2016年05月28日

『スーサイド・パラベラム』第9話(道満晴明作、講談社刊『メフィスト 2016vol1』連載)ネタバレ批評(レビュー)

『スーサイド・パラベラム』第9話(道満晴明作、講談社刊『メフィスト 2016vol1』連載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<ネタバレあらすじ>

・前回はこちら。
『スーサイド・パラベラム』第8話(道満晴明作、講談社刊『メフィスト 2015vol3』連載)ネタバレ批評(レビュー)

複数のチハヤ、オカマ、メイドたち。
彼ら事件関係者を集めた2周目チハヤは「殺人鬼」殺害犯を告発する。
チハヤによれば「殺人鬼」は「殺人鬼」により殺害されたのだそうだ。
そもそも「殺人鬼」は個人ではなくグループだったのだ。
チハヤが「殺人鬼」と名指ししたのは……。

なんと、2週目チハヤを除く残るチハヤたち全員であった。

2周目チハヤ以外の面々は身体の一部に不可思議な切断面を抱えていた。
例えばネクタイが途中で切断されている。
例えば髪が不用意に切断されている。
それこそ、彼女たちが「殺人鬼」である証拠らしい。

また、事件が起こったにも関わらず階層移動に必要なメリックを放置していたこと。
だからこそ、メリックは輪になって踊っていたワケだが本来ならば不自然であった。
殺人鬼以外のチハヤにとってメリックはオウカを追う為の重要な仲間だ。
事件が起こればすぐにでも安否確認を行っていた筈である。
ところが、誰もそうしようとはしなかった。
何故なら、彼女たちが「殺人鬼」本人だったからである。

では、どうして「殺人鬼」が仲間である「殺人鬼」を殺害したのか?
それは「殺人鬼」であることに疲れてしまったからなのだそうだ。

当初、オウカを巡る追いかけっこはオウカが圧倒的に優位であった。
だが、何度となくチハヤが内包され続けたことで数を増やしたチハヤ優位に傾きつつあった。
その内に、一部のチハヤの中に不安が生じ始めた。

もしも、オウカを捕まえられたとしてこの世界はどうなるのだろうか?
また、この世界から脱出したとして増え続けたチハヤはどうなるのか?
そもそも、オウカはどうなるのか?

結果、一部のチハヤたちは現状維持を目指すこととなった。
その為には増えるチハヤを止めなければならない。
結果、チハヤがチハヤを狩る構図が生まれてしまったのである。
だが、この構図は彼女たちに大きな苦痛を強いることとなった。

全てを打ち明けたチハヤたち。
ニッコリ微笑むと2周目チハヤに「殺人鬼」の後継者となるよう言い残し、自害して果てるのであった。
呆然とする2周目チハヤの手には託された「猫柳」が握られていた……。

それから数日後、別の階層では花魁姿のオウカを捕らえるチハヤの姿があった。
しかし、横合いから現れた別のチハヤにより殺害されてしまう。
もちろん、乱入したチハヤこそが後継者となった2周目チハヤである。

2周目チハヤに介錯を訴えるオウカ。
苦悩するチハヤに対し、オウカは「時間が無い」と繰り返す。

空に浮かぶ球形のソレが迫りつつあるからである。
ソレとはすなわち「パラベラム」の弾丸のことだ。
ソレが到達した時、オウカは本当の死を迎え世界は崩壊することになる。
ソレから逃げる時間を稼ぐ為にはオウカの死によるリセットが必要なのだそうだ。

だが、チハヤは気付いていた。
目の前のオウカがオウカではないことに。
チハヤは真実のオウカを探し出すべく、偽のオウカに止めを刺すのであった。

2周目チハヤが移動した先はTV局。
其処にはアイドルとなったチハヤの姿が―――第10話へと続く。

<感想>

『メフィスト』の新連載第9回。

「殺人鬼」殺害犯もまた「殺人鬼」であった。
この意外な結末に加え、「2周目チハヤ以外のチハヤ全員が犯人」とアガサ・クリスティーの某作品を思い起こさせる内容でしたね。

さらに、予想通り「魔銃パラベラム」によるタイムリミットの存在も示唆されています。

そして「オウカがオウカではない」との新事実も発覚。
以前の推測では「枯葉」こそが「オウカ」ではないかと考えていました。
だからこそ、チハヤもアイドル階層にやって来たのか?
いや、むしろ「木を隠すには森の中」だけに、もしかして「オウカは増え続けたチハヤに化けている」可能性もありそうか。

謎が謎を呼ぶ展開です、次回も見逃すなかれ!!

