太子のもとへ。
すると、大量のゾンビの群れを率いた安世耿が襲撃を仕掛けて来た。
安世耿は魔術師であり、皇太子と柳の暗殺を計画していたのだ。

冷血たちは安世耿と対決することに。
これに姫遥花も力を貸す。

ゾンビたちは次々と討たれ数を減らして行く。
一方、姫はどさくさ紛れに無情暗殺を謀るのだが……車椅子をパワードスーツ化した無情には通じず一蹴される。

姫の裏切りを知った安世耿は激怒し、その命を奪おうとする。
しかし、姫の本性を知らない冷血、鉄手、追命はこれを阻もうと安世耿に挑む。

だが、安世耿は強かった。
炎を氷を自在に用い、3人がかりでも全く寄せ付けない。

これを見かねた無情と姫が加わり5対1の戦いに。
それでも好勝負を見せる安世耿。

だが、冷血たちが死ぬ気で挑み始めると形勢が逆転し始めた。
やがて、一撃を喰らい吹き飛ぶ安世耿。

とはいえ、安世耿は息絶えていなかった。
隙を突き、姫を連れ無理心中を図るのだが……姫に懐剣で止めを刺されてしまう。

安世耿は空中で爆発し、事件は終わりを告げた。

冷血へ六扇門に戻るよう誘う姫。
だが、冷血は無情の居る神候府を選ぶ―――エンド。

<感想>

人気武侠小説の映画化で、原題は「四大名捕 The Four」。

そんな「ドラゴン・フォー 秘密の特殊捜査官/隠密」は「ドラゴン・フォー」三部作の一作目。
シリーズには二作目「ドラゴン・フォー2 秘密の特殊捜査官/陰謀」と三作目「ドラゴン・フォー3 秘密の特殊捜査官/最後の戦い」がある。

本作を簡潔にまとめると「武侠モノ」と「Xメン」と「ファンタスティック・フォー」を足して3で割った感じの作品。

「Xメン」的要素は次の通り。
狼の血を引く「冷血」が「ウルヴァリン」のポジション。
サイコメトラーでテレキネシス能力もある「無情」が「プロフェッサーX」であり「ジーン・グレイ」のポジション。
そして「安世耿」が「マグニートー」的なポジションかな。
同時に多対一的な対決シーンなどは「ファンタスティック・フォー」のソレだと思う。

なので、両作のファンは楽しめる筈。
とはいえ、それだけでなく「武侠モノ」がこれに加わっているのが面白い。
この三者を兼ねたあの独特なテイストは本作それ自体を目にしないと伝わらないと思う。
ある種、癖になりそうなほど。

そう言えば、終盤で無情の車椅子が変形しパワードスーツ化するのも見所だろう。
あれは予想だにしなかった。

さらに、主人公たちよりも敵役の安世耿の方が魅力的なのが印象的。
ラストの空中に浮かんで花火になるのもスゴイし。
それだけに、安世耿が今回だけで終わりは勿体ないと思ったら第二作目で復活していました。

ちなみに第二作、第三作のあらすじは次の通り。

<あらすじ>

・「ドラゴン・フォー2 秘密の特殊捜査官/陰謀」
皇帝直属の特務機関“神侯府”の秘密捜査官、“四大名捕”の冷血(ドン・チャオ)らは偽金事件を解決。しかし、事件の黒幕・安世耿(ウー・ショウポー)の父親である安雲山(ユー・チェンフイ)の絶大な超能力により、安世耿は樹木と同化し復活していた。さらに安雲山は、神侯府を率いる諸葛正我(アンソニー・ウォン)に変身し、首都警察“六扇門”の隊長・柳(チェン・タイシェン)を亡き者にし……。

・「ドラゴン・フォー3 秘密の特殊捜査官/最後の戦い」
車椅子の超能力者無情(リウ・イーフェイ)、鍛冶屋の鉄手(コリン・チョウ)、脚力自慢の追命(ロナルド・チェン)、剣の使い手の冷血(ダン・チャオ)らは、皇帝直々の特務機関である神候府の秘密捜査官だった。彼らは四大名捕として活躍していたが、ある理由により無情が抜けてしまう。そんな折、皇帝(アレック・スー)はひそかに城下を訪れる。
(公式HPより)


このあらすじを見ると分かるのですが、どうやら第2作目の時点で柳が殺害されている様子。
一方、あらすじにこそ登場しませんが姫遥花は三部作最後まで登場する模様。
冷血、無情、姫遥花の三角関係も見所と言えるだろう。

興味を持たれた方は是非、本作にチャレンジされたし!!
ちなみにネタバレあらすじはまとめ易いように改変を加えているので、詳しくは本作をご覧頂きたい。

◆関連過去記事
「ドラゴン・フォー2 秘密の特殊捜査官/陰謀」(2013年、中国)ネタバレ批評(レビュー)

「ドラゴン・フォー3 秘密の特殊捜査官/最後の戦い」(2014年、中国)ネタバレ批評(レビュー)

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posted by 俺 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画批評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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