まず、電子書籍化出来ないミステリとは何か!?
これに対し、管理人は次の2つを上げたいと思います。
1つ目、物理的に不可能。
2つ目、物理的には不可能ではないが紙媒体でこそ真価を発揮する。
もちろん、これ以外にも諸般の事情が考えられますが本記事では敢えてこの2つに絞ってみましょう。
で、それぞれに好例を上げてみます。
まず1つ目の「物理的に不可能」。
この例は泡坂妻夫先生『生者と死者―酩探偵ヨギガンジーの透視術』(新潮社刊)が詳しいでしょう。
本作にはある大きなトリックがありまして、これは本作それ自体を目にすればすぐに分かることでしょう。
あればかりは「任意で指定ページを解放出来る」などの工夫が無い限り電子書籍で再現することは難しい筈。
まぁ、逆に言えばそれが出来れば不可能ではないのだけど。
ちなみに、『生者と死者』は先頃に復刊されたばかり。
比較的、目にし易いのでこの意味を是非確認して欲しい。
・泡坂妻夫先生の幻の名作『生者と死者』(新潮社刊)が復刊とのこと!!
続いて2つ目の「物理的には不可能ではないが紙媒体でこそ真価を発揮する」。
こちらの例は泡坂妻夫先生『しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術』(新潮社刊)が詳しいでしょう。
本作にもある大きなトリックがありまして、これは本作ラストを読むことで意味に気付くでしょう。
確かに電子書籍化自体は可能ですが、文庫だからこそ可能なあの仕掛けは不可能な筈。
これもまた本作それ自体を読んで確認して欲しい。
・『しあわせの書〜迷探偵ヨギ ガンジーの心霊術〜』(泡坂妻夫著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)
さて、こうして挙げてみたが奇しくも泡坂妻夫先生の2作品、しかも共に「ヨギガンジーシリーズ」との結果に。
やっぱり泡坂先生はスゴイ!!
ちなみに「ヨギガンジーシリーズ」には他に短編集『ヨギ ガンジーの妖術』(新潮社)や『ヨギ ガンジー、最後の妖術』(東京創元社刊『泡坂妻夫引退公演』収録)もあります。
興味のある方は是非チェックを!!
でもって、ヨギガンジーと言えばこんな記事もありました……。
・これぞリアル!?ヨギ・ガンジー!?
そうそう、泡坂妻夫先生と言えば総特集本が2015年2月24日に発売されています。
それが『KAWADE夢ムック 総特集 泡坂妻夫 からくりを愛した男』(河出書房新社刊)。
<あらすじ>
『しあわせの書』で再ブレイクの、ミステリ作家・奇術師・紋章上絵師の3つの顔を持つ才能に迫る初の総特集! 対談:北村薫×法月綸太郎、寄稿:綾辻行人、恩田陸、田中芳樹、皆川博子……。
(河出書房新社公式HPより)
あらすじにもある通り泡坂妻夫先生に対する綾辻行人先生や皆川博子先生らの想いが語られています。
他にも米澤穂信先生も寄稿されています。
その中では、泡坂先生作品の評価の高さと共に『妖女のねむり』(東京創元社刊)の評価の高さも窺われる結果になっています。
さらに『ハートの2』『クラブの1』など、泡坂先生の本名・厚川昌男(ペンネーム・泡坂妻夫はアナグラム)名義の短編や泡坂先生の隠れた名作『東洲斎写楽』も掲載。
ファン垂涎の一冊となっています。
是非、この『KAWADE夢ムック 総特集 泡坂妻夫 からくりを愛した男』もチェックするべし!!
さて、此処まで書いて来てなんだが、もしも『生者と死者』と『しあわせの書』が電子書籍化されたらどうしよう。
そのときは笑って誤魔化すとするか……。
◆関連過去記事
・『しあわせの書〜迷探偵ヨギ ガンジーの心霊術〜』(泡坂妻夫著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『乱れからくり』(泡坂妻夫著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『煙の殺意』(泡坂妻夫著、東京創元社刊『煙の殺意』収録)ネタバレ書評(レビュー)
・水曜ミステリー9「カメラマン 亜愛一郎の迷宮推理 “本物を見抜く眼”が暴く真実!写真は語る!?気弱な天才が完全犯罪に挑む」(11月13日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・曾我佳城 (奇術探偵曾我佳城全集)
・これぞリアル!?ヨギ・ガンジー!?
・泡坂妻夫先生の幻の名作『生者と死者』(新潮社刊)が復刊とのこと!!
・【続報】遂に魔術師の演目判明!!『泡坂妻夫引退公演』収録作品はコレだ!!
・マジシャンの本領発揮!!泡坂妻夫先生、最後の短編集『泡坂妻夫引退公演』発売決定!!
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