では、此処からは8話までのまとめ。

状況を簡単にまとめるとこんな感じかな。
まず、オウカが死ねないことを知りつつパラベラムを用いて自殺未遂、昏睡状態に。
これを救うべくチハヤがオウカの深層心理世界に飛び込む。
その目の前で深層心理世界のオウカが自殺。
これにより、チハヤがオウカに内包される。
内包された状態のチハヤが深層心理世界のオウカを救うべくさらにダイブ。
これを繰り返すことで、マトリョーシカ状態のオウカとその中で複数のチハヤが存在しているものか。
どうやら、オウカの身体の中が既にパラレルワールドとなっているようだ。

そして、オウカ自身の自殺未遂も何らかの目的があってのことか。
考え得るのは幾重にも続く運命の螺旋にチハヤを取り込むことかなぁ。
それにより、永遠にチハヤと共に居ることが可能になるとか。

そんな中、迫り来る弾丸の描写が。
どうやら、タイムリミットを示唆するもののよう。

ちなみに「スーサイド」が「自殺」や「破滅」を意味する英語、「パラベラム」が「戦いに備える」とのラテン語だそう。
本作タイトルを仮に和訳すれば「破滅(自殺)への戦いに備える」と言った意味合いか。
あるいは意訳すれば「(次なる)戦いに備えた破滅(自殺)」とも解釈出来そう。

そして4話に登場した「サムサラ・エクスプレス」。
「サムサラ」は「輪廻転生」を表す言葉。
つまり「サムサラ・エクスプレス」は「輪廻転生列車」。
だからこそ環状線になっており、今生の終着駅は次の人生の始発駅となるのだろう。
オウカが4話で語った夢のうち、列車旅は4話、アイドルは3話、ギャングのボスは1話で達成済み。
オウカはその度に、次のステージへと移動して行く。
これをチハヤが追い続ける。
この流れも「輪廻転生」と言えそうだ。

これらからは「輪廻転生」と同じく「終末へ向けてのリセット(またはその繰り返し)」と言った意味が引き出せる。
全体的に抒情的な世界で繰り広げられるチハヤとオウカの追いかけっこ。
次なる舞台は何処になるのか?

ちなみに、次回から『メフィスト』が完全電子書籍化されるとのこと。
こちらも注目です!!

『ジャーロ』(光文社刊)に続き『メフィスト』(講談社刊)も完全デジタル化とのこと!!

◆関連過去記事
『スーサイド・パラベラム』第1話(道満晴明作、講談社刊『メフィスト』連載)ネタバレ批評(レビュー)

『スーサイド・パラベラム』第2話(道満晴明作、講談社刊『メフィスト』連載)ネタバレ批評(レビュー)

『スーサイド・パラベラム』第3話(道満晴明作、講談社刊『メフィスト』連載)ネタバレ批評(レビュー)

『スーサイド・パラベラム』第4話(道満晴明作、講談社刊『メフィスト』連載)ネタバレ批評(レビュー)

『スーサイド・パラベラム』第5話(道満晴明作、講談社刊『メフィスト』連載)ネタバレ批評(レビュー)

『スーサイド・パラベラム』第6話(道満晴明作、講談社刊『メフィスト 2015vol1』連載)ネタバレ批評(レビュー)

『スーサイド・パラベラム』第7話(道満晴明作、講談社刊『メフィスト 2015vol2』連載)ネタバレ批評(レビュー)

『スーサイド・パラベラム』第8話(道満晴明作、講談社刊『メフィスト 2015vol3』連載)ネタバレ批評(レビュー)

第9話が掲載された「メフィスト 2016 VOL.1 (講談社ノベルス)」です!!
メフィスト 2016 VOL.1 (講談社ノベルス)



キンドル版「メフィスト 2016 VOL.1」です!!
メフィスト 2016 VOL.1



第8話が掲載された「メフィスト 2015 VOL.3 (講談社ノベルス)」です!!
メフィスト 2015 VOL.3 (講談社ノベルス)



キンドル版「メフィスト 2015 VOL.3」です!!
メフィスト 2015 VOL.3



第7話が掲載された「メフィスト 2015 VOL.2 (講談社ノベルス)」です!!
メフィスト 2015 VOL.2 (講談社ノベルス)



キンドル版「メフィスト 2015 VOL.2」です!!
メフィスト 2015 VOL.2



第6話が掲載された「メフィスト 2015 VOL.1 (講談社ノベルス)」です!!
メフィスト 2015 VOL.1 (講談社ノベルス)



キンドル版「メフィスト 2015 VOL.1」です!!
メフィスト 2015 VOL.1



第5話が掲載された「メフィスト 2014 VOL.2 (講談社ノベルス)」です!!
メフィスト 2014 VOL.2 (講談社ノベルス)



第4話が掲載された「メフィスト 2014 VOL.1」です!!
メフィスト 2014 VOL.1



第3話が掲載された「メフィスト 2013 VOL.3 (講談社ノベルス)」です!!
メフィスト 2013 VOL.3 (講談社ノベルス)



第2話が掲載された「メフィスト 2013 VOL.2 (講談社ノベルス)」です!!
メフィスト 2013 VOL.2 (講談社ノベルス)



第1話が掲載された「メフィスト 2013 VOL.1 (講談社ノベルス)」です!!
メフィスト 2013 VOL.1 (講談社ノベルス)



「ヴォイニッチホテル 1 (ヤングチャンピオン烈コミックス)」です!!
ヴォイニッチホテル 1 (ヤングチャンピオン烈コミックス)



「ヴォイニッチホテル 2 (ヤングチャンピオン烈コミックス)」です!!
ヴォイニッチホテル 2 (ヤングチャンピオン烈コミックス)

posted by 俺 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画批評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月27日

「実は私は」第1話から第160話まで(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)まとめ

「実は私は」第1話から第160話まで(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)まとめです。

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:
黒峰朝陽:主人公、通称「アナザル」。
白神葉子:朝陽の意中の人物。ある秘密が……。
紫々戸獅狼:葉子の幼馴染。彼もまたある秘密を……。
紫々戸獅穂:葉子の幼馴染。彼女もまたある秘密を……。

藍澤渚:クラス委員長。彼女にも秘密が……。
藍澤涼:渚の兄、意外な形で登場することに……。
紅本茜:紅本の親族らしい。彼女にも秘密が……。
紅本明里:教師。彼女にも秘密が……。
黄龍院凛:33話より登場した謎の少女。彼女にも秘密が!?
黄龍丸:凛が駆るドラゴン。52話にて意外な正体が明らかに。

朱美みかん:朝陽の幼馴染。新聞部所属。通称「外道クイーン(オレンジ)」。
岡田:朝陽の友人の1人。通称・岡。眼鏡が特徴。割と友人想いの様子。146話にてフルネームが「岡田奏」と判明。
嶋田:朝陽の友人の1人。通称・嶋。軽い。124話にてフルネームが「嶋田結太」と判明。
桜田:朝陽の友人の1人。通称・サクラ。渋い。
フクちゃん:「福の神見習い」を名乗る眼鏡。
フクの介:フクちゃんの先輩。やはり眼鏡。
フク太郎:フクちゃんとフクの介の先輩。やはり眼鏡。
フク蔵:フクちゃんとフクの介とフク太郎の先輩。やはり眼鏡。
手崎:文字通り茜の手先な料理教室のシェフ。

朝陽の父:朝陽の家族。22話に初登場。
朝陽の母:朝陽の家族。22話に初登場。
黒峰鳴:朝陽の妹。22話、28話、48話に登場。48話にて名前と顔が判明。92話で高校に進学。
白神源二郎:吸血鬼。額に十字傷を抱く巨人。39話にて名前が判明。
白神桐子:葉子の母で人間。和服の美女。38話にて名前が判明。
銀華恋:茜に続く第2のツノツキ……の筈だったが。58話から登場。

緑苑坂弓:朝陽たちの副担任、実は源二郎。92話から登場。
桃地結香:忍者少女、92話(実際は105話)から登場。ある秘密が……。
黄龍院閃:鳴、結香のクラスメートの男子。瓶底眼鏡に腰の日本刀がトレードマーク。132話で苗字が判明。
水奈川咲:結香、閃、鳴のクラスメート。109話から登場。ある秘密が……。
箱入り娘:114話終盤に登場した謎の人物!?
白雪:茜の前任の諸晴高校校長、153話に名前が登場。

稲葉:葉子のクラスメイト。
松本:葉子のクラスメイト。
佐々木:葉子のクラスメイト。彼氏と別れたばかり。

<あらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜

「アナザル」こと「絶対に秘密を守れない男」黒峰朝陽は憧れのヒロイン・白神葉子の秘密を知ってしまった。
その秘密とは「白神葉子がハーフの吸血鬼である」こと。
朝陽は葉子の為に、この秘密を守らねばならない―――。
取り巻く人々を相手に、朝陽は秘密を守り抜くことが出来るのか?

矢先、実は宇宙人であった委員長・渚、狼男で肉食系女子な獅穂、悪魔っ娘の茜、未来人の凛、幼馴染のみかん、天使の華恋も加わって……。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

◆関連過去記事
「実は私は」第1話から第150話まで(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)まとめ

「実は私は」第151話「焼き芋を作ろう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第152話「血を吸おう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第153話「紅本茜」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第154話「勘違いしよう!!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第155話「藍澤渚と藍澤渚@」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第156話「藍澤渚と藍澤渚A」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第157話「藍澤渚と藍澤渚B」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第158話「藍澤渚と藍澤渚C」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第159話「藍澤渚と藍澤渚D」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第160話「藍澤渚と藍澤渚E」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

<感想>

「週刊少年チャンピオン」にて「さくらDISCORD」を連載されていた増田英二先生の新作。
「さくらDISCORD」は未読の管理人ですが、1話を読んで注目している作品です。
コミックス1巻に続き2巻、3巻、4巻、5巻、6巻、7巻、8巻、9巻、10巻、11巻、12巻、13巻、14巻、15巻、16巻も重版出来とのことで目出度い。さらに17巻も発売。
そして、本作かなり面白い!!

2015年7月にはアニメ化も果たしており、シーズン2製作の報が待たれます。

【第EXTRA話】アニメ版「実は私は」スタッフさんとキャストさんの一部を明らかにされよう!

また、本作が遂に舞台化とのこと。
こちらも注目です!!

増田英二先生「実は私は」が舞台化とのこと!!

さて、151話から160話までの注目ポイントは2つ。

1.茜と白雪の因縁。
2.渚VS未来渚!!

みかんや獅穂たちの去就が描かれる中で、遂に訪れた渚編。
本編では未来渚との対決中ですがどうなる!?

また、おそらく最後に控えるであろう葉子との未来に関わる茜、そして白雪。
こちらも重要なポイントと言えそうです。

そう言えば、上でもお伝えした通りコミックス17巻も発売。
表紙は1巻の葉子、2巻の渚、3巻の獅穂、4巻の茜、5巻のフクちゃんとみかん、6巻の凛、7巻の明里さんに続き、8巻が銀華恋、9巻が渚とみかんのコンビ、10巻が1周回って葉子、11巻は獅穂と凛コンビ、12巻は緑苑坂弓と桐子の夫婦コンビ、13巻は桃地結香、14巻は水奈川咲と葉子のコンビ、15巻は獅穂たち三人娘、16巻はウェディングドレス姿の明里となっていましたが、17巻は「みかんと鳴」のコンビに。
どうやら、岡を巡る女性陣2人の表紙となったようです。
やはり男性陣は表紙にならない法則は健在だったか。

ちなみに、上記のあらすじは本作の魅力を伝えられるよう改変を加えてまとめていますが、その面白さを伝えきれていません。
やっぱり、あの絵とコマ割りなどのテンポあっての本作。
是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を読んで欲しい。

もう1度繰り返しましょう。
本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は本作など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。

「実は私は(17): 少年チャンピオン・コミックス」です!!
実は私は(17): 少年チャンピオン・コミックス



キンドル版「[まとめ買い] 実は私は(少年チャンピオン・コミックス)」です!!
[まとめ買い] 実は私は(少年チャンピオン・コミックス)



「実は私は A 白神葉子 TINYアクリルキーホルダー」です!!
実は私は A 白神葉子 TINYアクリルキーホルダー



「実は私は B 藍澤渚 TINYアクリルキーホルダー」です!!
実は私は B 藍澤渚 TINYアクリルキーホルダー



「実は私は C 紅本茜 TINYアクリルキーホルダー」です!!
実は私は C 紅本茜 TINYアクリルキーホルダー



キンドル版「透明人間の作り方 (少年チャンピオン・コミックス)」です!!
透明人間の作り方 (少年チャンピオン・コミックス)



キンドル版「[まとめ買い] さくらDISCORD(少年チャンピオン・コミックス)」です!!
[まとめ買い] さくらDISCORD(少年チャンピオン・コミックス)

posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画批評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月26日

「ダジャレ禁止令」(志水アキ画、講談社刊「週刊少年マガジン」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「ダジャレ禁止令」(志水アキ画、講談社刊「週刊少年マガジン」掲載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

【登場人物一覧】
主人公:企業に勤めるダジャレ好きの男性
友人:主人公の同僚男性

<あらすじ>

主人公は企業に勤める家族持ちの中年男性。
釣りもゴルフにも興味を持たない彼だが1つだけ決して譲れない趣味があった―――ダジャレである。
彼にとってダジャレは空気と同じ、自然に口を吐いて出るものであった。
そんな彼を部下たちは冷ややかに眺めていたが、同好の士であり友人である同僚だけは深い理解を示していた。

ある日、何がどうしたものか「ダジャレ禁止令」が法で定められてしまった。
ダジャレを口にした者はその内容に関わらず逮捕、厳罰を処されるとのものだ。
世間はこれを歓迎し、当初は主人公も「生きづらくなったなぁ……」と悲嘆に暮れる程度だったのだが。

次第に主人公の中に鬱憤が溜まって来る。
いつもなら、こんなときは気軽に口に出来ていたあんなダジャレやこんなダジャレ。
ところが、それを口にすれば彼は罪人になってしまうのだ。

それから幾らかが経った。
主人公は同好の士であった同僚が会社を追われたことを知った。
ふとした拍子にダジャレを口にしてしまったのだ。
彼は仲間を失ってしまった。

さらに数日が経ったある日、主人公は秘密クラブに誘われる。
其処はダジャレ好きの者たちが集まって作り上げたシャングリラであった。
主人公は其処であの同僚と再会を果たす。

此処でなら心行くまでダジャレを口に出来る。
早速、口を開こうとした主人公。

ところが、何やら騒がしい。
気付けば、入り口からは警官が押し寄せていた。
抜き打ちでダジャレの摘発が行われたのだ。

我先に逃げ出そうとするダジャレ愛好家たちだが次々と検挙されて行く。
その様子に、元同僚は主人公を庇い裏口から逃がす。

何とか表通りに逃げ出した主人公、その目の前を逮捕された元同僚が連行される。
耐え切れず駆け寄ろうとする主人公だが、それに気付いた元同僚が彼を庇おうとダジャレを連発して注意を惹こうとする。

それは罪を重ねることに他ならない。
逆上した捜査官が銃を抜き、元同僚へ向ける。

歯を食いしばる元同僚を目にした主人公は彼らの前に飛び出すや、これまでの鬱憤を晴らすかのようにダジャレを連呼する。
この行動に捜査官の怒りの矛先が主人公へと向き直り、次いで発砲音が響く。

(誰がこんな世の中にしちまったんだ……)

静かに倒れ込む主人公―――エンド。

<感想>

志水アキ先生によるフジテレビ系「世にも奇妙な物語」のコミカライズ第4弾。
これまでに「美女缶」、「張り込み先」、「私は、女優」がコミカライズされています。
「美女缶」と「張り込み先」については過去に批評(レビュー)してますね。

「美女缶」(志水アキ画、講談社刊「週刊少年マガジン」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「張り込み先」(春名功武原作、志水アキ画、講談社刊「週刊少年マガジン」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

そんな本作「ダジャレ禁止令」は「ダジャレが犯罪となった並行世界の日本」を描いた物語。
いわば「行き過ぎた規制の結末」がテーマであり「権力の恐ろしさ」や「言論統制の恐ろしさ」を描いています。

日常に少しずつ忍び寄る制限により追い込まれて行く主人公。
それは規制を超えて迫害の域にすら達している。
だが、その恐怖に怯えるのは一部の者たちでしかない。
もしかすると、その恐怖は形を変えてダジャレ以外のものにも適用されるかもしれないのに……。
ある種、主人公の最後の声は全ての迫害された者たちの声と言えるでしょう。

この「何かが禁止された並行世界」設定はSF的な作品では割とポピュラーなもの。禁止される内容が「夜間外出」だったり「漫画」だったりと「制限の対象が一般的かつ自由な行動であればあるほど制限された時の違和感が大きくなる」のですが、本作では「ダジャレ」であったことが新しかったように思います。

◆「世にも奇妙な物語」関連過去記事
「美女缶」ネタバレ批評(レビュー)

「美女缶」(志水アキ画、講談社刊「週刊少年マガジン」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「張り込み先」(春名功武原作、志水アキ画、講談社刊「週刊少年マガジン」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

【ドラマ化原作】
『殺し屋ですのよ』(星新一著、新潮社刊『ボッコちゃん』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『来世不動産』(升野英知(バカリズム)著、小学館刊『東と西 2』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『殺意取扱説明書』(東野圭吾著、集英社刊『毒笑小説』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『燔祭(鳩笛草 燔祭/朽ちてゆくまでより)』&『クロスファイア(上・下巻)』(宮部みゆき著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『憑かれる(「崩れる 結婚にまつわる八つの風景」収録)』(貫井徳郎著、角川書店刊)ネタバレ書評(レビュー)

『時計じかけの天使(「原色の想像力 創元SF短編賞アンソロジー」収録)』(永山驢馬著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『ドッキリチューブ』(小林泰三著、東京創元社刊『完全・犯罪』収録)ネタバレ書評(レビュー)

「人間電子レンジ」(竹本友二作、小学館刊「8 はち 1巻」収録)ネタバレ批評(レビュー)

『ニートな彼とキュートな彼女(「原色の想像力〈2〉 創元SF短編賞アンソロジー」収録)』(わかつきひかる著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『通いの軍隊』(筒井康隆著、新潮社刊『おれに関する噂』収録)ネタバレ書評(レビュー)

「世にも奇妙な物語 SMAPの特別編 [DVD]」です!!
世にも奇妙な物語 SMAPの特別編 [DVD]



「世にも奇妙な物語 映画の特別編 [DVD]」です!!
世にも奇妙な物語 映画の特別編 [DVD]



志水アキ先生が手掛けたキンドル版「[まとめ買い] 絡新婦の理(週刊少年マガジンコミックス)」です!!
[まとめ買い] 絡新婦の理(週刊少年マガジンコミックス)

posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画批評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする